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役員報酬の定期同額給与とは?損金算入の要件をわかりやすく解説!

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役員報酬の定期同額給与とは?損金算入の要件をわかりやすく解説!

定期同額給与とは、1ヵ月以内の一定期間に同額支給する役員報酬です。損金算入するには要件を満たす必要があるため、しっかりと把握しておくのがポイントです。今回は、定期同額給与の概要や損金算入する方法、金額を変更する流れ、損金算入する他の方法などを解説します。最後まで読めば、役員報酬を損金算入するときのポイントや手順などを理解できます。

関連記事:役員報酬を経費にするには?ルールや判断基準・注意点を徹底解説!

役員報酬の定期同額給与とは

役員報酬

定期同額給与とは、役員対象の給与制度を示し、1ヵ月以下の一定期間に同額支払われるのが特徴です。

役員報酬とは、会社の役員に対して支給される報酬のことで、役員賞与との違いは以下のとおりです。

  • 役員報酬:毎月支給する報酬
  • 役員賞与:退職給与以外で、一時金として支給する報酬

後述する通り、従業員へ支給する給与とは異なり、役員への報酬を損金算入するには税務上の規定に基づく必要があります。

期中での定期同額給与の変更は難しく、事業開始日から3ヵ月以内に開催の株主総会での決議など、特定の条件を満たす必要があります。

人件費の中でも特に大きな割合を占める傾向にあり、役員報酬の金額は資金繰りや人材確保、納税額などに影響します。

要件を満たせば役員報酬は全額損金算入できるため、節税効果を得るうえでも、損金算入の要件などをしっかりと押さえておくのが望ましいです。

役員報酬を決めるときは、以下の点を押さえておくとよいでしょう。

経営実績や財政状態をもとに判断する

  • 役員報酬の金額によっては、資金繰りが悪化する可能性がある
  • 粗利や固定費などを予測し、慎重に判断するのが望ましい

節税につながる基準を押さえる

  • 基本的に法人税の税率は23.2%
  • 中小法人の場合、所得800万円以下の部分は軽減税率が適用され、税率15%になる(本則19%)
  • 法人税の節税は会社にメリットがある一方で、役員にとっては住民税や社会保険料などが増えるのがデメリット

役員報酬は自社で戦略的に決定するほか、税務のプロである税理士の意見を仰ぐのも効果的です。

定期同額給与を損金算入するための要件

まるばつ

定期同額給与で損金算入するには、税法上の要件を満たすのがポイントです。

事業者が自分の役員報酬を操作し、不当に法人税を低くするケースをなくすために要件が設けられています。

損金算入の要件に関して、具体的には以下の表に示します。

株主総会の議事録の作成し保管する

  • 役員報酬は定款か株主総会の決議で決めるものとして、会社法で定義されている
  • 定款を作成するとき、役員報酬について検討する
  • 税務調査で議事録の提出を求められるケースがある

毎月一定額を支払う

  • 期首から3ヵ月経過したあとで役員報酬を変更すると、増減した部分の金額を損金算入できない
  • 役員の地位の変更や経営状況の悪化など、期の途中で役員報酬を変更し、損金算入できるケースは限られる

高額にしすぎない

  • 法人税法上、不相当に高額な金額は損金参入できないと定められている
  • 相場を目安になるべく高い報酬を設定すると、役員の満足度を高められる※高すぎると、役員個人の税負担が増えることに注意
  • 実質基準、形式基準をもとに決める
  • 実質基準:職務内容、収益、従業員への給与の支給状況、同業で事業規模が類似する会社の役員報酬の状況
  • 形式基準:定款か株主総会の決議内容によって判断

関連記事:損金不算入・損金算入とは?法人税計算で知っておくべきポイントや項目について解説

定期同額給与を変更する流れ

節税相談に関するイメージ

従業員の給与とは異なり、定期同額給与は自由に変更できるものではなく、タイミングや手順など、税制上のルールを押さえる必要があります。

定期同額給与を変更するときの手順は、具体的に以下のとおりです。

  1. 株主総会で変更議案を決議:定時株主総会or臨時株主総会で役員報酬の変更を決定する※取締役会がある場合、取締役会で決定することがある
  2. 株主総会議事録か同意書を作成し保管:会社法によって義務づけられている
  3. 必要に応じて年金事務所への対応:健康保険や年金の等級に変更が生じる場合、届出をする必要がある

手間に感じられるかも知れませんが、役員報酬を損金算入するには流れ通りに進めるのがポイントです。

定期同額給与の金額を変更したあとで損金算入するには、以下のいずれかの条件も満たす必要があると知っておくとよいでしょう。

通常の事由

事業年度開始から3ヵ月経過するまで

臨時の事由

職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更

  • 役員の病気・ケガ
  • 株主総会の決議による社長就任など

経営状況悪化の事由

特別な事情がある場合のみ適用される

  • 財務諸表の数値が相当悪化
  • 倒産の危機
  • 売上の大半を占める主要な取引先との契約解除など

関連記事:役員報酬の変更方法は?タイミングや手続きを解説

定期同額給与以外で役員報酬を損金にする方法

定期同額給与のほか、役員報酬を損金算入する方法として、具体的に以下の2つがあげられます。

役員報酬の支払方法

概要

事前確定届出給与

  • 事前に税務署に届出をし、特定の時期に支給する
  • 届出書記載の時期と金額が一致した場合に限り、損金算入が認められる※一度でも条件を満たさないと、該当年度の事前確定届出給与分すべてが損金不算入
  • 常勤のみでなく、非常勤の役員も対象にできる
  • 以下の要件を満たす必要がある
  • 国税庁のサイトなどで届出書・付表を入手し、議事録を添えて提出する
  • 期限内に納税地を管轄する税務署へ提出する

業績連動給与

  • 会社の業績に応じて支給する
  • 金額が変動する
  • 経営者の働くモチベーションを高めやすい
  • 柔軟な報酬設計ができるため、優秀な人材を確保しやすくなる
  • 以下の要件を満たす必要がある
  • 内国法人である
  • 株式の市場価格の状況を示す指標や、売上高の状況を示す指標をもとにする
  • 確定額を限度とし、他の算定方法と同様であるなど
  • 適正な決議を経ている
  • 有価証券報告書などによって算定方法を開示している
  • 損金処理している
  • 金額確定した日の翌日から1ヶ月を経過するまでに支給する    

業績連動給与を適用できるのは、上場企業に限られています。

関連記事:損金とは?損金算入・不算入の項目や法人税の計算に必要な損金処理について

参考:「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」国税庁

定期同額給与に関するよくある質問

定期同額給与に関してよくある質問をまとめました。ここから詳しく見ていきましょう。

定期同額給与を適用したり変更したりする場合は届出不要ですか?

いずれにしても、税務署への届出は不要です。

一方で、役員報酬を変更し損金算入するためには、期首から3ヵ月以内にするのがポイントです。

期中に役員報酬の金額の変更となるケースを生じさせないためには、しっかりと検討しておくのが重要になるでしょう。

支給日が1日ズレてもよいですか?

好ましくありません。

従業員がいる場合、信用問題に発展する可能性があるためです。

一人社長の場合、当月に未収計上し、後で精算できるものの、給料の支給日が不規則な状態は避ける方が望ましいです。

期中に役員報酬を減額できる?

できます。

一方、減額後の役員報酬を損金算入するには、法人税法上やむを得ない事情である、と認められる必要があります。

利益計画や前年実績などを踏まえたうえで、役員報酬は変更を前提に決めないのがポイントです。

産休育休で減額しても損金算入できますか?

減額した金額をすべて損金算入できます。

法人税法上の臨時改定事由に当てはまるためです。

取締役会などでの議事録や資料などを作成し、保管しておくのがポイントです。

参考:「役員給与に関するQ&A」国税庁

定期同額給与が損金不算入になる具体例は?

以下の通り、やむを得ない事情がなく、期首から3ヵ月を超えて役員報酬を変更するケースなどが該当します。

  • 増額(特定月のみ増額を含む)
  • 減額(特定月のみ増額を含む)

例えば、3月決算で毎月40万円役員報酬を支給してきたものの、12月の株主総会で20万円の減額支給を決めたとします。

4月から11月までに支給した20万円分を上乗せしていたと見なされるため、8ヵ月分✕20万円=160万円が損金不算入です。

役員報酬の損金算入や節税に関する相談は税理士へ

定期同額給与の概要や損金算入する方法、金額を変更する流れ、損金算入する他の方法などを解説しました。

役員報酬は損金算入できるものの、不正防止のために税務上の規定が設けられているのが特徴です。

法人税や役員個人の納税額など、役員報酬の金額は経営に与える影響が大きいため、正しい判断が求められます。

役員報酬の金額を適切に設定するうえでは、税理士の力を頼りにするとよいでしょう。

小谷野税理士法人は、認定経営革新等支援機関として国から認められており、多くの中小企業をサポートしてきた実績があります。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

関連記事:【税理士監修】法人が税理士に依頼する費用の相場はいくら?依頼内容別の相場と費用を抑えるポイントをご紹介!

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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