個人事業主として事業を運営する中で、税理士の選び方や依頼の必要性について悩む方も多いのではないでしょうか。税務申告や節税対策、補助金申請など、税理士に依頼することで得られるメリットは多い一方、費用や依存リスクなどのデメリットも存在します。本記事では、税理士を選ぶ際のポイントや見つけ方、依頼すべきケースとそうでないケースについて具体的に解説しますので、自身の事業に合った最適な選択を見つけてください。
目次
個人事業主のための税理士の選び方10個のポイント
個人事業主の方が税理士を選ぶ際、以下のポイントを確認してみましょう。
- 経験年数
- 対応スピード
- 専門性
- サービス内容の充実度
- 初回相談の無料有無
- 契約内容の明確さ
- 技術的なサポート力
- 契約の選択肢
- 契約解除時の対応
- 料金の納得感
1.経験年数
税理士の経験年数は、選ぶ際の重要なポイントです。特に個人事業主向けに長年の実績がある税理士は、業種特有の税務知識やノウハウが豊富で信頼性が高いです。経験が浅い場合でも、最新の税制改正に精通しているか確認すると良いでしょう。
2.対応スピード
税務相談や申告期限が迫る中で、迅速に対応できる税理士は頼りになります。問い合わせへのレスポンスが遅い場合、必要なサポートをタイムリーに受けられないこともあるでしょう。事前にメールや電話でのやり取りのスピードを確認しましょう。
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3.専門性
自身が行う事業の業種や事業形態に精通している税理士かどうかが重要です。例えば、IT業界や飲食業など特定分野に強い税理士なら、事業に役立つ提案を期待できます。自身の業種に合った専門性を持つ税理士を選びましょう。
4.サービス内容の充実度
税務申告だけでなく、節税対策や経営改善のアドバイスなど、幅広いサービスを提供する税理士を選ぶと、事業全体の支援を受けられます。提供サービスの範囲が自身のニーズに合致しているか確認しましょう。
5.初回相談の無料有無
税理士との相性や相談内容への対応力を確認するため、初回相談が無料で提供されているか確認するのも良いでしょう。無料相談を活用すれば、サービス内容や料金を理解した上で契約を進められます。
6.契約内容の明確さ
契約内容が曖昧だとトラブルの原因になりがちです。税務申告以外の追加費用の条件や範囲を契約書で明示している税理士を選ぶことで、不明確な費用発生を防げるでしょう。
7.技術的なサポート力
クラウド会計ソフトやITツールに対応できる税理士は、経理業務を効率化できます。弥生会計やfreeeなどの操作に詳しい税理士を選ぶことで、データ管理や申告作業がスムーズに進むでしょう。
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8.契約の選択肢
顧問契約だけでなく、スポット契約を提供している税理士を選べば、必要なときだけ依頼する柔軟な利用が可能です。事業規模やニーズに応じて契約形態を選択し、コストパフォーマンスを最大化しましょう。
関連記事:税理士との契約契約形態と手順について
9.契約解除時の対応
契約解除時の条件や手続きが明確な税理士を選ぶことも重要です。解約後のサポートがあるか、契約期間の縛りが厳しくないかなど、事前に確認しておけば安心でしょう。
10.料金の納得感
税理士費用が高すぎたり、料金体系が不透明だと後々揉める可能性があります。初期費用や月額料金、追加費用の有無を確認し、サービス内容に見合った価格設定かを比較して、納得感のある税理士を選びましょう。
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個人事業主が税理士を見つける方法10選
個人事業主の方が税理士を見つけるための方法をご紹介します。
- ネット検索を活用する
- 知人や同業者からの紹介を受ける
- 税理士紹介サイトを利用する
- 商工会や商工会議所に相談する
- 税務署の相談窓口を活用する
- フリーランスや個人事業主向けイベントで探す
- 税務関連の勉強会やセミナーで見つける
- SNSやオンラインコミュニティを活用する
- 税理士会に直接問い合わせる
- 広告やチラシをチェックする
1.ネット検索を活用する
インターネット検索は最も手軽に税理士を探す方法の一つです。「地域名+税理士」などのキーワードを使うと近隣の税理士を探すことができるでしょう。税理士事務所のホームページでは、提供するサービス内容や料金体系が掲載されているため、複数の候補を効率よく比較検討できます。
2.知人や同業者からの紹介を受ける
信頼できる知人や同業者から税理士を紹介してもらう方法も有効です。実際に利用している人からの紹介なら、税理士の対応や実績について具体的な情報を得られます。同業種の知人からの紹介は、自分の事業に適した税理士を見つけるのに特に役立つでしょう。
3.税理士紹介サイトを利用する
税理士を紹介する専門サイトを活用するのもおすすめです。所在地や対応分野、料金目安などの条件を入力すると、自分に合った税理士をマッチングしてくれます。また、利用者の口コミが掲載されている場合もあるので選択の参考にしてみましょう。
関連記事:【税理士監修】税理士変更するなら税理士紹介サービス?おすすめサービスは?
4.商工会や商工会議所に相談する
地域の商工会や商工会議所では、税理士の紹介サービスを提供している場合があります。個人事業主向けの相談窓口も多く、税理士探しと同時に経営に関するアドバイスを受けられます。地元で信頼性が高い税理士を見つけられるかもしれません。
5.税務署の相談窓口を活用する
税務署では、地元で活動する税理士のリストを提供してくれる場合があります。特定の税理士を推薦するわけではありませんが、信頼性の高い情報源として利用できます。初めて税理士を探す際に活用すると良いでしょう。
6.フリーランスや個人事業主向けイベントで探す
フリーランスや個人事業主向けのセミナーやイベントに参加すると、税理士と直接出会うチャンスがあります。相談ブースや登壇者として税理士が参加していることが多いため、その場で相性を確認できるのがメリットです。
7.税務関連の勉強会やセミナーで見つける
税務関連の勉強会やセミナーでは、税理士が講師を務めていることが多く、直接その知識や対応力を確認できます。また、最新の税制改正や業界動向に詳しい税理士が多いので、信頼性の高い相談先として適しているでしょう。
8.SNSやオンラインコミュニティを活用する
FacebookやLinkedIn、TwitterなどのSNSやオンラインコミュニティで税理士を探す方法もあります。税理士が自ら情報発信を行っている場合も多く、その専門性や信頼性を直接確認できます。また、利用者の口コミも参考になるでしょう。
9.税理士会に直接問い合わせる
各地域には税理士会があり、信頼できる税理士を紹介してもらうことが可能です。公式機関を通じた方法なので安心感があります。登録税理士のリストや相談窓口を利用して、ニーズに合った税理士を効率的に見つけられるでしょう。
10.広告やチラシをチェックする
地域の新聞やフリーペーパー、ポスティングされたチラシなどで税理士事務所を見つけるのも一つの手段です。広告にはサービス内容や料金体系が明記されている場合が多いため、興味がある場合は直接問い合わせて詳細を確認してみましょう。
個人事業主が税理士に依頼できること
個人事業主が税理士に依頼できる業務は、以下のように多岐にわたります。
依頼事項 | 説明 |
確定申告書の作成と提出 | 確定申告書作成・提出の代行 |
青色申告承認申請書の提出 | 青色申告申請書作成・提出の代行 |
消費税申告書の作成と提出 | 消費税の計算と申告書作成・提出の代行 |
経費計上のアドバイス | 経費の適切な計上方法の提案 |
節税対策の提案 | 節税プランの提案 |
記帳代行サービス | 日々の取引記録の入力・管理の代行 |
各種税金の計算と納付アドバイス | 各種税金の計算と納付方法のアドバイス |
補助金や助成金の申請サポート | 補助金の申請書作成・提出のサポート |
融資申請のサポート | 金融機関への融資申請に必要な書類作成や面談準備の支援 |
事業計画書の作成支援 | 事業計画書の作成・融資や新規事業の計画立案のサポート |
資金繰りに関するアドバイス | キャッシュフロー改善や資金計画立案のサポート |
税務署や自治体との交渉代理 | 税務署や自治体との交渉の代行 |
税務調査の対応 | 税務調査の交渉窓口 |
会計ソフトの導入支援 | 会計ソフトの導入・運用のサポート |
税務の最新情報の提供 | 最新の税務情報の提供 |
収益改善のアドバイス | 収益性向上に向けた提案 |
関連記事:税理士の納税代行とは?その他申告業務も依頼できる?
個人事業主が税理士に依頼するメリット・デメリット
個人事業主が税理士に依頼するメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
- 税務のプロによる正確な申告が可能
- 節税対策等のアドバイスが受けられる
- 時間を節約できる
メリットとしては、確定申告や税務処理のミスを防ぎ、正確に申告できる点が挙げられます。これに伴い、税務署からの調査リスクが軽減されるでしょう。また、税理士の専門知識を活かした節税対策等の提案が受けられる点、税務処理から解放されることで、事業運営に専念する時間を確保できる点もメリットです。
デメリット
- 費用負担
- 税理士選びの難しさ
- 依存のリスク
一方のデメリットとしては、費用負担が発生する点が挙げられます。事業規模が小さい個人事業主にとっては、顧問料や申告代行費用が経済的負担となる場合があるでしょう。また、税理士を選ぶ際に、専門分野や料金、相性など多くの要素を比較検討する必要がある点、税理士にすべて委託することで自身の税務知識が不足するリスクも挙げられます。
税理士へ依頼すべき個人事業主とは?
メリット・デメリットを踏まえ、税理士へ依頼すべき個人事業主とそうでない個人事業主を解説します。
おすすめする方
以下に当てはまる方は、税理士へ依頼することをおすすめします。
- 税務申告や記帳作業が負担になっている方
- 節税対策を積極的に行いたい方
- 補助金・助成金の活用を考えている方
- 税務調査に備えたい方
- 事業拡大や法人化を計画している方
税務申告や記帳作業に多くの時間を割いて本業が疎かになっている個人事業主にとって、税理士のサポートは有効でしょう。また、節税対策を積極的に進めたい方、補助金・助成金の申請に不安を抱えている方も、税理士の専門知識を活用することで負担を軽減できます。
さらに、税務調査への備えや事業拡大・法人化を計画している場合、税理士の長期的な税務戦略や手続き支援によって、事業運営がスムーズになり、安心して成長に専念できるでしょう。
おすすめできない方
一方、以下に当てはまる方は、税理士への依頼をおすすめできません。
- 売上や経費が少なく、自分で税務処理が可能な方
- 節税にあまり関心がない方
- 補助金や助成金を利用する予定がない方
- 税務調査をあまり心配していない方
- 事業規模が小さく、法人化を予定していない方
売上や経費が少なく、税務ソフトで十分に処理可能な場合、税理士の依頼は必要ないでしょう。また、節税に対して特に関心がなく、補助金や助成金を活用しない方にとっても、税理士のサポートは必要性が低いと言えます。
さらに、税務調査を懸念していない方や、小規模事業で法人化の予定がない場合、税理士に支払う費用が得られるメリットに見合わない可能性があります。事業規模やニーズに応じて、税理士の利用を慎重に検討しましょう。
税理士の選び方にお悩みの個人事業主の方へ
税理士の選択には、専門性や費用感、相性、提供されるサービス内容まで、多岐にわたるポイントを比較検討する必要があり、悩まれる方が多いでしょう。
小谷野税理士法人は、個人事業主の皆様に特化した税務サポートを提供しており、これまで多くの業種で培った豊富な実績を持っており、個々のニーズに合わせた的確なアドバイスを提供します。税理士の選び方に迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。