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キャッシュフローの種類と求め方を徹底解説!経営改善に活かす方法も紹介

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キャッシュフローの種類と求め方を徹底解説!経営改善に活かす方法も紹介

キャッシュフローは企業の現金の流れを表す指標であり、経営の健全性を測るうえで欠かせない要素です。利益が出ていても資金が不足して倒産してしまうケースがあるように、「現金の動き」を正確に把握することは非常に重要です。この記事では、キャッシュフローの基本的な考え方から種類別の求め方、さらに経営改善への活かし方までわかりやすく解説します。

キャッシュフローの基本概念

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キャッシュフローとは、企業の「現金の流れ」を表す指標であり、資金の出入りを正確に把握するために必要不可欠です。単なる売上や利益だけでなく、現金ベースでの実態を捉えられるため、企業経営の健全性を判断する際に重要な役割を果たします。

キャッシュフローがプラスであれば現金が増加していること、マイナスであれば現金が減少していることを意味します。利益が出ていても資金繰りに困る会社があるのは、キャッシュフローを管理できていない可能性が高いです。

関連記事:フリーキャッシュフローとは?マイナスの要因や影響、分析方法まとめ

キャッシュフロー重視の経営をすべき理由

それでは、キャッシュフローを重視した経営をすべき2つの理由を解説します。

安定した経営の支えになる

中小企業においては、資金繰りの安定が経営そのものを左右すると言っても過言ではありません。大企業のように十分な内部留保がない中小企業では、わずかな資金ショートでも経営危機に直結します。

売上が一時的に落ち込んだり、急な支払いが発生したりした際に、どれだけキャッシュを確保できるかが生死を分けるポイントです。

そのため中小企業は「利益」よりも「キャッシュフロー」を優先して管理する必要があるのです。日々の資金繰り表の作成と、短期・中期的なキャッシュフロー予測が、安定経営への大きな支えとなるでしょう。

融資を受けやすくなる

融資審査では、キャッシュフローが極めて重視されます。金融機関は貸したお金を確実に返済してもらうために、企業の返済能力を見ています。

いくら損益計算書上で利益が出ていても、キャッシュフローがマイナスであれば、融資は慎重に判断されます。また過去のキャッシュフローの安定性に加え、今後の資金繰り計画や返済スケジュールの現実性も審査対象です。

融資をスムーズに受けるためにも、普段からキャッシュフローを可視化し、説明できる体制を整えておくことが大切です。

キャッシュフローの種類とそれぞれの求め方

以下では、3種類のキャッシュフローとそれぞれの求め方について解説します。

営業キャッシュフローの求め方

営業キャッシュフローは、本業による現金収支を示し、企業の「稼ぐ力」を表す重要な指標です。求め方は、直接法と間接法があり、間接法の場合は当期純利益に減価償却費などの非現金費用を加算し、売掛金・買掛金などの運転資金の増減を調整して算出します。

営業キャッシュフローがプラスであれば、事業活動から安定的に資金を生み出せている状態です。逆にマイナスの場合は、収益構造に問題がある可能性があるため、早急な対策が必要となります。

投資キャッシュフローの求め方

投資キャッシュフローは、設備投資や資産売却など、将来の成長に向けた現金の流れを示します。主に、有形固定資産や無形資産の取得による支出、または資産売却による収入が対象です。

通常、投資キャッシュフローはマイナス(資金流出)になることが多く、将来の利益獲得に向けた前向きな支出と考えられます。

ただし、収益に結びつかない過剰投資には注意が必要です。継続的に健全な投資を行うためには、営業キャッシュフローによる裏付けを行いましょう。

財務キャッシュフローの求め方

財務キャッシュフローは、資金調達や返済など、企業の財務活動による現金の増減を表します。借入金の増減、株式の発行・自己株式の取得、配当金の支払いなどが対象となり、これらを合算して算出します。

資金調達による収入が多ければプラス、借入金返済や配当支払いが多ければマイナスとなります。財務キャッシュフローの動きは、企業の成長段階や資本政策を読み解くカギとなります。

特に中小企業では借入過多にならないよう、財務キャッシュフローの健全性を定期的に確認してください。

キャッシュフローで用いる間接法と直接法とは

営業キャッシュフローには「間接法」と「直接法」という2つの作成方法があり、基本的な違いは出発点と手順にあります。

間接法は、当期純利益から現金収支に関係ない項目を調整していく方法です。一方、直接法は、現金収入と現金支出を分類して、そのまま記載する方法です。

実務上は間接法が広く使われており、会計データから比較的簡単に作成できるのが特徴です。どちらを選択しても問題ありませんが、目的に応じて使い分けることが大切です。

【例題あり】キャッシュフローの基本計算方法

事業専従者控除の計算をするシーン

キャッシュフローの計算方法には間接法と直接法による計算方法があるとご紹介しました。以下では、それぞれの方法を用いた計算の手順を例題を交えて解説します。

間接法による営業キャッシュフロー計算方法

間接法ではまず「当期純利益」を起点にし、そこから非現金取引を加減算して営業キャッシュフローを求めます。当期純利益100万円、減価償却費30万円、売掛金の増加20万円、買掛金の増加10万円の場合を見てみましょう。

100万円+30万円-20万円+10万円=120万円

この120万円が営業キャッシュフローとなり、この手順によって損益計算書ベースの利益を現金の流れに置き換えられます。実務では月次試算表を使ってこの簡易計算を行うことも多いため、慣れておくと非常に便利です。

直接法による営業キャッシュフロー計算方法

直接法では、現金収入と現金支出を項目別に集計し、差引して営業キャッシュフローを求めます。例えば商品売上の現金収入500万円、仕入支出200万円、人件費支出150万円の場合は、以下のようになります。

500万円-200万円-150万円=150万円

直接法は現金取引そのものを把握するため、資金繰りのリアルな状況がつかみやすいメリットがあります。ただし取引ごとに現金収支を管理する必要があるため、実務では若干手間がかかる点に注意しましょう。

関連記事:決算書の作り方まとめ!必要書類や作成の流れも解説

キャッシュフロー分析を経営改善に活かす方法

事業承継のイメージ

ここからは、キャッシュフロー分析を経営改善に活かす方法について解説します。

営業キャッシュフローの改善に取り組む

営業キャッシュフローを改善するためには、まず「売掛金回収」を見直してみましょう。売掛金の回収が遅れると、現金が手元に入らず、資金繰りに困る原因となります。そのため取引先との契約時に支払い条件を明確にし、可能であれば回収期間を短縮するよう努めましょう。

顧客の信用調査を行ったり、在庫管理を徹底して必要以上の在庫を抱えたりしないことも営業キャッシュフローの改善に効果的です。コスト削減や効率的な販売活動を行いながら、現金を早期に回収する体制を整えましょう。

不要な投資を見直す

投資キャッシュフローを改善するためには、まず不要な投資を洗い出すことが必要です。長期間にわたって利益を生まない、またはリターンが期待できない設備や事業への投資は見直すべきです。

特に中小企業の場合はキャッシュが限られているため、資本を効率的に使うことが求められます。新しい設備投資や拡大戦略を検討する際には、しっかりと費用対効果を分析し、今後の収益に繋がる投資かを見極めましょう。

また必要ない場合は売却可能な資産を整理し、現金化して投資に回せる資金を増やす手段も検討しましょう。このように、不要な投資を減らしていけば、キャッシュフローを健全に保ちやすくなります。

負担の大きい借入金を整理する

過剰な借入金を整理することもキャッシュフローの改善に欠かせない対策です。長期間にわたる借入金の返済は、会社のキャッシュフローに大きな負担をかけます。

借入金の金利や返済スケジュールが重くのしかかる場合は、返済条件の見直しを金融機関と交渉することを検討しましょう。また不要な借入金の返済を優先し、必要最低限の借入にとどめれば、財務の健全化が進みます。

もし追加の融資が必要であれば、キャッシュフロー改善の見込みを立てて、信頼性のある計画を金融機関に提示しましょう。

キャッシュフロー予測を立ててリスクを回避する

キャッシュフロー予測を立てることは、将来的な資金ショートを回避するために重要な施策の1つです。月次や四半期ごとのキャッシュフロー予測を作成し、売上や支出のタイミングを把握しましょう。

予測を立てておけば、どのタイミングで資金が不足する可能性があるかを事前に把握しやすいです。予測結果に基づき、必要な資金を早期に確保するための準備や、支払条件の調整など、リスクを最小限に抑えられます。

予測に基づいて資金繰りのシミュレーションを行い、最悪のシナリオにも対応できる体制を整えておきましょう。

キャッシュフロー改善の進捗を定期的に確認する

キャッシュフロー改善を進める際には、定期的に進捗を確認することが大切です。改善施策を実行した後、その結果がどう反映されているかを定期的にチェックすれば、課題点や改善点が見えてきます。

まずは月次のキャッシュフロー分析を行い、営業・投資・財務キャッシュフローがどのように変動しているのかを確認しましょう。もし目標に達していない場合は、改善策を再度見直し、必要に応じて調整を加えてみてください。

このように定期的な進捗確認によってキャッシュフローは健全化を維持し、経営の安定を図れるでしょう。

関連記事:【税理士監修】「売掛金の節税対策」徹底ガイド:経営者に役立つ基本知識と対策|会社設立の基礎知識

まとめ

キャッシュフローは、企業経営における資金の流れを可視化するための最重要指標です。

利益だけにとらわれず、現金ベースでの収支を正しく把握することで、資金繰りの悪化や黒字倒産を防ぐことができます。

日々の資金管理や投資判断に役立てるためにも、基本的な計算方法や分析ポイントを押さえておきましょう。また、専門家である税理士のサポートを活用すれば、より的確なキャッシュフロー診断と改善提案を受けられます。

小谷野税理士法人では、キャッシュフローの改善や経営戦略に特化した税理士が在籍しております。「キャッシュフローを見直したい」とお考えの方は、ぜひ一度「小谷野税理士法人」までお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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