東京都で創業・起業を目指す方々にとって頼りになる創業融資制度。実際に調べてみると、その選択肢の多さに驚くことでしょう。本記事では、東京都内で利用できる創業融資制度を徹底比較し、特に東京都の創業融資と23区内の創業融資に焦点を当てます。それぞれの特徴や申し込みのポイントを詳しく解説し、どちらを選ぶべきかの判断材料となれば幸いです。
目次
創業融資制度の基本知識
創業融資制度は大きく2つの種類に分けられます。1つは、日本政策金融公庫の「融資制度」、そしてもう1つは自治体と保証協会の「制度融資」です。
創業融資制度の基本知識として、まずは2つの制度の違いから解説します。
日本政策金融公庫の「融資制度」
日本政策金融公庫では、様々な融資制度を取り扱っています。公的機関でありながら金融機関の役割も担っているのが特徴です。
創業者向けの融資としては、無保証・連帯保証人不要の「新創業融資制度」というものがありましたが、この制度は2024年3月に廃止されました。
現在は「新規開業資金」という制度が拡充され、一定の条件を満たせば申し込みが可能となっています。
自治体と保証協会による「制度融資」
制度融資とは、地方自治体が金融機関や信用保証協会と連携し、資金調達を支援する融資制度です。
自治体が融資の斡旋を行い、信用保証協会の保証を付けることで、金融機関側も貸しやすい状況をつくっているのが特徴です。さらに、自治体によっては利子補給や保証料助成を行う場合もあります。
制度の内容や対象者は自治体ごとに異なるため注意が必要です。例えば、東京都では都が実施するものと市区町村のものがあります。
東京都の創業融資を徹底比較

東京スカイツリーとビジネス街
自治体と保証協会による制度融資は、各自治体によって制度の内容が異なります。今回は東京都と23区の制度融資に絞り、双方の創業融資の具体的な違いを比較していきます。
東京都の制度融資
東京都の制度融資は、東京都、東京信用保証協会、指定金融機関の三者が連携して運営する融資制度です。
都内の中小企業が金融機関から資金を借りやすくすることを目的としています。制度を利用するには、東京信用保証協会の保証が必要です。
保証協会は、経営者の信用や資金の使い道、返済能力などを総合的に審査し、保証の可否や金額を決定します。
23区の制度融資
23区の制度融資は、東京23区などの各自治体と金融機関、信用保証協会が連携して実施する融資制度です。東京23区では、中小企業の資金調達を支援するために、各区が独自の制度融資を実施しています。これらの制度は、保証料や金利の補助など、事業者の負担を軽減するためのさまざまな支援策を含んでいます。
制度融資を利用するには、区の指定する金融機関を通じて申し込み、斡旋申込書の提出が必要です。通常の融資に比べて手続きに時間がかかることもありますが、低コストで資金を調達できるメリットがあります。
また、各区ごとに融資の対象や条件が異なるため、自社に適した制度を確認することが重要になります。
東京都と23区の創業融資を徹底比較
本項では、23区の中でも新宿区に焦点を置き、東京都と新宿区の2つの制度融資における創業融資を具体的に比較します。
2つの創業融資の主な特徴と違いは、以下の表の通りです。
項目
東京都の制度融資
新宿区の制度融資
対象
中小企業者又は組合で、次の条件をすべて満たす者。
1.都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象の業種を営んでいること。
(ただし、一定の業歴要件が必要な場合があります。)2.事業税その他租税の未申告、滞納がないこと。
(ただし、完納の見通しが立つ場合などはこの限りではない。)3.許可、認可、登録、届出等が必要な業種にあっては、当該許認可等を受けている(又は、受ける)こと。
4.現在かつ将来にわたって、暴力団員等に該当しないこと、暴力団員等が経営を支配していると認められる関係等を有しないこと及び暴力的は要求行為等を行わないこと。
加えて創業融資の場合、⑴~(3)のいずれかの条件を満たす者。(1)現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有するもの
(2)創業した日から5年未満である中小企業者又は組合
(3)分社化しようとする会社又は分社化により設立された日から5年未満の中小企業者融資実行のとき、次の⑴~⑷のいずれかの条件を満たし、東京信用保証協会の保証対象業種の事業を営み、住民税・事業税を滞納していない者。法人の場合は、本店(営業の本拠)と本店登記を区内の同一所在地に置くこと。個人の場合は、事業所(営業の本拠)を区内に置くこと(区内在住 1 年以上の場合は東京都内の創業も可)。
(1)現在、事業主ではなく、法人または個人で創業しようとする者
(2)分社化しようとする者(分社化を計画している親会社への融資)
(3)法人または個人で創業し、5年未満の者
(4)分社化により創業し、5年未満の者(分社化した子会社への融資)資金使途
創業時の運転・設備資金
創業時の運転・設備資金
融資限度額
3,500万円
(1)現在、事業主ではなく、法人または個人で創業しようとする者・・・1,000 万円
(2)分社化しようとする者(分社化を計画している親会社への融資)・・・1,500 万円
(3)法人または個人で創業し、5年未満の者・・・2,000 万円
(4)分社化により創業し、5年未満の者(分社化した子会社への融資)・・・2,000 万円貸付期間
(うち据置期間)【運転資金】
7年以内(1年以内)【設備資金】
10年以内(1年以内)7年以内(12ヵ月以内)
貸付利率
1.7%以内〜2.2%以内
1.8%以下(うち区が1.6%以下負担)
保証料補助
3分の2
2分の1(補助上限26万円)
申込み前面談
不要
必要
相談窓口
東京都産業労働局金融部金融課または各金融機関
新宿区産業振興課または各金融機関
出典:東京都中小企業制度融資
出典:制度融資のご案内
東京都の創業融資のメリットは、融資限度額が大きい点と、融資申し込みの前に面談が不要であることです。融資限度額が大きいため、創業時に必要な資金を十分に調達できます。また、面談が不要なため手続きがスムーズに進むことも大きな利点です。制度利用者の時間と手間を節約でき、より迅速に資金を調達できます。
一方、新宿区の創業融資のメリットは、貸付利率の補助が手厚い点です。制度利用者の金利負担が軽減されるため、返済の負担を軽くし、資金繰りが安定しやすくなります。
創業融資に関する記事として、こちらも参考にしてください。
関連記事:借金があっても開業できる?創業融資を受けられる3つのケース – 【会社設立】小谷野税理士法人(東京都渋谷区)
創業融資の手続き
創業融資の手続きは、東京都と23区でそれぞれ手順が異なります。以下より各制度の具体的な手続き方法について解説します。
東京都の創業融資の手続き
東京都の創業融資を利用するには、以下の流れで手続きを進めます。
1.金融機関での申し込み
取扱指定金融機関(銀行、信用金庫、信用組合など)の窓口で融資を申し込みます。
2.信用保証協会への申し込み
東京信用保証協会への保証申し込みも、金融機関を通じて同時に行います。
3.保証審査
東京信用保証協会が審査を行い、保証の可否を決定します。
4.融資実行
信用保証協会が保証を承諾すると、金融機関が融資を実行します。
融資申し込み時に必要な書類の一部は、Microsoft ExcelやAdobe Acrobat Readerで編集できます。申込書は制度融資取扱指定金融機関や斡旋窓口で入手可能ですが、申し込む場所によって書式が異なるため、事前に確認しましょう。
参考:融資申込受付機関|東京都中小企業制度融資|東京都産業労働局
23区の創業融資の手続き
23区の創業融資の一例として、ここでは新宿区の手続きを解説します。新宿区の創業融資を利用するには、以下の流れで手続きを進めます。
1.申込書の記入
申込書(区のホームページからダウンロード可能)に必要事項を記入し、必要書類を整えます。
2.面談予約
新宿区産業振興課に電話で面談の予約をします。当日の予約はできません。
3.面談の実施
予約した日時に、必要書類を持参して面談を受けます。書類に不備がある場合、再度面談する場合があります。
4.融資申し込み
面談終了後、紹介状を受け取り、1ヵ月以内に融資希望の金融機関(制度融資取扱金融機関)で融資を申し込みます。
創業資金を希望する方は、複数回の面談が必要です。また、専用の申込書が必要なため、産業振興課で配布されているものや、区のホームページからダウンロードします。
まとめ
東京都と23区の創業融資について、それぞれの違いを解説しました。双方にメリットとデメリットがあるため、ご自身の創業の状況に合わせた制度を選ぶことが大切です。
会社の創業時には多くの手続きで事務作業も煩雑になるため、創業融資でお困りの際には専門家に相談することも検討しましょう。