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年俸制と月給制はどちらが良い?税金面の違いやメリット・デメリットを解説

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年俸制と月給制はどちらが良い?税金面の違いやメリット・デメリットを解説

「年俸制と月給制、働き方によって税金や手取りに違いはあるの?」そんな疑問をお持ちではありませんか?どちらの給与制度を選ぶかによって毎月の生活設計などに大きく影響する場合もあります。そこで本記事では年俸制と月給制の基礎から税金面の違いまで徹底解説します。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、働き方に合った給与制度選びもご紹介します。税金面で損をするかどうか気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

年俸制と月給制の基礎知識

給与 人件費

まずは年俸制と月給制の基礎知識について、改めておさらいしましょう。

項目

年俸制

月給制

給与決定

1年間の給与総額をあらかじめ決定

1ヶ月の労働に対して、あらかじめ基本給が設定

支給頻度

年間給与額を12分割して毎月支給(賞与として別途支給あり)

基本給に各種手当が加算されて支給

変動性

基本的に年間総額は固定(業績連動型賞与や減給規定により変動あり)

残業時間、手当の有無、業績連動型賞与で月々の支給額が変動

時間外手当

年俸に含む場合と別途支給する場合は企業による

法定労働時間を超えた労働に対して割増賃金が支給

賞与

企業の裁量による

年数回支給されるケースが多い

全体としては月給制が主流ですが、一部の大企業や特定の業種・企業文化を持つ企業では年俸制が導入されています。

近年、成果主義の考え方が広まるにつれて、年俸制を検討・導入する企業もわずかに増加傾向にあります。しかし依然として月給制が日本の雇用における主要な給与体系と言えるでしょう。

関連記事:年俸制の特徴とは?ボーナス払いと均等払いの違いを徹底解説!

年俸制と月給制における控除額の内訳

一般的に給与から控除される主な項目は以下の通りです。

社会保険料

健康保険料

病気や怪我に備えるための保険料

厚生年金保険料

老後の生活を支えるための年金保険料

雇用保険料

失業した場合や育児休業給付金などの給付を受けるための保険料

介護保険料

40歳以上の方が加入する保険

税金

所得税

その年の所得に応じて課税される税金

住民税

前年の所得に応じて課税される税金

さらに企業によっては社員預金や組合費などが天引き・控除されることがあります。どちらの給与体系であっても、基本的な控除項目となるので覚えておきましょう。

年俸制と月給制では税金の総額は変わらない

フリーランスの税金毎月に関するイメージ

年俸制と月給制は税金の総額に違いがなく「どちらの方が得になる」ということはないでしょう。年俸制における保険料や税金は、給与の受け取り方によって変わります。これは、天引きされる保険料や税金が標準報酬月額と標準賞与額で決まるためです。

重要なのは、これらの計算方法は月給制でも同様であるということです。年収や賞与額、居住地などの条件が同じであれば、年俸制と月給制で年間の保険料や税金の合計額は変わりません。

関連記事:税金で一番得する年収、損する年収はいくら?

給与制度が変わると税金の計算は変わる?

以下では年俸制ないしは月給制で働くことになった場合に、税金と社会保険料がどのように計算されるのかについて解説します。

年俸制から月給制へ転職した場合

税金面では所得税の源泉徴収額が月々の給与額に応じて再計算されるため、最初の数ヶ月は手取り額が変動する可能性があります。

住民税は前年の所得に基づき徴収されるため、転職時期によっては年俸制時代の所得に対する住民税が月給から引かれます。そのため、場合によっては税負担が大きく感じられることもあるのを留意しておきましょう。

社会保険料は月給制での標準報酬月額に基づいて計算され、残業代や手当の有無によって控除額が変動します。

月給制から年俸制へ転職した場合

年俸制は年間給与額を分割した金額に基づき月ごとの所得税を源泉徴収するため、手取り額は比較的安定する傾向があります。ただし年俸に賞与が含まれる場合や業績連動型の賞与がある場合、その支給月は変動します。

社会保険料は年間の給与総額を12分割した額が標準報酬月額の基準となることが多いです。月給制時代と比較して標準報酬月額が大きく変動しない傾向があります。

残業代や通勤手当が別途支給される場合、それらは標準報酬月額の計算に含まれます。また給与の分割回数によって、月々の社会保険料の控除額がわずかに異なるので注意しましょう。

年俸制と月給制の給与明細のチェックポイント

毎月受け取る給与明細は、収入と控除の内訳を知るための書類ですが、年俸制と月給制ではそれぞれ注目すべきポイントは異なります。以下では、年俸制・月給制それぞれの給与明細のチェックポイントについて解説します。

年俸制の給与明細

年俸制の給与明細で重要なのは、年間給与額が正しく分割されているかを確認することです。明細では主に以下の項目をチェックしましょう。

  • 月々の支給額が年俸を単純に12分割した金額になっているか
  • 賞与として別途支給される場合はその金額が明記されているか

また通勤手当や住宅手当などの固定的な手当の扱いも確認が必要です。これらが年俸に含まれているのか、別途支給されているのかを把握しておけば、月々の手取り額の内訳を理解できます。

所得税などは月々の給与額に応じて控除されますが、年俸額が一定であればこれらの控除額も比較的安定しているはずです。極端な変動が見られる場合は、控除額の計算根拠を確認しましょう。

みなし残業代が年俸に含まれている場合は、時間数や金額が明記されているかどうかもチェックしてください。給与明細によっては年間の支給累計額が記載されている場合があるので、年間総額に対する支給状況を把握するために活用しましょう。

月給制の給与明細

月給制の給与明細では、毎月の変動要素と控除の内訳をチェックしましょう。基本給は固定ですが、残業手当、通勤手当、住宅手当、役職手当など、各種手当の金額が変動するケースがあります。

特に残業手当については、残業時間と時間単価が正しく計算されているかを自身の記録と照らし合わせて確認しましょう。

控除項目では社会保険料、所得税、住民税の金額をチェックします。月々の給与額が変動すると、これらの控除額も変動するため、前月の明細と比較して増減を確認してください。もし理由が不明な場合は、人事に問い合わせましょう。

また賞与が支給された月は賞与額だけでなく、そこから控除された税金や社会保険料の内訳をしっかりと確認する必要があります。

勤怠情報(出勤日数、欠勤日数、遅刻・早退時間など)が記載されている場合は、支給額に影響がないかも見ておきましょう。手当の種類や計算方法、控除項目の内訳を正確に把握すれば、自身の手取り額がどのように決まっているかを理解できます。

年俸制と月給制のメリット・デメリット

年俸制と月給制のメリット・デメリットを以下の表にまとめました。

メリット

デメリット

年俸制

  • 前もって年間の人件費などを確定できるなど予算管理・経営計画が立てやすい
  • 人件費コントロールと優秀な人材の確保を両立しやすい
  • 毎月の業績や貢献度に応じて給与を調整しやすい
  • 採用時に幅広い層にアピールしやすい一般的な制度

月給制

  • 業績が悪化しても年間の給与額を支払う必要があるため、人件費の調整が困難
  • 結果がすぐに給与とし反映されず、従業員のモチベーションが上がりにくい
  • 毎月の給与計算や管理に手間がかかる
  • 賞与がない場合、優秀な人材のモチベーションが上がりにくい
  • 人件費の予測が困難

上記は一般的な傾向であり、個々の企業や職種、雇用契約によって異なる場合があります。転職の際はこれらのメリット・デメリットをしっかり理解した上で、応募要項をチェックしましょう。

年俸制と月給制の注意点

個人事業開始申告書

年俸制と月給制それぞれの注意点を以下の表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

年俸制

  • 結果を出しても直近の給与には反映されにくい
  • 成果が振るわなかった場合は、翌年の年俸が減額される可能性がある
  • 年度内の昇給がないため、モチベーションの維持が難しい場合がある
  • ローンの賞与払いの仕組みが適さない

月給制

  • 欠勤や遅刻・早退をしても月給は減額されないが、有給休暇の付与条件を満たすために注意が必要
  • 残業代は法定労働時間を超えて働いた場合にのみ支払われる
  • 業績と給与が連動しにくい

どちらに関しても基本給だけでなく、昇給の条件や評価制度についてもしっかり確認しましょう

また通勤手当、住宅手当、家族手当など、支給される手当の種類と金額や支給される条件の確認もしなければなりません。年俸制の場合はこれらの手当が年俸に含まれているか、また別途支給されるかどうか確認することも大切です。

年俸制と月給制に関するよくある質問

最後に年俸制と月給制に関するよくある質問についてまとめたので、以下を参考にしてみてください。

年俸制の残業代はどのように計算する?

原則として年俸制の残業代はまず年俸を12で割って月額賃金を出し、それを1ヶ月の所定労働時間で割って時給を計算しましょう。その時給に割増率と残業時間を掛けることで算出され、年俸の分割回数に関わらず残業代計算の際は12分割で計算されます。

年俸制はボーナスがないって本当?

年俸制にはボーナスの支給の義務はありません。しかしボーナスに関しては、企業の裁量で支給するかどうかを決められます。

そのため「年俸制=ボーナスなし」とは一概には言えません。企業の雇用契約の内容の確認や採用担当者や人事担当者への質問を通じてボーナスの有無をチェックしましょう。

年俸制と月給制のどちらを選ぶべき?

以下では、それぞれの給与形態が向いている人の特徴についてまとめました。

月給制

  • 安定した収入を重視する
  • 残業代や手当で収入を増やしたい
  • 年功序列型の企業に勤めている
  • 結果がすぐ給与に反映されなくても良い

年俸制

  • スキルや実績、高い専門性がある
  • 成果主義の企業文化に合う
  • 自分の裁量で仕事を進めたい
  • 短期的な収入アップを目指したい

ただしこれは一般的な傾向であり、個々の企業や職種、雇用契約によって大きく異なります。最終的な選択は価値観、キャリアプラン、企業の制度などを総合的に考慮して判断しましょう。

関連記事:賞与で法人税を節税できる?具体的な5つの方法ご紹介

まとめ

年俸制と月給制は給与の支払い方は異なるものの、所得税や住民税などの基本的な税金の計算方法自体に大きな違いはありません。

ただし年俸制の場合は年俸額を受け取るタイミングによって税金の支払額が異なることがあります。もし税金がどれくらいになるのか分からない場合は、税理士に相談してみるのも1つの手段でしょう。

小谷野税理士法人では年俸制や月給制の税金計算に関する分野に特化した税理士が在籍しております。もし年俸制や月給制の税務処理でお困りの方は、ぜひ一度「小谷野税理士法人」までお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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