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非上場株式を売却する際の税金はいくら?計算方法や税率を解説!

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非上場株式を売却する際の税金はいくら?計算方法や税率を解説!

事業承継やM&Aを考える上で、非上場株式の売却を検討している方も多いのではないでしょうか。非上場株式は売却可能であるものの譲渡益に対して税金がかかるため、株価の算出や税務処理を正確に行うことが重要です。この記事では、非上場株式を売却する際にかかる税金について、計算方法や税率、ケース別に発生する税金などについてご紹介します。

非上場株式とは?

疑問を持つ男性

株式市場で売買される株式は「上場株式」と呼ばれます。上場とは、株式を株式市場で取引できるようにすることで、企業は事業に必要な資金を調達するために、株式を発行します。

一方、証券取引所に上場していない企業も株式を発行できます。これを「非上場株式」と呼び、一般的に公開市場では取引されずにプライベートな取引が行われるのが特徴的です。上場企業よりも流通量が少なく、経営者や従業員がその大半を所有している企業も多いでしょう。

日本企業の99%は非上場企業で、その数は300万社を超えるといわれています。つまり、日本企業の株式の多くは「非上場株式」であると言えるのです。

非上場株式の多くは譲渡に制限が定められており、発行会社の承認なく譲渡の手続きを進められません。上場株式は証券取引所で取引されているため、市場で取引価格が決まります。しかし、非上場株式は市場での取引価格が存在しないため、取引が難しいのが特徴です。

非上場株式は特定の投資家や企業内部の親族や関係者によって所有されているケースが多く、取引が非公開で行われがちであるため、価格決定には注意が必要です。

関連記事:【公認会計士 税理士監修】上場会社とは?メリットやデメリット、上場するかどうかの判断ポイントをわかりやすく解説!

非上場株式を売却する場合のメリット

非上場株式を売却する場合、主に以下の3つのメリットがあります。それぞれのメリットについて見ていきましょう。

手続きが手軽

株式の売却は他のM&Aの手法と比べて手続きが簡単です。株主総会の承認を得る必要がなく、契約書の作成のみで実施できます。ただし、株式譲渡制限がある場合は会社の承認が必要です。

創業者利潤が得られる

株式の取得時よりも価値が上がっている場合には、利益を得られます。売却による対価を活用して新しい事業に乗り出すことも期待できるでしょう。

事業承継

非上場会社が99%以上を占める中小企業では、後継者不在の問題に直面するケースがよく見受けられます。非上場株式の売却は後継者問題への解決につながり、会社を存続させる手段としても活用できるでしょう。

注意点として、譲渡を受ける側は負債や経営不振事業など、引き継ぎたくないリスクについて事前に確認しておきましょう。

非上場株式を取得する場合のメリット

飲食店の開業手続きイメージ

非上場株式を取得する場合、主に以下の2つのメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

将来上場した際に大きな利益が得られる

非上場株式を購入した後、その会社の企業が上場すれば購入時の株式よりも株価は大きく上昇するでしょう。成長が期待できる企業の株式を取得することで、大きな利益が期待できます。ただし、投資目的で非上場株式を購入する場合には、会社の現状や将来性を十分に調査する必要があります。

節税効果を期待できる

非上場株式を相続するには「相続税」が、譲渡した場合には「所得税」などの税金が発生します。相続税の税率は累進課税となっており、最大で55%もの税金が発生します。一方、株式を譲渡する際に発生する税金は個人で20%、法人でも30〜40%ほどです。株式の内容や評価額にもよりますが、非上場株式を相続するよりも、譲渡する方が節税につながる可能性があります。

非上場株式を売却・取得する場合にかかる税金

非上場株式の売却や取得には、さまざまな税金の対象となります。ここでは、非上場株式を譲渡・購入する際に発生する主な税金について見ていきましょう。

相続税・贈与税(取得する側)

非上場株式を相続または贈与で受け取る場合、相続税または贈与税が課される可能性があります。相続税は故人からの遺産として株式を受け取る場合に、贈与税は生前に無償で株式を受け取る場合に発生し、受け取る株式の評価額に基づいて計算されます。

所得税・復興特別所得税(譲渡する側)

個人が非上場株式を譲渡する際には、所得税と復興特別所得税が課税されます。所得税や復興特別所得税は、譲渡によって得た利益(譲渡益)に対して計算されます。譲渡益は、譲渡価格から取得費や必要経費を差し引いた金額です。

法人税(譲渡する側)

法人が非上場株式を売却する場合、その売却益に対して法人税が課されます。売却益は、売却価格から取得費や必要経費を差し引いた金額で計算され、税率は法人の規模や所得の金額によって異なります。

住民税(譲渡する側)

非上場株式の譲渡によって得た利益には、住民税も課されます。所得税と同様に譲渡によって得た利益(譲渡益)に対して計算され、税率は居住地の自治体によって定められています。

関連記事:株式売却の確定申告はいくらから?申告方法は?

ケース別:非上場株式の売却で発生する税金

非上場株式の売却時には、ケースごとにさまざまな税金がかかります。ここでは、個人や法人が非上場株式を売却する場合の税金について詳しく見ていきましょう。

個人が外部の法人・個人に売却するケース

個人が非上場株式を外部の法人または個人に売却する場合、以下の税金が発生します。

  • 所得税
    譲渡益(売却価格から取得原価を差し引いた額)に対して所得税が課されます。所得税率は15%です。
  • 住民税
    所得税と同様に、住民税も譲渡益に対して課税されます。住民税率は5%です。

売却先が法人や個人であることによる特定の優遇措置はありませんが、適正な価格で売却することで、将来的な税務リスクを回避できます。また、適正な価格での譲渡は、税務調査時の問題を未然に防ぐことにもつながります。

法人が外部の法人・個人に売却するケース

法人が非上場株式を外部の法人または個人に売却する場合、主に以下の税金が発生します。

  • 法人税

譲渡益に対して法人税が課されます。法人税率は法人の資本金や所得などによって異なります。

  • 住民税

法人が譲渡によって利益を得た場合、住民税も課税されます。住民税率は法人の所在地ごとに定められています。

法人にとって非上場株式の売却は、資本の流動性を高めると同時に税務上の計画が必要です。売却益による税負担を適切に管理することで、企業財務の健全性を保つことにつながります。

株式の発行会社に売却するケース

非上場株式を発行会社に売却する場合、以下の税金が発生する可能性があります。

  • 譲渡益の計算

売却価格から取得原価を差し引いた譲渡益を計算します。

  • みなし配当

法人税法上、配当金として税務処理されます。

発行会社への売却は、税務処理や財務上の影響を考慮する必要があります。売却前には、税理士などの専門家に相談し、最適な売却プランを立てることが望ましいでしょう。

関連記事:株式投資にはどのような税金がかかる?節税方法や税制優遇措置についても解説

非上場株式の売却にかかる税金の計算方法

外注の際の人件費と節税のイメージ

個人が非上場株式の売却で得た利益に対して所得税や住民税税金が課されます。売却益は、売却価格から取得費と売却費用を差し引いた金額で求められます。

売却益 = 売却価格 − ( 取得費 + 売却費用 )

売却にかかる税率は所得税15%と住民税5%、合計で20%の税金がかかります。

税金合計 = 売却益 × ( 所得税率15% + 住民税率5% )

非上場株式の売却価格には、仲介手数料や必要経費が含まれることがあるため、想定しておきましょう。

非上場株式を低額・無償で譲渡するケースに注意

非上場株式を低額または無償で譲渡する場合は、贈与税や所得税などの税務リスクが伴います。

通常、株式は市場価値(時価)で取引されますが、時価よりも著しく低い価格で譲渡された場合、税法ではこのような取引を「みなし贈与」と判断することがあります。実際には支払いがされていなくても贈与と同じように扱われ、贈与税が課税される可能性があるのです。

例えば、ある個人が非上場株式を市場価値が500万円であるにも関わらず、200万円で別の個人に譲渡した場合を考えてみましょう。この取引は時価の2分の1未満で行われているため、譲渡する側には譲渡所得税が課せられ、受け取った個人には贈与税が課せられる可能性があります。

また、法人間の取引では、経済的合理性に基づいて常に時価で取引を行うことが前提とされており、時価との差額について課税されることが一般的です。さらに、無償で株式を譲渡する場合も贈与税が課税されることがあります。このような低額や無償での取引は税務上のリスクが高いため、税理士など専門家のサポートが有効でしょう。

非上場株式を売却する際に所得税の負担を軽減する特例

個人事業主の廃業届に関するイメージ

通常、個人が非上場株式をその発行会社に売却した場合、一定の金額を超えた部分は配当所得とみなされて所得税が課税されます。

しかし、相続または遺贈により財産を取得した場合、以下の条件を満たしていれば、みなし配当が課税されずに所得税の負担を減らせる特例制度があります。

  • 対象:相続または遺贈により非上場株式を取得した個人
  • 譲渡対価:非上場株式を発行会社に譲渡した際の対価(金銭やその他の資産)
  • 特例の適用条件:
    • 譲渡対価が譲渡した非上場株式の資本金等の額を超える場合
    • 譲渡が相続の開始日から3年以内に行われる場合
  • 特例の効果:
    • 超える部分の譲渡対価はみなし配当として課税されず、全額が「譲渡所得」となる
    • 譲渡所得から取得費および譲渡に要した費用を控除して計算した所得金額の15%に相当する所得税が課税される

この特例を利用することで、非上場株式の譲渡に伴う所得税の負担を軽減できます。また、取得費を計算する際には、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の適用を併用することも可能です。

特例を利用する際には「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」を発行会社に提出する必要があります。詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。

参考:国税庁|No.1477 相続により取得した非上場株式をその発行会社に譲渡した場合の課税の特例

非上場株式を譲渡・売却する前は専門家へご相談を

この記事では非上場株式を売却する際に課される税金についてご紹介しました。上場株式とは異なり、市場での取引価格が存在しない非上場株式は取引が難しく、発生する税金も複雑です。

非上場株式を売却することで事業承継として活用できるメリットがありますが、取引を行う前には税金がどのくらいかかるのかをよく調べることが大切です。しかし、取引相手が個人なのか法人なのかによって課税される税金の種類も異なりますので、税理士などの専門家に相談するのが有効でしょう。

非上場株式の売却や事業承継の方法、資金調達などについて詳しく知りたい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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