0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

個人事業主が国民健康保険を払ったときの仕訳方法・勘定科目とは?

公開日:

個人事業主が国民健康保険を払ったときの仕訳方法・勘定科目とは?

個人事業主やフリーランスが加入する国民健康保険は国の医療保険制度であり、保険料の支払いによって医療費の負担を軽減できます。国民健康保険料は事業用口座から支払った場合でも個人的な支出と見なされ、経費計上はできません。そのため、国民健康保険料を支払ったときは事業主貸という勘定科目を用いて仕訳を行います。国民健康保険の概要や仕訳、加入手続きの方法などを解説します。

国民健康保険とは?

聴診器

国民健康保険は日本の公的な医療保険制度の1つであり、主に自営業者やフリーランス、個人事業主、無職の方が加入対象となる制度です。市区町村によって運営されており、保険料は地域によって異なります。

また、基本的な給付内容は共通しているものの、市区町村に応じて内容や条件が異なる場合もあるため、居住地域の情報の確認が大切です。国民健康保険の概要を解説します。

個人事業主は国民健康保険に加入する義務がある

個人事業主やフリーランスは、国民健康保険への加入が法律で義務付けられています。会社員や公務員であれば職場の健康保険や共済組合に自動的に加入しますが、個人事業主の場合は自身で国民健康保険に加入し、保険料を納める必要があります。

国民健康保険とは、自営業者やその家族が万が一病気やケガをした際に医療費の負担を軽減する制度です。加入することで、日々の健康管理はもちろん、突然の医療費負担にも対応できます。保険料は世帯の加入人数や前年の所得などに基づいて計算されます。

国民健康保険と社会保険の違いとは?

国民健康保険と社会保険はどちらも日本の保険制度ですが、対象者や給付内容、加入方法などに違いがあります。社会保険は主に会社員を対象とした制度であり、雇用者と労働者がそれぞれ保険料を負担する仕組みです。

具体的には、雇用者が半分を負担し、残りの半分を労働者が給与から天引きされる形で支払います。保険料は所得に応じて計算されるため、給与が増えれば保険料も上がる仕組みです。

一方、国民健康保険は主に自営業者や個人事業主、無職の方を対象とした制度です。国民健康保険は、居住地の市区町村の役所で加入手続きを行う必要があります。保険料は地域ごとに異なる基準で計算され、世帯の加入人数や所得に基づいて決まります。

国民健康保険では、病気やけがの際の医療給付は受けられますが、傷病手当金や出産手当金といった社会保険で受けられる給付がありません。健康や経済面での安心を得るために、国民健康保険と社会保険の特徴をしっかり理解しておきましょう。

関連記事:社会保険の加入条件は?2024年10月から拡大される範囲について解説

国民健康保険料の仕訳・使用する勘定科目

国民健康保険料は事業上の経費には該当せず、個人的な支出として扱います。そのため、経理上は仕訳が必要ないケースが多いですが、事業用の口座や資金から支払った場合には仕訳を行う必要があります。仕訳をする際に使用する勘定科目は事業主貸です。

事業主貸は、事業用資金を個人的な用途に使用した際に用いる勘定科目で、帳簿への適切な記録により、事業と個人支出を明確に区別できます。例えば、国民健康保険料16,000円を支払った場合の仕訳は、以下の通りです。

借方

借方金額

貸方

貸方金額

事業主貸

16,000円

普通預金

16,000円

適切な仕訳により、個人の支出を事業経費として誤って処理するリスクを防げます。

国民健康保険料は個人的な支出であり、経費として処理できない点を認識しておくことが大切です。不適切な経理処理は、税務上のトラブルや指摘の原因となる可能性があるため、正しく仕訳を行いましょう。正確な経理処理が適正な税務対応につながります。

確定申告における国民健康保険料の取り扱い

確定申告を行う際にも、国民健康保険料の取り扱い方を理解する必要があります。特に、個人事業主やフリーランスが支払う国民健康保険料は個人的な支出と見なされるため、事業経費としては認められない点に注意が必要です。

しかし、国民健康保険料として支払った額は、社会保険料控除として全額所得控除を受けられます。

確定申告の際は支払った金額を正確に申告しましょう。確定申告の結果、所得が大幅に低下している場合には、翌年の保険料が軽減されるケースもあるため、正確に理解して進めることが大切です。

関連記事:社会保険料控除ってなに?控除を利用する際の確定申告のやり方について解説

関連記事:青色申告で国民健康保険料が安くなる?控除か経費か?科目も解説

国民健康保険に加入する手続き方法・必要書類

税金の計算をする男性

国民健康保険に加入する際は、加入要件を満たす日から14日以内に、住まいがある市区町村役場での手続きが必要です。

加入手続きが必要になるケースとしては、会社を退職して健康保険をやめたときや転入したとき、子どもが生まれたときなどがあります。加入手続きの方法や必要な書類を解説します。

加入時に必要な手続き

国民健康保険に加入する場合は、加入が必要になった日から14日以内に手続きを行う必要があります。国民健康保険への加入が必要となるのは、以下の場合です。

  • 職場の健康保険をやめたとき
  • 家族の健康保険の被扶養者から外れたとき
  • 転入したとき
  • 生活保護を受けなくなったとき
  • 子どもが生まれたとき

国民健康保険への加入手続きは、居住地の市区町村役場で行います。後述する必要書類を持参し、手続きを行いましょう。手続きが完了すれば、医療機関を保険適用で受診できます。

加入時に必要な書類

国民健康保険に加入する際に必要な書類として、本人確認書類があります。本人確認書類は有効期限内の運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど、顔写真付きの書類が必要です。また、その他に必要な書類を加入理由別に見ていきましょう。

加入理由

必要書類

会社を退職した場合

  • 退職証明書
  • 離職票
  • 社会保険資格喪失証明書(連絡票)

家族の健康保険の被扶養者から外れた場合

社会保険の資格喪失日が分かる書類

転入した場合

転出証明書

生活保護を受けなくなった場合

保護廃止決定通知書

子どもが生まれた場合

  • 親の保険証
  • 資格確認書

市区町村によって必要書類が異なる場合もあるため、詳細は居住地の市区町村のホームページなどを確認しましょう。

さらに、加入を希望する人の収入に関する証明書や住民票なども必要になることがあります。収入証明は保険料の算定に影響するため、正確な情報提供が重要です。必要書類をしっかりと準備し、加入手続きを円滑に進めましょう。

参考:【国保・資格】国民健康保険の加入方法について。|相模原市

参考:国民健康保険への加入手続き|平塚市

国民健康保険料の支払いをスムーズにする方法

国民健康保険料の支払いをスムーズに行うためには、しっかりとしたスケジュール管理が重要です。支払い期限を把握しておけば、遅延を防げます。

また、複数の支払い方法が選べるため、自分に適した方法を利用しましょう。口座振替や納付書によるコンビニエンスストアでの支払い、アプリによるキャッシュレス納付などが可能です。ご自身に合わせた支払い方法を選んで、スムーズに納付する必要があります。

会計ソフトで仕訳作業を自動化する

事業用口座で国民健康保険料を支払った場合には、仕訳が必要です。仕訳に会計ソフトを活用すれば、仕訳作業を自動化でき、大幅に手間を減らせます。会計ソフトは、国民健康保険料の支払いを簡単に記録する機能を搭載していることがあります。

会計ソフトを取り入れれば、過去の支払い履歴や翌年度の推定額を元にしたレポートなどもすぐに確認できて便利です。

さらに、クラウドベースの会計ソフトを利用すれば、いつでもどこでもアクセスでき、外出先からでも支払い確認が可能です。適切なツールの活用により、国民健康保険料の支払いをスムーズに進める環境を整えましょう。

関連記事:経理業務の効率性をアップする会計ソフトの選び方

よくある疑問と解決策

国民健康保険に関して、よくある疑問とその解決策を紹介します。効率的な事業運営や適切な税務処理を行うためには、正確な情報収集が大切です。国民健康保険料の取り扱いに関する疑問や仕訳方法についての質問に回答します。

国民健康保険料は経費になるのか?

国民健康保険料は個人的な支出と見なされ、経費計上はできません。個人事業主やフリーランスが経費として認められるのは業務に直接関係する費用であり、国民健康保険料は業務に直接関係する出費ではないためです。

ただし、国民健康保険料は社会保険料控除として、所得控除を受けられます。確定申告を通じて適切に申告すれば、課税所得の減額につながります。

確定申告の際は税務署への申告内容に誤りが生じないよう、会計処理を適切に行って税務上のトラブルを防ぎましょう。不明点がある場合には、税理士など専門家に相談してください。

関連記事:個人事業主は経費をどこまで切れる?経費にできるものや上限・メリットなどぶっちゃけ紹介!

国民健康保険料の支払いをした際に使用する勘定科目とは?

国民健康保険料を事業用資金から支払った場合には「事業主貸」という勘定科目を使用します。事業主貸は、事業とは直接関係のない私的な支出を仕訳するための勘定科目です。

仕訳の際は借方に「事業主貸」、貸方に「普通預金」や「現金」など、実際に支出を行った勘定科目を記載します。国民健康保険料の支払いを適切に記録して帳簿と実際の残高を一致させ、正確な収支管理を行いましょう。

まとめ

保険

個人事業主やフリーランスが支払う国民健康保険料は経費計上できないため、仕訳の際は事業主貸という勘定科目を使用します。また、経費計上はできないものの、支払った国民健康保険料は全額社会保険料控除の適用が可能です。確定申告を通じて、適切に所得控除を受けましょう。

国民健康保険へ加入する際は必要な書類を揃え、居住地の地区町村役場で手続きを行う必要があります。国民健康保険に関する知識をしっかりと身につけ、安全な事業運営に努めましょう。

国民健康保険料支払い時の処理についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談