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不動産業の節税対策まとめ|仕組みや注意点も解説

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不動産業の節税対策まとめ|仕組みや注意点も解説

不動産業を効率よく運営するには、適切な節税対策が重要です。具体的には、減価償却の活用や必要経費の計上、青色申告の選択などが挙げられます。節税対策を上手く活用できれば、不動産業の収益を上げながら、税負担を抑えて手取りを増やせるでしょう。効果的な節税のためには税金の基本的な仕組みを理解した上で、効率的に事業を運営することが大切です。本記事では、不動産業にまつわる税金の仕組みや節税対策、注意点などを解説します。

不動産所得に関する基本的な税金の仕組み

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不動産所得とは不動産の貸し付けによって得られる収益のことを指し、収益から管理費や修繕費といった必要経費を差し引いて計算します。不動産にかかる税金の計算方法は個人・法人で異なるため、仕組みを正確に理解しましょう。

不動産所得とは

不動産所得とは、主に土地や建物といった不動産の賃貸を通じて得られる収入を指します。アパートやマンションの家賃をはじめ、賃貸契約の更新料や礼金、共益費なども含まれます。

不動産所得の計算方法は以下の通りです。

不動産所得=総収入金額-必要経費

必要経費は不動産を貸し出すために必要な費用のことで、下記のものがあります。

  • 修繕費
  • 管理費
  • 広告費
  • 固定資産税

不動産収入や経費を把握すれば、税金の正しい計算や効果的な節税対策につながります。不動産オーナーは日々の収入と支出を正確に記録し、適切な税務申告に努めましょう。

個人と法人の税金計算の違い

不動産所得における税金の計算方法は、個人と法人で違いがあります。個人の場合、不動産所得は総合課税の対象となり、給与所得や事業所得といった他の所得があれば、合算して課税されます。

所得税には累進課税方式が採用されていて、所得が増加するに従って税率も段階的に上がる仕組みです。

一方、法人の場合には法人税が課されます。法人税は基本的に23.2%と一定の税率で計算されるため、所得額にかかわらず税率は変わりません。さらに、資本金1億円以下で法人化していれば、800万円以下までの所得分は15%になります。

そのため、法人として不動産業を運営する場合、一定以上の利益を上げれば個人運営に比べて税負担が軽減される可能性があります。ビジネスの収益規模や事業内容に応じて、個人事業主として継続するのか、法人化を検討するのかの判断が重要です。

関連記事:不動産で起業・独立開業したい!どんな仕事なのか?成功率や失敗する原因などを詳しく解説

不動産賃貸業で活用できる5つの節税対策

不動産賃貸業では、収益性を高めるためにさまざまな節税対策を活用できます。節税対策によって課税対象となる所得を減らしつつ、手取りを増やすことが可能です。

また、節税対策の中には短期的な税制優遇に限らず、長期的な資産形成に役立つものもあり、多くの賃貸オーナーが活用しています。経営の安定化を図るためにも、効果的な節税対策を取り入れましょう。

①減価償却を活用する

不動産賃貸業の節税方法として、減価償却を活用する方法があります。減価償却とは、不動産価値が時間とともに減少することを考慮し、建物価格を複数年にわたって経費計上できる制度です。

減価償却費は建物の構造や素材に応じて、定められた耐用年数で計算します。詳しくは、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」をご確認ください。

参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

減価償却費を経費計上すれば、課税対象の所得を減らせるため、節税になります。ただし、減価償却は建物や設備など年々劣化するものに対して適用されるため、土地のように劣化しないものは対象外です。節税対策として減価償却を検討する際は注意してください。

②必要経費を漏れなく計上する

賃貸経営においては、計上可能な経費を把握して漏れなく経費計上することが大切です。例えば、定期的な修繕を行えば、資産価値を維持しながら、長期的なコスト削減につなげられます。

経費計上可能な費用は以下の通りです。

  • 物件管理費・修繕費
  • 仲介手数料・広告宣伝費
  • ローンの支払利息
  • 保険料
  • 租税公課(固定資産税・都市計画税など)
  • 税理士・司法書士への報酬
  • 通信費
  • 情報収集や勉強にかかった費用
  • 旅費交通費
  • 自動車関連費用 など

さらに、建物や設備といった不動産については、前項で紹介した減価償却も計上可能です。減価償却費の計上により、資産価値の減少を経費として記録でき、課税所得を効果的に減らせます。

経費の正確な記録・計上は、賃貸経営を行う上で重要な節税対策です。経費計上可能な項目を把握し、賃貸経営における資金計画をより効率的に進めましょう。

関連記事:不動産投資で経費にできるもの・できないもの

③青色申告を行う

不動産所得では、確定申告時に最大65万円の控除を受けられる青色申告を活用できます。確定申告には白色申告と青色申告があり、選択した申告方法や形式に応じて10万円、55万円、65万円と控除額が異なります。

65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記での記帳や不動産の貸付が事業規模であることなどが必要です。不動産貸付が事業的規模となる条件は以下の通りです。

  • 独立家屋の賃貸の場合は5棟以上
  • マンション・アパートの賃貸の場合は10室以上

上記条件を満たさなければ、通常は青色申告特別控除の額は10万円になります。

確定申告を青色申告で行えれば、上記の通り最大65万円の控除が受けられるほか、家族への給与を経費計上できたり、3年間赤字の繰越控除ができたりするなど、さらなる節税効果が期待できます。

関連記事:青色申告特別控除の「65万円控除」の条件とは?10万円、55万円の条件と比較

④小規模企業共済を活用する

個人事業主や自営業者の節税対策として、小規模企業共済の活用があります。小規模企業共済とは、月々の掛金を月額1,000円〜7万円の範囲で自由に設定でき、その全額が課税所得から控除されるため、税負担の軽減が可能な退職金制度です。

事業状況や収益に応じて掛金の増額や減額が柔軟に行える点も、自営業者にとって魅力です。制度の活用により、リタイア後の資金形成が進むだけでなく、節税効果も期待できるため、計画的な資産運用を進めたい個人事業主や自営業者に有益な選択肢でしょう。

ただし、小規模企業共済の加入には、不動産賃貸業が事業的規模であることが必要です。事業規模の具体的な条件は前項の解説を確認してください。

関連記事:小規模企業共済のメリットと加入ガイド

⑤配偶者を青色事業専従者にする

不動産賃貸業が事業的規模である場合、配偶者を青色事業専従者にできます。青色事業専従者にすれば、配偶者への給与を必要経費として計上できるため、税負担の軽減が可能です。青色事業専従者給与の特例を利用するには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署へ提出する必要があります。

配偶者を青色事業専従者にできれば、家族の労働を評価できるだけでなく、経営体制の整備にもつながります。特に、個人で賃貸業を共同運営する場合、経営の効率化や利益の最大化にもなるでしょう。

関連記事:不動産投資は節税対策になる?ならない?節税効果や仕組みについて詳しく解説!

相続と不動産投資に関する税金対策

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不動産業を行う際には、相続税への考慮が重要です。相続の際には相続税が課され、将来の資産管理や不動産投資に影響を及ぼす可能性があります。不動産を活用した節税対策で相続時の税負担を軽減できれば、次世代への資産継承をスムーズに進められます。

相続税の負担を抑えるには、現在の法律や税制を正確に理解し、対策の検討が必要です。例えば、生前贈与や遺産分割計画の組み合わせにより、相続税額の引き下げができるかもしれません。計画的な節税対策は家族の負担を減らし、将来的な資産保全にもつながります。

不動産を活用した相続税の節税方法

不動産を持っている場合、時価と相続税評価額の差により相続税負担を抑えられる可能性があります。不動産を購入して相続すると、基本的に時価よりも相続税評価額が低くなるため、現金の状態で相続するよりも不動産に換える方が節税対策として有効です。

また、土地や建物を賃貸に出している場合には、借地権や賃貸割合に応じて土地や建物の評価額をさらに減額できます。

理由は、賃貸中の不動産は活用の選択肢が限られるためです。さらに、不動産購入時に借入をしていれば、債務分を相続資産から控除できるため、より節税効果が高まるでしょう。

ただし、不動産は物件選びを誤ると相続税対策として機能しなかったり、せっかくの資産を減らしてしまったりする可能性もあります。不動産を活用した節税対策を行う際には、慎重な物件選びが大切です。

相続時精算課税制度を活用した贈与対策

贈与税の軽減には、相続時精算課税制度の活用が効果的です。相続時精算課税制度は60歳以上の親や祖父母が18歳以上の子どもや孫へ贈与する時に活用でき、2,500万円までの贈与が非課税となる制度です。

相続時精算課税制度を利用して贈与した場合、贈与時点の評価額が相続財産として加算されます。そのため、将来値上がりが期待できる不動産などを相続時精算課税制度で贈与しておけば、相続時の税負担を抑えられる可能性が高まります。

将来的に値上がりが見込まれる資産や不動産など高額な資産の贈与には、多くの場合相続時精算課税制度の活用が向いていると言えます。しかし、個人の財産状況や相続計画に応じて活用すべき制度は異なるため、必要に応じて税理士など専門家への相談がおすすめです。

小谷野税理士法人では、個人の方の相続や税務相談にも対応していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

不動産を賃貸運用する際の注意点

不動産を賃貸運用する際には、事業運営や税務の適切な処理が大切です。特に、経費計上や税金の取り扱いについては税制を理解し、状況に応じて専門家の助けを借りる必要があります。不動産を賃貸運用する際の注意点を確認しましょう。

過度な経費計上にはリスクがある

賃貸運用を行う際、経費計上は節税対策として重要な手段です。しかし、過度な経費計上は税務面でのリスクを伴うため注意が必要です。経費は実際の支出に基づき、正確に把握して計上しなければなりません。

確定申告の際に経費の内容が不明確であったり、税務署が過剰な計上であると判断したりした場合、重加算税や追徴課税といった厳しいペナルティが課されることもあります。正確な記帳を心がけるとともに、税務調査への準備を整え、健全な賃貸運用を行いましょう。

確定申告・節税対策が難しければ税理士に依頼する

賃貸運用に伴う確定申告や節税対策は、専門知識が必要なケースが多く、特に初めて不動産を管理する方にとっては、不安が生じることも珍しくありません。不適切な税務処理が原因でトラブルが発生するリスクを減らすために、必要に応じて税理士へ相談しましょう。

税理士は最新の税制や法改正の専門家であり、状況に応じた効果的な節税対策を提案してくれます。

また、税務処理を税理士に任せることで、複雑な手続きに追われることなく、時間と労力を節約しながら、賃貸運用や他の重要な作業に集中できます。必要に応じて税理士のサポートを受けながら、正確かつ効率的に確定申告を行いましょう。

確定申告や節税対策にお困りの方は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にご相談ください。

まとめ

税理士に節税を相談するイメージ

不動産業の節税対策では複雑な税制を理解し、戦略的な事業運営が大切です。特に、不動産投資においては、減価償却の活用や経費計上、青色申告など、税負担を軽減する手段がたくさんあります。正確な知識と計画性をもった運用により、不動産業を円滑に進めましょう。

不動産業の節税についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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