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確定申告の所得控除15種類と適用条件を徹底解説

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確定申告の所得控除15種類と適用条件を徹底解説

所得控除とは所得額から一定額を控除できる制度であり、全部で15種類存在します。各種所得の合計額から所得控除を差し引いた額が課税される所得金額となります。所得税の額を過不足なく計算するためには、所得控除を正しく適用することが大切です。今回は所得控除15種類それぞれの適用条件や、所得控除を受けるための手続きについて詳しく解説します。

所得控除とは?わかりやすく解説

所得控除とは各種所得の合計額から一定額を控除できる制度です。所得から所得控除を差し引いた後の金額が課税される所得金額となります。

所得控除の目的として以下の3つが挙げられます。

  • 納税者が抱える個々の事情を考慮するため
  • 最低生活費を保障するため
  • 社会政策上の要請によるもの

さまざまな事情を考慮した上で税負担面での調整を行うための制度といえるでしょう。

参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

所得控除15種類の一覧と特徴

雑損控除における確定申告のイメージ

所得控除は全部で15種類あり、性質によって「人的控除」と「物的控除」に大別されます。以下では人的控除と物的控除に分けて、各所得控除の適用条件や控除額について解説します。

関連記事:個人事業主に適用される所得控除はいくつある?控除の種類や注意点を解説

人的控除の種類

人的控除は納税者本人および家族に関連する控除です。扶養親族の有無をはじめとした人・家族構成に関する事情を考慮して、税負担を調整するために設けられています。

控除の種類

適用条件

控除額

基礎控除

納税者本人の合計所得金額が一定以下

48万円・32万円・16万円のいずれか
※合計所得金額によって異なる。

扶養控除

納税者本人に所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合

38万円・48万円・58万円・63万円のいずれか
※扶養親族の年齢や同居の有無によって異なる

配偶者控除

納税者本人に所得税法上の控除対象配偶者がおり、納税者本人の合計所得金額が一定以下である場合

13万円・26万円・38万円のいずれか
(老人控除対象配偶者の場合は16万円・32万円・48万円のいずれか)
※納税者本人の合計所得金額による

配偶者特別控除

納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である場合

1万円~38万円
※本人と配偶者の合計所得によって異なる

障害者控除

納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族のいずれかが所得税法上の障害者に当てはまる場合

27万円・40万円・75万円のいずれか
※障害の程度や同居の有無によって異なる

寡婦控除

配偶者と離婚または死別した後で婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の場合
※ひとり親に該当する場合は対象外

27万円

ひとり親控除

事実上婚姻関係と同様の事情にある人がおらず、生計を一にする子がおり、合計所得金額が500万円以下の場合

35万円

勤労学生控除

納税者自身が勤労学生で、合計所得金額が75万円以下の場合

27万円

参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

人的控除に該当する制度は所得合計や納税者・家族の状況などの区分ごとに、明確な控除額が定められています

物的控除の種類

物的控除とは納税者の特定の支出に対する所得控除です。各々の控除は社会政策的な配慮から設けられています。

控除の種類

適用条件

控除額

雑損控除

災害、盗難、横領等によって資産について損害を受けた場合

以下のうちいずれか多い方の金額
①(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-総所得金額等×10%
②(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

医療費控除

1年間に自己または自己と生計を一にする親族等のために支払った医療費が一定額を超える場合

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円
※最高200万円
※総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額等の5%

社会保険料控除  

自己または自己と生計を一にする親族等の負担すべき社会保険料を支払った場合

その年に実際に支払った、もしくは給与や公的年金等から差し引かれた社会保険料の全額

小規模企業共済等掛金控除  

納税者本人が小規模企業共済法に規定された掛金等を支払った場合

その年に支払った掛金の全額

生命保険料控除  

生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合

一定の計算式によって計算した額
※上限12万円

地震保険料控除  

損害保険契約等にかかる地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合

一定の計算式によって計算した額
※上限5万円

寄附金控除  

国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して特定寄附金を支出した場合

以下①②のいずれか低い金額-2,000円
①その年に支出した特定寄附金の額の合計額
②その年の総所得金額の40%相当額

参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

控除額が明確に定められている人的控除と違い、物的控除はいずれも一定の計算式を用いて控除額を算出します。

給与所得者と個人事業主で異なる手続き

給与所得者の場合は、勤務先で受ける年末調整で所得控除の適用が行われます。一方で個人事業主の場合、確定申告で所得控除を受けるための手続きが必要です。所得控除を受けるための手続きについて、給与所得者と個人事業主それぞれで詳しく解説します。

給与所得者が年末調整で行う手続き

給与所得者が年末調整を受けるためには、勤務先へ年末調整に関する書類の提出が必要です。提出が必要な書類の例を紹介します。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  4. 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
  5. 保険料控除証明書

このうち1〜4は一般的に会社からフォーマットが共有されるため、各欄に必要事項を記入していきます。1〜3は原則として全員提出が必要です。4は住宅ローン控除(2年目以降)の適用を受ける場合に提出する必要があります。

5は生命保険料控除や地震保険料控除の控除額を証明するために必要です。生命保険料控除や地震保険料控除を受けない場合は必要ありません。

なお、年末調整で適用できない所得控除を受けたい場合は、給与所得者でも確定申告が必要です。給与所得者で年末調整と確定申告の両方が必要になるケースについては以下の記事をご覧ください。

関連記事:【税理士監修】年末調整と確定申告の違いとは?両方が必要なケースや適用される所得控除を解説!

個人事業主が確定申告で行う手続き

個人事業主が所得控除の適用を受けるためには、確定申告書に所得控除に関する情報の記入が必要です。「確定申告書等の様式・手引き等」に沿って必要事項を記入していきましょう。

確定申告の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 1年間の合計所得を計算する
  2. 所得控除適用後の課税所得金額を計算する
  3. 一定の税率を乗じて所得税額を計算する
  4. 税額控除を差し引いて最終的な納付税額を計算する

確定申告のやり方については以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:【税理士監修】確定申告のやり方ガイド!いつからいつまでの収入?郵送のケースや必要書類・マイナンバーカードについて
関連記事:個人事業主に適用される所得控除はいくつある?控除の種類や注意点を解説

以上のように、給与所得者と個人事業主どちらの場合でも、所得控除の適用漏れやミスを防ぐためには専門家のサポートを受けるのが安心です。

所得控除について不安があれば、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

所得控除と税額控除の違い

寄付金控除の上限に関するイメージ

所得税には所得控除だけでなく、税額控除という制度も存在します。以下では所得控除と税額控除の違いや、税額控除に該当する制度の例を紹介します。

税額控除とは

税額控除とは課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から一定額を直接控除する制度です。所得税額から税額控除による控除額を差し引いた額が最終的な納付税額になります。

所得控除は合計所得から、税額控除は所得税額から控除額を差し引きます。控除を適用するタイミングが異なる点にご注意ください。

税額控除の例

所得税の税額控除に該当する制度の例を紹介します。

控除の種類

適用条件

控除額

住宅借入金等特別控除
(住宅ローン控除)

一定の要件を満たす住宅の新築、取得または増改築等を行い、その取得等に際して住宅ローンを利用した場合

年末時点の借入残高の0.7%相当

配当控除

総合課税の配当所得がある場合

配当所得の金額の10%または5%相当額

寄附金特別控除

一定の寄附金を支払った場合
※寄附金控除(所得控除)の適用を受ける場合を除く

寄附金の支払先によって異なる

税額控除は所得控除に比べて適用可否の判断が難しく、控除額の計算式も複雑です。税額控除を正しく適用するためには専門家である税理士のサポートを受けるのが良いでしょう。

税額控除について疑問や悩みがあれば、小谷野税理士法人にご相談ください。

確定申告で所得控除を受けるためのポイント

最後に、確定申告で所得控除を正しく計算するために押さえるべきポイントを2つ紹介します。

書類チェックを徹底する

確定申告において不備や漏れが起こる原因の1つが書類不足です。そのため確定申告を行う際は書類チェックを徹底する必要があります。

確定申告に関する書類のうち、所得控除に関係する書類の例は以下の通りです。

  • 保険料控除証明書
  • 医療費の証明書
  • 寄付金控除に関する証明書

必要書類を不備なく揃えるためには、まずは所得控除に対する理解を深める必要があります。自身が適用を受けられる所得控除を正しく把握した上で、所得控除のために必要な書類を確認して早めに用意しましょう。

もちろん、ただ書類を用意するだけでは不十分です。書類の内容を入念に確認し、所得控除に必要となる情報を適切に把握する必要もあります。

控除額や税額の計算方法を確認する

確定申告を正しく行うためには、所得控除の額や税額などの計算を正しく行う必要があります。

所得控除による控除額は制度によって計算方法が異なるため、それぞれ確認が必要です。国税庁の公式サイトに所得控除ごとのページが用意されているため、詳しくはそちらをご確認ください。

参考:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし

所得税額は課税所得金額に一定税率を乗じて計算します。税率は所得金額によって以下のように異なります。

課税される所得金額

税率

控除額

195万円未満

5%

0円

195万円以上330万円未満

10%

97,500円

330万円以上695万円未満

20%

427,500円

695万円以上900万円未満

23%

636,000円

900万円以上1,800万円未満

33%

1,536,000円

1,800万円以上4,000万円未満

40%

2,796,000円

4,000万円以上

45%

4,796,000円

出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

計算方法を誤った結果、意図せず消費税額を少なく申告してしまうと、過少申告加算税や延滞税を課されてしまいます。正しい税額を計算できるよう、計算方法の確認も徹底しましょう。

まとめ:控除を活用して賢く節税

所得控除は全部で15種類存在し、制度によって適用要件が全く異なります。要件を満たす所得控除を漏れなく適用すれば所得税額を最小限に抑えられます。言い換えると、所得税の節税効果を最大限に得るためには所得控除の活用が必要不可欠です。

とはいえ、所得控除の中には適用可否の判断が難しいものや、複雑な計算が必要な制度も存在します。適用可否の判断や控除額の計算を誤ってしまうと税額計算にもズレが生じ、過少申告になってしまう恐れがあります。

所得控除を活用しつつ正しい確定申告を行うためには、専門家である税理士のサポートを受けるのが確実です。

所得控除や確定申告についてお悩みの方は、ぜひ小谷野税理士法人へご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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