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遊休資産の減価償却は必要?処理の仕方と損金算入ができるケース

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遊休資産の減価償却は必要?処理の仕方と損金算入ができるケース

事業用として取得したものの、現在は稼働・運用していない資産を「遊休資産」と言います。遊休資産の減価償却は費用として損金算入できることがあるため、経営者や財務担当者にとって重要な経営戦略の一部です。

どのように遊休資産を分類していくか、遊休資産の処理方法や損金算入が可能なケースについて詳しく説明していきましょう。

遊休資産の基礎知識

オフィスの周辺機器

遊休資産は事業活動のために取得したものの現在使われていない資産を指します。遊休資産は経済的な負担として問題視されており、同時に資産税の対象のため、適切な管理を行わないと経済的な負担増加に繋がる可能性にも注意が必要です。遊休資産について、押さえておくべきポイントを見ておきましょう。

遊休資産の定義と事例

一般的に遊休資産は、何らかの事情で事業に利用されていない資産のことを意味します。具体的な事例として、以下のようなケースに当てはまるものが遊休資産です。

  • 過去に購入したが現在は稼働していない製造機械
  • 空き家として放置されている建物
  • 使われていない土地
  • 使用する予定のないオフィスの一部
  • 使っていないソフトウェア

上記のような資産は、ある時点では必要だったものの、企業の戦略や運営方針の変更により役目を果たさなくなっています。今は使っていない遊休資産であっても資産税の対象であり、適切な管理も重要です。

事業目的で稼働しない理由

遊休資産が事業目的で稼働しない理由は、以下のように多岐にわたります。

  • 生産ラインが変更された結果として不要になった機械
  • 新しいテクノロジーへの移行により使用されなくなった旧型設備
  • 他のソフトウェア導入により利用されなくなった従来のソフトウェア

また、経済環境の変化や市場のニーズに応じて、計画していたプロジェクトが中止されるケースなど、予期せぬ遊休状態に陥ることもあるでしょう。遊休資産が生じることで、企業が全体の経営戦略を見直すきっかけも生まれます。

遊休資産の会計と税務処理

遊休資産の適切な会計処理は企業の財務健全性を保つために重要です。特に減価償却や税務処理を正確に行うことで、資産管理の効率が向上し税負担も減らせます。

遊休資産の放置は固定資産税の増加や手入れ・維持コストなどの財務リスクも高めるため早期に対応しましょう。

減価償却の方法とタイミング

遊休資産に対する減価償却は、原則として計画的に行う必要があります。

  • 定額法:法定耐用年数の期間内で同額ずつ償却していく方法
  • 定率法:未償却の金額に一定の償却率を乗じた額を償却していく方法

上記の2つのうちどちらかの減価償却方法が採用され、資産の使用年数に応じて計上されるのが一般的です。

遊休状態であっても、資産は法人税法上の「事業に供されている」と見なされるため、減価償却を実施する必要があるでしょう。しかし実際に減価償却していくにあたっては、資産の状況や将来の利用可能性に応じた判断が必要です。

関連記事:減価償却とは?会計や税務の基礎知識と節税のポイントを徹底解説!

減損処理の適用とその影響

遊休資産が資産としての価値を著しく失った場合、減損処理が求められます。資産の収益性が低下したことで投資回収が難しくなった状態を「減損」と呼び、減損処理は資産の帳簿価額を回収可能価額まで引き下げる手続きのことです。

資産の利用予定がない場合は、減損処理の重要性が増します。減損処理によって企業の財務諸表における資産の価値が正確に反映され、投資家や利害関係者に対して信頼性を保つことが可能となるからです。

関連記事:固定資産の減損処理はどのように行う?減損処理の概要も解説

損金算入が可能なケース

遊休資産に関する会計処理において、特定の条件下で損金算入が認められる場合があります。例えば、以下のケースには減価償却費を損金として計上可能です。

  • 遊休資産が維持や補修を行われている場合
  • 遊休資産が将来的に再稼働する見込みがある場合

このほか除却や廃棄手続きを行った場合にも、損失を税務上の損金として計上することが許容されるため、遊休資産の戦略的な損金処理が企業の税負担軽減に効果をもたらすでしょう。

遊休資産の放置によるリスク

遊休資産を放置すると企業には様々なリスクが伴います。中でも固定資産である土地や建物は、使用されていない状態でも税負担がかかるため注意が必要です。長期間にわたって遊休状態が続く資産を放置することで、経営に与える影響を見ていきましょう。

固定資産税の継続負担

ほとんど使っていない遊休資産であっても、所有している限り固定資産税が課税されます。課税は休止している資産に対しても変わらず適用されるため、遊休状態が長期化するほど税金の負担が増加していく点に注意が必要です。遊休資産の中でも不動産や機械などの固定資産は、評価額によって税額が計算されます。

参考:総務省|地方税制度|固定資産税

維持管理コストと手間

遊休資産は固定資産税のような税金だけでなく、維持管理にかかるコストや手間も無視できません。空き地や使われていない建物は、

  • 清掃
  • 設備管理
  • 防犯対策

などに費用がかかります。維持管理が必要な資産が放置されると、企業は本来必要のないコストを継続的に負担しなければなりません。また、維持管理にかかる時間やリソースも、企業の本業に集中できなくなる点でデメリットになります。

企業イメージへの影響

遊休資産の存在が企業外部に与える印象も決して無視できません。例えば、誰にでも見える場所にある遊休資産は、企業のイメージに悪影響を及ぼすことがあります。建物や設備が劣化していると、管理が行き届いていないと見られる恐れがあるため、取引先や顧客からの信用を落とす可能性の一つになるでしょう。

企業のブランド価値や信頼性にかかわる問題でもあるため、遊休資産の適切な管理や処分が求められます。

遊休資産の処分および活用法

家賃収入

遊休資産を処分もしくは活用することで、企業は経済的負担を軽減し、資産を正しく利用可能です。処分を考える際には、対象の遊休資産の評価方法について理解しておきましょう。また、損失計上や税務上の利益を最大化するために、適切な勘定科目を知っておくことも重要です。

勘定科目選定のポイント

遊休資産を処分する場合、正しい勘定科目を選んで会計処理を行いましょう。例えば、廃棄処分にした場合は「固定資産除却損」として計上することが一般的です。

一方で、売却した場合には「固定資産売却益」や「固定資産売却損」といった勘定科目を使い、生じた利益や損失を適切に処理しましょう。遊休資産の処分行為を行う前に、どのような会計処理になるかをしっかりと把握し、適切な手続き書類なども用意しておくことが大切です。

関連記事:使わない固定資産の除却処理で節税できるのは本当?

ソフトウェアの減価償却

遊休資産には有形固定資産だけでなく、ソフトウェアのような無形固定資産も含まれます。ソフトウェアも減価償却の対象となり、機能更新やサポートが終了した等の理由で使用が停止した場合には、減価償却費として損金算入が可能です。

会計処理を行う際はソフトウェアの価値を適切に評価して減価償却額を計算し、減価償却を適用した方が節税や経営戦略に繋がるでしょう。

税務調査への対応策

遊休資産を処分した場合、税務調査の対象となる可能性があります。いつ税務調査が来ても良いように、事前にしっかりとした記録を残しておくことが重要です。

遊休資産を処分する際は、以下の書類を整理しておく必要があります。

  • 廃棄証明書
  • 経費明細
  • 資産処分の議事録

また、税務署からの質問に対して迅速に対応できるよう、必要な書類を準備しておくこともリスク管理の一つです。

有姿除却の検討とそのメリット

遊休資産の中でも機械設備や装置については、有姿除却を検討する場合があります。有姿除却とは、物理的に資産を廃棄や解体などの方法で処分しなくても、一定の条件が満たされた場合に「除却損」として損失を計上できる制度です。

有姿除却を行えば、廃棄処分に伴うコストや手間を軽減できます。ただし、有姿除却を行う場合は「再利用しないこと」を条件とされているため、有姿除却を行った遊休資産を後から再稼働させることは違法です。

関連記事:有姿除却と減損損失の違いとは?特徴やメリット・デメリットを解説

遊休資産の減価償却についてのまとめ

遊休資産の管理や処理は企業にとって重要です。放置すると固定資産税や維持管理コストが増加し、企業ブランドにも悪影響を及ぼす可能性があります。リスク管理のためにも、遊休資産は適切な減価償却や減損処理を行い、有効活用の戦略を立てましょう。

また、遊休資産の処分時には勘定科目の選定や記録管理も必須です。遊休資産を適切に管理することで、企業の財務状況を改善し、経営資源の有効活用に繋がります。

遊休資産に関する税務処理については、専門の税理士に相談してみましょう。

遊休資産の減価償却や処分時の仕訳などについては、小谷野税理士法人にぜひご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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