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中小企業の配当金は損をする?節税になるか否か、配当金にかかる税金について

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中小企業の配当金は損をする?節税になるか否か、配当金にかかる税金について

中小企業が株主に対して配当金を支払う際、税負担を考慮する必要があります。中小企業が法人税を支払った後、利益から再び所得税が課される二重課税の問題が生じるためです。この記事では、中小企業に役立つ節税方法について、具体的に解説します。

配当金と役員報酬における税金の仕組み

役員報酬の変更方法イメージ

配当金と役員報酬にかかる税金は、仕組みが異なります。配当金は法人税と所得税の二重課税ですが、役員報酬は企業の経費扱いのため法人税の対象外です。それぞれの税制の違いを理解すれば、企業は利益の配分方法を効率的に選択でき、税負担を最小限に抑えられるでしょう。

法人税のポイント

法人税とは、中小企業が得た利益に対して課される税金です。企業の利益から法人税が引かれ、残った金額が配当金として配分されます。そのため、企業の利益は一度減少します。

法人税は、税引後の利益から支払われます。また、法人税の税率は企業の所得額によって異なるため、利益が多い企業ほど税率が高いのが特徴です。

所得税のポイント

所得税とは、個人が得た所得に対して課される税金です。配当金を受け取る株主は、法人税が引かれた後に残った利益から支払われた金額に対して所得税を支払う必要があります。また、配当金には総合課税と分離課税の二種類があり、どちらを選ぶかによって納税額が変わるのが特徴です。

総合課税では、他の所得と合算し累進税率が適用されるため、所得が多いほど税率が高くなります。一方、分離課税では固定税率が適用されるため、所得が少ない場合には総合課税を選択した方が良いでしょう。

社会保険のポイント

社会保険には、従業員と企業の双方が負担する健康保険や厚生年金保険などが含まれます。役員報酬の金額に応じ、一定の額を会社と個人が半額ずつ負担する仕組みです。

役員報酬は給与として扱われるため、社会保険料が引かれます。しかし、配当金は社会保険の対象外です。そのため、配当金の方が社会保険料の負担が少ないのが特徴です。

役員報酬を極端に減額して配当金を増やすと、役員の社会保険料が不足し、将来受け取れる年金額に影響が出てしまいます。バランスを見て、役員報酬と配当金を決定しましょう。

関連記事:自社株の配当金には税金がかかる?税額の算出方法も解説

非上場株式の配当に関する税金の取り扱い

課税のイメージ

非上場株式の配当金に関する税金の取り扱いは、一般的な上場株式とは異なります。非上場株式の配当金は総合課税として扱われるため、他の所得と合算して申告します。そのため、累進課税制度が適用され、税額が増加する可能性があるでしょう。

所得税について

非上場株式の配当金にかかる所得税は、総合課税として計算されます。総合課税とは、他の所得と合算して税金を計算する方式で、所得が多いほど高い税率が適用されます。そのため、高額所得者ほど税負担が増加する仕組みです。
総合課税に該当するものとしては、以下が挙げられます。

  • 給与所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 雑所得
  • 譲渡所得(株式等の譲渡による所得を除く)

給与所得や事業所得などの他の所得と合算した後に、一括して所得税が課されます。上場株式の配当とは異なり、分離課税の選択肢がないため、高所得者にとっては不利です。

そのため、非上場株式の配当金を受け取る株主は、事前に税負担を計算し、適切な納税準備を行う必要があります。配当控除の適用も受けられないため、税負担が一層重くなる可能性があるため注意してください。

少額配当の取り扱い

非上場株式の少額配当とは、一定額以下の配当金です。少額配当では、税制上の特別な取り扱いがなされるケースがあります。

具体的には、年間で一定額以下の配当金に対して、所得税の源泉徴収が行われ、確定申告が不要な場合があります。少額配当部分について、一定の措置が適用されるケースがありますが、非上場株式の場合はメリットが限定的です。

少額配当について、企業は配当金を支払う際に、株主ごとの配当額を適切に計算し、税務上の処理を行う必要があります。税務上の処理をきちんと行えば、配当金受取の際の税負担を最小限に抑えられるでしょう。

また、少額配当の範囲を超える場合には、通常の所得税計算方法が適用されます。通常の所得税計算方法では、株主の納税額に影響を及ぼすため、注意してください。

配当金を支払う際の注意点

配当金の支払いには、中小企業にとってさまざまなリスクと注意点があります。配当金の適切な管理が行われていない場合、税務当局からみなし配当として扱われるリスクがあるため注意しましょう。この章では、配当金を支払う際のリスクと注意点について、詳しく解説します。

配当金は経費として計上できない

配当金は経費として計上できないため、企業の税負担は直接的には軽減されません。配当金は企業の利益から株主に分配され、経費とは扱いが異なります。

役員報酬や従業員の給与は企業の経費として認められ、法人税の課税対象から控除されますが、配当金は経費の対象外です。配当金は企業の課税所得を減少できず、税引後の利益から株主に分配されます。

結果として、企業の総合的な税負担は増加するでしょう。中小企業が配当金を支払う際には、経費として計上できない点を考慮し、適切な財務戦略を立てる必要があります。

みなし配当のリスクがある

みなし配当のリスクとは、企業が資本を取り崩して株主に対して金銭を払う場合に生じる税務上の問題を指します。

例えば、自己株式の買い取りなど、税法上は「みなし配当」として取り扱われるケースがあります。みなし配当と認定されると、通常の配当金と同じく所得税が課され、株主側に税負担が発生するため注意しましょう。

また、企業側もみなし配当を行う際には、適切な税務手続きを踏む必要があります。税務手続きを違反すると、ペナルティが課される可能性があります。税務上のペナルティを避けるため、みなし配当が発生しないよう、適切な資本取引を行ってください。

役員報酬と配当金の課税方法は異なる

役員報酬と配当金は、企業の利益分配における主要な選択肢です。役員報酬と配当金は、性質と課税方法に違いがあります。

役員報酬は企業の経費として認められ、法人税の課税対象から控除されます。企業にとっては税負担の軽減につながるでしょう。

一方、役員が受け取る金額は給与所得として所得税が課され、社会保険料の負担も伴います。対して、配当金は経費として認められないため、企業の税負担を軽減できません。しかし、配当金を受け取った個人には、配当控除があるため給与所得より低い税率が適用される場合があります。配当金は、高額所得者にとっては有利に働くのではないでしょうか。

関連記事:厳選!すぐに採用したい経費削減アイデア集

中小企業が配当金を控える理由

中小企業が配当金の支払いを控えるのは、主に二重課税と相続税が理由です。配当金は株主に利益をもたらしますが、企業にとってはさまざまな税務上の課題を引き起こします。この章では、中小企業が配当金を控える理由について、詳しく解説します。

二重課税の問題

配当金にかかる二重課税は、中小企業が配当金の支払いを控える理由の一つです。

具体的には、企業が利益を上げると法人税が課され、利益から株主に配当金が支払われる際に再度所得税が課されます。つまり、同じ利益に対して企業側と株主側で二度に渡り課税されるのです。

特に中小企業にとっては、二重課税による税負担が、企業の成長や投資の妨げです。二重課税を避けるために、中小企業は内部留保を増やし、配当金の支払いを控える傾向があります。

相続税における影響

中小企業が配当金を控える理由の一つとして、相続税への影響が挙げられます。

現金で受け取った配当金は相続財産として評価されるため、相続税の対象です。つまり、企業の株主が相続時に多額の相続税を支払う必要があります。結果として、企業経営に支障をきたす可能性があるのです。特に家族経営の中小企業では、株式が相続財産に含まれるケースが多く、株主が次世代へ代替わりする際の相続税負担が大きいでしょう。

さらに、相続税の支払いのために、企業経営に必要な資産や株式を売却しなければならない場合もあります。

関連記事:相続税と贈与税の違いとは?控除や節税のポイントも解説

配当金の節税対策はできるのか?

配当金に対する税負担は、中小企業や株主にとって重要な課題です。しかし、適切な節税対策を講じれば、負担を軽減できるでしょう。この章では、中小企業や株主の税負担を軽減する具体的な方法について、詳しく解説します。

配当控除を利用する

配当控除とは、個人が受け取る配当金に対して一定の税額控除を適用する制度です。配当控除を利用すれば、所得税の負担が軽減できます。

具体的には、配当金を総合課税として申告する際、配当額に対して一定の控除が適用されます。上場株式の配当金は通常、総合課税と分離課税の選択が可能です。非上場株式の配当は、総合課税のみ適用されます。

総合課税を選択した場合、配当控除が適用され、所得税を軽減できます。配当控除を適切に利用すれば、配当金に対する二重課税の一部が緩和され、税負担を軽減できるでしょう。

配当控除を利用するには、確定申告の際に適切な手続きを行う必要があります。気になる方は、事前に国税庁のホームページを確認してください。

参考:No.1250 配当所得があるとき(配当控除)

年末調整の最適な活用方法

年末調整とは、給与所得者が年間を通じて支払った所得税を再計算し、過不足を精算する手続きです。

例えば、給与所得者が年間を通じて受け取る配当金と税金を正確に申告すれば、払い過ぎた税金が還付される可能性があります。年末調整を最適に行うためには、正確な所得の把握と控除可能な経費の適切な計上が重要です。

また、配当金を受け取る際には、源泉徴収される税額を年間の総所得に正確に反映させる必要があります。正しい申告を行い、所得税の負担を最小限に抑えましょう。

関連記事:一人社長でも年末調整は必要?種類の作成方法や計算方法について

配当金問題などの節税の相談は税理士へ

配当金について適切な知識と対策を持てば、税負担を軽減可能です。配当金による節税を最大限に活用するために、税務上のリスクとメリットを十分に理解しておきましょう。節税対策が適切かどうかを確認するためには、専門家または税理士に相談するのをおすすめします。「どこに相談したら良いか分からない」という方は、小谷野税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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