0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

青色専従者はパート勤務できる?条件や注意点をわかりやすく解説

公開日:

青色専従者はパート勤務できる?条件や注意点をわかりやすく解説

青色申告者の事業を手伝う家族が「青色専従者」として働く中で、他の仕事との両立が問題になることもあります。専従者給与には節税効果がありますが、要件には「専ら従事していること」が含まれるため、働き方次第で制度の適用に影響する場合があります。本記事では、青色専従者に関する基本知識や注意点をわかりやすく解説します

青色専従者とは?

青色専従者とは、青色申告をしている個人事業主が、生計を一にする家族(配偶者や親族)に給与を支払い、その金額を経費として計上できる制度です。一定の要件を満たせば、家族への給与を正当に「必要経費」として認めてもらえるため、節税効果が期待できます。

要件

内容

対象となる親族

配偶者または15歳以上の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)

生計の一致

同じ生活費で暮らしていること(同居が基本だが、別居でも仕送り等で可)

専従性

1年のうち6ヵ月超、その事業に従事していること

届出の提出

「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に期限内に提出していること

青色申告者であること

給与を支払う事業主が青色申告を行っていること

青色専従者の制度は、青色申告を行っていることが前提となるので注意してください。青色申告とは、正確な帳簿をつけ、一定の要件を満たすことで税務署に申告できる制度で、最大65万円の青色申告特別控除をはじめとした多くのメリットがあります。

その青色申告者が、上記の要件を満たした家族へ「専従者給与」を支払うことで、その金額を必要経費として所得から差し引くことが可能になります。

つまり、実際に家業を手伝っている家族の労働に対して、正当な給与を支払いつつ節税できる制度という位置づけになります。

関連記事:個人事業主が家族を青色事業専従者にするには?

関連記事:青色専従者給与は学生(子ども)にも適用される?認められないケースや注意点

青色専従者がパート勤務しても大丈夫?

接客

原則として、青色専従者は青色申告者の事業に「専ら従事」している必要があります他の仕事をしていると、税務署から専従性を疑われ、支払った給与が必要経費として認められない可能性があります。

ただし、すべてのパート勤務がNGというわけではありません。重要なのは、どちらの仕事に主たる時間を割いているか、という実態です。以下で、パート勤務が認められるケースと認められないケースについて具体的に解説します。

認められるケース

パート勤務がごく短時間・短期間にとどまり、主な時間を家業に充てていると判断できる場合は、青色専従者として認められる可能性があります。

例)

  • 平日は毎日家業を手伝い、月に1〜2回だけ短時間のパートに出ている
  • 年間を通じて6ヵ月超、明らかに家業が主な仕事である

このように、パート勤務が補助的であること、そして青色申告者の事業に主として従事していることが明確に示せるのであれば、「専従」としての要件を満たすと判断される可能性が高いでしょう。

そのためには、勤務実態を示す記録(日報・タイムカード・業務メモなど)を残しておくことが重要です。

認められないケース

反対に、週の大半を他の職場で働いており、青色申告者の事業に従事する時間が限られている場合は、「専ら従事している」とは認められないでしょう。

例)

  • 週4日以上、別の職場でパート勤務している
  • 収入の大半をパート収入が占めており、家業は週1〜2日のみ
  • 家業への関与が断続的・補助的に見える

こうした場合は、税務調査などで専従性を否認され、専従者給与を必要経費にできなくなるリスクがあります。過去の申告についても追徴課税の対象になる可能性があるため、十分に注意しましょう。

青色専従者がパート勤務することの3つのリスク

賃上げ税制における教育訓練費のイメージ

青色専従者がパート勤務をする場合、働き方によっては思わぬ落とし穴があります。節税のつもりが逆に税務上のリスクになることもあるので注意しましょう。

  1. 専従性が否定されて給与が経費として認められない
  2. 税務調査での指摘による追徴課税
  3. 扶養控除や社会保険への影響

給与が経費として認められず、税負担が増える

従業員の専従性が否認されると、支払った専従者給与が必要経費として認められなくなり、結果として事業主の所得が増えた形で課税されます。これにより、本来よりも高い税額が発生し、節税のつもりが逆に税負担の増加に繋がってしまうでしょう。

特に事業所得が高い場合は、税率の上昇によって負担が大きくなるため注意が必要です。また、過去の申告分も修正対象となる可能性があり、影響は一時的なものにとどまりません。

税務調査で追徴課税や加算税が発生する

税務調査をきっかけに親族の専従性が否認された場合、単に経費計上できないだけでなく、追徴課税や加算税、延滞税といった追加負担が発生する可能性もあるでしょう。数年分にわたって遡及されるケースもあり、予期せぬ高額な税負担となります。

調査対応のための時間や精神的な負担も大きく、事業の安定性に影響を与える恐れもあるでしょう。青色専従者制度の利用にあたっては、実態を示す証拠を日頃から整えておくことが重要です。

関連記事:税務調査とは?いつ・どこまで調べられるのか?大まかな流れや査察調査(国税調査)との違いなども解説

関連記事:追徴課税とは?加算税の種類や計算方法、対象期間について解説

扶養控除の適用外・社会保険料の負担増

専従者給与を受け取ることで、配偶者控除や扶養控除の対象外になります。例えば、年収が103万円を超えると所得控除の枠から外れ、世帯全体の税額が増加します。また、年収が130万円を超えると、健康保険や年金の扶養から外れ、本人が保険料を負担する必要が生じます。

結果として、節税目的の専従者制度が、かえって負担になるケースもあるため、扶養や保険との関係にも十分注意しましょう。

青色専従者のパート勤務はバレる?

驚いている女性

パート勤務が「専従性」を損なう可能性があることは分かっていても、「実際のところバレるのか?」と気になる方も多いでしょう。実は、複数のルートから発覚する可能性があるので注意しましょう。

税務署からの問い合わせや調査

青色申告書に「専従者給与」の記載があると、税務署はその内容に注目します。金額や人数、事業規模とのバランスに不自然さがあると、税務署から確認の問い合わせや実地調査の対象となることがあるでしょう。

特に、他の仕事をしていることが明らかになった場合は、「専ら従事していない」と判断されるリスクが高くなります。記載内容と実態が一致していなければ、過去の申告がさかのぼって否認される可能性もあるため注意しましょう。

雇用先からの給与支払報告書の提出

パート先の事業者は、年末調整や確定申告に関連して「給与支払報告書」を市区町村に提出します。

この報告書は住民税の計算などに利用されるもので、勤務者の名前・住所・収入などが記載されているため、青色専従者として申告していても、他の勤務先から収入があることが分かってしまいます

このように、本人がパート収入を申告していなくても、第三者の提出書類から自治体や税務署に情報が共有される点に留意しましょう。

社会保険や年金の手続き情報で発覚

青色専従者として働いている方が、同時に社会保険や厚生年金に加入していると、年金事務所などで矛盾が発覚する可能性があるでしょう。

特に、配偶者の扶養として「第3号被保険者」として届け出ている場合、別の勤務先から収入があると扶養の要件に抵触する可能性があります。

また、健康保険の加入記録や勤務先情報が行政機関間で照会されるケースもあるため、複数の手続きからパート勤務が明らかになるリスクがあります。

青色専従者のパート勤務に関するよくある質問

青色専従者として働きながらパート勤務することに関して、よく寄せられる疑問をピックアップしました。ぜひ参考にしてください。

夫の事業を週3日手伝っています。青色専従者になれますか?

青色専従者の要件には「その事業に専ら従事していること」があるため、一般的に週3日程度の従事では要件を満たさない可能性があるでしょう。

ただし、他に仕事をしておらず、年間を通して6ヵ月を超えて家業に従事しているなど、実態として家業が主な仕事であると判断されるケースでは認められることもあります。形式的な日数ではなく、実際の勤務実態と従事時間のバランスが判断材料になります。

年間103万円以内の給与でも青色専従者になれますか?

青色専従者としての給与額に上限はなく、年間103万円以内であっても必要経費として計上することは可能です。ただし、あまりに低すぎる給与は、実態の裏付けが取れない場合「本当に働いているのか」と税務署から疑われる可能性があるでしょう。

あくまで、業務内容と勤務時間に見合った「適正な金額」であることが前提です。配偶者控除との兼ね合いもあるため、全体のバランスを考えて設定しましょう。

パート以外に副業している場合はどうなりますか?

副業をしていても直ちに青色専従者の資格を失うわけではありませんが、副業の内容や従事時間によっては専従性が否定される可能性があるでしょう。例えば、短期的・限定的な副業で、家業への従事が圧倒的に多ければ問題にならないケースもあります。

一方、収入や時間配分の多くを副業に割いていると、「専ら従事している」とは認められない恐れがあるでしょう。副業の有無だけでなく、実態のバランスが重要です。

青色専従者のパート勤務に迷ったら専門家に相談を

青色専従者制度は、適切に活用することで、日々の経理や税務処理を効率化しつつ、着実な節税に繋げられる制度です。

しかし、専従の定義や給与額の設定、他の勤務との兼ね合いなど、判断が難しいケースが多いため、少しでも不安を感じたときは、税務の専門家へ相談しましょう

小谷野税理士法人は、法人・個人を問わず幅広い税務に対応している事務所で、特に青色申告や専従者給与などの実務にも精通しており、状況に応じた的確なアドバイスを提供しています。

制度を正しく活用して安心した経営を続けるためにも、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談