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法人成りした年の確定申告は必要?流れや成功させるコツを解説

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法人成りした年の確定申告は必要?流れや成功させるコツを解説

個人事業主から法人成りをした場合、その年に確定申告が必要なのかお悩みの方も多いと思います。法人成り後の確定申告の方法やポイントが分かっていれば、その後の手続きもスムーズに進められて事業も本格始動できるでしょう。本記事では、法人成りした年の確定申告の必要性や成功のポイントについて解説します。これから法人成りを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

法人成りをした年は確定申告が必要

ストックオプションの税金のイメージ

廃業届を出したら個人事業主として手続きがすべて終わるわけではありません。法人成りした年には確定申告も行う必要があります。

対象期間

個人事業主が年度途中で法人成りした場合、以下の2つの確定申告が必要です。

  • 個人事業主としての確定申告:1月1日から個人事業廃業日までの所得を申告
  • 法人としての確定申告:法人設立日から事業年度末までの所得を申告

消費税の課税事業者は、個人事業廃業日までの消費税申告も必要です。個人事業主の最終年度の確定申告忘れが多いため、注意しましょう。

申告時期

個人事業主が年度途中で法人成りした場合でも、所得税と消費税の確定申告は通常通り必要です。所得税の申告期限は翌年3月15日、消費税の申告期限は翌年3月31日で、期限を過ぎるとペナルティが発生します。

また、法人決算期によっては申告が重なるため、繁忙期を避けるなど決算期の慎重な設定が重要です。

関連記事:法人化して後悔するケースとは?後悔しないための対処法を解説

法人成り後の確定申告の流れ

続いて、法人成り後の確定申告の流れを5つのステップに分けて解説します。

当期の取引の記帳

確定申告の基礎となるのは、日々の取引を記録した帳簿です。決算前にまとめて記帳すると、膨大な作業量となり、ミスも発生しやすくなります。

記帳後は、帳簿の残高と実際の残高が一致するかを確認することが重要です。日頃から会計ソフトなどを活用し、正確な記帳を心がけましょう。

決算整理事項の確認

決算整理とは、事業年度をまたぐ取引を当期分と翌期分に分ける作業です。具体的には、来期入金・支払いの取引を確認して、修正仕訳を行います。また、在庫の確認や固定資産の減価償却も行い、正確な売上原価を計算しましょう。

決算書の作成

決算書は、会社の年間収支や財産状況を示す重要な書類です。具体的には貸借対照表、損益計算書、個別注記表などを作成することになります。会計ソフトを使えばこれらの書類を自動作成できるのでおすすめです。

申告書の提出

決算書をもとに、法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の申告書を作成し、税務署や都道府県税事務所に提出します。申告・納税期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2ヵ月以内です。期限を過ぎると、延滞税などのペナルティが発生します。また、税金の種類によって申告先が異なる点にも注意が必要です。

提出書類の保存

貸借対照表や損益計算書などの書類は、原則として税法上7年、会社法上10年の保存義務があります。税務申告書や税務届出書は保存期間の定めはありませんが、企業の歴史を示す重要な資料となるため、決算書と合わせて保管しておきましょう。

法人成りで引き継いだ商品や固定資産の処理方法

法人成りで商品や固定資産を引き継いだ場合、大きく分けて3つの所得計算が必要です。

所得計算

概要

事業廃止に伴う所得計算

総収入金額および必要経費の計算が必要

個人資産の引継ぎに伴う所得計算

一般的に、個人事業主から法人への売却が多い。商品は事業所得、店舗や土地は譲渡所得として計算

設立後の所得計算

法人からの給与は給与所得、法人から配当を受けたら配当所得、法人に建物などを賃すときに受け取る賃貸料は不動産所得として計算

関連記事:法人成りで個人事業主の資産を引き継ぐ方法は?資産の種類、注意点も解説!

法人成り後の確定申告で必要な書類

電子マネーの経費計上のイメージ

法人成り後の確定申告で必要な書類には、以下のようなものが挙げられます。

法人税

  • 法人税申告書及び地方法人税申告書
  • 適用額明細書
  • 法人事業概況説明書(または会社事業概況書)
  • 勘定科目内訳明細書
  • 決算報告書

消費税

  • 一般課税の場合
  • 消費税及び地方消費税の確定申告書(一般用)
  • 付表2または付表1および付表2-(2)
  • 消費税の還付申告に関する明細書

法人住民税

  • 道府県民税(または市町村民税)の申告書
  • 別表

法人事業税

  • 法人事業税
  • 法人事業税の申告書
  • 別表

提出書類は、税務署や都道府県税事務所によって異なる場合があるため、税理士などの専門家に相談し、必要な書類を確認することをおすすめします。これらの書類を日々適切に保管しておけば、法人成り後の確定申告をスムーズにできるでしょう。

関連記事:法人成り後にかかるランニングコストとは?種類と費用の目安を解説

法人成りをした年における確定申告のポイント

それでは、法人成りをした年における確定申告のポイントについて解説します。

会社設立日「前後」の区分けを明確化する

法人設立日を境に、売上と経費を個人事業と法人でしっかり区分しましょう。この区分が曖昧だと、税務調査で指摘を受け、追徴課税などのペナルティが課される可能性があります。

取引の発生日を基準とし、入金日や口座の種類に惑わされないように注意が必要です。例えば3月に行った取引の売上高が、4月に入金されても法人の売上にはなりません。あくまでも個人事業主時代の売上として認識されます。

また取引先に振込先の変更を通知し忘れたために、法人売上が個人口座に入金された場合も、法人売上として計上します。

会社設立準備にかかった費用は設立日以前でも法人の経費にできる

設立前にかかった費用(印紙代、登録免許税、専門家への相談料など)は、会社の「創立費」として経費計上できます。これらの費用は、会社の設立準備のために直接的に支出されたものであり、将来の収益獲得に貢献すると考えられるためです。

経費にするには設立準備段階から、経費の証拠書類(領収書・請求書・契約書など)をしっかりと保管しておくことが重要です。

個人事業で使っていた資産の引き継ぎをする

個人事業で使用していた資産(棚卸資産・固定資産など)は、譲渡、賃貸、現物出資、贈与などの方法で法人へ引き継ぎをしましょう。それぞれの方法には、税務上のメリット・デメリットがあるため、事業の状況や将来計画に合わせて選択する必要があります。

消費税課税事業者の場合は、資産の譲渡に消費税がかかるかもしれないため、忘れずに申告しましょう。特に、固定資産の譲渡は高額になることが多いため、消費税額も大きくなる可能性があります。事前に税理士などの専門家に相談し、適切な税務処理を行いましょう。

役員報酬の確定申告をする

法人成り後に受け取る役員報酬は、給与所得として確定申告が必要です。役員報酬は、会社の経費として計上できるため、法人税の節税効果が期待できます。しかし、役員報酬の金額は、税務署から適正な金額であると認められる必要があります。

個人事業の赤字は役員報酬と「損益通算」できる場合があります。損益通算とは、複数の所得がある場合に、赤字の所得を黒字の所得から差し引くことができる制度です。損益通算を利用することで、所得税の負担を軽減できます。

個人事業税の見込控除をする

廃業年の確定申告で、個人事業税の見込額を経費計上できます。個人事業税は、個人事業主が都道府県に納める税金であり、事業所得に応じて課税されます。廃業年の個人事業税は、翌年に納付することになりますが、確定申告によって所得税の負担を軽減できるのです。

ただし見込控除の適用には、計算と経費への計上が必要です。個人事業税の見込額は、都道府県から送付される納税通知書に基づいて計算します。納税通知書が届く前に確定申告をする場合は、廃業すると年の所得などから見込額を計算しておきましょう。

所得税の減額申請手続きをする

所得税の減額申請で、予定納税の支払いを免除される場合があります。予定納税とは、その年の所得税を前払いする制度であり、前年の所得税額が一定額以上の場合に適用されます。

廃業年の所得が前年よりも大幅に減少することが見込まれる場合は、減額申請をすることで、予定納税額を減額または免除することができます。

予定納税をしてしまった場合は、確定申告で還付を受けましょう。予定納税額が確定申告で計算された所得税額よりも多い場合は、還付を受けることができます。

関連記事:法人成りの手続きに必要な5ステップについて詳しく解説

法人成り後の確定申告に関するよくある質問

FAQ

法人成り後の確定申告に関するよくある質問をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

個人事業から引き続き従業員を雇う場合の年末調整は?

法人成りした年の年末調整は、個人事業主時代と法人設立後の期間で、それぞれ別個に行う必要があります。

従業員は、その年において個人事業から法人へと転職したのと同様の扱いとなります。そのため、源泉徴収票も個人事業分と法人分を分けて作成しなければなりません。

複数事業をしていて法人成りした場合の確定申告は?

法人に移管した事業については、1月1日から個人事業を廃止した日までを期間として所得を計算し、確定申告を行います。

一方で、個人事業として継続する事業については、通常の暦年通り、1月1日から12月31日までの期間で所得を計算し、確定申告を行う必要があります。

法人成り後に個人事業を廃業しないのはOK?

法人成り後も個人事業を継続することは、実質的に事業の分割とは認められないため税務上のリスクを伴う可能性があります。

一般的には、法人成りは個人事業の全部または一部を法人に移管し、個人事業を廃止するケースが多いです。しかし、個人事業で複数の事業を運営している場合は、その一部を法人化し、残りの事業を個人事業として継続することは問題ありません。

まとめ

法人成りの手続きや確定申告は事業者自身でできますが、法人化には多くの手続きがあるため、煩雑な作業で思うように事業が始められないこともあります。また、重要な手続きに関してやり忘れをするというリスクも考えられます。

そのため、法人成り後の確定申告は専門家である税理士に相談しながら法人成りを進めていくのがおすすめです。

法人成りを予定しているけれど確定申告の手続きに不安がある方は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
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