新NISAの分配金の受け取り方法は、再投資型と受取型の2種類です。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、どちらを選択するかは自身の投資目的やライフスタイルにより異なります。この記事では、分配金の基本情報や種類、再投資型と受取型の特徴などについて、詳しく解説します。
目次
分配金とは
分配金とは、投資商品から得られる利益の一部を、投資家に配分する形で支給されるお金を指します。分配金の性質や受け取り方の理解は、資産運用を効果的に進める上で重要です。この章では、分配金の概要や種類について、詳しく解説します。
分配金は投資家に還元するお金
分配金は、投資信託や株式などの投資商品から生じた利益を、投資家に還元する形で発生するお金です。企業の利益や運用から得られた収益の一部が、投資家へ分配されます。
分配金の種類は、主に「普通分配金」と「特別分配金」の2種類です。普通分配金と特別分配金は、投資信託の運用成果に基づいて投資家に支払われます。それぞれの違いなどの詳しい内容は後述しますが、それぞれ異なる性質を持っているため、投資を行う際には双方の特徴を理解しておきましょう。
また、分配金の受け取り方にも「受取型」と「再投資型」の2種類があります。受取型は、分配金が直接現金として振り込まれるため、資金の有効活用が可能です。再投資型は、分配金を次の投資に回し、資産形成をさらに加速できます。
参考:投資信託の基礎知識
普通分配金と特別分配金の違い
普通分配金と特別分配金の主な違いとして、発生源と税制扱いが挙げられます。具体的には以下の通りです。
普通分配金 | ・投資信託から得た運用益から分配される ・投資家は所得税を納める必要がある |
特別分配金 | ・投資信託の運用成果とは無関係 ・投資家に所得税が課せられない |
普通分配金は、投資信託から得た運用益から分配されるため、投資家側で所得税が発生します。そのため、受け取れる額は税引き後の金額です。普通分配金は、一般的に運用益を上回る場合が多く、定期的な現金の流入が期待できます。
一方、特別分配金は、投資信託の運用成果とは関わりがなく、過剰な運用益や繰越損失から支払われるお金です。そのため、特別分配金には税金がかからないメリットがあります。しかし、元本が減少するリスクも伴うでしょう。
分配金の選び方や受け取り方によって、税金の扱いが異なるため、各投資商品の分配金の種類をしっかり把握してください。
普通分配金の計算方法
普通分配金の金額は、基準価額と分配頻度によって異なります。分配金の計算式は以下です。
- 普通分配金 = 基準価額 × 分配率
例えば、投資信託の基準価額が10,000円で、年間0.5%の分配率の場合、1年間の普通分配金は以下の式で計算できます。
- 10,000円 × 0.005 = 50円
普通分配金は、通常は定期的に受け取れますが、基本的に税金がかかるため注意してください。
特別分配金の計算方法
特別分配金は、一般的な利益からではなく、過去の繰越損失や資本準備金に基づいて計算されます。特別分配金の計算式は以下です。
特別分配金 = 分配金総額 – 過去の繰越損失 – 資本準備金
特別分配金は非課税のため、税務上のメリットがあります。分配金を受け取る側にとって、有利ではないでしょうか。
関連記事:株式投資にはどのような税金がかかる?節税方法や税制優遇措置についても解説
再投資型と受取型の特徴
新NISAにおける分配金の受け取り方法は、再投資型と受取型の二種類です。自身の投資目的や投資期間によって、どちらを選ぶべきかが異なります。この章では、再投資型と受取型の特徴について、詳しくご紹介します。
再投資型
再投資型は、分配金を現金で受け取らず、自動的に次回の投資に充てる方法です。再投資型は複利効果を活用でき、時間と共に資産を増やせます。効果的な手段として広く利用されていますが、具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
再投資型のメリット
再投資型の最大のメリットは、資金が元本に加わり、将来的な収益を拡充できる点です。特に、長期間にわたる投資を行う場合、分配金を毎回再投資すれば、資産の増加を促進できます。また、分配金を受け取らないため、税引き後の資金をそのまま運用に回せて、長期的な利益を見込めるでしょう。
再投資型のデメリット
再投資型のデメリットは、分配金を現金として受け取れない点です。生活資金や急な支出が必要な際、分配金をすぐに使えないため、柔軟性に欠けるでしょう。また、基準価額が下落した際には、再投資によって損失が拡大するリスクもあります。短期的な投資を考える場合、これらの要因が足かせではないでしょうか。
再投資型に適している人
再投資型は、将来的な資産形成を考える長期投資家に適しています。投資元本の増加を重視し、資産をコツコツと増やしていきたい人におすすめです。また、余裕資金で投資を行う場合、短期的な退職金の受け取りよりも、長期間にわたって資産を増やせば、より利益を享受できるでしょう。
受取型の特徴
受取型は、分配金を現金で受け取る方法です。受取型は分配金を投資以外の用途にも利用できるため、ライフスタイルに応じた柔軟な運用が実現できます。また、分配金の振込タイミングが明確なため、計画的な資金管理が容易なのも特徴です。
受取型のメリット
受取型は、分配金をそのまま手元に持てるため、生活費や趣味など多岐にわたる用途に使えます。また、資産運用の結果が具体的な数字として確認でき、投資の成果を実感しやすいのも特徴です。さらに、分配金を受け取った直後の市場環境に左右されにくいのも、安心感をもたらすのではないでしょうか。
受取型のデメリット
受取型は、複利効果が得られない点がデメリットです。分配金を受け取った時点で投資元本に再度投資できず、長期間の資産形成には不利でしょう。また、分配金の支払いによって基準価額が下がる場合も多く、ファンドの資産価値に影響を及ぼす可能性があります。
受取型に適している人
受取型は、定期的な収入が必要な人に最適です。資産運用をしながら、生活費などに充てる現金が必要な場合に役立つでしょう。また、投資を始めたばかりでリスクを抑えたい初心者や、短期的な利益を重視する投資家に向いています。自身のライフスタイルや投資目的に基づいて、適切な選択を行ってください。
関連記事:非課税とは?非課税となる取引の種類や注意点を詳しく解説
分配金に関する税金の知識
分配金は、投資信託などから得られるリターンですが、一般的に税金がかかります。分配金を受け取る際には、適切な税務知識が必要です。NISAやつみたてNISAのような制度を活用すれば、税負担を軽減でき、より効果的な投資運用を実現できるでしょう。
分配金にかかる税金
分配金に課される税金は、所得税および住民税です。普通分配金は課税対象のため、受け取った分配金から一定の割合の税金が差し引かれます。分配金の税率は、所得税15.315%(復興特別所得税を含む)、住民税%です。
また、特別分配金は、元本の払い戻しにあたるため、非課税とみなされるのが一般的です。資産形成を目指す場合、分配金の税金についての知識を持っておく必要があるでしょう。
配当金との違い
分配金と配当金は、リターンを受け取れる点は似ていますが、本質的には異なる概念です。
配当金は株式会社が株主に対して支払う利益の分配で、株式を持たないと得られません。一方、分配金は、投資信託などの投資商品から得られるため、投資信託の運用益からの還元です。
また、配当金は通常、保有する株式数に応じて計算されます。一方、分配金は、投資元本や運用成績に連動するため、計算方法が異なります。それぞれの特徴を理解すれば、より効果的に資産運用を行うための基盤が整うのではないでしょうか。
関連記事:株式投資で損をしたときの節税法!確定申告での損益通算のやり方を解説
新NISAの分配金に関するまとめ
新NISAの分配金の受け取り方には、再投資型と受取型があり、それぞれメリットとデメリットが存在します。分配金の受け取り方は、自身のライフスタイルや投資目的に応じて選ぶのが大切です。新NISAの分配金について考えれば、資産形成の効率をより高められるでしょう。税金に関する相談やアドバイスが必要な方は、税の専門家である小谷野税理士法人にぜひご相談ください。