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業績連動報酬とは?メリット・デメリットや要件をわかりやすく解説

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業績連動報酬とは?メリット・デメリットや要件をわかりやすく解説

業績連動報酬とは、企業の業績に応じて役員や従業員に支給される報酬が変動する仕組みです。社員は自身の働きが正当に評価されるため、一層の成果を目指す原動力となります。また、優秀な人材を採用するうえでも有効で、業績連動報酬は企業の競争力を高める武器とも言えるでしょう。この記事では業績連動報酬のメリット・デメリット、仕組みやポイントまでわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

業績連動報酬とは何か?

業績連動報酬とは、企業の業績に応じて役員や従業員に支給される報酬のことを指します。
一般的な固定給とは異なり、売上や利益、株価といった財務指標に基づいて金額が変動するのが特徴です。

業績が良ければ報酬は増加し、反対に業績が振るわない場合には報酬が減額されるケースもあります。

また、企業の業績と社員の報酬を結びつけることで、成果への意識を高める狙いもあると言えるでしょう。

関連記事:給与と報酬の判断基準とは?税務上の違いや申告ミスのリスクを解説!

業績連動報酬のメリットとデメリット

役員の適正人数のイメージ

業績連動報酬制度には多くのメリットがある一方で、デメリットを考慮することも必要です。ここでは業績連動報酬制度のメリット・デメリットについて説明します。

企業にとってのメリット

企業にとって業績連動報酬を導入するメリットは多岐にわたります。

成果を出せば報酬が上がるという仕組みは、役員や従業員の仕事への動機付けとなるでしょう。業務への意識向上や目標達成へのモチベーションアップにつながり、組織全体の生産性アップやチームワークの向上も期待できます。

さらに、成果に応じた報酬制度は優秀な人材を確保したり、従業員の定着率を向上させたりする効果もあります。他社と比較して魅力的な報酬制度を持つことで、競争力のある職場環境を構築でき、長期的な雇用の安定にもつながるでしょう。

役員にとってのメリット

役員にとっても業績連動報酬は大きなメリットを持つ制度です。

自らの成果が報酬に直結することで経営に対する責任感や主体性が高まり、経営課題へより積極的に取り組むことになるでしょう。

また、中長期的な視点に立った経営判断や、株価・企業価値の向上を意識した行動が促進されるため、企業の持続的成長にも良い影響を与えます。

株価が上がり企業価値が高まれば、ステークホルダーにプラスの結果があり、会社の信頼や評価の向上にもつながります。

課題となるデメリット

代表的なリスクは、短期的な業績向上ばかりを重視してしまう傾向が見られることです。
その結果、企業の社会的責任(CSR)や環境配慮など、長期的に重要な課題が後回しになってしまう可能性もあります。

また、業績指標や評価基準の設定が不適切な場合、本来の業績を正確に反映できず、社員に納得感のない報酬制度になってしまうかもしれません。その結果、役員や従業員のモチベーションが下がり、組織全体の活力低下につながるケースも考えられます。

一方で固定給だけの報酬制度は業績との連動がないため、努力や成果が十分に評価されないと感じる人もいるでしょう。

そのため、報酬制度は短期と長期のバランスをとり、制度全体に対して社内外から納得が得られる仕組みであることが求められます。

関連記事:給与と報酬どちらが得?支払う側と受け取る側2つの視点で解説

業績連動報酬の種類と評価指標

業績連動報酬は企業の成果に応じて支給額が決まる仕組みですが、基準となる指標はさまざまです。中でもよく使われるのが利益に関する数値で、営業利益・経常利益・純利益などが報酬の基準として広く活用されています。

こうした指標をもとに報酬を決めることで、収益力と働きの成果が結びつき、制度への納得感や透明性が高まるでしょう。ここでは指標についてわかりやすく表で説明します。

指標

特徴

報酬制度での役割

ROE(自己資本利益率)

自己資本を使ってどれだけ
効率よく利益を出せたかを示す

経営者の資本の使い方や
収益性を評価

ROA(総資産利益率)

会社のすべての資産を使って
どれだけ利益を出せたかを示す

全体的な経営効率を評価する基準

株価(RSなど)

市場での企業価値を反映する

経営者が企業価値の向上に
貢献しているかを評価

売上高の増加・
市場シェア拡大

事業の成長や拡大の度合いを示す

成長戦略が成果を上げているかを
評価

ESG(環境・社会・
ガバナンス)

社会的責任や持続可能性への
取り組みを評価する

長期的な企業価値や信頼性の
向上に貢献しているかを見る指標

上記の指標は企業がどのような成果を重視するかによって使い分けられています。利益や株価のように数字で評価する指標に加え、近年では環境や社会への取り組みなど非財務的な観点も重視されています。

さまざまな指標を組み合わせることによって、経営陣や社員が目指すべき方向が明確になり、企業の持続的な成長につながるでしょう。

関連記事:自己資本利益率(ROE)とは?概要や計算方法、目安について解説

役員報酬と業績連動給与の関係性

男性2人

業績連動給与とは、役員報酬を企業の業績と連動させて支給する制度のことです。役員報酬と業績連動給与の関係は企業のパフォーマンス向上に直結します。取締役をはじめとする経営層の報酬を企業業績と連動させることで、より強力なインセンティブが生まるからです。

業績が好調であれば報酬が増え、逆に業績が振るわない場合には減額されるという仕組みは、経営層の責任感や当事者意識を強めます。

その結果、経営層がより主体的に行動するようになり、企業の長期的な成長にもつながっていくでしょう。ここでは、役員報酬との位置づけやESGとの関係性について説明します。

役員報酬の構成要素と業績連動の位置づけ

役員報酬は通常、基本給・業績連動給与・株式報酬など、複数の要素で構成されています。割合は企業によって異なりますが、中でも業績連動給与は、役員の実績を正しく評価するうえで重要な位置づけです。

業績連動給与は企業の業績と直接結びついており、役員の努力や成果が報酬にそのまま反映されるのが特徴です。そのため、役員はより高い成果を目指して行動するようになり、企業の成長にも積極的に貢献するようになるでしょう。

また、この仕組みは難易度の高い目標に挑戦する動機づけにもなり、経営判断の質や戦略遂行力の向上にもつながるでしょう。

ただし、業績連動給与を適用するには、報酬の算定方法の内容を決定し、有価証券報告書に記載・開示する必要があります。導入する際は、税理士などの専門家に要件を満たしているか確認することをおすすめします。

ESGとの関連性

近年、企業の経営において、持続可能性(サステナビリティ)が重視されています。その結果、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を業績連動報酬に取り入れる企業が増えています。

そのため、環境への配慮や社会的責任の果たし方といった、財務以外の価値が評価されています。

ESGに関連する目標を役員報酬に反映させることで、経営陣は短期的な利益だけでなく、長期的な企業価値や社会貢献にも目を向けるでしょう。

また、ストックオプションを報酬の一部に取り入れる企業も増えており、役員が企業価値の向上に自ら関わる意識を高める役割を果たしています。

このような仕組みは戦略的とも言え、企業のブランド価値や社会的評価の向上にもつながります。特にストックオプションは長期的な視野で企業成果を追求する効果が大きく、企業全体の持続的成長を後押しする有効な手段です。

ESGを取り入れた役員報酬制度は単なる給与の仕組みにとどまらず、企業の競争力や将来の成長を支える重要な鍵として注目されています。

企業がインセンティブ制度に新たな視点(環境・社会・ガバナンス)を加えることは、長期的な企業価値を生み出すための取り組みとも言えるでしょう。

関連記事:役員報酬の変更方法は?タイミングや手続きを解説

業績連動報酬の情報開示におけるポイント

個人事業主の確定申告のイメージ

業績連動報酬に関する情報開示は、企業の透明性を高め、株主や投資家からの信頼を得るために欠かせません。有価証券報告書などの公式文書で報酬の基準や算定方法を明示することで、ステークホルダーに対して制度の妥当性や公平性を伝えることができます。

また、丁寧な情報開示は企業と関係者の信頼関係を深める土台となるでしょう。ここでは、情報開示のポイントを説明します。

透明性確保と開示の重要性

業績連動報酬制度を導入するうえで大切なのは、制度の透明性と情報の正確な開示です。

報酬に関する内容をきちんと公開することで、企業に対する信頼感が高まり、社外から高い評価を得られるでしょう。

一方、報酬の基準や計算方法が不透明なままでは、誤解や不信感を招いてしまうかもしれません。

そのため業績指標や算定の根拠を明示することで、報酬決定のプロセスが公正であることを提示できます。さらに評価への納得感や信頼感を得やすくなります。

報酬制度の設計や運用では税務上のルールにも注意しましょう。税務対応が不十分だと、本来のインセンティブ効果が十分に発揮されない可能性があります。

制度の内容を正確かつ丁寧に開示する姿勢は企業への信頼を高め、長期的に支持される経営につながっていきます。

例を用いた情報開示の実務

実際の開示においては、業績指標と役員報酬の関係をデータで示すことが有効です。例えば、前年の営業利益や純利益に対してどの程度の報酬が支払われたかを明記することで、報酬と業績の連動性を明らかにできます。

これらの情報は有価証券報告書などを通じて開示され、株主や投資家の判断材料となります。企業の成長戦略と報酬制度がどのように結びついているかを説明することは、業績連動報酬制度の説得力を高めるうえで効果的です。

ストックオプションや譲渡制限付株式(RS)の活用実績についても、報酬制度の一例として開示されることがあります。事例を用いた開示により、企業の報酬方針が実際の業績や市場とどのように連動しているかを、より具体的に伝えられるからです。

情報開示の内容を充実させることは、ステークホルダーとの信頼関係を築くうえで大切です。業績連動報酬制度の運用状況を丁寧に示す姿勢は、企業の透明性を高め、持続的な成長を支える大切な基盤となるでしょう。

関連記事:株価収益率(PER)とは?計算方法や目安をわかりやすく解説

業績連動報酬についてよくある質問

最後に業績連動報酬についてよくある疑問について、それぞれわかりやすく回答していきます。

業績連動報酬は全社員に導入できる?

一定の基準を設けることで、全社員に導入可能です。特に営業職やプロジェクト単位の業務においては、個人の成果に応じて報酬を変動させる仕組みは効果を発揮するでしょう。

ただし、全社導入の際には不公平感を生まない評価制度を構築する必要があります。

業績が悪化したら報酬はゼロになる?

ほとんどの企業では最低保障額や固定部分を設けており、完全にゼロになることはありません

急激な報酬減は社員のモチベーションに悪影響を与える可能性もあります。報酬は下限設定や複数年での評価などを組み合わせて設定することをおすすめします。

業績連動型にすると税務上の扱いに不利が出ることはある?

正しく設計されていれば、税務上も損金算入できる報酬として扱われます。ただし、評価方法が曖昧だったり、過大だと判断された場合は損金として認められないこともあります。制度導入時には、税理士など専門家に相談しながら進めると安心です。

まとめ

業績連動報酬は、企業の業績に応じて報酬が変動する仕組みです。経営の効率化や成果の最大化を図るうえで、有効な手段の1つと言えるでしょう。

役員報酬の一部として導入することで、経営者が成果に対して強くコミットし、企業と経営陣の利害を一致させる効果も期待できます。一方、制度の設計や運用を誤ると、短期的な成果ばかりが重視される恐れもあります。

そのためには、下記を意識することが大切です。

  • 公平な業績指標の設定
  • 報酬体系の透明性の確保
  • 適切な情報開示

公正で戦略的に作られた業績連動報酬制度は、企業の成長と社会からの信頼性アップを同時に実現できるでしょう。まずは、自社にとって本当に効果的な報酬制度とは何かを見つめ直すことをおすすめします。

業績連動報酬についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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