会社設立時には、さまざまな手続きに伴い、数多くの書類を作成・提出する必要があります。また、必要書類には提出期限が設けられている場合もあるため、事前に把握しておくことが大切です。特に、株式会社と合同会社では必要書類が一部異なるため、それぞれの特徴を踏まえて準備しましょう。この記事では、それぞれの違いに焦点を当て、会社設立に必要な書類について説明します。
目次
株式会社が会社設立する際に必要な書類一覧
株式会社を設立する際には、法律により定められた複数の手続きが必要です。起業において、必ず提出しなければならない書類の一覧を紹介します。
会社設立の登記申請書
会社を設立する際には、必ず法務局で登記を行わなくてはならず、その際には株式会社設立登記申請書が必要です。株式会社設立登記申請書には、法人の名称として用いられる商号を始め、本社の所在地、代表者の情報など、会社にとって必要な情報が記載されます。
登記申請は、会社が法的な認定を受けることが目的です。また、法人の登記により、取引先や同業者などからの信用が確保されます。
株式会社設立登記申請書は、記載例を含め、法務局のHPからダウンロード可能です。
登録免許税の収入印紙貼付台紙
登記手続きの際には、登記申請書とは別に、登録免許税の収入印紙を貼り付けた台紙が必要です。登録免許税とは、登記手続きの際に国へと納める税金を指し、収入印紙を買うことで納付できます。収入印紙は郵便局、コンビニ、そして法務局の印紙販売所などで購入可能です。
会社設立の登記申請書を提出する際には、この収入印紙を別紙の収入印紙貼付台紙へと貼り付けましょう。
ただし、登録免許税の収入印紙貼付台紙の形式には法的な規定がありません。そのため自分でA4サイズの白紙を用意し、登録免許税の収入印紙貼付台紙にできます。
書面には、登録免許税の収入印紙貼付台紙であることが分かるように明記し、登記申請書と一緒にホチキスなどで留めましょう。
定款
定款とは、会社の基本情報のほか、規則を記載した法人にとってのルールブックのようなものです。定款はその内容が法律で定められているため、記載漏れがあった場合には受理されません。
下記は定款に必ず記載しなければならない事項です。提出前に内容をしっかりと確認しましょう。
- 商号
- 本社所在地
- 事業目的
- 資本金額
- 発起人の住所氏名
発起人とは起業を企画し、出資を含め、会社が設立されるまでの期間にその準備を進める人のことです。定款も、この発起人によって作成されます。
また、定款には、上記のような必須事項以外に、法的には記載が定められていない事項の記載も必要です。
例えば、株式会社であれば、株券に関する取り決めが該当します。法律上では定款に記す必要がないものの、株式会社にとってはルールを定めておくべき事項の1つです。
株式会社の場合、作成した定款は公証役場に提出し、認証手続きを行います。以前まで、定款は書面が主流でしたが、近年ではPDF化した電子定款をCD-R保存することで提出可能です。
こうして作成・提出された定款は、会社と公証役場で1部ずつ保管します。
発起人決定書
発起人決定書は、会社の本店所在地が、発起人全員の同意のもと決定したことを証明する書類です。そのため、登記申請する際の添付書類の1つですが、定款に本店所在地が番地まで記載されている場合や、電子公告以外の公告方法を選んだ場合には不要とされています。
ただし、定款に本店所在地の番地まで記入してしまうと、あとから事業所を移転する際の手続きが複雑になります。一般的に、定款には本店所在地の番地までは記入されません。
また、公告とは定款に記される内容の1つであり、会社が株主や債権者に向け、会社の決定事項を広く知らせる通達方法のことです。株式会社の場合は公告が義務化されているため、怠った際には罰金が科せられます。
電子公告以外の公告方法は、国が発行している唯一の機関紙である官報による公告と、新聞による公告です。
設立時取締役の就任承諾書
設立時取締役の就任承諾書は、会社設立時に選任された取締役が、その就任を承諾したことを証明する書類です。会社には、取締役を始めとした役員を選任したり変更したりした際、就任承諾書を作成して法務局に提出する義務があります。
会社法により、株式会社の場合は必ず1名以上の取締役が必要です。会社設立時に複数の取締役を選任した場合は、人数分の就任承諾書を作成・提出しなければなりません。
設立時代表取締役の就任承諾書
設立時取締役の就任承諾書と同様に、会社設立時に代表取締役が選定された際は、就任承諾書を法務局に提出しましょう。ただし、設立時代表取締役は、会社に取締役会が設置されているかどうかで選定方法が異なります。
株式を一般に公開している公開会社の場合は、取締役会を必ず設置しなくてはなりません。一方、株式の譲渡制限が設けられている非公開会社の場合は、取締役会を設置するか否かについて、それぞれの会社で選択が可能です。
取締役会設置会社における設立時代表取締役は、設立時取締役の過半数が同意することによって選定されます。片や、取締役会非設置会社で設立時代表取締役の選定を行うのが、定款です。定款に選定方法を記載することで、取締役の互選や株主総会によって代表取締役を決められます。
また、取締役が1名の場合を含め、定款に代表取締役の氏名を直接書いて選定することも可能です。
設立時取締役の印鑑証明書
設立時取締役や設立時代表取締役が就任承諾書に押した印鑑には、市区町村で認められている印鑑証明書を添付しなければなりません。注意点として、このとき提出する印鑑証明書は、設立時取締役や設立時代表取締役が個人で取得した印鑑証明書であるということです。
会社の実印である代表者印の印鑑証明書ではないため、注意しましょう。
参考:株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立):法務局
印鑑届出書
印鑑届出書とは、法人印の一種である代表者印を、法務局に届け出るための書類です。そのため、事前に代表者印を作成しておかなくてはなりません。
このとき、銀行で用いる銀行印や、見積書や領収書に押す社印などとまとめて法人印を作成することもあるでしょう。ただし、会社の重要な決定事項に用いられる代表者印は、銀行印や社印とは決して兼用はせず、個別の作成が必要です。
資本金の払込証明書
会社設立の登記申請する際には、資本金を支払った証として払込証明書の添付が必要です。資本金の払込証明書は、発起人の銀行口座に出資者からの資本金が振り込まれた後で作成します。このときの発起人の口座は、個人のもので構いません。
複数の発起人がいる場合は、いずれか1名の口座を資本金の振込先として指定しましょう。資本金の払込証明書は、その銀行口座の記帳内容をコピーして作成します。
登記すべき事項を記載した書面かCD-R
登記すべき事項とは、法のもと登記に必要な情報であり、その内容を書面かCD-Rに記録した上で法務局に提出しなくてはなりません。登記すべき事項の内容は、株式会社の場合、必ず登記必要な事項と、定款により定められている場合に登記必要な事項とに分かれています。
必ず登記必要な事項は次の通りであり、一部、定款と同じ内容が含まれています。
- 商号
- 本社所在地
- 事業目的
- 資本金額
- 発行できる株式の総数
- すでに発行している株式の総数
- 取締役の氏名
- 代表取締役の住所氏名
- 公告方法
また、定款により定められている場合に登記が必要な事項は、各会社によって異なります。例としては、発行する株式の種類・株式の譲渡制限についての取り決め・株主名簿管理人の有無の記載などです。
参考:法務省:商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について
関連記事:個人事業主と起業の違いは?メリットや手続き、税金の違いも解説
株式会社の設立で必要な場合がある書類一覧
株式会社として会社設立する際、場合によっては必要となる書類があります。ケースごとの必要書類は次の通りです。
発起人の同意書
発起人の同意書とは、定款に記載されていない事項に関し、すべての発起人が同意したことを証明する書類です。株式会社を登記申請する際、法務局に提出します。
ただし、本店の所在地、発起人が割り当てられる株式数と払い込み金額、資本金・資本準備金の額が定款に記載されていれば、発起人の同意書は不要です。
一般的に、本店の所在地については、定款に市区までを記載し、町村以降の番地は発起人の同意書にて定めます。番地まで記載すると、会社設立後に本店を移転するたび、定款を変更しなくてはなりません。
定款を変更するためには株主総会を開催し、特別決議を行った上で議事録の作成が必要です。発起人の同意書に本店の所在地を詳しく明記するのは、手続きが煩雑になるのを防ぐ意味があります。
参考:株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立):法務局
設立時代表取締役選任決議書
取締役会設置会社の場合、定款に代表取締役の氏名を記載しないのならば、設立時代表取締役選任決議書を作成しましょう。登記申請の際、ほかの書類とともに法務局へと提出します。
定款に代表取締役の氏名が直接書かれていれば、設立時代表取締役選任決議書は不要です。一方、定款に代表取締役の選定方法のみが記載されている場合には、設立時代表取締役選任決議書の提出が求められています。
関連記事:【税理士監修】会社設立の必要書類の準備と提出とは?法務局と税務署での手続き
設立時代表取締役・設立時監査役の就任承諾書
定款に設立時代表取締役の選定に関する記載があり、なおかつそれが発起人でもある場合には、就任承諾書は不要です。また、設立時代表取締役選定決議書に、選定された代表取締役が就任を承諾したとの記載があり、その代表取締役が発起人として実印を押している場合も、就任承諾書はいりません。
ただし、上記以外の場合は、代表取締役の就任承諾書の作成が必要です。一方の監査役は、株主総会の決議で選任されます。その際、監査役の候補者が株主総会で就任を承諾し、議事録とともに登記申請書を提出すれば、就任承諾書は必要ありません。
設立時取締役・設立時監査役の調査報告書
設立時取締役・設立時監査役の調査報告書は、定款に変態設立事項に関する定めが記載されている場合にのみ必要とされる書類です。
変態設立事項とは、現物出資・財産引受・発起人の報酬・設立費用の4つに関する事柄で、具体的には次のような内容を示します。
- 現物出資:会社設立時に、現金以外の資産から出資を行った場合
- 財産引受:会社設立前に、発起人が第三者から特定の物を譲渡されるという契約があった場合
- 発起人の報酬:発起人が会社設立のために使った労力への報酬
- 設立費用:発起人が会社設立のために支払った費用で、定款に記載することにより設立後に請求可能な場合
上記の事項に設立時取締役・設立時監査役の調査報告書が必要な理由は、会社の不利益を避けるためです。物の財産価額を調査し、報酬や費用が適切な金額であるかどうかを見極める必要があります。
資本金の額の計上に関する代表社員の証明書
現物出資を行う場合、代表取締役に選定された人物は、資本金の額の計上に関する代表社員の証明書を作成し、法務局へ提出しなければなりません。現物出資には、土地や建物などの不動産、車両や機械などの有形固定資産、特許権や商標権などの無形固定資産が含まれます。
資本金の額の計上に関する代表社員の証明書は、上記のような現物出資に対し、法律に則って計上されていることを証明するものです。一方、出資が金銭のみであれば、資本金の額の計上に関する代表社員の証明書の提出義務はありません。
委任状
代表取締役に代わり、会社設立の登記申請を代理人が行う場合、ケースによっては委任状が必要です。本来、会社設立の登記申請は代表取締役の役目です。しかし、多忙であることや健康上の問題があることなど、さまざまな理由で手続きを行えない場合もあるでしょう。
その際は委任状によって、弁護士、もしくは司法書士に会社設立の手続きを依頼可能です。ただし、近年では会社の従業員が申請手続きを代行する場合、委任状が不要なケースも増えてきています。
会社設立の手続きを確実に行いたいのであれば、代行を含め、事前に専門家に相談しましょう。
関連記事:会社設立登記(法人登記)とは?申請の方法や必要な費用などをご紹介
合同会社設立での必要書類一覧
合同会社と株式会社とでは、会社を設立する際に必要な書類が一部異なります。株により出資者を募る株式会社とは違い、合同会社は出資者が自ら経営に関わります。
そのため、合同会社は株式会社のように株主総会を開催して決議を行う必要もありません。会社の意思決定は社員全員の話し合いで行われています。このような特徴を持つ合同会社を設立する際には、次のような書類が必要です。
【合同会社が会社設立する際に必要な書類一覧】
- 会社設立の登記申請書
- 登録免許税の収入印紙貼付台紙
- 定款
- 資本金の払込証明書
- 登記すべき事項を記載した書面かCD-R
- 印鑑届出書
- 代表社員決定書
- 代表社員の就任承諾書
- 代表社員の印鑑証明書
上記の必要書類の中で、株式会社と異なるのが、代表社員決定書・代表社員の就任承諾書・代表社員の印鑑証明書の3つです。会社法上、合同会社での社員はすべて、出資者と経営者を兼ねています。株式会社や中小企業のように、社員=従業員ではない点に注意しましょう。
ただし、合同会社の場合、社員すべてが経営者としての代表権を持っているために、取引先や周囲が責任者を特定できずに混乱することも考えられます。
その際には、定款により代表社員を定めることで、混乱を回避できるでしょう。また、合同会社の場合、作成した定款に認証手続きは必要ありません。
上記のように提出が義務付けられている種類のほかに、合同会社が設立する際、場合によっては必要となる書類を紹介します。
【合同会社が会社設立で必要な場合がある書類一覧】
- 職務執行者の選任に関する書面
- 職務執行者の就任承諾書
- 資本金の額の計上に関する代表社員の証明書
- 委任状
このうち株式会社の設立とは異なる必要書類が、職務執行者の選任に関する書面と職務執行者の就任承諾書です。職務執行者とは、合同会社の代表社員に法律で人格が認められている法人が就き、その法人に変わって業務を行う人を指します。
職務執行者を選ぶ際には、職務執行者の選任に関する書面のほかに、職務執行者の就任承諾書と登記の更新が必要です。この場合、職務執行者は会社以外の第三者でもかまいません。
また、このように代表役員に法人を据え、職務執行者を選任することには、合同会社にとってもメリットがあります。法人にも報酬が発生しますが、個人ではないために給与には該当せず、会社の社会保険料の負担も、所得税の源泉徴収も不要なのです。
説明の通り、合同会社と株式会社では、設立時の必要書類に複数の違いがある点に留意しましょう。
参考:合同会社設立登記申請書(代表社員が法人の場合):法務局
会社設立後に各機関へ提出する必要書類一覧
会社を設立した後にも、経営者はさまざまな機関に対し、届出や手続きを行わなくてはなりません。起業後に必要となる書類を紹介します。
税務署:法人設立届出書
法人設立届出書は管轄の税務署に対し、法人税や消費税などの国税納付が義務付けられている法人を新設立したと、知らせるための書類です。
法人設立届出書は、株式会社や合同会社など、法人の形態を問わずに提出が義務付けられています。そのため必ず提出しなければなりませんが、法人設立届出書の期日は登記日以後2ヵ月以内と定められていることから注意が必要です。
税務署:青色申告の承認申請書
会社を設立した際は、上記の法人設立届出書とともに、税務署へと青色申告の承認申請書を提出しましょう。確定申告には青色申告と白色申告がありますが、税制的に優遇されている青色申告は、青色申告の承認申請書によって承認を受けなければ利用できません。
法人が青色申告の適用を受けると、欠損金の繰越控除、欠損金の繰戻しによる還付、少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例を受けられます。
青色申告を行うことで、もしも赤字が出たとしても、その赤字を最長10年にわたって欠損金繰り越しを行えるのです。その上で、次の事業年度以降の黒字と相殺ができます。
同じく、前事業年度が黒字の場合は、現在の事業年度の赤字分を前年の黒字と相殺可能です。このような仕組みを、欠損金の繰戻しによる還付と言います。また、中小企業者等の常時使用する従業員数が500人以下の場合、青色申告により少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例が適用されます。
少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例は、年間の合計が300万円までであれば、30万円未満の減価償却資産をまとめて経費計上できる制度です。税法上では、原則的に10万円以上の減価償却資産については数年かけて経費計上する必要があるため、特例は青色申告のメリットに数えられています。
ただし、法人税を青色申告するためには、青色申告の承認申請書の提出に加えて、複式簿記で帳簿付けを行うことが義務の1つです。
参考:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁
参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
税務署:給与支払事務所等の開設届出書
給与支払事務所等の開設届出書は、会社が従業員を雇用した際、給与から天引きした所得税を国に納めるため必要な書類です。提出すると、源泉徴収した所得税を納付するための用紙が送付されてきます。
注意したいのが、給与支払事務所等の開設届出書の提出期限が、従業員を雇用してから1ヵ月以内であることです。役員に報酬を支払う場合も、提出が必要です。仮に提出期限に間に合わなかったとしても罰則は設けられていませんが、税務署からは源泉徴収税の納付書が送付されません。
なお、給与支払事務所等の開設届出書の正式名称は給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出で、開設・移転・廃止の3つをすべて兼ねています。記入する際には、開設・移転・廃止のいずれかにチェックマークをつけましょう。
参考:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁
税務署:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書は、原則的に毎月納付する源泉所得税を、年2回にまとめて納付できるように申請する書類です。源泉所得税の納期の特例は、会社が給与を支給している従業員が、常に10人未満である場合に適用されます。
また、この特例は、従業員の給与のほか、退職金や、会社が弁護士・税理士などに支払う報酬でも利用可能です。特例では、1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日までに、7月から12月までの分は翌年1月20日までにまとめて納付できます。
また、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書が適用されるのは、提出した日の翌月に支給する給与からです。
参考:A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁
税務署:適格請求書発行事業者の登録申請書
適格請求書発行事業者の登録申請書は、インボイス(適格請求書)を交付できる事業者の登録申請をする際に必要な書類です。
簡単に言えば、インボイス登録をするための手続きと言い換えができます。適格請求書発行事業者の登録申請書は義務ではありませんが、取引先からインボイスを求められるケースがあるため提出した方がいいでしょう。
適格請求書発行事業者としてインボイスを発行・保存することで、消費税の仕入額控の適用を受け、二重課税を回避可能です。なお、適格請求書発行事業者の登録申請書には特に期日が設けられていません。
そのためいつでも提出はできますが、登録通知が返ってくるまでには、1ヵ月から1ヵ月半ほどの期間を要します。そのため、インボイスを登録する場合は、会社を設立した後なるべく早めに行いましょう。
参考:D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁
都道府県税事務所・市町村役場:法人設立・設置届出書
地方税を納めなくてはならないことから、都道府県・市町村に対して会社設立を通知するため、法人設立・設置届出書の提出が必要です。
会社設立に伴い、国税を納める税務署には法人設立届出書を、地方税を納める都道府県税事務所・市町村役場には法人設立・設置届出書を提出します。
合計3ヵ所に通知しなければならないことを把握しておきましょう。ただし、東京23区の場合、提出は税務署への法人設立届出書と、都税事務所への法人設立・設置届出のみです。区役所に法人設立・設置届出を出す必要はありません。
また、税務署に提出する法人設立届出書は登記後2ヵ月以内と期日が定められていますが、法人設立・設置届出は各地方自治体ごとに期日が異なるため事前に確認しましょう。
年金事務所:健康保険・厚生年金保険 新規適用届
健康保険・厚生年金保険の加入条件に該当している強制適用事業所は、健康保険・厚生年金保険 新規適用届を提出しなければなりません。
強制適用事業所とは、法律で加入が定められている法人や個人事業主を指します。法人の場合は、事業主を含めて従業員が1名でも在籍していれば強制適用事業所です。そのため、ほぼすべての株式会社が強制適用事業所の対象です。
健康保険・厚生年金保険 新規適用届の提出期限については、会社が加入条件に該当してから5日以内と定められています。
年金事務所:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届は、会社が従業員を雇用し、新たに健康保険・厚生年金保険への加入しなければならないとき、年金事務所に提出する書類です。
この届出により、従業員は健康保険や厚生年金の被保険者となり、健康保険を使用したり、厚生年金を受給可能になったりします。
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届の届出は、従業員を雇用してから5日以内が期限です。
年金事務所:健康保険被扶養者(異動)届
健康保険被扶養者(異動)届は、従業員の配偶者や子供が、被扶養者として追加されたり削除されたり、氏名を変更した場合などに提出します。
被扶養者の追加・削除・氏名変更があった際には、その事実発生から5日以内に年金事務所に届け出ましょう。健康保険被扶養者(異動)届を提出し、認定されると、対象となる配偶者や子供も扶養家族として従業員の健康保険に加入できます。
労働基準監督署:労働保険 保険関係成立届
労働保険 保険関係成立届は、労働保険の適用事業となった際、所轄の労働基準監督署に提出する書類です。法人の場合は業種や従業員数に関わらず、すべての株式会社が労働保険の強制適用事業所に該当します。
たとえ従業員を雇用せず、事業主1名だけの会社であっても例外ではありません。また、労働保険 保険関係成立届には期日が設けられています。会社が従業員を1名でも雇用した際には、10日以内に所轄の労働基準監督署に書類を提出しましょう。
労働基準監督署:労働保険 概算保険料申告書
株式会社は労働保険の強制適用事業所に該当します。従業員を雇用した場合はめ事業年度末までに、従業員に支払う賃金の見込み総額をもとにした概算保険料を算出し、申告・納付しなければなりません。
その際、労働基準監督署に提出する書類が労働保険 概算保険料申告書です。労働保険料は、このときの概算保険料をもとに、次年度分の保険料を仮払い、つまり前払いします。
ただし、実際の保険料と仮払いした保険料には差が出ることもあるため、年度更新という手続きで保険料の過不足を精算します。また、年度更新では、次の事業年度の保険料の仮払いも同時に行います。年度更新は、毎年6月1日から7月10日が実施期間です。
労働基準監督署:就業規則(変更)届
会社が就業規則を変更した際には、就業規則(変更)届を労働基準監督署に提出しなければなりません。常に10名以上の従業員が在籍している会社は、労働基準法で、賃金や労働時間などの労働条件を記した就業規則の作成が義務付けられているためです。
また、この就業規則(変更)届には、労働組合、もしくは従業員の過半数の代表者による意見書も添付する必要があります。
就業規則を変更する理由として挙げられるのは、労働に関する法律の改正や、会社の経営状況や規模・形態の変化による労働条件の見直しなどです。
労働基準監督署:適用事業報告書
従業員を雇用した会社が労働基準法の適用対象となった際は、管轄の労働基準監督署にその事実を報告しなくてはなりません。
株式会社は労働保険の強制適用事業所に該当します。そのため、労働保険に関するさまざまな手続きとともに、適用事業報告書の提出が必要です。
ハローワーク:雇用保険適用事業所設置届
設立後、雇用保険の被保険者となる従業員を1名でも雇用すると、会社は雇用保険の適用事業所とみなされます。その際には、ハローワークに雇用保険適用事業所設置届を提出しましょう。
雇用保険適用事業所設置届は、従業員を雇用した日の翌日から10日以内が提出期限です。ただし、ハローワークに雇用保険適用事業所設置届を提出するのは、労働基準監督暑に労働保険 保険関係成立届の出した後でなければなりません。
理由は、雇用保険適用事業所設置届を提出する際に、労働基準監督署の受付印が押された労働保険 保険関係成立届が必要なためです。
ハローワーク:雇用保険被保険者資格取得届
会社が従業員を雇用した際には、雇用保険に加入するため、ハローワークへと雇用保険被保険者資格取得届を提出しましょう。
その際の雇用保険への加入条件は、従業員の1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上にわたって雇用される見込みがある場合です。
所定労働時間とは、会社が就業規則によって定めている労働時間を指します。上記の条件を満たしていれば、正社員・派遣・パート・アルバイトを問わず、雇用保険に加入する義務があるのです。
雇用保険被保険者資格取得届の提出期限は、従業員を雇用した月の翌月10日までとされています。
税理士に相談して会社設立をスムーズに進めよう!
最後まで記事を読んでくださったのであれば、会社設立に伴う必要書類の多さに驚かれた方もいるのではないでしょうか。数々の手続きと平行し、経営や事業の将来を考えながら起業することに、不安を覚える場合もあるでしょう。
実際に、会社設立のために必要な書類を作成したり、提出や届出を行うだけでも負担は発生します。そこで、経営・事業に集中するためにも、会社設立に伴う手続きについては専門家や代行サービスの利用がおすすめです。
私たち小谷野税理士法人では、創業融資・助成金・補助金の活用支援を含め、会社設立のサポートを行っています。
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