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会社設立の基礎知識

ホームページ制作やシステム導入で活用できるIT向け補助金・助成金

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ホームページ制作やシステム導入で活用できるIT向け補助金・助成金

IT化が進む現代において、販路拡大や社会的信用度の確保など、あらゆる局面で重要な役割を持つホームページ。様々なSNSや動画メディアが普及している中、今もなおホームページはビジネスに欠かせないツールとなっています。しかし、ホームページの立ち上げやリニューアルには多額の費用を要することから、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。そこで是非とも活用していただきたい制度が、補助金・助成金です。この記事では、ホームページ制作やシステム導入で活用できる補助金について詳しくご紹介していきます。

ホームページ制作・システム導入にも補助金・助成金は使える?

国や地方自治体が用意している補助金・助成金には、ホームページ制作やシステム導入にかかる経費を支援する制度があります。しかし、様々な支援制度が用意されていることを知らず、全額自社負担でホームページを制作してしまったり、システムの導入・入れ替えを企業も少なくありません。しかし、補助金や助成金を有効活用することができれば、コスト面での負担を大幅に抑えることが可能です。

例えば、コーポレートサイトの制作を依頼した場合、50万円~300万円程度の費用が必要となります。仮に制作費用が60万円だったとしても、対象経費の2/3を補助金でまかなうことができれば、約20万円の負担額でサイト制作を依頼することができます。

働き方改革やコロナ禍による影響で、WebサービスやITツールの導入が活発化している昨今において、これらの取り組みを推進する様々な事業が実施されています。ホームページ制作・WEB制作を検討している場合は、要件に該当する補助金・助成金がないかチェックしておきましょう。

補助金・助成金はどう違う?

国や地方自治体によって実施されている補助金と助成金。両制度とも返済の必要がなく、新たな資金調達の選択肢として注目を集めています。では、補助金と助成金には一体どのような違いがあるのでしょうか。

 

助成金

補助金

管轄

厚生労働省

地方団体

経済産業省

地方自治体

目的

雇用・労働環境の整備

経済の活性化等

受給条件

要件を満たせば受給可能

要件を満たしても

受給できない場合がある

申請期間

随時もしくは長期間

数週間~1か月程度

受給額

数十万円~数百万円

数百万円~数億円

財源

雇用保険

税金

補助金は、経済産業省や地方自治体が政策目的を達成するために、中小企業等に対して事業支援を行う制度です。また、補助金の交付を受けるためには申請要件を満たすだけでなく、制度趣旨に沿った取り組みを行っていることを事業計画書内でアピールする必要があります。支給目的

や採択件数等が明確に定められているため、必ずしも採択されるわけではありませんが、補助額の規模が大きい点が特徴です。

一方、助成金は主に厚生労働省や地方団体が管轄する制度です。中小企業等が雇用・労働環境の整備に自ら取り組む場合に、その経費を一部助成する目的で交付されます。補助金に比べて規模は小さくなっていますが、申請要件を満たしていれば基本的に受給できる点が魅力です。募集期間も長い傾向にあるため、比較的利用しやすい制度といえるでしょう。

補助金・助成金の知っておきたいポイント

申請書の事前準備が必要

補助金・助成金にはそれぞれ申請要件が定められており、目的に沿った必要書類を作成していかなければなりません。特に補助金では、政策目的に沿った内容であることや、実現可能で具体的な事業計画であることが求められます。合理的な事業計画を策定するために、自社の経営課題や市場分析、資金計画を改めて検討するなど、入念に事前準備を行うことが重要なポイントです。

また、策定した事業計画に沿ってスムーズに事業を進めていくためには、社内体制の整備や綿密なスケジュール管理も重要になります。申請の際は公募要領をしっかりと確認し、少しでも採択率を上げられるよう事前準備を進めていきましょう。

申請しても受理されるとは限らない

上述のとおり、補助金には予算や採択件数等が明確に定められており、政策目的に沿った事業内容であることが見込まれなければ、採択されることは困難となります。また、募集枠や応募数に比例して採択率も変動するため、必ずしも補助金を受給できるとは限りません。補助金の種類や募集時期も採択率に影響を及ぼすため、予測はさらに難しくなっています。

一方で、助成金は申請要件を満たし、きちんと必要書類を揃えて申請することができれば、基本的に交付を受けることが可能です。よって、助成金の目的となる雇用や労働環境への取り組みを継続的に行うことができれば、定期的な収入が見込めることになります。

これらのポイントを押さえたうえで、慎重に事業計画を策定していくことが重要です。

実績を報告した「後」に支給される

補助金・助成金は、無事交付決定を受けたとしても、すぐに支払われるわけではありません。基本的には対象経費の契約・支払いを先に行い、事業期間終了後に交付請求手続きを行う「後払い制」となっています。つまり、受給した金銭をすぐに事業資金として充てることはできず、いったん自社で立て替えておく必要があります。

申請した事業総額を事前に用意しておかなければならない点は、資金計画を練るうえで注意すべきポイントです。

支出時期に注意

多くの場合、補助金・助成金では事業期間が定められています。各施策によっても異なりますが、交付決定後の数か月間が事業期間として定められることが一般的です。この事業期間に支出した経費以外は、支援対象外となるケースがあるため注意しましょう。

例えば、事業期間が5月1日~11月30日だった場合、4月30日や12月1日に支出した経費については対象外となる可能性が高くなります。さらに、事業期間は年度末よりも若干早めに設定されるケースが多いため注意が必要です。補助金・助成金を活用する場合には、対象経費の支出時期を事前に確認しておきましょう。

適切な事務処理を行う必要がある

事業期間中に対象経費の契約・支払いを終えると、いよいよ交付請求手続きにうつります。その際に報告書や支払証明書等を提出する必要があるのですが、これらの書類に不備や目的外の支出などが見つかった場合、支払いを拒否される可能性があります。

例えば、商品の試作に要する経費について申請を行ったとしましょう。このケースでは、商品を量産する機械の導入費用は対象外となる場合がほとんどです。実際に、試作にかかる経費として量産用機械を購入したことで、支払いを拒否された例もあります。

公募要領に記載された対象経費等をしっかりと確認し、適切に事務処理を行うことが重要です。

受給後に検査が入る可能性がある

補助金・助成金は、受給次第そこで終了というわけではありません。受給した企業によっては、会計検査院による検査が入る可能性があります。不正受給によって逮捕されるケースも多発しているため、厳格な検査が行われる傾向にありますが、きちんと事務処理を行ったうえで正当な目的の支出をしていれば何の問題もありません。検査が入った場合にも落ち着いて対応できるよう、証明書類等はきちんと整理しておきましょう。

ホームページ制作・システム導入で活用できる補助金・助成金まとめ

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業等がITツールを導入することで、業務効率化や生産性アップを目的とした取り組みを行うことを支援する制度です。正式には「サービス等生産性向上IT導入支援事業」と呼ばれ、ホームページの作成や業務システムの導入費用などが対象経費となります。ただし、単にホームページを作成するだけでは補助対象とならず、営業システムや顧客管理システムと連携したホームページを作成する必要がある点に注意しましょう。その他に、クラウドやソフトウェア利用料、PCやタブレットなどのハードウェア導入費用も対象経費に含まれています。

また、補助額は対象となる枠組みによって異なり、次のとおりとなっています。

類型

区分

補助額

補助率

通常枠

A型

30万円~150万円

1/2

B型

150万~450万円

デジタル化基盤

導入枠

ITツール導入

50万円~350万円

2/3~3/4

ハードウェア導入

10万円以内

1/2

複数社連携

IT導入類型

基盤導入

5万円~350万円

2/3~3/4

消費動向等分析

50万円×事業者数

2/3

セキュリティ対策推進枠

サービス利用

5万円~100万円

1/2

ITツールの導入やホームページ作成を検討している場合は、積極的に活用していきたい補助金となっているため、公募要領をしっかりと確認しておきましょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等が作成した経営計画にもとづき、販路開拓や業務効率化に取り組む際に必要となる経費を支援する制度です。少人数で経営を行う企業や個人事業主、NPO法人などを対象とし、新たな販路開拓を目的としたホームページの制作・改修・運用などにかかる経費について補助を受けることが可能です。本補助金には様々な類型が設けられており、補助内容は以下のとおりとなっています。

類型

補助上限額

補助率

通常枠

50万円

2/3

賃金引上げ枠

200万円

卒業枠

200万円

後継者支援枠

200万円

創業枠

200万円

インボイス枠

100万円

なお、申請する枠組みによっては、特定の条件を満たすことで補助率等の引き上げを受けられる場合があります。また、提出する経営計画等は、商工会議所の指導の下で作成しなければなりません。ホームページの作成やリニューアルを検討している場合は、本補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、事業転換・業種転換・業態転換・新分野展開・事業再編など、中小企業等が取り組む新たな挑戦に要する経費を支援する制度です。長期化しているコロナ禍や円安による物価の高騰などの変化に対応するため、日本経済の構造転換を図ることを目的として成立しました。多くの中小企業等が苦境に立っている中、大規模な予算が組まれていることからも注目の補助金事業となっています。

補助内容は、事業形態や従業員数によって異なっており、6つの類型に分類されています。

類型

補助額

補助率

通常枠

100万円~8,000万円

中小企業等 2/3

中堅企業等 1/2

大規模賃金引上枠

8,000万円~1億円

中小企業等 2/3

中堅企業等 1/2

回復・再生応援枠

100万円~1,500万円

中小企業等 3/4

中堅企業等 2/3

最低賃金枠

100万円~1,500万円

中小企業等 3/4

中堅企業等 2/3

グリーン成長枠

100万円~1億5,000万円

中小企業等 1/2

中堅企業等 1/3

緊急対策枠

100万円4,000万円

中小企業等 3/4

中堅企業等 2/3

この表からもわかるとおり、補助内容が非常に充実している点が魅力となっています。なお、補助額が高額になった場合、一定の額を超える部分に関しては補助率が引き下げられる類型もあるため注意が必要です。また、WebサイトやECサイトの立ち上げも対象経費に含まれており、様々な業種での活用が期待できます。

事業再構築補助金は魅力的な制度である反面、公募要領が非常に複雑になっていますので、内容がよくわからない場合は専門家への相談をおすすめします。

地方自治体の提供する補助金・助成金

各省庁が実施している補助金・助成金以外に、中小企業等を管轄する地方自治体によって用意された制度もあります。各地方自治体ホームページの他、「ミラサポPlus」や「J-Net21 中小企業基盤整備機構 支援情報ヘッドライン」などのサイトで補助金・助成金を検索することが可能です。

なお、補助金・助成金によっては、既に他の制度で支援を受けている場合は対象外となるケースもあります。また、国が実施している補助金・助成金の交付決定を受けたうえで申請することによって、給付額が上乗せされるケースもあるなど、各施策によって内容は様々です。これらの制度を活用する場合には、公募要領をしっかりと把握しておくことが重要です。

ホームページ制作・システム導入に関する補助金・助成金については専門家へのご相談を

今回は、補助金・助成金に関する基礎知識から、実際にホームページ制作・システム導入で活用できる代表的な制度をご紹介してきました。

導入に高額なコストが必要となるホームページ制作等も、これらの制度を活用することによって大幅に負担を抑えることが可能です。各制度によって申請要件や対象事業が異なるため、自社に適した内容であるかをしっかりと検討しましょう。
また、公募要項が複雑で手続きが不安という方は、信頼できる専門家も有効活用してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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