0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

職場(つみたて)NISA導入で節税?メリット・デメリット解説!

公開日:

職場(つみたて)NISA導入で節税?メリット・デメリット解説!

職場つみたてNISAを導入すると節税効果が期待できます。本制度は従業員の福利厚生の1つです。従業員自ら老後や将来の生活資金の準備を進めてもらえるため、帰属意識を高めるなどの効果も期待できます。今回は、職場つみたてNISAで節税できる理由やiDeCo・NISAとの違い、メリットとデメリットを解説します。最後まで読めば、職場つみたてNISAの導入効果を理解できるでしょう。

職場つみたてNISA導入で節税できる

NISA つみたてNISA

職場つみたてNISAとは、福利厚生の一環として、NISA活用による従業員の資産形成のサポートが目的の制度です。本制度を活用する従業員に対しては、賃上げ促進税制の対象である奨励金を給付・控除できるため、企業にとっては節税効果が期待できます。

賃上げ促進税制とは、前年度よりも給与などをアップさせた場合、以下の通り法人税か所得税から税額控除できる制度のことです。

  • 中小企業:最大45%
  • 大企業:最大35%

賃上げ促進税制の対象者は以下に示します。

  • 中小企業:青色申告する中小企業者か従業員数1,000人以下の個人事業主
  • 中堅企業:青色申告する従業員数2,000人以下の企業か個人事業主
  • 大企業:青色申告する全企業

賃上げ促進税制の対象となる給与などについて、会計上の処理方法は定められていません。奨励金を福利厚生費として処理している場合も、賃上げ促進税制の対象です。

職場つみたてNISAは福利厚生を目的とするものの、企業にとっても節税効果などの恩恵を受けられる制度だといえます。人材不足や物価上昇などが進む昨今において、積極的に導入を検討したいところです。

関連記事:賃上げ促進税制のメリットとは?中小企業が知るべき要件や注意点を解説

職場つみたてNISAと一般NISAとの違い

本制度と一般NISAとの違いは、非課税期間や枠、給与天引きや株式投資の可否などの点です。

一般NISA

職場つみたてNISA

非課税期間

5年

20年

非課税枠

120万円

40万円

天引き

不可

可能

株式投資

可能

不可能

令和5年度税制改正大綱での改正以前、NISA口座は1人につき1口座と限定されていました。2024年に新NISAに制度変更されたため、職場つみたてNISAは成長投資枠とつみたて投資枠を併用できます。

つみたて投資枠

成長投資枠

非課税期間

無制限

年間投資枠

120万円

240万円

非課税限度枠

1,800万円(成長枠はうち1,200万円)

対象

一定の投資信託など

上場株式等

職場つみたてNISAの場合、従業員に対して資産形成の目的やリスク、金融商品の概要などの金融教育をすることが求められます。従業員の中には、今後の資産運用・形成について漠然とした不安を抱えている方もいるでしょう。

一方、自分でお金に関する情報を入手したりNISA口座を開設したりするのは時間や労力が必要で、最初のハードルは高く感じやすいといえます。職場で本制度を導入すると、従業員の資産形成のみでなく、金融リテラシーを高めるサポートもできるでしょう。

関連記事:新NISAの配当金に税金は課せられる?配当金と配分金の違いについても解説

参考:「職場つみたてNISAのご案内」日本証券業協会

職場つみたてNISAとiDeCoとの違い

iDeCoとは確定拠出年金といわれ、自分で掛け金を運用し、老後の資産を作る私的年金制度のことです。公的年金とは異なり、任意で申込をしたり、掛け金の拠出などを自分でしたりするのが特徴です。職場つみたてNISAとの違いは以下の表にまとめました。

職場つみたてNISA(つみたて投資枠)

iDeCo

所得控除

なし

小規模企業共済等掛金控除

限度額

年120万円

加入者の状況による

  • 自営業者など:月68,000円
  • 会社員など:月23,000円

運用益

非課税

非課税※受取時に課税

優遇措置

売却益の非課税

  • 年金受取:公的年金控除
  • 一時金受取:退職所得控除

対象

20歳以上の役職員

20歳以上65歳未満の公的年金加入者

引き出すタイミング

いつでも

60歳以降

商品

  • 上場株式
  • 株式投資信託など
  • 投資信託
  • 定期預金
  • 保険商品

本制度とiDeCoの特に顕著な違いは、積立金を引き出せるタイミングです。iDeCoの場合、積立金を引き出せるのは原則として60歳以降です。

一方、本制度では好きなタイミングでお金を引き出せるため、いざというときも安心できるでしょう。

関連記事:iDeCoを活用した節税とは?いくら節税できる?効果的な運用方法・シミュレーション・注意点などをご紹介

企業で職場つみたてNISA導入のメリット

つみたてNISA

本制度の導入による従業員・企業のメリットについては、以下の表にまとめます。

【従業員】

途中で売却できる

  • 急な出費が生じたときも、金融商品を売却することによってお金に換えられる
  • 売却時の手数料はいらない

給与天引きで積立できる

  • 購入金額や購入タイミングなどを常に考える必要がない
  • 継続すると自動的に資産形成につながる可能性が高い
  • 退職金がない場合でも、従業員自ら将来の生活資金を用意できる

売却益や分配金などは非課税

  • 通常は20.315%が課される
  • 非課税の枠内の場合、納税額が増える心配は不要である

少額から始められる

  • 月1,000円単位で積立できる
  • 毎月自由に使えるお金が限られている従業員にとっても、始めるハードルが低くなりやすい
  • 個人で証券口座を開設したあとで始める場合よりも、コスト面で優位になりやすい
  • リスクを分散しながら長期的な投資ができる

【企業】

導入コストがかからない

  • 初期費用の心配をする必要がない
  • 福利厚生制度を充実させられる
  • 導入後のアテンドなども、業者に対応してもらえる

従業員の金融リテラシーをあげられる

説明会やeラーニングなどで、業者から情報を提供してもらえる

従業員の帰属意識をあげられる

  • 奨励金として積立金の一部を補助すると、会社に所属する意義を感じてもらえる可能性がある
  • 従業員は老後や生活資金の準備を進められるため、会社に対して信頼度を高める効果が期待できる

本制度の導入には、従業員のみでなく企業にとってもメリットがあると分かります。従業員満足度を高めると会社に貢献する意欲が高まり、より大きな成果を企業へもたらしてもらいやすくなるでしょう。

企業で職場つみたてNISA導入のデメリット

本制度を導入するとメリットを得られる一方、デメリットもあると知っておくのがポイントです。

本制度のデメリットは以下の表にまとめました。

【従業員】

運用による損失が出る可能性がある

  • 利回りや配当が保証されていない
  • 商品ごとにリスクは異なる
  • 事前に商品ごとの目論見書などをよくチェックする必要がある
  • 短期運用の場合、元本割れのリスクが高くなる傾向にある

商品が限られる

  • 契約する業者によって扱う金融商品が異なる
  • 従業員が利用したいと感じる金融商品がない可能性もある

【企業】

想定する効果が出ない可能性がある

  • 従業員の金融リテラシーや帰属意識の向上の効果が期待できるものの、確実性はない
  • 人材確保を期待していたものの、退職者が出るケースがある※支給済みの奨励金は返還してもらえない

市場の動きなどに影響を受けるため、本制度の運用によって100%利益を得られるとはいい切れません。期待したような効果が出るのかについては、実際にやってみないと分からない部分があります。

職場つみたてNISAの導入企業例

専門家に相談をする男性

本制度を導入した企業の事例として、大分県に事業所を構える清松総合鐵工株式会社があげられます。建物の駆体となる鉄骨の設計や加工・組み立てなどを事業にしています。

本制度を導入したきっかけは、大分県民の金融リテラシーの低さについて書かれてある新聞記事でした。「少なくとも自社の社員の金融リテラシーを向上できれば」と、社長の清末(以下、清末さん)さんが考えていたタイミングで、本制度の概要を知ります。

野村證券の担当の方に何度も勉強会を開催してもらい、希望者全員の登録に成功しました。

始めたばかりではあるものの、社員の帰属意識や金融リテラシーを高められたのではないと清末さんは話しています。

本制度の導入による投資を通し、目標金額を達成できると、従業員は新たな夢や目標を作る土台となることを清末さんは期待しています。

参考:「【大分銀行x野村證券】職場つみたてPLUS-Vol.1ー」清松総合鐵工株式会社

職場つみたてNISA導入の流れ

本制度を始めるまでの流れは、具体的に以下の通りです。

  1. 本制度の導入を検討後、取扱業者と契約を結ぶ
  2. 労使間の契約を見直す
  3. 説明会などに参加し、制度の概要を学ぶ
  4. 口座開設書類など、必要な書類を業者に提出する
  5. NISA口座が開設される
  6. 従業員に申込書を提出してもらい、業者に提出する
  7. 業者から契約内容などが書かれてある目論見書などが交付される
  8. 給与天引きか口座引き落としによって、業者に資金を送る
  9. 業者から投資信託などを買い付ける

本制度の導入にあたり、企業は業者と契約したり、従業員との間で利用規約を設けたりする必要があります。利用規約に記載したい項目は以下に示します。

  • 参加資格
  • 月の拠出金額
  • 拠出方法
  • 金融経済教育など

導入までの流れを知っておくと、スムーズに対処できるでしょう。

参考:「職場つみたてNISAのフロー図(例 天引き方式)」日本証券業協会

節税対策は税理士へ

職場つみたてNISAで節税できることや、一般NISA・iDeCoとの違い、導入のメリット・デメリットなどを解説しました。福利厚生として職場つみたてNISAを導入すると、従業員満足度や帰属意識を高め、業績の向上によい影響を与える可能性があります。

退職金制度を導入するかわりに、本制度の導入を検討するのも1つの方法です。市場の値動きなどによっては損失を被る可能性があるなど、デメリットを把握しておくと後悔を未然に防げます。

事業者の中には、資金繰りを改善するために、効果的な税金対策や節税サポートを受けたいと考えているケースもあるでしょう。正しい節税をするうえで、税理士へ依頼すると効果的です。

小谷野税理士法人は、中小企業様から上場企業様まで4,000社以上サポートしてきた実績があります。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

関連記事:【税理士監修】法人が税理士に依頼する費用の相場はいくら?依頼内容別の相場と費用を抑えるポイントをご紹介!

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談