顧問税理士との契約を交わす際、収入印紙が必要となるケースがあります。しかし、どういった契約を交わす際にいくらの印紙が必要なのか分からずにお悩みの事業者の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、顧問税理士と契約するとどのようなケースでいくらの印紙税がかかるのかについて解説します。これから顧問税理士と契約を交わそうとしている方は必見の内容のため、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも印紙とは?
収入印紙は、国に対する税金や手数料を支払うための証票です。50,000円以上の領収書など、一定の書類(課税文書)に貼ることで印紙税を納付します。収入印紙と似たものに収入証紙がありますが、これは地方公共団体への支払いに使われます。
そして印紙税は、取引に関する書類作成時に課される税金のことです。収入印紙を貼ることで納税したとみなされます。もし収入印紙を貼り忘れたり、金額が不足していた場合には、本来の3倍の過怠税がかかることがあるので注意が必要です。
印紙税がかかる書類の例
印紙税法の課税文書を作成した場合、印紙税がかかります。印紙税法とは特定の文書に印紙税を課税することを定めた法律です。
印紙税がかかる書類の例は以下をご参照ください。
- 定款
- 預金通帳
- 株券・出資証券
- 合併契約書・吸収分割契約書
- 預金証書
- 保険証券
- 貯金証書
参考:印紙税額|国税庁
印紙の貼り方と割印・消印の押し方
印紙税法によって契約書や領収書など、一定の文書には印紙の貼付が義務付けられています。ここからは、印紙の貼り方と割印・消印の押し方について簡単に解説します。
印紙を貼る場所については特に法令上の定めはありません。しかし、一般的には以下の場所に貼ることが推奨されています。
- 契約書:左上
- 領収書:右上(領収書の印紙欄がある場合は、そちらに貼付)
また割印・消印の意味と押し方については以下の表を参考にしてください。
目的 | 押し方 | 使用する印章 | |
割印 | 印紙の再使用防止 | 印影が文書と印紙の彩紋(模様)にかかるように押す | 通常は契約書に使用する印章と同じものを使用する(実印である必要はない) |
消印 | 契約書の改ざん防止、信頼性向上 | 文書を少しずらして重ね、すべての文書に印影がかかるように押す | 通常は契約書に使用する印章と同じものを使用する(実印でなくとも良い) |
顧問契約とは
顧問契約は企業が外部の法人または個人の専門家に業務を委託する際に結ぶ契約の一種です。この契約に必要となる書類が「顧問契約書」で、企業が外部の税理士や弁護士などの専門家に業務を依頼する際に作成します。
顧問契約は大きく分けて以下の3種類があります。
委任契約 | 民法第643条で定められた契約。 法律行為(契約の締結、訴訟行為など)を委託する |
準委任契約 | 民法第656条で定められた契約。 法律行為以外の業務(事務処理、コンサルティングなど)を委託する |
請負契約 | 民法第632条で定められた契約。 特定の仕事の完成(成果物の納品)を約束し、その対価として報酬を支払う |
顧問税理士との契約によって印紙税がかかるケース
顧問税理士との契約で印紙税がかかるケースに関しては、以下の2パターンがあります。
請負契約
印紙税がかかるケースのひとつとして挙げられるのが、請負契約をした場合です。顧問税理士に特定の業務を依頼してその成果物に対して報酬を支払う場合は、契約書に印紙税が課税されます。
この契約書は印紙税法上の第2号文書のため、国税庁ホームページの印紙税額一覧表に準じた金額の印紙を貼らなくてはいけません。ただしこれは記載された契約の金額が1万円未満の場合を除きます。
契約書の金額 | 税額(軽減後) |
10,000円未満 | 非課税 |
10,000~10万円 | 200円 |
10万~50万円 | 400円 |
50万~100万円 | 1,000円 |
100万~500万円 | 2,000円 |
500万~1,000万円 | 10,000円 |
契約金額の記載なし | 200円 |
3ヵ月以上の継続的な契約
また、法人同士の契約によくある3ヵ月以上の契約も同様に印紙税がかかります。3ヵ月以上の長期契約は印紙税法上の第7号文書にあたります。
印紙税額は一律4,000円です。契約期間が3ヵ月以内で更新に関する決まりが記載されていない場合の顧問契約は該当しません。
参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁
顧問税理士と契約しても印紙税がかからないケース
続いて、顧問税理士と契約を交わしても印紙税がかからない2つのケースについてご紹介します。
委任契約・準委任契約
顧問契約が委任契約または準委任契約に該当する場合、顧問契約書は「非課税文書」扱いとなり印紙を貼る必要はありません。委任契約と準委任契約の例は以下の通りです。
委任契約 | 弁護士への法律相談、契約書のリーガルチェックなど |
準委任契約 | 税理士への税務相談、コンサルタントへの経営相談など |
これらの契約はあくまで特定の業務の遂行を委託するものです。成果物の完成を目的とするものではないため、印紙税法上の課税文書には該当しません。
電子契約
契約書が書面で交付される場合、課税文書として扱われる可能性があります。しかし、電子契約サービスを介して顧問契約する場合、契約の種類に関わらず印紙を貼る必要はありません。
電子契約は印紙税法上では文書には該当しないため、印紙税が課税対象とならないことを覚えておきましょう。
顧問税理士との契約における印紙税はどちらが負担する?
印紙税法上、課税文書の作成者が印紙税を納める義務があります。共同で契約書を作成した場合、作成者全員が連帯して納付義務を負います。
契約書は2通作成して当事者それぞれが1通ずつ保管し、そして双方がそれぞれの分担分を負担するのが一般的です。ただし印紙税の負担割合については法的な定めはなく、当事者間で自由に合意して決定できるのです。
負担割合の決定方法については、以下のような方法が挙げられます。
- 折半:双方が均等に負担する
- 片方負担:一方の当事者が全額負担する
- 契約金額に応じた負担:契約金額に応じて負担割合を決定する
合意した内容は契約書に明記しておくと、後々のトラブルを防止することができます。そのため契約書を作成する際は、印紙税の負担割合について当事者間で明確に合意しておきましょう。
また印紙税額は契約金額によって異なります。具体的な金額については、国税庁のホームページや税務署で確認してください。
【個人・法人別】顧問税理士との契約書に貼る印紙はいくら?
顧問税理士との契約で収入印紙を貼る際、個人と法人の税理士のどちらと契約するかで金額が異なります。ここからは、個人・法人の税理士別に契約書に貼る印紙の金額について解説します。
個人の税理士
契約相手が個人の税理士だと、第7号文書ではなく課税文書である第2号文書に該当するでしょう。例えば顧問契約書の記載金額が50万円の場合、200円の印紙を貼るのが一般的です。
法人の税理士
契約相手が法人の場合、第2号文書と第7号文書のどちらにも当てはまる可能性があります。印紙税法において契約書が複数の課税文書に該当する場合、最終的にどちらの文書なのかを区分けしておかなくてはいけません。
第2号文書と第7号文書のどちらに該当するかは、以下のルールによって決まります。
- 記載金額あり:第2号文書
- 記載金額なし:第7号文書
もし顧問契約書に5万円と記載されていた場合、第2号文書に該当するため200円の印紙を貼ります。記載金額がない場合は第7号文書とみなされるため、4,000円の印紙を貼ることになるでしょう。
関連記事:法人の税金はいつ払う?タイミングや納め方について解説
顧問税理士と契約を交わす前のチェックポイント
実際に契約を交わす前に、自社に合った顧問税理士であるかどうかを見極めるためのチェックポイントを以下にまとめました。
- 最新の税制改正や業界動向に精通している
- こちらの質問や要望を丁寧に聞き取り、分かりやすく説明してくれる
- レスポンスが早く、迅速に対応してくれる
- 料金体系が明確で、追加料金が発生する場合の説明がある
- 契約内容と料金が見合っている
- 契約期間・業務範囲・報酬・解除条件などが明確に記載されている
- 実際に会って話してみて、信頼できると感じる
顧問税理士は企業の成長をサポートする重要なパートナーです。契約前のチェックポイントをしっかりと押さえ、自社に最適な税理士を見つけましょう。
関連記事:顧問税理士とは?業務内容や費用相場、良い税理士の見極めポイントを解説
顧問税理士と契約を交わす際の注意点
顧問税理士と契約を交わす際にどのようなことに気をつければいいか、3つの注意点について解説します。
業務内容を確認する
契約を交わす前に、顧問税理士に依頼する業務内容を確認しましょう。税務申告、会計処理、税務相談など、自社に必要な業務を具体的に伝え、どこまでを契約範囲とするのかを決めておいてください。
契約内容の例としては以下のようなものが挙げられます。
- 決算・申告書の作成
- 税務相談
- 税務調査対応
- 経営コンサルティング
合わせて業務の頻度や納期、報告書を提出する頻度なども決めておくとスムーズです。
顧問契約の報酬の相場を把握しておく
顧問契約の報酬は税理士の経験や実績、業務量、契約内容によって異なります。複数の税理士に見積もりを依頼し、報酬の相場を把握しておきましょう。
報酬体系は月額固定報酬や時間制報酬、成果報酬などがあります。報酬の計算方法や追加料金が発生するケース、支払い方法や期日も事前に確認しておいてください。
別料金となる業務を明確にする
契約内容によっては、別途料金が発生する業務があります。例えば、税務調査対応や相続税申告などは、追加料金となるケースが多いです。契約前に、別料金となる業務とその料金について確認しておきましょう。
別料金となる可能性のある業務は以下の通りです。
- 税務調査対応
- 相続税申告
- 年末調整
- 給与計算
- 経営コンサルティング
関連記事:税金の相談はどこにすべき?無料で利用できる場所も紹介
顧問税理士との契約における印紙税に関する質問
最後に顧問税理士との契約における印紙税に関する質問に回答したので、これから契約を考えている事業者の方はぜひ参考にしてください。
契約書に印紙がないとどうなる?
顧問契約書に印紙を貼り忘れたり消印を忘れたりしても、契約自体が無効になるわけではありません。印紙税は契約の効力とは関係なく、あくまで税法上の問題です。ただし、印紙税法違反として過怠税が徴収されるリスクがあります。
印紙の貼り忘れは本来の印紙税額の3倍、消印漏れは印紙額面金額相当額が課される可能性があるので注意しましょう。ただし、自主的に申告した場合は1.1倍に軽減されます。
収入印紙はどこで買える?
収入印紙は郵便局、法務局、役所、金券ショップ、コンビニ、商店などで購入できます。急ぎの場合:はコンビニや一部の郵便局などで購入しましょう。事前に必要な金額を確認しておくのがおすすめです。また収入印紙は「租税公課」として経費として計上できます。
まとめ
顧問税理士との契約には印紙が必要な場合があることを解説しました。顧問税理士と契約を交わす前には、しっかり契約内容を確認して印紙が必要かどうかを確認しましょう。
税理士は会社の経営に関わる重要な役割を果たしているため、自社に合った顧問税理士を選ぶべきです。今回ご紹介した契約前のチェックポイントも踏まえて、安心して依頼できる税理士を見つけましょう。顧問税理士選びでお悩みの場合は、知識と経験が豊富な税理士が多く在籍する小谷野税理士法人がおすすめです。