0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

社長死亡後に後継者なし?相続の対象や会社がやるべき手続きを解説

公開日:

社長死亡後に後継者なし?相続の対象や会社がやるべき手続きを解説

社長が急逝したものの、後継者がいない企業は増えつつあります。後継者がいない場合はどのように手続きをすべきか、相続できるものは何かなど分からないことも多いでしょう。そこで今回は社長死亡後に速やかにやるべき手続きや社長死亡後の後継者の選定方法について解説します。社長亡き後の会社をどのように扱うべきか、後継者問題についてお悩みの方はぜひ参考にしてください。

社長死亡後に後継者がいない企業は増えている

落ち込んでいる男性

帝国データバンクによると、全国の全業種約26万6,000社のうち約65.1%にあたる約17万社が後継者不在という状況です。

社長の年代別に見ると、2019年と比較して30代未満と80代以上を除く全ての年代で後継者不在率が低下しました。特に40代以降では過去最低を更新し、50代以降も7割を下回るなど後継者不在率は低下の一途をたどっています。

参考:特別企画:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)

関連記事:経営者が交代する際の流れは?手続きや費用も解説

社長が死亡した場合に速やかにやるべきこと

社長が死亡した場合、企業が速やかにやるべきこと3つについてまとめました。

社内各位への通知

まずやるべきは、社内への迅速な通知です。社長が逝去した事実は、その企業で働く社員のモチベーションにも大きく関わります。さらに今後の会社運営に対する不安を感じさせてしまう可能性もあります。

まずは、全社員に確実に情報を共有できるように社内メールや掲示板、朝礼といった複数の手段を使って通知しましょう。今後の経営体制などについては現時点で把握できている範囲で伝えることで社員に安心感を与えられます。

取引先などへの連絡

続いてやるべきは、取引先や金融機関、株主など社外への連絡です。また後任の代表者や今後の事業継続について、分かる範囲で正確に伝えるようにしましょう。取引や契約について変更点があれば、それらも合わせて連絡しておきましょう。

新たな代表者の選出

事業継続が決まっている場合は、新たな代表者を選出する必要があります。代表者が不在のままだと業務に支障をきたすだけでなく、社外の信用を損なう可能性もあります。

故社長の遺志や経営方針、将来の見通しなど総合的に判断して適切な人材を選任しなくてはいけません。新しい代表者が決定したら、速やかに社内外に公表しましょう。

関連記事:社長交代するための手続き一覧:必要な費用とリスクを確認

社長が死亡した場合に相続できるもの

社長が死亡した場合に相続の対象となるのは、一般的には「株式」のみです。前提として、会社に「相続」という考え方は適用されません。なぜなら、株式会社や特例有限会社といった法的な組織は、法律上「法人」という独立した「人」として扱われるからです。

したがって社長が急逝されたとしても、会社そのものは法人として存続し続けます。そして社長の相続人は現金、備品、土地といった会社の財産をすべてそのまま相続するわけではありません。

相続の対象となるのは、あくまで亡くなった社長が個人的に所有していた会社の株式が一般的です。

社長死亡後における会社の手続き

社長死亡後における会社の手続きについて、3つのパターンに分けて解説します。

相続人による事業の継続

相続人が新たなリーダーとして事業を継続する場合、まず故人の保有していた株式を相続して株主としての地位を得る必要があります。そして社長の候補となる相続人は、株主総会で取締役に選任される必要があります。

取締役会を設置している会社では、選任された取締役から代表取締役が決定されます。設置していない場合は株主総会で直接代表取締役が選任されることもあります。株主総会での決議には、原則として議決権の過半数を有する株主の賛成が必要です。

相続人は経営に関与せず事業継続

会社は存続させるものの、相続人が事業承継を希望しないというケースもあるでしょう。例えば相続人が既に別の仕事に就いている、あるいは経営に関心がないといった理由が挙げられます。

このような場合は相続人は株式を手放し、経営を現取締役や外部の専門家などに委ねるという選択肢があります。相続人が株式を手放す主な方法は以下の通りです。

  • 相続放棄
  • 第三者への譲渡(他の株主など)
  • 会社への譲渡

廃業

亡くなった社長が唯一の株主であった場合など、さまざまな理由から会社を廃業するという判断に至ることもあります。会社は法人のため、社長が亡くなっても解散・清算の手続きをするまで法人税の納付義務や申告義務は継続されるので要注意です。

廃業の手続きの流れは以下のように進められます。

  1. 株主総会での解散決議
  2. 解散登記
  3. 財産目録と貸借対照表の作成および承認
  4. 公告・催告
  5. 清算事務
  6. 残余財産の株主への分配
  7. 清算事務での決算報告書の作成・承認取得
  8. 清算決了の登記

上記の通り廃業手続きは煩雑で時間もかかるため、計画的に進めなくてはいけません。税理士などの専門家と連携を取れば、煩雑な手続きもスムーズになるのでおすすめです。

関連記事:廃業と事業承継の違いとは?それぞれのメリット・デメリットを解説!

後継者になるために必要なスキル・資質

ビジネスマン

後継者に求められるスキル・資質の一例をご紹介します。

  • 柔軟性
  • 忍耐力
  • コミュニケーションスキル
  • 洞察力
  • 統率力

複数の後継者候補がいる場合、これらのスキルが備わっているかどうかを見極める必要があります。

これまでの職務経験でどのような成果を出したか、またそのプロセスなどを総合的に評価します。またチームやプロジェクトを率いた経験や目標達成への貢献度なども評価対象です。

スキルや能力だけでなく、どれだけ会社の文化やビジョンを理解しているか、社員から信頼されているかも重要なポイントです。

社長死亡後の後継者の決め方

後継者の選定を検討する際、主な方法として「親族」「役員・従業員」「社外」の3つの形態が挙げられます。それぞれの形態においてどのように後継者を決定していくべきか、そのポイントを解説します。

親族

もし身内や親族の中に会社の事業承継に意欲的な人物がいれば、その人物を後継者候補として検討します。

親族内承継では自社の事業内容に関する専門知識や実務経験が重視される傾向があります。そのため早い段階から自社で経験を積んでいる人材がいれば、その親族が後継者として有力な候補となるでしょう。

逆に、たとえ社長の子息であっても会社の業務経験や専門知識が不足していれば従業員の不信感を招く可能性があります。後継者として適性があるか、第三者の意見も交えて慎重に判断しましょう。

役員・従業員

役員や従業員の中から後継者を選ぶ場合、一般的には勤続年数の長い人材が良いとされます。長年会社に貢献してきた人材は事業内容や社内事情に詳しく、取引先との関係性もすでに構築されている場合が多いからです。

しかし長く会社に在籍しているからといって、必ずしも経営者への意欲があるとは限りません。まずは後継者候補となる人物の意思を確認しましょう。そしてその親族からの理解や協力を得られるかどうかも合わせて判断する必要があります。

社外

親族や従業員の中から適切な後継者が見つからない場合、社外への承継が検討されます。自社の経営に関する知識はなくとも、他の企業で事業を成功させた実績があれば承継の成功率を高められるでしょう。

社外への承継を行う場合はM&Aや後継者マッチングサービスを利用するのが一般的です。

関連記事:個人事業主の共同経営は可能?主な形態や親子・友人・夫婦との経営について

社長亡き後を継ぐ後継者の育成方法

社長亡きあとに抜擢された後継者を次の代表として育成するためには、時間や費用をかけなくてはいけません。それでは、どのようにして後継者を次世代を担う社長として育成すればいいのでしょうか。

以下では、社長亡き後を継ぐ後継者の育成方法の一例をご紹介します。

  • ジョブローテーション
  • プロジェクトのリーダーへの選抜
  • 他業種の会社での勤務
  • セミナー・勉強会への参加
  • 子会社・関連会社の経営

後継者の育成はそれ相応の時間をかけないことには達成できません。そのためにはまず、早期からの計画的な取り組みや経営層のコミットメント、そして何より後継者自身の意欲が重要な鍵となります。

上記の育成方法を参考にして、後継者自身や自社の状況に合わせた育成計画を立てましょう。

社長が生前にしておくべき事業継承の手順

事業承継を生前にしておけば、後継者の育成期間を確保して経営の安定化を図れます。以下では、その事業継承の手順について概要をまとめました。

  1. 事前準備・現状把握
  2. 後継者の選定
  3. 事業承継計画の策定
  4. 社内への事業承継時期の周知
  5. 後継者の育成
  6. 経営改善・業務引継ぎ
  7. 完施

事業承継にはまず、自社の経営状況と課題を分析して事業改善の方向性を決めます。課題に基づき、後継者候補を選定しましょう。

事業承継計画書を作成したら社内へ通知し、後継者には育成計画に基づいた教育を開始します。よりスムーズに事業継承を進めるためにも、現経営者は可能な範囲で経営改善を進めておきましょう。

また事業承継は贈与や贈与に関する税金の課題が出てくるため、事前準備の段階から税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

関連記事:事業承継とは?中小企業の経営者が知っておくべき基礎知識と成功のポイントを解説!

まとめ

社長の死亡後の手続きは、税務、法務、労務など多岐にわたる専門知識が必要となるため、税理士をはじめとする専門家のサポートが不可欠と言えます。

税務に関する専門知識と豊富な経験に基づいた的確なアドバイスを受けられ、さらに相続税申告などの複雑な手続きを代行してもらえるでしょう。

小谷野税理士法人では社長の死亡後の会社手続きについて状況に合わせた適切なアドバイスを提供しています。社長が急逝してしまいどうすればいいか分からない方は、ぜひ一度「小谷野税理士法人」までお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談