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資格取得費用は経費にできる?知っておきたいルールと注意点

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資格取得費用は経費にできる?知っておきたいルールと注意点

業務上必要な資格を取得したとき、かかった資格取得費用は経費にできるのか疑問に感じる方は多いのではないでしょうか?一般的に、業務に必要なものやサービスを購入した場合は、経費扱いです。しかし、資格取得費用は経費にできない場合があります。この記事では、資格取得にかかった出費が経費として認められる条件と仕訳例、注意点などについて詳しく紹介します。正しい納税と節税対策のために、役立ててみてください。

資格取得費用を経費にできる条件

経費計上のイメージ

原則、業務に必須となる出費であれば、経費として認められます。しかし、資格取得にかかった費用は、経費として計上できるケースとできないケースがあるのです。そこで、資格取得に関連する出費が損金として認められる条件について詳しく解説します。

経費に計上できる条件

資格取得にかかった費用が業務に必要な支出として認められるためには、必要性の高さと費用の妥当性が求められます。以下のいずれかに該当する場合は、経費として認められる可能性が高いです。

  • 会社で求められる専門技術や知識を役員や従業員が習得するためにかかる費用であること
  • 会社で必要とされる免許や資格を役員や従業員が取得するために参加する研修会や講習会の費用であること。
  • 会社に必要な分野について役員や従業員が大学などで受講する際の費用であること

上記のいずれかの条件を満たし、経費として算入する妥当性を証明できれば、損金計上できる可能性が高いです。

また、経費として認められる可能性が高い資格は以下が挙げられます。

  • 工場での業務に必要なフォークリフト免許
  • 危険物取扱者の取得にかかった費用

業務を遂行する上で欠かせない資格を取るために費やした出費は、損金扱いです。例えば、自己啓発セミナーのように、業務と直接の関連性が低い費用は、経費とならない可能性が高い点に注意してください。

参考:国税庁 No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき

経費として認められないケース

業務と関連性が高い資格でも、損金として認められないケースがあります。業務との関連性が高くても、個人への資格取得効果が高い資格は、対象外となる可能性が高いのです

例えば、経理部門のスタッフが税理士の資格を取得する、人事部門の担当者が社労士の資格を取得するといったケースが該当します。

資格取得が業務に役立つのは事実ですが、独立開業も可能な資格であることから、業務よりも個人に役立つ資格とみなされるからです。

独立開業できる資格ではなくても、従業員が総合大学で学ぶ費用についても、損金扱いされないことがあります。資格や業務に不要な知識や技術の習得につながるからです。

一方で、経営の学位であるMBAを取得する場合にかかる費用は、業務への貢献度や必要性の高さから、損金として認められる可能性があります。

資格取得にかかった費用が必要な出費として認められるかどうかは、自社の状況、資格の内容や費用などによって決まります。適切な判断が難しいため、その都度専門家に相談してみましょう。

関連記事:個人事業主の経費はいくらまで?経費にできる上限と割合について解説

資格取得費用の仕訳で使う勘定科目と具体例

経費と損益計算書

資格取得のためにかかった費用を、損金として算入するために、仕訳で使用する勘定科目と仕訳の具体例を紹介します。実際に仕訳をするときの参考にしてみてください。

資格取得費用の計上で使用する勘定科目

資格取得でかかった費用を仕訳するときに用いる勘定科目について、明確な決まりはないものの、支出の内訳に適した勘定科目を選びましょう。資格取得費用の仕訳でよく使用される勘定科目は以下の通りです。

  • 新聞図書費
  • 研修費
  • 福利厚生費
  • 旅費交通費

資格を取得するために購入した書籍代は新聞図書費、資格取得に必要なセミナーに参加した際にかかった代金は研修費、資格取得のために要した出費は福利厚生費、資格試験会場に向かうまでにかかった交通費は旅費交通費を使います。

ただし、資格取得のために費やした出費の内容に応じて、無理に勘定科目を使い分ける必要はありません。

内容に合わせた勘定科目を使用するやり方もありますが、一つの勘定科目にまとめることも可能です。例えば、資格の勉強のために購入した書籍代、試験会場へ向かう交通費などをまとめて福利厚生費として計上できます。

ただし、社内で勘定科目のルールを決めましょう。担当者によって使用する勘定科目が異なると、後で見直したときに統一性がなく、費用の内訳が分かりづらくなるからです。

資格取得費用の仕訳例

資格取得にかかった費用を経費として算入するために、仕訳の例を紹介します。

資格を取得するための勉強に使用する書籍を現金で購入したときの仕訳

借方

貸方

新聞図書費

20,000円 

現金

20,000円

資格試験の会場に向かうときにかかった交通費を計上する仕訳

借方

貸方

旅費交通費 

1,200円

現金

1,200円

また、複数回開催されるセミナーや研修に参加する場合、期をまたぐこともあるでしょう。今期分と来期分の参加代金をまとめて支払ったときは、来期分の参加費を前払費用で処理します。

借方

貸方

研修費  

10万円

当座預金 

10万円

前払費用 

50,000円

研修費

50,000円

実際に研修などに参加したときに、前払いしていた費用を研修費として算入します。

借方

貸方

研修費

50,000円 

前払費用

50,000円

上記の仕訳例はあくまでも参考です。資格を取得した際にかかった出費を仕訳するとき、自社のルールに従って適切に処理してください

関連記事:起業するなら資格取得すべき?独立に役立つおすすめを20選ご紹介

資格取得費用を経費にする際の注意点

経費の処理をする個人事業主

資格取得のためにかかった費用は、業務に必要な出費として経費扱いできる可能性が高いです。ただし、全ての費用が損金として認められるわけではありません。適切に費用を計上するためにも、いくつかの注意点を押さえておきましょう。

資格の種類によっては給与扱い

資格の種類によっては、福利厚生費や新聞図書費ではなく、給与扱いとなることがあります。

例えば、弁護士や医師のように独立開業が可能な資格の取得費用を企業が負担した場合、経費ではなく給与扱いとなる可能性が高いです。

企業側としては、給与も経費の一種です。しかし、資格取得費用を給与として支給された従業員は、課税額が増えて、源泉所得税や住民税などの負担増につながることがあります

また、資格取得の対象が一般の従業員ではなく役員だった場合は、給与ではなく役員個人への利益としてみなされます。役員報酬については、毎月決まった金額が経費として認められるからです。

個人への利益でも、給与と同様に源泉所得税や住民税といった税金の課税対象となります。金額によっては、個人の納税負担が増えることもあり得ます。

従業員や役員への負担増を避けるためにも、費用として認められるかどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。

資格取得にかかった費用の計上でお困りなら、「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。

内容によっては経費とならないことがある

資格取得にかかった費用について、内容によっては経費として認められないことがあります。

弁護士や会計士といった個人へのメリットが大きい資格については、損金に計上できない可能性が高いです。しかし、業務における資格の必要性を合理的に説明できれば、損金として認められることがあります。

資格取得のためにかかった学費、書籍代はもちろん、受験料や受験会場までの交通費なども損金の対象です。ただし、資格取得にかかった費用のうち、内容によっては全額損金扱いになりません。

業務上必要という理由で、従業員が法科大学院に通って弁護士資格を取得する、会計大学院に通って会計士資格を取得するケースを例に挙げて説明します。

弁護士の試験を受験するためには、法科大学院で所定の単位を取得して受験資格を得なくてはいけません。そのため、法科大学院の費用も資格取得費用として認められるでしょう。

一方で、会計大学院に通う際の学費は、会計士試験の受験資格に必須ではないため、損金として認められない可能性が高いです。

このように、資格の種類だけでなく、支出の内容によって、損金の対象となるかが異なります。しかも、損金算入の判断が難しく、適切な仕訳が難しいのです。

そこで、判断に困る支出については、損金として計上しない、もしくは税理士に相談することをおすすめします

費用を証明できるものを残しておくこと

福利厚生費や研修費など、会社が資格取得にかかった費用を証明できるものを残し、保管しておきましょう。業務に必要な経費であることを証明するものには、以下のものがあります。

  • 資格取得の案内
  • セミナーの領収書
  • 資格取得のために使ったテキスト(使用済であること)
  • 資格の合格証書
  • 交通費(領収書や交通系ICカードの利用履歴)

適切な書類がそろっていなければ、税務調査の際に資格取得の妥当性を証明できず、費用として認められないことがあります。追徴課税を避けるためにも、日頃から正しい記帳、書類の保管に努めましょう。

会社員と個人事業主が自身で資格取得費用を計上する方法

投資の確定申告の経費イメージ

業務上必要という理由で資格を取得する場合、企業がその費用を負担してくれるとは限りません。ただ、資格取得費用を自腹で支払った場合、確定申告をすることで節税となることがあります。ここでは、会社員と個人事業主、それぞれのケースごとに、手続きのポイントを紹介します。

会社員の場合

会社員は、業務に必要な支出があった場合、所定の条件を満たす支出を経費として算入できる特定支出控除を利用できます。資格取得費用を、特定支出控除として計上するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 業務に必要な資格であること
  • 勤務先からの証明

特定支出控除の適用について、資格の合否は問われません。資格の取得のために勉強をして試験に挑み、結果が伴わなかったとしても控除が適用されます。また、特定支出控除の適用対象として、以下の出費も含まれます。

  • 通勤費用
  • 引っ越し費用
  • 単身赴任先からの帰宅費用
  • 研修費
  • 業務に必要な書籍の購入
  • 業務に必要な衣類の購入
  • 業務に必要な交際費

税金が還付されるかもしれないため、資格取得費用と併せて経費計上できるものがあれば、確定申告をしましょう

参考:国税庁 No.1415 給与所得者の特定支出控除

個人事業主

個人事業主は、業務に必要な資格取得にかかる費用を損金算入できます。確定申告時に、資格取得にかかった費用を、適切な計算を行うことで経費として算入します。

ただし、損金にできる資格は、業務上欠かせない資格であることが必須条件です。経費にできるかどうかの判断で迷ったときは、税理士に相談してみましょう。

関連記事:個人事業主が確定申告で経費にできる勘定科目について

まとめ|資格取得費用は経費にできる!条件を確認し適切な仕訳を

資格取得にかかった費用は、業務上必要な資格であれば、経費計上が可能です。しかし、資格の種類や支出の内容によっては、経費として認められないことがあります。経費として計上するかは判断が難しいため、税理士への相談が適しています。また、資格取得費用を仕訳するルールについても、会社ごとにルールを決めて適切に仕訳することが大切です。

資格取得費用の経費計上に関する相談なら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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