0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

【役員貸付金】適正利率は?|メリット・デメリットや解消方法も解説

公開日:

【役員貸付金】適正利率は?|メリット・デメリットや解消方法も解説

役員貸付金の利息設定は、税務リスク軽減や節税対策において重要なポイントです。本記事では、役員貸付金の基本知識や、適正な利率の設定方法、税務リスクを回避する方法について解説します。さらに、役員貸付金のメリット・デメリット、解消方法についても詳しく紹介します。役員貸付金を適切に運用し、リスクを最小限に抑えましょう。

役員貸付金の基礎知識|役員借入金との違いは?

役員貸付金と役員借入金は、法人と役員の間で行われる異なる資金取引です。それぞれの特徴や注意点、違いをチェックしましょう。

役員貸付金とは

役員貸付金は、法人が役員に対して資金を貸し付ける取引です。この際、法人は金銭消費貸借契約を締結し、貸付条件や適正な利息を明確に設定します。法人は貸付金を回収し、適正な利息を受け取れます。

しかし、不適切な運用は税務上のリスクを伴います。例えば、利息が設定されていない場合や金利が適正でない場合、税務調査で指摘される場合があります。さらに、役員貸付金が回収不能となると、財務状況の悪化につながる恐れがあります。

役員借入金とは

役員借入金は、役員が法人に資金を貸し付ける取引です。特に、銀行からの融資を受けるのが困難な中小企業やスタートアップ企業にとっては、役員借入金を資金調達の手段として活用できます。

役員貸付金とは違い、役員借入金は無利息であっても税務上は問題ありません。

役員貸付金と役員借入金の違い

役員貸付金と借入金の最も大きな違いは、資金の流れと会計処理の点です。

役員貸付金は、法人が役員に資金を貸し付ける取引であり、「役員貸付金」という勘定科目で処理されます。法人にとっては金銭債権となり、貸借対照表では流動資産または固定資産として計上されます。

一方、役員借入金は、役員が法人に資金を貸し付ける取引です。「役員借入金」という勘定科目で処理され、法人にとっては負債となり、貸借対照表では流動負債または固定負債として計上されます。

役員貸付金における利率と税務のポイント

フリーランスの源泉徴収のイメージ

役員貸付金の利率設定は、適切な水準を保つことで税務上のリスクを回避できます。適正な利率の設定方法や注意点、税務リスクの回避策を解説します。

国が定める利率の基準

国が定めた利率の基準は、役員貸付金に関する指針となるものです。役員に貸し付けた金銭について基準利率が設定されており、国税庁が毎年公表しています。

基準利率は年度ごとに変動するため、最新の利率は国税庁の公表情報を確認しましょう。基準の範囲内で貸付を行うことで、税務上のリスクを回避できます。

また、無利子または過度に低い利率での貸付は、税務当局によって否認される可能性があるため、適正な基準に従った対応が必要です。

参考:No.2606金銭を貸し付けたとき|国税庁

受取利息と法人税の関係性

役員貸付金の受取利息は、法人の収益として計上されるため法人税の課税対象です。そのため、受取利息の金額が増えると、法人税の負担も増加する点に注意が必要です。

また、無利子や過度に低い利率の設定は、税務上「給与」とみなされる可能性があります。

さらに、役員貸付金の利息が適正でない場合、法人に受取利息の認定課税が発生したり、役員個人の税負担が増加したりするケースも発生します。

税務調査において受取利息が市場金利や契約条件に照らして適切であることを説明するため、明確な記録や証拠を残しておくようにしましょう。

役員貸付金の利息に消費税はかかる?

役員貸付金の利息に、消費税は発生しません。役員貸付金の利息は、消費税法上の非課税取引に該当するため課税対象外です。

そのため、法人は利息を受け取る際、消費税を計算する必要はありません。ただし、消費税が適用される取引と混同しないよう注意が必要です。

関連記事:【税理士監修】法人税率の変動:各国との比較を交えた推移についての解説

役員貸付金のメリットとデメリット

事業承継 廃業 世代交代

役員貸付金は一時的な役員への資金支援の手段として活用されるだけでなく、節税対策にもなります。しかし、税務上のリスクがあるため、適切な管理が求められます。

役員貸付金のメリット・デメリットと、適切な運用方法や注意点を紹介します。

役員貸付金のメリット

役員貸付金を適正な利率で貸し付けると、法人は利息収入を得られます。この利息は法人の収益として計上されるため利益の増加につながり、その結果、節税の対策にもなりえるのです。

また、余剰資金を活用できるため、低金利の金融機関に預けるよりも高い利回りで運用できる可能性もあるでしょう。さらに、適正な利率で貸し付けることで、法人の資産運用の一環として機能します。

考えられる税金リスク

役員貸付金が長期間返済されない場合、利息が増える恐れがあります。その結果、法人税の負担が増加し、資金運用に悪影響を及ぼすことも考えられます。

また、役員貸付金の残高が過大にならないよう注意が必要です。法人の財務健全性に対する金融機関の評価が低下し、新たな資金調達が困難になるリスクも生じます。

長期間の未返済は、税務面だけでなく経営の安定性にも影響を与えるため、適切な管理を行いましょう。

関連記事:損金とは?損金算入・不算入の項目や法人税の計算に必要な損金処理について

役員貸付金の仕訳や管理方法

役員貸付金の仕訳と管理の手順を確認しておきましょう。正確な記録と適切な契約手続きが税務調査対策や財務の透明性に直結します。仕分けと管理の必要性と、具体的な管理手法について解説します。

利息を含めた仕訳の手順

利息を含めた仕訳を正確に行うためには、貸付金と利息を適切に区別し、正確に記録しましょう。主な流れは以下のとおりです。

1.貸付金の発生時

役員に貸付金を支払う際「役員貸付金」勘定を借方に、「現金」または「普通預金」勘定を貸方に記入します。

2.利息の計上

利息を計上する際は、「受取利息」勘定を貸方に、「未払利息」または「未収入金」勘定を借方に記入します。

3.利息の受取時

役員から利息を受け取った際は、「未収利息」勘定を貸方に、「現金」または「普通預金」勘定を借方に記入します。

役員に対し年利率0.9%で50万円を貸し付けた場合、利息の金額は50万円×0.9%÷12×借入月数で算出されます。得られた金額をもとに「受取利息」を記入します。

役員借入金との相殺による管理

役員貸付金と役員借入金を相殺することで会計処理が簡素化され、管理の負担が軽減します。相殺処理を行う際には、法人と役員の双方が合意し、適切な契約と記録を残すことが求められます。

ただし、不適切な相殺は税務上問題視される可能性があるため、事前に専門家へ相談が望ましいです。

法人形態での仕訳ポイント

中小企業では、役員貸付金の金額が大きいと税務上の指摘を受けやすいため、慎重に対応する必要があります。適正な利率を設定し、詳細な記録を残すことが重要です。

また、役員貸付金を扱う際には、関連する議事録や契約書を作成・保管し、税務調査など必要な場面で即座に提示できるように準備しておく必要があります。明確な返済計画を立て、定期的に仕訳を見直すことで、資金管理の効率を高められるでしょう。

役員貸付金の解消方法

税務署への無料相談が危ないイメージ

役員貸付金の返済には、役員報酬や退職金を活用し、円滑な返済と財務管理が可能になります。以下、具体的な解消方法と、節税効果を得るための対策例について紹介します。

役員報酬や退職金での返済方法

役員貸付金の返済方法には、役員報酬や退職金の活用が可能です。役員報酬から定期的に返済額を差し引くことで、無理のない範囲で返済を進めつつ、財務の負担を軽減できます。退職金を活用する場合、退職時に一括で返済し、清算をスムーズに進められます。

しかし、これらの方法を採用する際には、適切に処理が行われるよう注意を払いましょう。特に税務上の取り扱いや問題点を事前に確認し、返済計画と一貫性を保つことが求められます。税務の専門家に相談しながら進めることで、最適な返済方法を選択できるでしょう。

役員報酬の税務対策については、小谷野税理士法人にご相談ください。

個人資産で解消する方法

役員貸付金の返済には、役員の個人資産の活用も可能です。例えば、役員が所有する不動産や株式などの金融資産を売却することで、その資金を貸付金や未収金の返済に充てられます。

ただし、資産の売却には譲渡所得税などの税負担が発生する可能性があるため、事前に影響を検討し、適切な対策を講じる必要があります。

法人が債権放棄を選択する場合

債権放棄は、役員が役員貸付金が返済できない場合に行われる手段です。債権放棄とは、法人が役員に対する貸付金の返済請求を放棄し、帳簿上の債権を消去することです。

しかし、債権放棄を行った場合、役員貸付金は役員賞与としてみなされるリスクがあることを理解しておきましょう。その場合、会社の損金とならず法人税が課税されることに加え、役員は給与課税されてしまうことにつながります。

また、債権放棄が適切に処理されていない場合には、税務調査時指摘されることもあります。適切な手続きや書類の準備は、専門家に相談した上で慎重に判断しましょう。

関連記事:役員報酬にかかる税金とは?計算方法とその節税の秘訣

よくある質問(Q&A)

役員貸付金に関する税務や財務への影響、リスク対策についての疑問についてお答えします。正しく理解し、リスクを回避するためのポイントを押さえましょう。

Q1:役員貸付金が会社に与える影響は?

役員貸付金の未回収が続いた場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。さらに、受取利息が計上されると、法人の所得が増えます。その結果、法人税の負担が増加するリスクがあることを理解しておきましょう。

さらに、財務状況の悪化により金融機関からの評価が下がり、融資が受けにくくなる恐れもあります。役員貸付金は適切に管理し、早期回収を徹底しましょう。

Q2:債務超過リスクへの対策

債務超過リスクを防ぐには、役員貸付金の状況を見直すことが大切です。利率の設定や返済計画などを、定期的に調整しましょう。また、融資依存度を減らしたり、資産の売却によって手元資金を確保したりすることも、有効な対策といえるでしょう。

Q3:法人が破産した場合の役員貸付金の扱いは?

法人が破産すると、役員貸付金は一般債権として扱われます。そのため、破産管財人から返済を請求される恐れがあります。このようなリスクを避けるためにも、あらかじめ適切な対策を講じることが重要です。

関連記事:法人破産とは?手続きの流れや破産による影響について解説

まとめ

役員貸付金は、法人が役員に資金を貸し付ける仕組みです。役員貸付金の利息設定は、法人の税金にも影響します。

また、未回収の状態が長期間続くと金融機関からの信用評価が下がる可能性があります。早期にリスクを発見し、状況に応じた解消方法を検討しましょう。

役員貸付金についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談