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中小企業向け賃上げ促進税制の繰越控除は5年間

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中小企業向け賃上げ促進税制の繰越控除は5年間

中小企業向け賃上げ促進税制は、従業員の給与増加を支援する税額控除制度です。2024年度の改正により、多くの企業が控除を活用できる仕組みへと進化しました。控除額の繰越は最大5年間可能なため、法人税の負担を軽くすることに役立ちます。本記事では賃上げ促進税の仕組みと活用方法、注意点について詳しく解説します。

賃上げ促進税制の概要と改正のポイント

賃上げ税制における教育訓練費のイメージ

賃上げ促進税制は、賃金増加に応じて法人税の控除が受けられる制度で、企業の賃上げを促進するために設けられました。近年の改正では、中小企業を含めた利用条件の拡充が進み、より多くの企業が恩恵を受けられるよう改善されています。ここでは、この税制の基本概要や具体的な改正点について解説します。

2024年度税制改正での主な変更点

2024年度の税制改正では、企業の賃上げを後押しするための賃上げ促進税制が見直されました。特に中小企業を対象とした控除率が引き上げられ、最大で45%の控除を受けられるようになったことが大きなポイントです。

また、新たに「中堅企業」という枠が設けられ、それぞれの企業規模に応じた控除が適用される仕組みになりました。これにより中小企業だけでなく、より大きな規模の企業も税制優遇を受けやすくなっています。

賃上げ促進税制については下記の記事でも解説しています。

関連記事:所得拡大促進税制から賃上げ促進税制への変更点をわかりやすく解説

中小企業が対象となる具体的な要件

賃上げ促進税制を活用するためには、いくつかの具体的な要件を満たす必要があります。資本金が1億円以下であること、かつ常時雇用している従業員数が1,000人以下であることが条件です。また青色申告書の提出も要件に含まれています。

条件を満たしていれば、法人に限らず、農業協同組合や個人事業主も対象となります。

参考:中小企業庁:中小企業向け「賃上げ促進税制」

賃上げ促進税制の繰越控除の仕組みと要件

賃上げ促進税制の繰越控除は、賃上げを実施した年度に税額控除を適用しきれなかった場合、その未控除額は翌年度以降に繰り越しができます。これにより、将来的に法人税負担を軽減できる仕組みになっています。ここでは制度の詳細や適用要件について詳しく解説します。また、赤字企業が得られる具体的なメリットについても触れていきます。

繰越控除を受けるための要件について

繰越控除制度を利用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

◆青色申告であること

この制度を利用するには、青色申告を行っていることが前提条件です。

◆申告時に明細書を添付する

控除を適用する際には、控除額の詳細な計算明細書を申告書に添付しなければなりません。

◆控除額の上限は法人税額の20%まで

控除できる金額には上限があり、法人税額の20%以内と決められています。繰越控除制度の適用を受ける場合には、繰越控除を受ける金額とあわせて20%が上限です。

◆繰越控除中は毎年祖色申告をする

税額控除の未使用分は最大5年間繰り越せますが、その間は毎年青色申告書を提出する必要があります。

このように、繰越控除を適用するにはいくつかの条件がありますが、適切に活用すれば将来の税負担を軽減できる仕組みになっています。

赤字企業でも活用できる繰越控除

赤字の企業でも賃上げを行った場合、賃上げ促進税制の繰越控除制度を活用することで法人税の負担を軽くすることができます。

この制度は、賃上げによる税額控除がその年の法人税額を超えた場合に、使いきれなかった控除分を翌年以降に持ち越せる仕組みです。つまり、赤字のときは控除を使えなくても、将来黒字になった際に未控除分を使って法人税を減らすことができるのです。

このように、繰越控除制度は赤字企業にとってもメリットの大きい税制のひとつと言えます。

法人税の節税対策については下記の記事も参考にしてください。

関連記事:繰越税額控除とは?活用事例や手続きの流れを解説

税制改正で中小企業が知っておくべき注意点

2024年度の税制改正により、中小企業にはさまざまな変更が生じています。これらの変更点を理解しておくことは、適切な税務処理を行い、効率的な経営を進める上で重要です。ここでは、主に賃上げ促進税制に関連する改正に伴い、知っておくべき注意点について紹介します。

2024年度導入の要件と実務上の注意事項

2024年度の制度改正においては、資本金や従業員数が適用基準に適合していること、青色申告書の提出が前提としての要件となります。

さらに、税額控除を活用するためには、従業員の賃金を一定の割合以上引き上げることが不可欠です。この改正内容に対応するためには、賃金引き上げに伴う固定費や変動費など、企業の財務状況について見直しを行う必要があります。

税制改正後の上乗せ要件に関する変更点

税制改正により、上乗せ要件に関する重要な変更が行われました。特に女性の活躍促進や子育て支援に対する認定を取得した場合、税額控除の割合が新たに追加される仕組みが導入されています。この改正によって、適用される控除額に大きな変動が生じる可能性があります。

これらの認定を受けた企業は、標準的な控除に加えてさらに上乗せが可能となり、経営戦略においても有利な状況を作り出すことができます。そのため、改正後の上乗せ要件を十分に理解し、最大限のメリットを引き出すための準備が不可欠です。

参考:賃上げ促進税制(METI/経済産業省)

関連記事:改正された中小企業向けの賃上げ促進税制の適用要件をしっかりチェック

賃上げ促進税制を中小企業が最大限に活用する方法

賃上げ税制に関するイメージ

賃上げ促進税制によって得られるメリットを最大限に活用するためには、制度に関する正確な理解が必要です。ここでは具体的な活用事例や戦略的活用方法について解説します。

賃上げ促進税制の活用事例

たとえば、以下のような活用事例を参考にすることで、効果的な賃上げを実現できます。

ある中小企業では、従業員の給与を前年より10%引き上げ、賃上げ促進税制を活用することで大幅な税額控除を受けることに成功しました。また、教育訓練や社内研修を充実させることで従業員のスキルアップを図り、企業全体の生産性向上にもつなげました。

こうした成功事例は、他の企業も同様のアプローチを採用する際の参考になります。また、賃上げ促進税制の活用後すぐに税額控除が受けられなかったとしても、繰越控除を利用することで翌年度以降にその恩恵を受けることができます。

さまざまな取り組みによって控除を最大化

税額控除を最大限に活用するためには、賃上げだけでなく労働環境の改善、福利厚生の充実などにも組み込むことが重要です。

特に中小企業では限られたリソースを効率的に活用することが求められます。たとえば、従業員の定着率を高める施策を取り入れることで、人件費の抑制や生産性向上につながり、長期的な経営の安定にも貢献します。

また、法人税の軽減を目指す場合、女性の活躍推進や育児支援の取り組みを行うことで追加の控除を受けられる可能性があります。これらを活用することで、企業としてはさらなる節税効果が期待できます。

繰越欠損金を活用する

繰越欠損金を活用することで、企業は税負担を軽減し財務の安定を図ることができます。

過去に赤字を出した場合、その損失を翌年以降の黒字と相殺することで課税所得を減らし、法人税の支払いを抑えることが可能です。これにより、法人税の支払い額が少なくなるだけでなく資金繰りが安定するため、企業の財務状況の改善にも寄与します。

特に起業初期や業績が一時的に悪化した企業においては、繰越欠損金の活用は経営再建の大きな助けとなります。また、法人税の負担が減ることで手元に残る資金が増え、事業の立て直しや運転資金の確保がしやすくなります。

また、節税によって生まれた余裕資金を、新規投資や事業拡大に活用することも可能です。こうしたメリットにより、企業は成長のチャンスを広げ、競争力を高めることができます。

このように繰越欠損金の活用は単なる節税対策にとどまらず、企業の持続的な成長と安定した経営を支える重要な制度といえます。

節税については下記の記事も参考にしてください。

関連記事:合同会社が赤字になった場合の税金はどうなる?納税の有無を解説

まとめ

賃上げ促進税制は中小企業が法人税の負担を軽減しつつ、従業員の給与増額を通じて企業成長を図るための有力な手段です。2024年度の税制改正により、さらに中小企業向けの優遇措置が拡充されました。また、女性活躍推進や子育て支援に関する認定により、追加控除を得られる点も注目すべきポイントです。

賃上げ促進税制の活用には、無理のない給与設定がポイントになります。要件を満たすために増額した結果、事業の財務状況を悪化させてしまう状況になっては意味がありません。そのため、賃上げ促進税制の適用や繰越控除については専門家に相談することをおすすめします。特に節税対策を視野に入れる場合、税理士に相談することで具体的な給与額やさまざまな税額控除を提案してくれるでしょう。

賃上げ促進税制の活用や繰越控除などに関するご相談は、ぜひ小谷野税理士法人にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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