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中小企業経営強化税制とは?税額控除・対象設備・延長期間を解説!

公開日:

中小企業経営強化税制とは?税額控除・対象設備・延長期間を解説!

中小企業経営強化税制とは、認定後の計画に基づき設備を取得し、事業用として利用すると、税額控除か即時償却を受けられる制度のことです。本制度の適用による設備投資により、リスクを抑えつつ事業を発展させることが期待されます。今回は、本制度の対象設備や税額控除などの優遇措置などを解説します。最後まで読めば、本制度の適用によるメリットを理解できるでしょう。

中小企業経営強化税制とは

税金に関するイメージ

中小企業経営強化税制とは、認定後の計画に基づき設備を取得し、事業で利用すると、税制上の優遇措置を受けられる制度を示します。本制度の基本情報として、知っておきたいポイントは以下の通りです。

  • 対象設備
  • 対象企業
  • 期間
  • 中小企業投資促進税制との違い

ここから、詳しく解説します。

対象設備

本制度の対象設備は以下に示します。

類型

対象設備

A類型

  • 160万円以上の機械装置
  • 30万円以上の工具
  • 30万円以上の器具備品
  • 60万円以上の建物附属設備
  • 70万円以上のソフトウエア

B類型

D類型

注意点として、以下の点を押さえておくとよいでしょう。

  • 国内への投資である
  • 中古資産・貸付の資産ではない
  • 生産など設備を構成するもので、事務用品や本店の建物附属設備などではない

2025年度の税制改正によって、2025年3月31日でC類型の廃止が決定されているため、本記事では省略しています。

対象企業

本制度の対象となるには、具体的に以下の2つを満たすのがポイントです。

  • 青色申告書提出の中小企業者など
  • 期間内に認定を受けた経営力向上計画をもとに設備を取得し、決められた事業用として使う企業

本制度の対象となるには、具体的に以下の条件を満たす必要があります。

  • 資本金or出資金が1億円以下の法人
  • 資本or出資を有しない法人のうち、常時雇用する従業員が1,000人以下の法人
  • 常時雇用する従業員数が1,000人以下の個人
  • 協同組合など

資本金or出資金が1億円以下の条件を満たす場合でも、同一の大規模法人から2分の1以上の出資を受けるなどに該当すると、対象外として扱われます。

期間

2017年4月1日から2027年3月31日までの期間です。当初は2025年3月31日までの期間が予定されていたものの、関係法令の改正前提で期間が延長されています。

期間が延長されたとはいえ、経営力向上の計画から認定までにかかる期間の目安は1ヵ月です。時間の余裕をもち、設備投資の計画を立てるとよいでしょう。

中小企業投資促進税制との違い

中小企業投資促進税制とは、一定の要件を満たす設備投資をしたときに、特別償却か税額控除を適用できる制度を示します。中小企業経営強化税制とは、対象設備や優遇の内容などが異なります。概要は以下の表にまとめました。

対象者

以下の中小企業者など

  • 資本金額1億円以下の法人
  • 農業協同組合
  • 商店街振興組合など
  • 従業員数が1,000人以下の個人事業主

対象業種

製造業や建設業、農業、林業など

対象設備

  • 機械・装置:1台160万円以上
  • 測定工具・検査工具:1台120万円以上、1台30万円以上かつ複数合計120万円以上
  • 一定のソフトウエア:ソフトウエア1つ70万円以上、複数合計70万円以上
  • 貨物自動車:車両総重量3.5トン以上
  • 内航船舶:取得価額の75%対象

優遇

設備投資にかかった費用に対し、以下のいずれかを適用できる

  • 個人事業主・資本金3,000万円以下の中小企業:30%償却or7%税額控除
  • 資本金3,000万円超の中小企業:30%償却

対象期間

2027年3月31日

製造業や建設業など、中小企業投資促進税制のすべての対象事業は本制度でも対象です。条件を満たす必要があるものの、税制優遇の制度は多数用意されています。

事業者によっては、見過ごしているケースも考えられます。自社で適用できる制度について相談したいときは、税理士が頼りになるでしょう。

関連記事:中小企業の税制優遇とは?令和5年度の改正内容と活用方法のポイント

参考:「中小企業投資促進税制」中小企業庁

中小企業経営強化税制の類型

電卓を持つ女性

以下の通り、本税制は3つのカテゴリーに分類できます。

類型

要件

A類型

  • 旧モデルに比べ、生産性の向上率が年間1%以上ある
  • 一定期間内に販売されたモデルである

B類型

  • 投資利益率の年平均5%以上が見込まれる
  • 大臣に認められたうえで、投資計画に記載している
  • 目的達成に必要である

D類型

  • 経営力向上計画で、事業承継等事前調査の関連内容を記載している
  • 事業承継などをしたあとに取得or制作or建設する
  • 計画終了年次の修正ROAor有形固定資産回転率が要件を満たすと見込まれる

いずれの類型を適用する場合でも、原則として事前に経営力向上計画を認定してもらう必要があります。原則通りに進められない場合、設備取得から60日以内に、経営力向上計画を受理してもらうのがポイントです。

中小企業経営強化税制で受けられる優遇

本制度を適用すると、税制上の優遇措置を受けられるのがメリットです。節税や資金繰りを改善する効果が期待されるため、対象の事業者にとってありがたい制度の1つです。ここから、詳しく解説します。

税額控除

本制度の適用で、以下の通り税制上の優遇を受けられます。

  • 取得価額の10%の税額控除
  • 資本金3,000万円超1億円以下の法人の場合、7%の税額控除

本制度と中小企業投資促進税制の控除額の合計が対象で、その事業年度の法人税or所得税の20%が上限です。限度額を超える場合、翌事業年度に持ち越せます。

税額控除とは、法人税を計算するときに、直接納める法人税額より、一定の金額を指し引ける制度を示します。利益が少ない場合、節税効果を得にくいのがデメリットです。

一方、減価償却したうえで法人税額から一定額を控除できるため、即時償却よりも節税効果を得られる可能性があるのがメリットです。

関連記事:税金の控除とは?節税のために知っておきたい種類や目的を詳しく解説!

即時償却

本制度の即時償却とは、事業初年度に設備投資にかかった費用を、経費として一括処理できる制度を示します。基本的に、設備投資をしたあとは、耐用年数に応じた減価償却により、毎年経費として処理する必要があります。

経費を一括処理するメリットは、大幅に黒字化した事業年度の税金を抑えられることです。例えば、課税所得を1,000万円以上下げられるケースも考えられます。

一方、翌年度以降には節税効果を得られなかったり、合計で支払う納税額は同じであったりする点は把握しておくとよいでしょう。

事業者によって異なるため、どうすべきか迷う場合は税理士へ相談するのが1つの方法です。

関連記事:【税理士監修】任意償却と減価償却とは?法人・個人事業主での違いやメリット・デメリット

中小企業経営強化税制の申請の流れ

本制度を申請するときは、流れを押さえておくとスムーズです。申請するときの具体的な流れについては、以下の通り類型ごとに示します。

A類型

  1. 生産した機器メーカーなどに証明書の発行を依頼する
  2. 証明書を受け取る
  3. 経営力向上計画に記載する
  4. 計画申請書原本・コピーに工業会証明書のコピーを添え、主務大臣に申請する
  5. 認定を受ける
  6. 設備を取得する
  7. 各書類を用意したうえで税務署へ申告する

B類型・D類型

  1. 申請書を作成し、書類添付のうえで公認会計士or税理士にチェックしてもらう
  2. 事前確認書を発行してもらう
  3. 申請書などを添え、1ヵ月以内に住所を管轄する経済産業局に持参する
  4. 確認を受けた設備について、経営力向上計画に記載する
  5. 計画申請書の原本・コピーに確認書などを添え、主務大臣に申請する
  6. 認定を受ける
  7. 設備取得する
  8. 書類を用意したうえで税務署へ申告する

主務大臣とは、特定の行政事務を管轄する大臣を示し、具体的には以下の通りです。

  • 電気業・ガス業・機械修理業・商品検査業など:経済産業大臣
  • 一般廃棄物処理業・産業廃棄物処分業など:環境大臣
  • 医療業・電子応用装置製造業・医薬品製造業など:厚生労働大臣

原則として、本制度の申請までに以下の書類を取得しておく必要があります。

  • A類型:工業会証明書
  • B・D類型:経産局確認書

A類型の場合、一般的に税理士などへ証明書の発行依頼をする必要がありません。B類型やD類型に比べると、手続きにかかる負担を感じにくいと言えます。本制度は電子申請にも対応しているため、うまく活用すると認定までの期間を短縮できる可能性は高いです。

電子申請するには、事前にGビズIDを取得する必要があります。

類型によって申請の流れが異なるため、事前に要件などをしっかりと押さえておくとよいでしょう。

参考:「業種コード・届出先一覧」環境省

参考:「GビズID」GビズID

中小企業経営強化税制に関するよくある質問

本制度に関してよくある質問をまとめました。ここから詳しく見ていきましょう。

2025年3月31日までと聞いていたけど、2027年まで延長された?

はい。

当初は2025年3月31日までとされていたものの、2027年3月31日までの期限に延長されています。中小企業は日本の雇用の7割を占めているため、経済発展の鍵を握っていると言えます。中小企業の健全な成長を実現させることなどを目的に、本制度は延長されました。

経営力の向上の指標や対象外の設備の条件など、制度の内容も見直されています。

パンフレットはどこで見られる?

中小企業庁の公式サイトで見られます。

情報が更新されるケースもあるため、常に最新の情報を入手するとよいでしょう。

個人事業主も対象?

青色申告書を提出しており、常時雇用の従業員数1,000人以下の個人事業主は対象です。

個人事業主の場合、所得税からの即時償却か税額控除を選択できます。個人事業主の方が節税する方法として、設備投資の減税制度の活用や、小規模企業共済への加入なども合わせて検討するとよいでしょう。

関連記事:【2024】個人事業主の節税10選とは?所得税の計算方法も解説!

節税に関する相談は税理士へ

中小企業経営強化税制の概要や類型、税額控除などの優遇措置、申請の流れなどを解説しました。本制度を適用すると、設備投資にかかる費用を抑えられるため、事業を発展させるうえで効果的でしょう。

一方で、要件をチェックしたり手続きを進めたりする必要があるため、時間や労力もかかりやすいと言えます。中小企業等経営強化法の改正が前提で、同法の改正動向に注視する必要もあります。

なるべく事業に時間を使いたいと考えている場合、税理士の力を頼りにするのが望ましいで

す。

小谷野税理士法人は、中小企業様から上場企業様まで4,000社以上サポートしてきた実績があります。まずは、無料相談を通して悩みや不安をご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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