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非上場株式の譲渡で利益を得ると確定申告が必要?

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非上場株式の譲渡で利益を得ると確定申告が必要?

非上場株式の譲渡によって利益を得ると、金額に関係なく確定申告が必要です。添付書類や書き方などを押さえたうえで、期限内に申告するのがポイントです。今回は、非上場株式の譲渡における確定申告の必要性や発生する税金、計算方法、譲渡における注意点などを解説します。最後まで読むと、非上場株式を譲渡するときに疑問に抱きやすい点を解消できるでしょう。

関連記事:非上場株式の配当金、上場株式との違いは?確定申告が必要になる条件

非上場株式の譲渡で利益を得ると確定申告が必要?

税理士変更での利用者登録番号について

非上場株式の譲渡で利益を得ると、金額に関係なく確定申告する必要があります。申告分離課税によって納税することが義務付けられているためです。

申告分離課税とは、独自の計算式や税率などを適用し、確定申告によって納税する方法を示します。総合課税の対象となる事業所得の他、申告分離課税の不動産所得などとも分ける必要があると知っておくとよいでしょう。

基本的に、確定申告の時期は例年2月16日から3月15日までです。土日祝日と重なる場合は、その翌日が期限として設定されます。住所を管轄する税務署で必要な手続きをするのがポイントで、なるべく早く着手すると安心できます。

確定申告について分からない点がある場合、税理士へ相談するのが1つの方法です。

関連記事:上場しないほうがいい?理由やメリット・デメリットについて解説

非上場株式の譲渡で確定申告するときのポイント

所得税 確定申告 3月15日

確定申告するときの基本情報として、以下の点を押さえておくとよいでしょう。

  • 書き方
  • 添付書類

それぞれについて詳しく解説します。

関連記事:【税理士監修】確定申告のやり方ガイド!いつからいつまでの収入?郵送のケースや必要書類・マイナンバーカードについて

書き方

確定申告するにあたっては、申告書第一表・第二表、申告書第三表(分離課税用)の書類作成が求められます。譲渡による収入や株式の取得価額などに関する「株式等に係る譲渡所得などの金額の計算明細書」に記載した内容を転記するのがポイントです。

申告書の書き方の流れは以下に示します。

【第一表】

  1. 「収入金額」欄に株式譲渡による収入額を記載
  2. 「所得金額」欄に所得金額を記載
  3. 控除がある場合、「所得から差し引かれる金額」欄に記載
  4. 「株式などの譲渡」額に税率を書けて「税金の計算」欄に記載
  5. 「その他」の欄の該当箇所に記載

【第二表】

  1. 「所得の内訳」欄に記載
  2. 「所得から差し引かれる金額に関する事項」欄に、控除された費用を記載

【申告書第三表(分離課税用)】

  1. 収入・所得に対応する部分に計算明細書の金額を記載
  2. 「税金の計算」の該当箇所に申告書第一表から転記
  3. 課税所得金額・税額を記載

具体的な記載例については、国税庁の公式サイトを見るとよいでしょう。

参考:「確定申告書の記載手順」国税庁

添付書類

確定申告で添付が必要な書類は以下に示します。

  • 株式等に係る計算明細書
  • 譲渡時の譲渡契約書
  • その他:税金の還付がある場合、金融機関の口座番号や認印など

株式等に係る計算明細書は国税庁の公式サイトで入手できます。譲渡契約書とは、譲渡承認の手続きについて記載してある契約書です。

円滑に確定申告の手続きを進めるためには、あらかじめ必要書類を用意しておくとよいでしょう。

関連記事:年末調整は自分ではできない!自分で確定申告する場合を紹介

参考:「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」国税庁

非上場株式の譲渡で生じる税金

社長の給与の決め方に関するイメージ

非上場株式の譲渡によって、以下の通り税金が発生します。

  • 個人の場合
  • 法人の場合
  • 発行会社へ譲渡する場合

ここから詳しく見ていきましょう。

個人の場合

個人が非上場株式を譲渡するとき、所得税と住民税が課されます。

株式譲渡の場合、復興特別所得税と合わせ、所得税の税率は15.315%で一定なのが特徴です。金額に関係なく住民税も5%と決まっており、合計で20.315%の税金を納める必要があります。

法人の場合

法人が非上場株式を譲渡すると、以下の税金を課されるのが特徴です。

  • 法人税:会社の所得に課される税金
  • 法人住民税:法人都道府県民税と法人市町村民税の総称
  • 法人事業税:地方自治体によって課される地方税

個人の場合とは異なり、法人に課される税金は以下の通り状況によって変わります。

  • 利益
  • 事業規模
  • 事業年度など

基本的に法人税率は23.2%であるものの、規模や所得などによって軽減されるケースがあります。平成24年4月1日から令和9年3月31日までに開始し、各事業年度で年800万円以下の所得額については、税率15%(本則19%)が適用されます。

法人の場合は、売却価格の5%の概算取得費を適用できないと知っておくのもポイントです。

参考:「法人税率の軽減」中小企業庁

発行会社へ譲渡する場合

発行会社へ譲渡すると、みなし配当が生じたと判断され、所得税が課されるケースがあります。実際には配当金を受け取っていないとしても、配当金を受け取ったと見なされるのが特徴です。以下の通り、所得税の税率は異なります。

  • 資本金の払い戻し部分:15.315%
  • みなし配当部分:5.105%から45.945%

配当所得の税率は累進課税が適用されるため、金額が多くなるとより多くの納税を求められます。

非上場株式の譲渡で生じる税金の計算方法

非上場株式を譲渡すると、譲渡益に対して税金が課せられます。以下の表の通り、個々の状況によって納税額は異なるのが特徴です。

譲渡の対象

計算方法

個人から外部の法人や個人

(譲渡した非上場株式の譲渡価額−取得価額)✕税率

※税率:所得税15.315%・住民税5%

法人から外部の法人・個人

(譲渡した非上場株式の譲渡価額−取得価額)✕税率

※税率:約30%

自社株の相続

基礎控除額を超えると相続税が発生

基礎控除額:3,000万円+(法定相続人の人数✕600万円)

自社株を相続する場合、相続税評価額の評価方法には以下の4種類があります。

類似業種比準方式

  • 配当金や純資産などが類似する上場会社の平均値と比較し、計算する方法
  • 類似業種の株価✕(配当比準値+利益比準値+純資産比準値÷3)✕斟酌率

純資産方式

  • 会社資産などを相続税評価額に置き換え、計算する方法
  • (資本の部+含み益の63%)÷自己株式を除く発行済み株式数

併用方式

  • 類似業種比準方式と純資産方式の評価額に、一定割合を加算したうえで計算する方法
  • 類似業種比準価額✕L+純資産価額✕(1−L)

※Lの割合

  • 中会社:60%から95%
  • 小会社:50%

配当還元方式

  • 今後10年でもらえる配当金の総額を評価額とする方法
  • 評価額:1株あたりの年配当金額✕10
  • 年配当額:相続開始前2期の配当平均

主な相続財産の中でも、非上場株式は計算方法が最も難しいといえます。非上場株式の相続が発生した場合は、なるべく早く税理士へ相談するのがおすすめです。

非上場株式の譲渡での注意点

非上場株式の取引にはメリットがある一方、以下の注意点もあると知っておくとよいでしょう。

経営権限を失う

  • すべての株式を譲渡すると、議決権を失う
  • 取締役の選任など、会社の支配権がなくなる
  • 経営権限を一部保有したい場合、譲渡割合の検討が必要になる

マイナス面も含め情報提供する

  • 財務状況や労務など、偽りのない正しい情報を提供する
  • 情報提供が不十分な場合、将来的にトラブル発生の原因となる可能性がある

取締役会や株式総会での承認が必要になるケースがある

  • 譲渡制限がある場合、取締役会か株主総会で決議・承認を得る必要がある
  • 会社の乗っ取りなどを防ぐ目的で、一般的に非上場株式には譲渡制限が設けられる
  • 株式のすべてに譲渡制限を設けるか、一部に設けるかは企業により異なる

売却までに時間がかかるケースがある

  • 上場株式とは異なり取引所がないため、自分で売り主を見つける必要がある
  • M&Aの仲介会社などへの依頼など、買い手を見つけるまでには時間や労力などがかかる可能性がある

非上場株式を譲渡するとき、特に経営の権限をすべて失う点に注意したいところです。一部の資産のみを残せないため、権限や資産を残したいときは他の手段を検討するのがポイントです。

不要な負債や資産を継承できる一方で、正確な情報を提供しておかないと、トラブル発生につながる可能性がある点も押さえておくとよいでしょう。

非上場株式の譲渡に関するよくある質問

非上場株式の譲渡に関してよくある質問をまとめました。ここから詳細に解説します。

みなし配当には源泉徴収が必要?

必要です。

税務上の配当所得にみなし配当が該当するためです。取引相手が個人株主、法人株主いずれの場合も、源泉徴収額を引いたうえで送金する必要があります。非上場株式の場合、源泉徴収の税率は20.42%が適用されます。

非上場株式は個人から個人へ譲渡できる?

はい。

個人から個人への譲渡の場合、時価を基準とするのではなく、売却金額がもととなります。時価よりも極端に低い金額で譲渡すると、買い手側に贈与税が課せられるケースがあります。

非上場株式の譲渡や確定申告の相談は税理士へ

非上場株式の譲渡での確定申告の必要性やポイント、かかる税金と計算方法、注意点などを解説しました。非上場株式の譲渡で利益を得ると、確定申告が義務となっており、期限内に手続きをするのがポイントです。

資金を得られたり事業承継問題を解決できたりと、非上場株の譲渡にはメリットがあります。

一方で、経営権を失ったり、情報の提供不備による契約破棄、訴訟などのリスクもあったりするのがデメリットです。非上場株式の譲渡や確定申告などに関しては、税理士の指示を仰ぐのが望ましいです。

小谷野税理士事務所は、非上場株式の譲渡を始めとするサポート実績が豊富にあります。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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