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失業保険を受給しながら起業準備は可能?条件や再就職手当まで幅広く解説

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失業保険を受給しながら起業準備は可能?条件や再就職手当まで幅広く解説

失業中に起業の準備をした場合、失業保険は受給できるのでしょうか。この場合、いくつかの条件を満たしていれば受給することができます。この記事では、起業前に把握しておきたい失業保険の条件や、再就職手当について解説します。失業保険と再就職手当が受けられる人はどのような人なのかを押さえ、利用できるのであれば今後の生活・事業資金に役立てましょう。

失業保険とは|起業を予定している場合の受給方法

個人事業主の労災保険のイメージ

失業保険とは、再就職に向けて求職活動している人をサポートする目的の雇用保険のことです。そのため退職後すぐに起業することが確定している場合、求職活動を行う予定がないことから、失業保険の対象外となります。

起業を検討中の人が受給するには、起業・雇用としての働き方のいずれも検討し、求職活動をしている必要があります。

例えば下記の場合、受給対象になり得る人です。

  • 起業資金を準備する目的から再就職する予定の人
  • 起業に向けたスキルアップをするために再就職する予定の人
  • ビジネスパートナーの従業員として再就職する予定の人

詳細について知りたい人は、最寄りのハローワークに問い合わせてみると良いでしょう。

受給要件

失業保険を受給するには、受給要件を満たす必要があります。要件は下表の通りです。

カテゴリ

要件

特記事項

一般保険者

  • 離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヵ月以上ある
  • 休職する能力・意思はあるものの仕事が見つからない状態

特定受給資格者

  • 倒産※1や解雇等※2の理由により離職した
  • 離職前1年間に雇用保険の被保険者期間が6ヵ月以上ある

※1 「倒産」のケース

  • 勤め先の倒産
  • 大量のリストラ(1ヵ月/30人以上)
  • 事業所の廃止
  • 事業所の移転

※2 「解雇等」のケース

  • 契約内容と職場の現状があまりに乖離していた
  • 賃金の1/3以上の金額が給料日までに支払われなかった
  • 離職の直前6ヵ月の間に連続3ヵ月で毎月45時間以上、いずれか1ヵ月で100時間以上、いずれか連続2ヵ月で毎月80時間以上の残業があった など

特定理由離職者

  • 希望したものの労働契約が更新されなかった、または正当な理由※3で離職した
  • 離職前1年間に雇用保険の被保険者期間が6ヵ月以上ある

※3 「正当な理由」に値するケース

  • 心身の障害・病気・体力不足による離職
  • 妊娠・出産・育児などで受給期間延長措置を受けた
  • 両親の病気・負傷・死亡などやむを得ない場合による離職
  • 配偶者・扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難になった場合の離職 など

参考:ハローワークインターネットサービス|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

なお、上表の条件を満たしていても、以下のケースは対象外となるので注意してください。

  • 求職活動を一切せず家事に専念している人
  • 勉学に専念し求職活動を行っていない人
  • 再就職先がすでに決まっている人
  • 自営業を始めた人
  • 自営業の準備に専念し求職活動をしていない人

失業保険を希望する人は、自身がどのような状態であるかを振り返った上で申請しましょう。

受給期間と受給金額

失業保険の受給期間は、離職日の翌日から換算し、原則、最大1年間です。受給期間中における失業状態の間を対象とし、所定給付日数を限度として受給できます。

例えば勤続年数が15年、自己都合退職した人の場合です。このようなケースは、所定給付日数は120日となり、受給期間中の120日分の基本手当が受給できます。

ただし失業保険には待機期間があり、離職票の提出と求職の申込を行った日から7日間は支給されないので注意しましょう。

待機期間の長さは退職事由によって異なり、会社都合であれば7日、自己都合であれば7日と1ヵ月後です。なお、失業保険の給付日数については申請者の年齢・状況・勤続年数によって下表のように異なります。

一般の離職者の場合

被保険者期間

給付日数(日)

1~9年

90

10~19年

120

20年以上

150

参考:ハローワークインターネットサービス|よくあるご質問(雇用保険について)

 

倒産・解雇による離職者の場合

離職時の申請者の年齢

被保険者期間

年齢

1年未満

1~4年

5~9年

10~19年

20年以上

30歳未満

90日

90日

120日

180日

30~44歳

90日

120日

180日

210日

240日

35~44歳

90日

150日

180日

240日

270日

45~59歳

90日

180日

240日

270日

330日

60~64歳

90日

150日

180日

210日

240日

参考:ハローワークインターネットサービス|よくあるご質問(雇用保険について)

 

離職時の申請者の年齢

賃金日額

給付率(%)

基本手当日額

29歳未満

2,746~5,109円未満

80

2,196~4,087円

5,110~12,580円

80~50

4,088~6,290円

12,580~13,890円

50

6,290~6,945円

13,890円~

一律

6,945円

30~44歳

2,746~5,109円未満

80

2,196~4,087円

5,110~12,580円

80~50

4,088~6,290円

12,580~15,430円

50

6,290~7,715円

15,430円~

一律

7,715 円

45~59歳

2,746~5,109円未満

80

2,196~4,087円

5,110~12,580円

80~50

4,088円~6,290円 

12,580~16,980円

50

6,290~8,490円

16,980円~

一律

8,490円

60~64歳

2,746~5,109円未満

80

2,196~4,087円

5,110~11,300円

80~45

4,088~5,085円

11,300~16,210円

45

5,085~7,294円

16,210円~

一律

7,294円

参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当日額が変更になります ~令和5 年8月 1 日から~

さらに、上表の「基本手当日額」は、退職する直前の6ヵ月の間に支払われた毎月の賃金、年齢によって異なるので注意しましょう。

申請手続き

失業保険を受給するには、最寄りのハローワークで手続きを行います。手続きに際しては退職した会社から発行された離職票が必要です。離職票は、退職後10〜14日前後で自宅に郵送されます。

なお離職票がない場合、失業保険の手続きは行えません。2週間以上経過しても離職票が届かないときは、前職の企業へ問い合わせることをおすすめします。

また、離職票が届くまでにハローワークの窓口やホームページ等で必要書類について確認しておくと、手続きがスムーズです。

関連記事:失業保険は個人事業主になるときもらえる?要件や申請方法を確認

起業が失敗した場合の「雇用保険受給期間の特例」とは?

個人事業主

起業が失敗した場合、失業保険を受給できる可能性があります。「雇用保険受給期間の特例」によるもので、起業から最大3年間は雇用保険の受給期間に含まないことになったためです。

起業後3年間に基本手当の受給期間である1年間を加えた計4年間は、失業保険の受給期間を延長することができます。退職後に失業保険を受給し、その上で起業を見据えた活動をしたい人にとっては大きなチャンスと言えるでしょう。

雇用保険受給期間の特例における適用条件

特例を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。

条件

概要

利用者に対する条件

  • 離職前2年間に12ヵ月以上の雇用保険の被保険者がある
  • 退職前から起業し、退職後に事業に専念する人、あるいは退職後に起業し事業に専念する人

事業に対する条件

  • 事業の実施期間が30日あること
  • 事業の実在が証明できること

参考:厚生労働省|雇用保険受給期間の特例を申請できます

事業の実施期間が短い場合や自立できないとみなされる場合は、特例を受けられないので注意しましょう。特例について詳細を知りたい方は、厚生労働省ホームページをご確認ください。

関連記事:起業スケジュール完全ガイド!成功への道筋をステップバイステップで詳しく解説

条件によって起業後も受給可能な再就職手当とは?

飲食店の開業手続きイメージ

起業後は、再就職手当を受給できる可能性があります。再就職手当は、失業手当の基本手当を受給していて、1/3以上の受給期間が残っている段階で再就職・起業した人への手当です。

受給には以下の要件が設けられており、すべてを満たす必要があります。

  • 受給手続き後、7日間の待機期間満了後に就職するまたは起業した
  • 再就職前日まで失業状態で、基本手当の支給期間が初手給付期間の1/3以上ある
  • 離職前と同じ、または資金や人事面等で密接な関係のある会社に就職しない
  • 離職理由によって給付制限を受けているなら待機満了後の1カ月間についてはハローワーク等、または許可・届出のある職業紹介事業者等の紹介で就職
  • 就職前3年間において再就職手当または常用就職支度手当を受け取っていない
  • 求職申込前から採用が内定していた事業主に雇用されていない
  • 雇用保険の被保険者である

これらに該当していないと受給できないので、申請の際は必ず確認することをおすすめします。

関連記事:開業資金の集め方は?起業で使える15の調達方法

受給期間

再就職手当に受給期間はありません。受給時は再就職の申請が受理された時点で一括支給される仕組みです。

なお、審査に時間がかかるので、提出後すぐに支給されない点に注意しましょう。審査状況については、申請したハローワークを来所することで確認できます。確認の際は本人確認書類が必要になるので、免許証等を持参しましょう。

受給金額

受給金額は下表の通りです。

所定給付日数

(日)

支給残日数

再就職手当の金額

支給率60%

支給率70%

90

30日以上

60日以上

基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×60%または70%

120

40日以上

80日以上

150

50日以上

100日以上

180

60日以上

120日以上

210

70日以上

140日以上

240

80日以上

160日以上

270

90日以上

180日以上

300

100日以上

200日以上

330

110日以上

220日以上

360

120日以上

240日以上

参考:ハローワーク|再就職手当のご案内

例えば所定給付日数が90日、再就職した段階での残日数が84日あり、基本手当日額を6,945円とした場合は以下のようになります。

6,945円×82日×0.7%=398,643円

なお、所定給付日数や基本手当日額について知りたい人は、本記事の「受給期間と受給金額」をご確認しながら計算してください。

失業保険は求職活動をしていることが前提

起業を検討しつつも失業保険を受給したいときは、求職活動をしている必要があります。失業保険の本質に理解を深め、正しい順序を経て受給しましょう。

なお、個人事業主として起業を検討する際は、資金調達や確定申告、経理業務などさまざまなことを一人で行わなければなりません。初めて起業する場合、多くの不安や悩みによって踏み切れないといった人もいるでしょう。

このようなときは、ぜひ小谷野税理士法人へご相談ください。起業する際の手順や必要手続き、経理業務について、いつでも適切なアドバイスをさせていただきます。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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