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個人輸入と商業輸入の違いとは?関税の違いや基準について

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個人輸入と商業輸入の違いとは?関税の違いや基準について

個人輸入と商業輸入は、海外の商品を入手するための一般的な手段として幅広く利用されています。しかしそれぞれの目的や手続き、そして適用される関税や規制にも違いがあることをご存じでしょうか。今回は、個人輸入と商業輸入の特徴や違い、関税の計算方法について解説します。スムーズに商品を仕入れられるように、個人輸入と商業輸入の違いを正しく理解しておきましょう。

「輸入」の流れ

輸入の手続きはまず、売買契約の締結から始まるのが一般的です。契約書には商品価格、納期、決済条件等の取引情報に加え、インコタームズ(国際商業会議所)に基づく責任範囲も明記されます。

契約締結後、輸出者は船積み・買取書類を発行します。輸送手段(船舶または航空機)によって必要書類が異なるため注意が必要です。

輸入者は必要書類を揃えて税関で輸入申告・手続き(通関)を行います。通常、これらの手続きは通関業者に委託されます。この時点では商品は保税地域に保管されています。

税関での審査後に関税や輸入消費税を納付して、搬出許可が下りれば、輸入者は商品を受け取ることができます。

関連記事:輸入で商品を仕入れる時の仕訳方法は?流れや注意点を徹底解説!

個人輸入と商業輸入とは?

輸入コンテナ

輸入の形態には主に「個人輸入」と「商業輸入」という2つの種類があります。以下ではそれぞれの輸入の定義について詳しく解説します。

個人輸入

個人輸入は、個人が自身の生活向上や趣味を目的として海外から商品を直接購入する方法のことです。個人輸入は主に個人的な使用を目的としているため、小規模な輸入が中心であり、一般的には輸入量に制限がないケースが多いのが特徴です。

ネット通販などを利用して海外メーカーや小売店から商品を購入したり、輸入代行業者を介して輸入したりする方法などが挙げられます。

輸送方法は国際郵便(EMS)や国際宅急便(クーリエ)、船便や航空便などです。個人輸入でも税関の手続きは必要ですが、国際郵便であれば郵便局内で手続きできる簡易通関が適用されます。また国際宅急便の場合は宅配業者が行います。

個人輸入は正規輸入品よりも安価かつ気軽に商品を購入できるのが大きなメリットです。その一方で何か問題があった場合個人で対応しなくてはいけないというデメリットもあります。

商業輸入

商業輸入は、企業や業者が商用目的で行う輸入活動を指します。個人使用を目的とする個人輸入とは異なり、利益を得ることを目的として行われます。個人輸入に比べて、比較的大量の荷物を輸入するのが一般的です。

大量仕入れによるコスト削減や安定した供給ルートの確保ができるため、事業拡大がしやすいのが特徴です。また輸入前に検品を行うため、品質管理の向上にも役立ちます。

ただし商業輸入には免税制度が適用されず、原則として関税と消費税が課税されます。また輸入を行う企業は商品の品質管理、価格、輸送コスト、保険などを総合的に考慮してリスク管理を徹底しなくてはいけません。

個人輸入と商業輸入の事例

個人輸入と商業輸入の線引きが難しいとお悩みの事業者の方も多いのではないでしょうか。

以下では、個人輸入と商業輸入の違いを実際の事例とともにご紹介します。

会社で使う備品や使うものなど

  • 直接利益につながる可能性がある場合→商業輸入
  • 個人事業主の場合→個人輸入とみなされる可能性が高い

同じ商品を複数回にわたって購入

商業輸入

同じ商品を一度に大量に購入

商業輸入

友人や知り合いから頼まれた代理購入

商業輸入扱いになる可能性が高い

もし同じ商品を5つと少量まとめて購入した場合、個人輸入と商業輸入のどちらか判別しにくいケースもあります。個人使用でも税関に商業輸入と判断されることもあるので、このような場合は管轄の税関に確認しなくてはいけません。

個人輸入と商業輸入における2つの違い

ここからは、個人輸入と商業輸入の2種類の輸入方法における2つの違いについて解説します。

取引の目的

個人輸入と商業輸入の大きな違いは「取引の目的」にあります。個人輸入は一般の消費者が自身の使用を目的として海外から商品を購入する輸入活動です。法律上も商業的な活動に該当しないため、手続きや税金は比較的簡素であるケースが多いです。

その一方で、商業輸入は企業または法人が商品を輸入して販売や商業活動への利用を目的とする輸入活動に当たります。また商業輸入は大量仕入れが多く、税制面でも厳密な管理が求められるため、個人輸入より多くの手間や規制がかかります。

取引の規模

個人輸入と商業輸入では取引の規模感も大きく異なります。個人輸入は多くの場合、個人的な使用を目的としているため、一度に輸入する数量は少量です。それに対して商業輸入は、販売や事業目的で商品を輸入するため、個人輸入に比べて一度に輸入する数量が多くなります。

個人輸入は輸入する数量が少ないため取引金額も比較的小さいです。一方で商業輸入は大量の数量を輸入するため、取引金額も大きくなる傾向にあります。

課税価格の計算方法

両者の違いとして、課税価格の計算方法も挙げられます。個人輸入の課税価格は「課税対象額(商品代金+送料)×0.6×関税率」で計算されます。

つまり、海外で購入した商品の小売価格に0.6を掛けた金額が課税対象です。これは商業目的の輸入に比べて利益を得る目的ではなく、実際の小売価格よりも低い金額を基準に課税する考え方に基づいています。

一方で商業輸入の課税価格は「課税対象額(商品代金+送料)×関税率」で計算されます。商品価格や運送費、輸送中の損害に備えるための費用(保険料)も課税対象に含まれます。

商業目的の輸入は利益を得ることが目的で、商品が日本に到着するまでの費用すべてに課税するという考え方に基づく計算方法です。

関連記事:輸入消費税とは?計算方法や関税との違い、免税・非課税になる条件などを解説!

個人輸入と商業輸入のメリット・デメリット

以下では、個人輸入と商業輸入のそれぞれのメリット・デメリットについて簡単にまとめました。

メリット

デメリット

個人輸入

  • 課税額が安く、安価で仕入れできる
  • 日本で手に入りにくい商品が入手しやすい
  • トラブル発生時の対応が困難
  • 品質や安全性の保証がない

商業輸入

  • 販路拡大や市場開拓ができて大きなビジネスチャンスにつながる
  • 生産コストが削減できる
  • 為替変動のリスクがある
  • 税関や法規制が厳しい

どちらの輸入方法を選択するかについては、輸入する商品の種類、量、目的、予算などによって異なります。それぞれのメリット・デメリットを十分に理解した上で、最適な輸入手段を選択しましょう。

個人輸入が適用される少額輸入貨物の簡易税率

減価償却のイメージ

個人輸入の場合は課税価格の合計額が1万円以下の物品については原則として関税、消費税、地方消費税が免除されます。

これは、個人的な使用を目的とした少額の輸入を簡略化するための措置です。ただし、酒税およびたばこ税・たばこ特別消費税は対象外となります。また以下の物品は課税価格が1万円以下であっても、ギフトなど個人的な目的で贈られる場合を除き関税は免除されません。

  • 革製のバッグ
  • パンスト・タイツ
  • 手袋・履物
  • スキー靴
  • ニット製衣類など

また、課税価格の合計額が20万円以下の物品は、簡易税率が適用されます。

出典:少額輸入貨物の簡易税率|税関

個人輸入と商業輸入で知っておきたい関税率の目安

以下では、主な輸入商品における関税率の目安を紹介します。

区分

品目

関税率

衣料品

毛皮コート
シャツ、肌着
繊維製のジャケット、コート、ズボン、スカート

20%

7.4~10.9%
8.4~12.8%

バッグ

革製、プラスチックシート製など

8~16%

アクセサリー

金製、銀製、プラチナ製

5.2~5.4%

時計

腕時計やその他時計

無税

履物

革製

1足あたり30%か4,300円のうちいずれか高い方の税率

電気機器

パソコン

デジタルカメラ

無税

楽器

管楽器、吹奏楽器、ピアノ

無税

美術品

版画、彫刻など

無税

化粧品

香水、化粧水、口紅、マニキュア用品

無税

寝具

毛布、ベッド
マットレス、布団

3.2~10.9%

飲料

茶葉
清涼飲料水

3~17%
9.6~13.4%

洋酒類

ビール
ワイン

無税

1Lあたり45~182円

肉、魚介類

ソーセージ
魚類缶詰

10%

9.6%

参考:主な商品の関税率の目安|税関

関税は輸入コストの重要な要素のひとつです。関税率の目安を把握することで、輸入にかかる費用をより正確に見積もることができます。適切な価格設定や利益計画を立てるのに欠かせないため、仕入れを予定している商品の関税は事前にチェックしておきましょう。

関連記事:輸入販売をする際の税金の種類と計算方法

個人輸入と商業輸入をする際の注意点

以下では、個人輸入・商業輸入をする際に知っておきたい注意点について解説します。

輸入規制・関連法規制の確認

日本への輸入は、すべての商品が自由に認められているわけではありません。法律により輸入が禁止されている品目や、特定の条件を満たさなければ輸入できない品目が存在します。以下のような商品は輸入が禁止されています。

  • 麻薬
  • 覚せい剤等の指定薬物
  • 銃砲
  • 爆発物
  • 火薬類
  • 偽造貨幣・紙幣
  • その他公序良俗を害する物品

輸入が規制されている製品については、事前に必要な許可・承認を取得し、その証明を税関に提示しなければ輸入できません。該当する製品の輸入を検討されている場合は、事前に管轄省庁に相談し、必要な手続きを確認しましょう。

個人輸入は品質管理とトラブル対策を徹底する

個人輸入では輸入前に商品を確認できず、品質管理が難しいというデメリットがあります。

製品到着後に問題が発覚するリスクも考えておかなくてはいけません。粗悪品や身体に悪影響を及ぼす商品がリコール対象にもかかわらず返品が困難だったというトラブルも過去に報告されています。

商品到着後は商品の品質管理を徹底し、商品に不具合があった場合はすみやかに海外の業者と交渉しましょう。

商業輸入は仕入先と事前交渉しておく

商業輸入の場合、仕入れ先と仕入先・輸入者の責任範囲やトラブルが起こった際の対応などについて事前交渉をしておきましょう。

商業輸入は個人輸入と異なり、継続的な取引となる可能性が高く、取引金額も大きくなる傾向があります。そのため、契約内容や条件が曖昧なままで取引を開始すると、後々大きなトラブルに発展する可能性があるのです。

事前にしっかりと交渉を行い双方の合意を得ておくことで、安心して継続的に取引を進められるでしょう。

参考:輸入ビジネスのポイントについて|東京商工会議所

個人輸入と商業輸入に関するよくある質問

最後に、個人輸入と商業輸入に関するよくある質問について回答しました。以下の内容も参考にして、輸入や関税に関する知識を深めましょう。

個人輸入と​小口輸入の​違いは?

個人輸入は輸入者本人が個人的に使用することを目的に商品を輸入することです。それに対して小口輸入とは、輸入した商品を第三者に販売して利益を得ることを目的として商品を輸入しています。

商業輸入よりも規模は小さいですが、販売目的のため個人輸入よりは輸入量が多い傾向があります。

税関に引っかかる理由は何?

税関で輸入した商品が止められてしまう理由の一例は以下の通りです。

  • 荷物の物量・数量が個人利用の範囲を上回っている
  • 許可書がないと仕入れられない商品
  • インボイスに不備がある
  • 国内で禁止ないしは違法とされている商品

もし何かしらの理由で商品が止められた場合、まずはその対象商品を確認しましょう。商品の用途や材質がインボイスで確認できずに止められている可能性もあります。その場合はきちんと説明できれば税関が通ることもあるので、冷静に対処しましょう。

関連記事:輸入販売とは?個人が起業する方法や流れ・注意点を徹底解説!

まとめ

個人輸入と商業輸入はそれぞれ目的や規模が異なるため、関税の計算方法も基準も変わってくる点に注意しなくてはいけません。そのため個人輸入と商業輸入のそれぞれの特徴、ルールを正しく理解して手続きを行うことが、輸入ビジネスを成功させるカギです。

しかし、輸入関連の関税の計算が煩雑で通常業務に支障が出るのではとお悩みの事業者の方も多いのではないでしょうか。輸入輸出・貿易・関税のお悩みに関しては、税理士などの専門家に相談してみるのもおすすめです。

関税計算についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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