0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

【コングロマリット】メリット・デメリットやスキームをわかりやすく解説

公開日:

【コングロマリット】メリット・デメリットやスキームをわかりやすく解説

コングロマリットとは、異なる業種や市場で展開する複数の事業を、一つの企業グループとして統括・運営する経営の形を指します。コングロマリットを形成することで、収益源を増やせるだけでなく、リスクを分散できるため、多くの企業から注目を集めています。この記事では、コングロマリットの概要やメリット・デメリット、主なスキームについて解説します。

コングロマリットとは?

コングロマリットとは、分野の異なるさまざまな業種で事業展開を行う企業グループです。合併・吸収・資本提携などで形成されます。例えば、食品事業を主軸にしている企業が、不動産や金融など全く別の分野にも事業を広げているケースがこれに当たります。

コングロマリットが注目される背景

近年、経済の先行きが見えにくく、多くの企業がリスクに強く競争優位性を維持するための新たな戦略を模索している状況で注目を集めているのがコングロマリットです。

コングロマリットは、リスク分散と企業成長の可能性を同時に実現できる手法として、多くの企業に採用されています。

異なる業種へ事業を展開することで、一つの事業が不調であっても他の事業の収益でカバーできる特徴があります。安定した収益を確保する仕組みが、多くの企業に支持される理由と言えるでしょう。

コングロマリットとコンツェルン・カルテルとの違い

コングロマリットと似た言葉に「コンツェルン」や「カルテル」があります。それぞれ異なる意味を持つため、正しく理解することが必要です。

  • コングロマリット:多角的に事業展開を行い、リスクの分散や収益の多角化を目的としています。
  • コンツェルン:持ち株会社を中心に、複数の企業を傘下に置く形で市場支配を目指す企業集団です。
  • カルテル:同じ業種の競合企業が協定を結び、価格や生産量を調整して市場を支配しようとする行為のこと。多くの場合、独占禁止法によって禁止されています。

上記の違いを知っておくことで、企業グループの性質や戦略を理解し、会社の成長につなげられるでしょう。

関連記事:M&Aを行う際に独占禁止法はどう関係する?事例と注意点を徹底解説

コングロマリットが企業に与えるメリット・デメリット

メリット・デメリット

コングロマリットには、多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、企業がコングロマリットを採用する際に理解しておくべき主な利点と課題をまとめました。

コングロマリット3つのメリット

コングロマリットには、企業経営者が見逃せない、3つの大きなメリットがあります。正しく理解し、ビジネスチャンスにつなげましょう。

シナジー効果の発揮

異なる業種の企業がグループとして連携することでそれぞれの強みを活かし合い、相乗効果(シナジー)を生み出せるのが、コングロマリットの大きな魅力です。リソースの共有や技術の融合が可能になり、結果としてグループ全体の競争力向上が期待できるのです。

例えば、ノウハウや販売網の連携、技術力、人材はそれぞれ相互に活用できます。そうすることで、新規事業の立ち上げがスムーズに進んだり、製品・サービスの競争力が向上したりなど、さまざまな面でメリットが生まれるのです。

また、各グループ間で情報共有し、優れた取り組みを横展開することで、業務効率の向上やコスト削減にもつながるでしょう。

リスク分散による安定経営

異なる業種で事業を展開していると、1つの事業が不調の場合でも、他の事業の収益で全体の利益を維持できるのもメリットです。

例えば、製造業とサービス業を展開している企業では、景気の影響で製造業の売上が落ち込んでも、サービス業の利益で不振をカバーできます。つまり、経営のリスクが分散できるのがコングロマリットの特徴でもあるのです。

長期的ビジョンの推進

複数の事業を展開することで、特定の市場動向に依存せずに済むという利点も挙げられます。その結果、短期的な利益だけでなく、より長期的な視点で経営戦略を考えられる余裕が生まれるのです。

そのためには、各事業の特性や市場の動向を見極めた上で、戦略的に経営を進める必要があります。長期的なビジョンは社員や関係者のモチベーションを挙げ、組織全体に一体感も生まれます。

また、それに基づいた投資や人材育成を行うことで、持続可能な成長も目指しやすくなると言えるのです。企業の文化や価値観が明確になれば、変化の激しいビジネス環境にも柔軟に対応できる組織作りもできるでしょう。

関連記事:事業売却は会社売却と何が違う?それぞれのメリット・デメリットを解説

コングロマリット2つのデメリット

一方で、コングロマリットには以下のようなリスクや課題も伴います。これらを理解し、適切に対処することが、企業の持続的な成長につながる鍵と言えるでしょう。

経営の複雑化

複数の異なるビジネスを同時に管理することで、経営が複雑化し難易度が高まります。事業ごとに異なる市場や顧客ニーズに対応する必要があるため、意思決定が遅れたり、資源配分が困難になるなど、経営の効率低下を引き起こすリスクもあるのです。

また、グループ間のコミュニケーションにも課題があります。連携が取れていない場合、統一した経営方針を打ち出すことが難しくなり、全体としての方向性が見えにくくなってしまうでしょう。

企業価値の低下

事業の多角化が行きすぎると、かえって企業価値を下げてしまう可能性があります。リソースが分散されることで、主力事業に十分な力をそそげなくなり、競争力が低下するケースもあります。

また、多角化が進みすぎた結果、主力事業へのリソースが手薄になり、これまで築いたブランド力や専門性が薄れてしまうことも考えられるリスクの1つです。

さらに、異なる業種間でシナジー効果が発揮されない場合、期待していた収益の向上が実現できず、企業全体の評価が下がることもあり得ます。

コングロマリットの主なスキーム

東京駅とビル群

コングロマリットを形成する際には、買収や合併、資本提携といった方法がよく用いられます。企業の戦略や目的に応じて使い分けられ、事業展開を支える役割を果たすものです。

買収

合併

資本提携

定義

他社の株式を取得して経営権を取得、傘下に入れる

複数の企業が解散し、新会社として統合する

出資などにより戦略的な協力関係を築く

目的

市場シェア拡大、新規事業参入

経営資源の統合、規模拡大

技術協力、リスク分散、新市場開拓

独立性

買収された側は経営権を失う

双方の独立性は消滅

双方とも独立性が保たれる

それぞれについて、さらに詳しく解説します。

買収

買収は、他企業の株式を取得してグループ企業化する方法です。主に経営権を獲得することを目的としていますが、同時に市場シェアの拡大、技術やノウハウの取り込み、多角化戦略の一環とするなど、多岐にわたる目的で活用されます。

買収後は、シナジー効果を高めることが重要です。リソースの配分や経営戦略の共有、グループ間の交流を通じてグループ全体の成長を目指します。ただし、買収がうまくいかなければ期待していた効果が得られず、かえって経営の負担が増大するリスクもあります。

そのため、タイミングや相手企業の選定が重要です。業績が悪化している企業でも適切に見極めて買収すれば、通常よりも低コストで進められる場合もあります。しかし、低コストでの買収を狙う際は、買収後の進め方においてさらなる慎重さが求められるでしょう。

合併

合併とは、複数の企業が法的に一つの企業へ統合される仕組みです。特に、競争の激しい市場では、競争力を高める目的で活用されることが多い方法です。大きく分けて以下2つの形式があります。

  • 吸収合併:一方の企業が他社を統合し、吸収された企業は消滅する。
  • 新設合併:既存の企業をすべて解散し、新会社を設立する。

合併によって、人材・資金・ノウハウなどのリソースの最適化が進み、企業規模の拡大や業務の効率化が期待されます。

関連記事:会社の解散手順は?手続きや清算期間、流れについて紹介

資本提携

資本提携とは、企業同士で出資などの資本関係を結び、戦略的な協力関係を築く方法です。完全に統合するわけではなく、それぞれの経営の独立性を保ちつつ連携する点が特徴です。

買収や合併に比べて結びつきは弱いものの、独立した経営を続けられるのがメリットと言えるでしょう。特定のプロジェクトや共同開発、新規参入に向けて資本提携を行うことで、各企業の強みを活かしつつ、リスクを分散させられます。

各企業が得意分野を活かしながらシナジー効果を高められるため、イノベーションの加速や市場位性の確立につながります。コングロマリットの成長を促しながら、新たなビジネスチャンスを創出することにもなる戦略の一つと言えるでしょう。

関連記事:個人事業主の共同経営は可能?主な形態や親子・友人・夫婦との経営について

コングロマリットを成功に導くには

コングロマリットは、ただ事業を増やせばうまくいくというものではありません。多角化の効果を最大限に引き出し、組織として成長させていくにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。

事前準備と戦略的アプローチ

まず大切なのは、戦略的な視点での事前準備です。多様な事業展開はリスクの分散につながる一方で、新たなリスクを生む可能性もあります。そのため、事前にリスクを洗い出し、評価しておくと良いでしょう。

  • 事業にどんなリスクが潜んでいるのか
  • リスクが発生した場合、どの程度の影響があるのか
  • 回避・対処する方法はあるのか

上記を事前に確認し、戦略的にアプローチすることで、より堅実かつ持続性のある成長ができるようになるでしょう。

リスクマネジメント

コングロマリットでは、リスク管理の仕組みを組織全体で共有・運用することが重要です。例えば、以下のような取り組みをおすすめします。

  • 指標やモニタリングツールを活用し、リスクを可視化する
  • 定期的なリスク評価で、潜在的な問題を早期に発見する
  • 異変があれば、即座に対応できる体制を整える

あらかじめリスクマネジメントをしておくことで、将来起こりうるリスクへの予測力と、リスク発生時の対応力を高められるでしょう。

継続的なパフォーマンス評価

複数の事業を展開する中で、各セグメントの業績を定期的に分析しましょう。これにより、どの事業が期待通りの成果を上げているか、あるいは改善が必要であるかを把握できます。

具体的には、売上や利益率、顧客満足度、従業員の定着率、業界のトレンドといった指標を用いて評価します。データの収集方法を工夫し、リアルタイムでの分析を行うことで、迅速な意思決定につなげられるのです。

また、評価結果に基づいて戦略を適宜修正することで、より確実な成果につなげていくことができます。評価を各グループへフィードバックすることで、社員のモチベーションも向上し、企業全体の競争力を高められるでしょう。

まとめ

異なる業種の事業を展開するコングロマリットには、シナジー効果を生み出し、リスクを分散できるメリットがあります。しかし、経営の複雑化や企業価値低下のリスクなど、注意すべき課題も存在することを覚えておきましょう。

コングロマリットを成功に導くには、事前準備や戦略的アプローチ、リスクマネジメントの徹底が重要です。また、各事業の進捗や成果を定期的に評価し、状況に応じて見直しを行うことが求められます。

コングロマリットの特徴や方法を正しく理解することで、企業はより確かな成長戦略を描けます。多様化の可能性を見極め、自社に合った形で活用しましょう。

会社の買収や合併についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談