顧問税理士を変更する際、依頼者自身が税務署へ提出すべき書類は基本的にありません。税務署への届出は新旧税理士が行うためです。ただし、依頼者は最終的な責任者として、税理士が適切な内容で税務署への届出を行ったか把握していなければいけません。この記事では、顧問税理士を変更する際に税理士が税務署へ提出する届出について解説します。また、顧問税理士を変更する際の流れや、引継ぎに必要な書類についてもお伝えします。
目次
顧問税理士の変更時には税理士が税務署に届出をする
顧問税理士の変更時には、依頼者ではなく、税理士が税務署への届出を行います。
新税理士は税務署に「税務代理権限証書」の届出をする
顧問を始める際は、新しい税理士が「税務代理権限証書」を税務署に提出する必要があります。税務代理権限証書とは、「この税理士が納税者に代わって税務手続きをします」という旨を税務署に知らせるための書類です。
税務代理権限証書の提出により、税理士は申告書の提出や税務署とのやり取りを依頼者に代わって行えます。
税務代理権限証書を提出しないと、新しい税理士に税務署からの通知が行きません。また、税務調査の立ち会いもできません。税務調査の際に税理士が正式な税務代理人であると証明されていないと、税務署側が立ち会いを認めないケースがあるからです。
税務署から税務調査の事前連絡があった後からでも税務代理権限証書の提出はできますが、これにはリスクがあります。調査直前に提出すると税務署側の処理が間に合わず、税理士が正式な代理人として認められないまま調査が進む可能性があるからです。
税務調査の対応を税理士に全面的に任せたい場合は、顧問になったらすぐに税務代理権限証書を提出してもらいましょう。
税務調査の事前通知や税理士の立ち会いについて、詳しくは下記の記事をご確認ください。
関連記事:税務調査とは?いつ・どこまで調べられるのか?大まかな流れや査察調査(国税調査)との違いなども解説
関連記事:税務調査に税理士の立会は必要?どこまで調べる?税理士に任せるメリット・デメリットや費用相場について解説!
旧税理士は税務署に「委任終了通知書」の届出をする
旧税理士は「税務代理権限証書に記載した税務代理の委任が終了した旨の通知書」を税務署に提出する必要があります。提出しないと、税務署は旧税理士を代理人と認識し続けるため、通知が旧税理士に送付されてしまいます。
税務署からの通知とは、「税務調査の事前通知」や「修正申告の依頼」などです。重要な情報が新しい税理士に迅速に伝わらない場合、対応が遅れるリスクがあります。
ただし、税務署によっては新税理士の「税務代理権限証書」の提出によって自動的に顧問税理士情報が上書きされる場合があります。旧税理士による委任終了通知書の提出が必要かどうか、事前に税務署に確認しておくと安心です。
参考:税務代理権限証書に記載した税務代理の委任が終了した旨の通知書|国税庁
依頼者は届出の内容や税理士が届出を提出したかを確認する
税務署への届出提出は税理士が行うので、依頼者自身が提出する届出は基本的にありません。しかし依頼者は、新旧税理士が税務署への届出を行ったか否かを確認する必要があります。最終的な税務責任を負うのは、税理士ではなく依頼者自身であるためです。
提出の有無だけではなく、税務代理権限証書の内容も把握する必要があります。税務代理権限証書には「税理士が代理する税務業務の範囲」が記載されるので、契約内容と齟齬がないかチェックしましょう。
例えば「法人税と消費税の申告」の代理を契約していたのに、税務代理権限証書では「法人税の申告」のみであったとします。この場合、消費税の申告が正しく行われず、トラブルに発展する可能性があります。
トラブルを防ぐためには税理士に丸投げにせず、当事者意識を持つことが重要です。税理士が契約通りの内容で届出を行ったか確認し、必要に応じて修正や提出を依頼しましょう。
顧問税理士とのトラブルや対処法について詳しくは、下記の記事をご確認ください。
顧問税理士を変更する際の流れと引継ぎに必要な書類
ここでは、顧問税理士を変更する際の流れと、引継ぎに必要な書類を解説します。
税理士を変更するには、以下のステップを踏む必要があります。
- 顧問税理士を変更する手順を押さえる
- 新しい顧問税理士を探す
- 新しい顧問税理士に変更するタイミングを決める
- 引継ぎに必要な書類を確認し必要があれば今の税理士から返してもらう
- 現在の顧問税理士に解約したい旨を伝える
以下、1つずつ見ていきましょう。
顧問税理士を変更する手順を押さえる
まずは、顧問税理士を変更する際の全体的な流れを押さえましょう。顧問税理士の変更は思い立ったらすぐにできるものではありません。繁忙期を避ける、引継ぎ資料を集める、旧税理士への解約予告期間を守る…といったスケジュールの調整が重要です。
税理士変更の全体的な流れについて、詳しくは下記の記事をご確認ください。
関連記事:税理士を「超スムーズに」変更する全手順を税理士目線で解説
新しい顧問税理士を探す
次に、新しい税理士を探します。現在の税理士への不満を明確にし、その不満を改善できる税理士を探しましょう。専門性や相性の確認も重要です。
新しい税理士の探し方に関する具体的な解説は、下記の記事をご確認ください。
関連記事:税理士変更での良い税理士の選び方!個人事業主・法人の選定のポイントや失敗しがちな選び方
関連記事:【税理士監修】税理士変更するなら税理士紹介サービス?おすすめサービスは?
新しい顧問税理士に変更するタイミングを決める
新たに依頼したい税理士が見つかったら、顧問税理士を変更するタイミングを決めましょう。現在の税理士との契約状況や、業務の区切りを考慮しながら決めるのが一般的です。
変更するタイミングについて詳しくは下記の記事をご確認ください。
関連記事:税理士の変更に適したタイミングとは?トラブルのない伝え方とコツ
関連記事:【税理士監修】税理士変更は決算書が引継ぎのカギ?ベストタイミングや手続きの流れを徹底解説
関連記事:税理士変更の理由とは?税理士を変えるベストタイミングと引継ぎの注意点を解説
引継ぎに必要な書類を確認し必要があれば今の税理士から返してもらう
税理士変更の際は、依頼者が引継ぎ資料を用意して新しい税理士に渡す流れが一般的です。新旧税理士が直接やり取りして引き継ぐケースはほとんどありません。新しい税理士にどの書類を用意すべきか確認しましょう。
引継ぎ書類がすべて社内で準備できればいいのですが、中には旧税理士から返してもらわなければならない資料があるかもしれません。
税理士変更に必要な書類について詳しくは下記の記事をご確認ください。
現在の顧問税理士に解約したい旨を伝える
引継ぎ資料の準備と並行して、現在の顧問税理士に解約したい旨を伝えます。旧税理士との関係性や性格によってはトラブルになる可能性もあるため、円満に解約できるよう細心の注意を払いましょう。
円満に解約する方法について詳しくは下記の記事をご確認ください。
関連記事:関連記事:税理士変更のトラブルは断り方が理由?契約解除の文例や引継ぎ方法を解説
関連記事:【税理士監修】[例文付き]税理士変更の断り方!コツと円満に断る方法とは?
顧問税理士の変更についてよくある質問
ここでは、顧問税理士を変更する際によくある質問についてお答えします。
顧問税理士を変更すると税務調査が来やすくなるって本当?
本当ではありません。税理士変更の直後に税務調査が来る場合は、「たまたま税務調査が入るタイミングだった」など、税理士変更以外の理由があります。顧問税理士の変更は税務調査の理由にはなりません。
税理士変更と税務調査のタイミングについて、詳しくは下記の記事をご確認ください。
関連記事:【税理士監修】税理士変更で税務調査対象になる?税務調査のタイミングや理由と税理士変更のコツ
税理士との対応に疲れた…顧問税理士なしでも経理や申告は可能?
可能です。ただし、一定の知識と手間が必要です。例えば、税務の基礎知識がある人、会計ソフトを使いこなせる人、時間を確保できる人などが社内にいる必要があります。
顧問契約に抵抗を感じる場合は、スポット契約で税理士に依頼するのも1つの方法です。税理士によっては、記帳の代行のみ、決算書や申告書の作成のみといった、単発の税務だけを依頼できます。
旧税理士との契約を終了した後に新たな税理士を付けない場合は、旧税理士に「委任終了通知書」を出してもらいましょう。新しい税理士による税務代理権限証書がないため税務署側の情報が更新されず、税務署からの通知が旧税理士に送られてしまいます。
関係悪化などにより旧税理士が委任終了通知書を出したか分からない場合は、税務署に「現在は税理士がいない」と伝えましょう。
顧問契約やスポット契約の特徴について詳しくは下記の記事をご確認ください。
関連記事:税理士との契約形態|顧問契約・スポット契約の特徴と料金相場
顧問税理士の変更手続きに関する不明点はご相談ください
この記事では、顧問税理士を変更する際に税務署へ提出する届出について解説しました。
税務署への届出は新旧税理士が行うため、依頼者自身の提出物は基本的にありません。しかし依頼者は、税理士が適切な内容で税務署への届出を行ったか確認する必要があります。最終的な税務責任を負うのは、税理士ではなく依頼者自身であるためです。
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