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個人住民税の特別徴収税額とは?普通徴収との違いについて

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個人住民税の特別徴収税額とは?普通徴収との違いについて

個人住民税の特別徴収税額は、納税の仕組みを理解するために重要です。住民税には特別徴収と普通徴収という2つの方法があり、それぞれの特徴を把握することで、自身の納税方法を正しく選択する助けになります。特別徴収は給与から直接差し引かれて納付され、普通徴収は納税者自身で支払う仕組みになっています。本記事では、この2つの違いや特徴について解説をします。

個人住民税とは?

住民税には「個人住民税」と「法人住民税」があり、そのうち個人が住民票を有する市区町村に納税するのが個人住民税です。

個人住民税は、地方自治体である都道府県や市町村が行う住民に提供する行政サービスを支える地方税です。住民税には「所得割」と「均等割」の2つがあり、所得割は前年の所得に応じて課される税です。一方、均等割は所得に関わらず一定の所得がある人に一律の税額が課せられます

住民税の特別徴収とは

住民税の特別徴収と普通徴収のイメージ

住民税の特別徴収は、事業主が従業員の個人住民税を毎月の給与から差し引き、自治体に納付を行う制度です。従業員にとっては納税手続きが自動的に処理されるため、自ら役所や金融機関に出向く必要がありません。

特別徴収の対象期間は6月から翌年5月までの12ヵ月間とされ、毎月納めることになっています。納付期限は従業員の給与から特別徴収税額を差し引いた月の翌月の10日です。

関連記事:従業員を雇用した場合の税金は?必要な手続きや確定申告の疑問を解説

住民税の特別徴収と普通徴収の違い

住民税には、特別徴収と普通徴収の2つの徴収方法があります。この2つの主な違いは納税の方法と管理方法です。

特別徴収は、先述のとおり給与から自動的に住民税が差し引かれる仕組みであり、事業主が納税手続きを行います。事業主が主に手続きを行うため、納税者はあまり納税に対する意識をすることはないかもしれません。

対して、普通徴収は納税者自身が納税手続きをする必要があります。納税額を決定する対象期間は、特別徴収と同じ6月から翌年5月までです。普通徴収では毎年6月頃に住民税決定通知書が送付されます。

なお、特別徴収から普通徴収に切り替えは、基本的に事業主や従業員側の意向で変更することはできません。

関連記事:従業員の雇用手続きは?採用後に必要な書類や加入保険について

特別徴収のメリット・デメリット

メリット・デメリット

特別徴収は給与から住民税が自動的に控除される仕組みですが、事業主側・従業員側それぞれにメリット・デメリットもあります。以下よりそれぞれの

特別徴収のメリット

特別徴収には、事業主と従業員それぞれのメリットについて解説します。

<事業主にとってのメリット>

1.納税手続きの簡素化
従業員の住民税を特別徴収で管理することで、従業員自身が納税する手続きが不要になります。これにより、納税申告や支払いのミスを防ぐことができます。

2.スムーズな資金管理
特別徴収された住民税は、毎月の給与から自動的に引き落とされるため、事業主は資金繰りの計画を立てやすくなります。給与支給のタイミングで即座に住民税が納付されるため、キャッシュフローも安定します。

3.従業員の納税意識向上
特別徴収が導入されていることで、従業員は給与明細を通じて住民税が課されていることを意識させることができます。

<従業員にとってのメリット>

1.負担軽減
従業員は給与から自動的に住民税が差し引かれるため、従業員自身で支払う必要がなく、納税の手間が軽減されます。

2.家計管理がしやすくなる
毎月の給与から住民税が天引きされることで、従業員はその分をあらかじめ計算に入れた生活費の管理ができ、予算の計画が立てやすくなります。

特別徴収のデメリット

特別徴収には、メリットがある一方でそれぞれにデメリットもあります。

<事業主にとってのデメリット>

1.手続きが複雑になる
特別徴収を行うためには、従業員の住民税をまとめて計算し、毎月の給与から差し引く作業が伴います。このため、給与計算ソフトウェアの導入や、税務に関する知識が求められます。

2.納期が厳格
住民税の特別徴収には納期が定められています。このスケジュールに対し遅延が発生すると、ペナルティが科されるリスクがあります。事業主には常に納期を意識した管理が求められます。

<従業員にとってのデメリット>

1.給与からの控除額の変動
住民税は前年の所得に基づいて計算されます。そのため、収入が減少した年でも前年の所得に基づいて住民税が引かれるので、予想外の金額が給与から控除されることがあります。これが家計に影響を及ぼすことがあります。

2.異動時の影響
従業員が転職や異動をした場合、特別徴収の税額が新しい勤務先に引き継がれないことがあります。新しい会社で普通徴収に切り替えることになり、次の年度に一括で住民税を納める必要が出てくることもあります。これにより、短期間で大きな支出が発生し、家計が圧迫される可能性があります。

関連記事:個人事業主の節税・税金対策を解説!ポイントや法人の方がお得なケースとは? 

住民税の特別徴収・普通徴収を切り替える方法

特別徴収は主に給与所得者を対象とした納税方式であり、勤務先が代わりに住民税を給与から天引きして納付します。

しかし、場合によっては住民税の特別徴収は普通徴収に切り替えることも可能です。ただし、切り替えには手続きが必要であり、具体的な条件が存在します。 

以下より、住民税の具体的な切り替えのタイミングや切り替え方法について解説をします。

切り替えができるケース

住民税の特別徴収を普通徴収に切り替えることができるケースはいくつかあります。以下に具体的なケースと詳細を解説します。

転職した場合

新たな勤務先での住民税の取り扱いによっては、特別徴収から普通徴収への切り替えが可能になります。また、前職の退職時に特別徴収の手続きが行われていない場合などは、普通徴収を選択することができます。

退職・失業した場合

退職後、収入がない期間が続く場合、普通徴収に切り替えが必要になることがあります。この場合、住民税は次年度に対する支払いとなるため、収入に応じて普通徴収が適用されやすくなります。

収入が大幅に減少した場合

収入が減少し、特別徴収の税額が負担になる場合、普通徴収に切り替えることで支払い額を調整できます。特に、前年度の収入をもとに計算される住民税が高額になる場合は、切り替えが適切です。

普通徴収に切り替える手順

住民税の特別徴収を普通徴収に切り替える手続きは、以下の手順に従って行います。

1.申請書の準備

切り替えを行うには、所定の申請書を提出しなければなりません。通常、特別徴収を希望する場合は「特別徴収義務者届出書」、普通徴収が必要な場合は「普通徴収申請書」を作成します。

2.申請書の準備と作成

申請書以外にも必要書類がある場合があります。例えば、給与支払明細書や納付書の写しなどを添付することがありますので、詳しくは市区町村に確認しましょう。

3.市区町村への提出

作成した書類を税務署または市区町村の税務課に提出します。郵送でも可能ですが、直接持参すると受付印をもらえるため安心です。

なお、各申請書には提出期限があります。一般的には、前年の11月から12月頃が締切となる場合が多いです。

4. 審査結果の通知

提出後は市区町村の審査が行われます。承認が下りるまで数週間を要することがあります。

切り替えの承認が下りたら、通知が届きます。この際、特別徴収や普通徴収の開始日を確認し、今後の納税に備えましょう。

関連記事:住民税特別徴収ってなに?手続きの流れや内容を解説

よくある質問

QA

住民税の特別徴収に関して、非課税対象となる条件や、勤務先や雇用形態によってどのように特別徴収が適用されるかについて、多くの質問が寄せられています。住民税の特別徴収についての疑問は、給与額や所得の状況に応じて取り扱いが異なるため、一つずつ詳しく見ていきましょう。

Q1:2ヵ所以上で勤務している従業員は特別徴収されますか?

複数の勤務先がある場合、住民税の特別徴収の取り扱いは少々複雑になります。

2ヵ所以上の勤務先がある場合、原則としてそのうち1か所の事業所ですべての税額の特別徴収が行われることになります。しかし、それぞれの勤務先で特別徴収が行われる場合もあります。例えば役員として在籍している場合、別途住民税が計算される可能性があります。

従業員として従事する納税者は、特別徴収の税額決定通知書をしっかり確認し、それぞれの勤務先でどのように税金が控除されているのかを把握することが重要です。特に、役員報酬のような特別な収入がある場合、通常とは異なる計算や取り扱いが発生する可能性もあるので注意しましょう。

関連記事:副業は無申告でもバレない?確定申告していないときの対処方法を解説

Q2:特別徴収は拒否できますか?

特別徴収は原則として従業員から拒否することはできません。給与所得者自ら納税の方法を選択する権利はなく、納税は事業主側によって給与から自動的に差し引かれます。

ただし、特定の事情がある場合は、普通徴収に切り替える申請が必要です。詳しくは先述した「切り替えができるケース」で確認をしてください。

Q3:パート・アルバイトの給料も特別徴収になりますか?

パートやアルバイトとしての収入も、特別徴収の対象となる場合があります。一般的に給与支払者はすべての従業員から住民税を特別徴収する義務を負っているのが現状です。フルタイムだけでなく、パートやアルバイトも含まれます。

ただし、雇用形態や収入額に応じて特別徴収を行わないケースもあります。給与が一定額以下の場合は普通徴収に切り替えることもできます。具体的な適用基準については、「切り替えができるケース」または各市町村の税務当局や事業主に確認をしてください。

特別徴収と普通徴収の特徴を理解して節税に繋げよう

住民税の特別徴収と普通徴収の違いや特徴について解説してきました。特別徴収は毎月の給与から自動的に税額が引き落とされ、普通徴収は納税者自身が納付する点に違いがありますが、どちらにメリットがあるかは雇用形態やライフスタイルによって異なります。

今後も税制理解を深め、自分の収入状況やライフスタイルを見直し、適切な納税方法を選ぶことが大切です。毎月の家計管理を意識しながら、自身に合った納税方法を選び、正確でスムーズな納税を実現しましょう。

従業員や自身の住民税、特別徴収や会計処理関連のお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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