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DX投資促進税制が延長された?背景や認定要件・流れ・事例を解説!

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DX投資促進税制が延長された?背景や認定要件・流れ・事例を解説!

DX投資促進税制とは、デジタル技術によって攻めの企業変革を目指す事業者をサポートする制度で、2025年3月31日まで延長されました。税額控除か特別償却のいずれかを適用でき、事業者の資金繰りを改善する効果が期待できる制度です。今回は、DX投資促進税制の概要や要件、手続きの流れと必要書類、延長された事実などを解説します。

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DX投資促進税制は2025年3月31日まで延長された

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DX投資促進税制とは、デジタル技術の活用により企業変革を実施する事業者のサポートを目的とするもので、2021年に制定されました。

当初は2023年3月31日までの期間が予定されていたものの、2025年3月31日までの期間延長が決定しています。本制度で対象となる設備、税額控除・特別償却の割合などは以下の通りです。

対象設備

  • ソフトウェア
  • 繰延資産:クラウドシステムの移行に必要な初期費用
  • 器具備品:ソフトウェア・繰延資産と関連するものに限定
  • 機械装置:グループ外の法人とデータ連携する場合

税額控除

  • ソフトウェア・繰延資産:3%
  • 器具備品・機械装置:5%

※グループ内外のデータ連携の類型によって変更:グループ会社間(3%)、グループ外法人(5%)

特別償却

30%

限度額

  • 上限:300億円※カーボンニュートラル投資促進税制と合わせ、法人税額の20%まで
  • 下限:国内の売上高比0.1%以上

本制度により、法人税額から最大5%の税額控除か、特別償却30%を適用できます。特別償却とは、事業用資産の取得直後から、減価償却費とは別に経費を計上できる優遇措置です。

本制度を利用するうえでは、以下の2つの点を満たすのがポイントです。

  • 青色申告書を提出する法人である
  • 事業適応計画の認定を受けている

後述する通り、「DX認定」の取得も前提条件となるため、取得していない事業者はなるべく早く手続きをするのが望ましいです。

本制度で対象となる投資は、具体的に以下に示します。

  • 顧客データによる情報の集約とシェア
  • 機械や無人レジなどの導入による生産性UPやオートメーション化・顧客利便性UPなど

記事の執筆時点において、2025年4月以降も本制度を申請できるのかは未定です。

参考:「DX投資促進税制」経済産業省

DX投資促進税制の認定要件

本制度は以下の2点を主な狙いとしており、デジタル要件と企業変革要件の両方を満たすのがポイントです。

  • デジタル人材の育成や海外市場への進出など、守りよりも攻めのDX
  • 自部門や拠点によるものではなく、全社レベルでの抜本的な改革

各要件に関しては、以下の表にまとめます。

デジタル(D)要件

企業変革(X)要件

  • データ連携:他の法人のデータor新規取得データと内部データの連携
  • クラウド技術(インターネット経由でのサービス提供技術)の活用
  • DX認定の取得:情報処理推進機構によって実施
  • 全社レベルでの売上UPが期待される
  • 成長性の高い海外市場の獲得を目指す
  • 取締役会などの決議文書添付などを通し、全社の意思決定によるものと証明

要件の詳細に関して、押さえておきたいポイントは以下の表にまとめました。

計画期間に関するもの

事業適応計画の実施期間は10年以内

売上に関するもの

計画期間内の新商品などの売上高が、比較対象期間の売上高平均10%以上の達成が予想される

財務の健全性に関するもの

計画の終了年度に以下の2つの達成が予想される

  • 経常収入>経常支出
  • 有利子負債(借入金や社債など)/CF(キャッシュフロー)≦10

取組みに関するもの

  • 計画の終了年度の新商品などに関する売上のうち、25%から50%以上を海外売上が占めると予想される
  • クラウド技術による既存データと、以下のいずれかのデータ連携・活用
  • 事業者・個人のデータ
  • センサーなどによって新しく取得するデータ

決定に関するもの

1つの事業部門・事業拠点ではなく、取締役会などによって決定されている

その他のもの

  • 2022年12月1日移行にDX認定を取得・更新している
  • 過去に本制度に関する課税の特例を受けたことがない
  • 投資額が過去3年の国内売上高平均額の0.1%以上である
  • ハードウェアの場合、ソフトウェアと一体的に利用するもの
  • 繰延資産の場合、クラウドシステムの構築に関係するもの
  • 設備などに関して、以下の条件を満たす
  • クラウドシステムの構築or使用に必要
  • 中古ではない
  • 貸付けなどではない
  • ソフトウェア業やインターネット付随サービス業などに該当しない
  • 国内の事業を対象

以下の通り、本制度を適用できないケースも知っておくとよいでしょう。

  • 2022年度までに本制度を活用した事業者
  • 同じ設備に対する複数の税制の適用
  • 同一法人の2回以上の課税の特例基準の確認

本制度を申請するには、基本的に攻めのDXが必要だと知っておくのがポイントです。

参考:「DX投資促進税制」経済産業省

DX投資促進税制の必要書類

本制度を申請するには、以下の書類を用意する必要があります。

  • 事業適応計画の認定申請書2点:「様式第18」と「第18の17」に、目標・内容・実施時期などを記載
  • 添付書類:申請書のバックデータや補足資料を添付したもの

書類の書き方が分からない場合、経済産業省の公式サイトを参考にするとよいでしょう。

投資金額が確定していない場合、見積書などを根拠として提出する必要があります。

オンライン申請時は、オンライン上のフォーマットで申請書を作成できるため、添付書類のみ個別でアップロードするのがポイントです。

参考:「申請書の記載例・ポイントについて (DX投資促進税制)」経済産業省

DX投資促進税制の手続きの流れ

本制度の手続きを自社でする場合、以下の流れで進める必要があります。

  1. DX認定の取得:申請要件を満たしたうえで、申請書類をDX推進ポータル(Web申請システム)で申請
  2. 事前相談:申請する2ヵ月から3ヵ月前に、管轄する内閣府や中央官庁(主務官庁)への相談・確認が必要
  3. 申請:申請書と添付書類を提出※審査期間は事業者によって異なり、約1ヵ月から2ヵ月が目安
  4. 計画認定:課税の特例への適合性に関して、合わせて審査される
  5. 投資:適用期間内に、申請するタイミングで提示した投資を実施する
  6. 税務申告
  7. 実施状況報告書の提出:原則として事業年度の終了後3ヵ月以内に提出する

本制度による控除を受けるには、以下の書類を用意したうえで、税務署に申告するのもポイントです。

  • 事業適応計画の申請書のコピー
  • 事業適応計画の認定書のコピー
  • 事業適応計画の認定確認書のコピー

投資内容や目標値など、計画に変更点が生じる場合、変更申請と認定を受ける必要があります。

本制度を申請する前提として、国からデジタルでビジネス変革の準備ができていると認められる「DX認定」の取得が必要です。審査には60営業日以上かかるのが特徴で、申請から認定取得までに4ヵ月以上かかるものとして計画するのが無難です。

手続き全般を面倒に感じる事業者にとっては、税理士などの専門家が頼りになるでしょう。

参考:「DX認定制度のご案内」独立行政法人 情報処理推進機構

参考:「DX投資促進税制」経済産業省

DX投資促進税制の活用事例

手を組みあっている人

本制度で認定を受けた事業者の1つは、関西ペイント株式会社です。以下の通り、同社はIT基盤の強化を日本・海外の子会社に関係なく継続して実施してきたのが特徴です。

  • 2020年に日本アイ・ビー・エム株式会社とパートナーシップの締結
  • 2024年度までのITロードマップの策定
  • セキュリティの強化
  • IT人材の育成
  • DX推進のための投資
  • 全拠点の販売や調達などの情報を自動的に収集・活用可能なプラットフォーム構築の推進など

本制度のサポートを通し、同社はさらにIT基盤を強化し、グローバル企業としての発展が期待されています。

DXの推進によって、生産性UPや収益の改善などが期待できると分かる事例です。

参考:「~関西ペイントグループが取り組むIT戦略~新制度初「情報技術事業適応計画」の認定を取得」関西ペイント株式会社

DX投資促進税制以外で活用できる補助金

本制度以外にも、以下の通りDXで活用できる補助金は複数あります。

IT導入補助金

  • 経営課題解決を目的に、ITツール導入をサポートする補助金
  • 通常枠やインボイス枠など、5つの枠から選択できる
  • 相談対応などのサポート費用やクラウドサービス利用料なども対象に含まれる
  • 「gBizIDプライム取得」「SECURITY ACTION実施」「みらデジ経営チェック実施」の3つが申請要件である

事業再構築補助金

  • 今もコロナの影響があったり、ポストコロナに対応する事業構築をしたりする事業者をサポートする補助金
  • 認定経営革新等支援機関により、
  • 事業計画書の確認を受けるのが要件の1つ
  • 「成長分野進出枠」「コロナ回復加速化枠」などの事業類型がある

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

  • 国の制度変更などへ対応するため、革新的なサービス開発や生産性UPに必要な設備投資などをサポートする補助金
  • 中小企業者か特定非営利活動法人を対象
  • 補助申請額が一定規模を超える場合、オンラインの口頭審査がある
  • 2023年度補正予算に基づく公募はすでに終了している

本制度は他の補助金と併用できるのが特徴で、合わせて申請するのも1つの方法です。本制度に法人税法上の「圧縮記帳(課税の繰り延べ)」を適用した場合は、圧縮記帳後の金額が取得価額となると把握しておくとよいでしょう。

補助金や補助金は返還の必要がないのがメリットの反面、審査に落ちたり申請期間が限られているケースもあったりするのがデメリットです。審査に通りやすくするには、税理士の力を頼るのが1つの方法です。

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ここまで、DX投資促進税制の概要や流れ、必要書類、延長されたことなどを解説しました。

本制度を申請できるのは2025年3月末までで、4月以降は今のところ未定です。返還不要で利用できるため、攻めのDXを推進する事業者にとっては、事業を発展させるうえで恩恵を受けられます。

一方で、要件を押さえたうえで書類作成などの手続きに対して、時間や労力がかかると悩んでいるケースもあるでしょう。

本制度に限らず、補助金や助成金は審査があり、審査に通るにはポイントを押さえる必要があります。審査に通る確率をあげるには、税理士に依頼するのが望ましいです。

小谷野税理士法人は、補助金の成功率80%を超えており、数多くの事業者様から選ばれてきた実績があります。適格なサポートを受けたいと希望する場合、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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