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総合課税と分離課税の違いとは?違いをわかりやすく解説

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総合課税と分離課税の違いとは?違いをわかりやすく解説

所得税の計算方法には、総合課税と分離課税があります。総合課税とは、給与や事業所得、不動産所得などを合算し、総所得に累進課税が適用される税制の方式です。総合課税は所得が多いほど税率が高くなる仕組みで、所得が増えると税負担も増加する特徴があります。一方、分離課税は特定の所得を他の所得と分けて、税額を計算する方式です。本記事では、総合課税と分離課税の違いや対象となる所得、税額計算の方法などを解説します。

総合課税と分離課税とは?

税のイメージ

所得税の課税方法には総合課税と分離課税があり、それぞれ課税対象の所得や税率などが異なります。自分の所得に適用される税率や税金の計算方法を把握するには、それぞれの課税方法を理解する必要があります。総合課税と分離課税の特徴を確認しましょう。

総合課税とは?

総合課税とは、給与や事業所得などの所得を合算して課税する仕組みです。所得が多いほど高い税率が適用される累進課税が特徴で、所得が増えると税負担が重くなる傾向にあります。

参考:No.2220 総合課税制度|国税庁

分離課税とは?

分離課税は、特定の所得を他の所得と分離して税金計算を行う課税方式です。株式の譲渡所得や退職所得などが対象で、給与所得や事業所得などとは別に扱われ、適用される税率も異なります。

分離課税には源泉分離課税と申告分離課税の2種類があるので、それぞれの内容も見ていきましょう。

源泉分離課税とは?

源泉分離課税とは、特定の所得が支払われる際に、あらかじめ税金が差し引かれる方式を指します。源泉分離課税では、納税手続きを行う必要がありません。

源泉分離課税の対象となるのは利子所得や配当所得などであり、これらの所得は受け取る時に所得税15.315%、住民税5%が天引きされています。

参考:No.2230 源泉分離課税制度|国税庁

申告分離課税とは?

申告分離課税では、特定の所得を得た人自身が確定申告を行う必要があります。申告分離課税は株式の譲渡所得や不動産の譲渡所得などが対象になります。

確定申告を通じて税額を計算し、納税しなければなりません。例えば、株式取引においては譲渡収入から必要経費を差し引いて得られた利益に課税されます。

参考:No.2240 申告分離課税制度|国税庁

総合課税と分離課税の比較

総合課税と分離課税では、対象となる所得や確定申告への対応方法が異なります。同じ所得でも内容に応じて課税方式が定められているため、税制を正しく理解して適切に対応しましょう。

対象となる所得の違い

総合課税と分離課税では、対象となる所得の種類が異なります。

10種類の所得は、以下の通りです。

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

上記の所得のうち、総合課税の対象となる所得、分離課税の対象となる所得を紹介します。

参考:No.1300 所得の区分のあらまし|国税庁

関連記事:一時所得と雑所得はどう違う?10種の所得区分や確定申告の必要性について解説

総合課税の対象となる所得とは

総合課税の対象となる所得は、以下の通りです。

  • 利子所得(国外の銀行口座の利子など)
  • 配当所得(上場株式などの配当は申告分離課税も選択可能)
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 譲渡所得(ゴルフの会員権や金地金の譲渡など)
  • 一時所得(生命保険の一時金や懸賞の賞金品など)
  • 雑所得(公的年金や原稿料、講演料など)

上記の所得は、合算した総所得金額に基づいて所定の税率が適用されます。

分離課税の対象となる所得とは

分離課税の対象となる所得は、以下の通りです。

  • 利子所得(預貯金の利子など)
  • 配当所得(上場株式などの配当で選択可能)
  • 事業所得(事業として行う株式譲渡や先物取引など)
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得(不動産や株式の譲渡など)
  • 一時所得(保険期間5年以下の一時払い養老保険金など)
  • 雑所得(先物取引に関連する所得など)

分離課税の対象となる所得は、特定の条件下で得られるものが中心です。例えば、不動産を売却した場合の譲渡所得には、売却益から必要経費や取得費を差し引いた額に税率を適用します。

分離課税の対象となる所得には一定の税率で課税されるため、高税率を避けられるケースが多いです。総合課税と分離課税の違いを理解すれば、税負担をよりコントロールできる可能性が高まるでしょう。

確定申告における違い

総合課税と分離課税では、確定申告への対応が異なります。まず、総合課税は原則として確定申告が必要です。

給与所得や事業所得、雑所得などの所得を合算して申告する必要があります。その際、収入源が多い場合や複数の所得がある場合には、明細書や関連書類の提出が求められることもあります。

一方、分離課税に該当する所得は、源泉分離課税の場合は確定申告は不要、申告分離課税の場合は確定申告が必要です。源泉分離課税の場合は所得を受け取る際に税金が天引きされているためです。

自分の所得がどの課税方式に該当するかを確認した上で、適切に対応しましょう。

申告分離課税の対象となるケース

分離課税

申告分離課税の対象となるのは、主に株式の譲渡所得や不動産売却による譲渡所得です。また、配当所得も申告分離課税の選択が可能です。申告分離課税となるケースを詳しく確認しましょう。

株式の譲渡所得や配当所得

申告分離課税の代表例として、株式の譲渡所得があります。株式を売却して得た所得は、他の所得と合算されずに分離して課税されます。

株式の譲渡所得の計算方法は、以下の通りです。

株式の譲渡所得=売却金額(譲渡収入)-株式の取得費用や売却手数料など譲渡にかかる費用

また、上場株式等の配当所得についても、申告分離課税の選択が可能です。申告分離課税を選択すれば、上場株式等の譲渡損失と損益通算を行えます。

ただし、申告分離課税を選択すると配当控除は適用できなくなるため、自身の状況に応じて節税効果が見込める方式を選択すると良いでしょう。

関連記事:株式の譲渡所得は確定申告する?特定口座なら申告が不要な場合も

関連記事:株の損失は確定申告でお得?節税のための損益通算・繰越控除について

不動産譲渡による譲渡所得

不動産の譲渡によって得られる譲渡所得も申告分離課税の対象です。不動産の譲渡所得にかかる税率は、長期譲渡所得か短期譲渡所得かに応じて異なります。

具体的には、譲渡する不動産の所有期間が、譲渡した年の1月1日時点で5年を超えれば長期譲渡所得、5年以内であれば短期譲渡所得になります。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。

区分

所得税

住民税

長期譲渡所得

15%

5%

短期譲渡所得

30%

9%

ただし、マイホームの売却や譲渡対象が国などであれば、税率が軽減される場合があります。不動産の譲渡所得に適用する税率は個別ケースに応じて異なり、計算も複雑であるため、必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。

小谷野税理士法人では、不動産に関する税務相談にも対応していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

関連記事:投資用不動産を売却した時にかかる税金の種類や計算方法、節税対策について

総合課税と分離課税の計算方法

総合課税と分離課税では、税金の計算方法が異なります。正確な税額を把握するには、自身の所得や経費を正確に把握した上で、適切な方法での計算が必要です。総合課税と分離課税における所得税の計算方法を解説します。

具体例を用いた計算方法

総合課税と分離課税では、所得税の計算方法が異なります。総合課税では所得を合算し、合計金額に応じた税率を適用して税金計算をします。総合課税における所得税額の計算式は、以下の通りです。

所得税額=(総合課税の対象となる所得の合計ー所得控除)×所得税率ー税額控除

例えば、以下の所得がある人のケースを考えます。

  • 給与所得:500万円
  • 不動産所得:100万円
  • 事業所得:200万円

上記の場合、所得の合計は800万円です。仮に所得控除が200万円、税額控除が0の場合の所得税額は以下の通りです。

所得税額=(800万円-200万円)×5〜20%-0=77万2,500円

所得税率は超過累進税率が採用されているため、所得金額が上がるにつれて段階的に税率も上がります。

一方、分離課税の計算は総合課税とは異なります。例えば、株式の譲渡所得における所得税の計算方法を見ていきましょう。条件は以下の通りです。

  • 株式を売却して得た譲渡益:50万円
  • 取得費:30万円

上記の場合、譲渡所得は譲渡益から取得費を差し引いた20万円です。この20万円に15%の所得税率を適用し、所得税額を計算します。

所得税額=20万円×15%=30,000円

分離課税では他の所得と合算せず、個別に税額計算をする点を押さえておきましょう。また、分離課税・申告課の税双方とも、所得税には復興特別所得税が課されます。

関連記事:【税理士監修】累進課税の税率は?目的や種類も解説

確定申告での計算ポイント

確定申告においては、総合課税と分離課税それぞれの課税方式を理解し、正確な申告を行う必要があります。総合課税では給与や所得明細を正しく記載し、所得控除を最大限活用するのがポイントです。

医療費控除や寄附金控除などを適切に計算すれば、税負担を軽減できます。また、控除を適用する際は、該当する領収書などの書類を必ず準備しておきましょう。

一方、分離課税では、他の所得や課税方法と混同しないことが大切です。分離課税の税率は所得金額に関わらず一律で定められているため、税率に基づく正確な計算が必要です。

確定申告書の作成時には関連する領収書や添付書類を漏れなく準備し、必要な情報を正しく提出する必要があります。以上の点に注意しながら準備を進めれば、税務トラブルなくスムーズに申告を行えます。

まとめ

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税金計算においては総合課税と分離課税の違いを理解し、自身の所得に応じて適切な課税方式を選択の上、申告することが大切です。

総合課税は所得を合算し、総所得金額に基づいて税金を計算する方式で、給与所得や事業所得、不動産所得などが対象です。所得税には超過累進税率が適用されるため、収入が多いほど税負担も増えますが、控除を上手に活用すれば、税負担の軽減につながります。

分離課税は特定の所得を独立して計算する方式であり、主に株式譲渡や不動産譲渡による所得が対象です。分離課税は特定の一時的な所得を通常の所得と分けることで、税負担をコントロールできる点が特徴です。

それぞれの課税方式には異なる計算方法や税率が適用されるため、確定申告時には正確な計算を行いましょう。税金や確定申告のご相談なら、ぜひ「小谷野税理士法人」にお任せください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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