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経費が認められなかったら?税務署の呼び出しや罰則、注意したい経費とは

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経費が認められなかったら?税務署の呼び出しや罰則、注意したい経費とは

経費を申告して認められなかった場合、追加の税金を支払う必要が生じるだけでなく、罰金や利息が発生することもあります。経費を計上することで税金を減らし、自社の利益を最大化することが可能ですが、業務に関連しない費用を経費とすることは避けましょう。この記事では、経費における税務署からの呼び出しやペナルティの詳細などについて詳しく解説します。税務署からの指摘を未然に防ぎ、安心して経費を申請するための知識を身につけましょう。

「経費」は判断が難しいものも多い

個人事業主 インボイス

経営において経費の処理は避けては通れませんが、時に判断が難しい場合もあります。経費には明確に認められる「ホワイト」なものと、明らかに認められない「ブラック」なものだけではありません。「グレーゾーン」と呼ばれる中間が存在します。

グレーゾーンの経費とは、事業と私用の境界が曖昧な支出を指します。例えば、友人との飲食代が挙げられます。不動産投資を主なビジネスとしている事業主が、食事の席でビジネスの話をしたとしても、プライベートな食事とも解釈される可能性があるのです。

また、携帯電話の通信費も同様です。不動産投資に使用している場合でも、私用の部分が含まれることがあります。さらに、物件視察を兼ねた旅行費用も、観光目的と見なされるリスクがあります。

このようなグレーゾーンの経費は、事業に関連している限り計上すること自体は問題ありません。しかし、税務署から否認されるリスクが伴います。リスクを最小化するためには、経費の正当性を証明するための証拠をしっかりと残すことが重要です。例えば、会議の議事録や視察の報告書などが有効です。

経費の計上においては、事業に関連する支出であることを明確にし、必要な証拠を整えることで、グレーゾーンの経費も適切に処理することが可能です。

関連記事:個人事業主はなんでも経費にできる?注意すべき5つのポイントも解説

経費が認められない場合、税務署から呼び出し状が届くことも

経費の過剰申告など「申告した内容に何らかの不備がある可能性が高い」と税務署に判断された場合、呼び出し状が届くことがあります。例えば、無申告や過剰な経費計上、売上の過少申告などの場合です。税務署はこれらの疑問点を確認するために呼び出しを行います。

第1段階「所得状況などについてのお尋ね」

呼び出し状には3つの段階があります。第1段階は「所得状況などについてのお尋ね」で、税務署が無申告者や申請不備者に対して行う最初のアクションです。

この段階では、確定申告が正しく行われているかを確認するためのもので、比較的軽い対応です。回答期限が記載されているため、期限内に対応することが求められます。

例えば、不動産取得に関する納税不備の場合は「不動産の利用状況などについてのお尋ね」、その他の申告で内訳を記載しなかった場合は「決算書の内容についてのお尋ね」といった手紙が届くことがあります。

第2段階「相談のご案内」

第1段階の「お尋ね」を無視した場合、第2段階の「相談のご案内」が届きます。この通知は、「対処方法がわからない場合に相談に乗る」という意味合いがありますが、実際には最後通告に近いものです。この段階で対応しないと、さらに厳しい措置が取られる可能性があります。

第3段階「呼び出し状」

第2段階も無視した場合、第3段階として「呼び出し状」が届きます。呼び出し状は、「税務調査を行う」との宣言であり、過去7年間にさかのぼって納税状況が調査されます。

税務調査において不備が見つかった場合は、追徴課税が行われ、悪質と判断された場合は重加算税などの重いペナルティが課されることがあります。

呼び出し状が届いた場合は、税務署の指示に従い、迅速に対応することが重要です。無視するとさらに大きな問題に発展する可能性があるため、早めの対応が求められます。

関連記事:【個人事業主】研修費を経費にできない例は?勘定科目も解説

税務調査で経費が否認された場合のペナルティ

税務調査で経費が認められなかった場合、どのようなペナルティが課されるのでしょうか。ここでは、経費が否認された際に発生する可能性のある3つのペナルティについて詳しく説明します。

過少申告加算税

税務調査では、帳簿や書類が詳細にチェックされます。否認された経費に対しては、追加の税金が課されるだけでなく、「過少申告加算税」と呼ばれるペナルティが発生することもあります。

過少申告加算税は、確定申告で申告した納税額が実際よりも少なかった場合に課される加算税の一種です。これは、申告義務が適正に履行されなかった場合に課される行政制裁的な意味合いがあります。本来納付すべき税金との差額に対して10%が加算されますが、自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税は課されません。

また、追加税額のうち「期限内確定申告額」と50万円のいずれか多い金額を超える部分については、15%の割合で課税されます。

例えば、当初申告した税額が200万円で、修正後の課税額が700万円の場合、増差額は500万円です。このうち、200万円を超える部分の300万円には15%の税率が適用されます。結果として、過少申告加算税は65万円です。

この増差額は本来支払うべき税金であり、免除されることはありません。さらに、延滞税も加算されるため、追加で納税する金額が増えます。

一つの間違いで大幅な課税が発生する可能性があるため、間違いに気づいたらすぐに修正申告を行い、経理業務を慎重に行うことが重要です。

参考:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁

延滞税

税務調査で経費が否認された場合、延滞税も発生する可能性があります。延滞税は、納税が遅れた場合に課されるペナルティです。

税務調査の結果、追徴課税が行われると、延滞税も併せて納めなければなりません。令和3年1月1日以降、納付期限の翌月から2か月までの期間は年率2.4%、2ヶ月を経過した以降は年率8.7%の延滞税が適用されます。

延滞税は、確定申告書の提出期限である3月15日までに税金を完納しなかった場合に発生する税金です。期限内に申告していても、後から申告内容の誤りが発覚し、修正申告や更正手続きを行った場合にも延滞税が課されます。この場合、過少申告加算税なども併せて課されることがあります。

延滞税の計算方法は、以下の通りです。

延滞税額 = 納付すべき本税の金額 × 延滞税の割合 × 滞納日数 ÷ 365

納付すべき本税の金額が10,000円未満の場合、延滞税は発生しません。延滞税の割合は、納付期限日の翌日から2か月以内に完納した場合は年率7.3%と延滞税特例基準割合+1パーセントのいずれか低い割合、2か月を超えると年率14.6%と延滞税特例基準割合+7.3パーセントのいずれか低い割合が適用されます。本税のみに課され、その他の加算税は含まれません。

延滞税を避けるためには、期限内に正確な申告を行うことが重要です。誤りに気づいた場合は、速やかに修正申告を行い、延滞税の発生を最小限に抑えるよう努めましょう。

参考:No.9205 延滞税について|国税庁

重加算税

プライベートの支出を経費として計上したり、不都合な書類を隠蔽したりするなどの悪質な行為が発覚した場合、重加算税が課されます。重加算税の税率は最も高く、原則35%に設定されています。

重加算税は、過少申告加算税などが課される場合に、その内容が仮装隠蔽など悪質であると判断された場合に適用される附帯税です。附帯税は、申告納税義務や徴収納付義務の履行を確保するための行政制裁として課されます。

例えば、税務調査で200万円の経費が否認されたとします。その200万円に対する法人税等の本税が発生し、この追加の本税に対して、さらに過少申告加算税や延滞税が課されます。そして、否認された内容が仮装隠蔽など悪質であると判断された場合には、重加算税が適用されるのです。

重加算税の税率は、過少申告加算税や不納付加算税に代わって35%、無申告加算税に代わって40%です。過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合、さらに10%が加算され、最高で50%の税率が適用されます。このような高い税率を避けるためにも、正確な申告と適切な経費計上が重要です。

参考:加算税の概要|国税庁

関連記事:個人事業主が経費計上できる項目と事例、経費の落とし方を徹底解説!

個人が罰せられるケースもある

経費の不正計上は、経営者や管理者だけでなく、従業員も罰せられることがあります。過剰な経費計上は、業務上横領罪や私文書偽造罪・私文書変造罪などの刑事罰に問われる可能性があるため、注意が必要です。

業務上横領罪

業務上横領罪は、会社のお金を個人の利益のために使用する行為に適用されます。例えば、私用で購入した領収書を経費として申請したり、使用していない経路で交通費を申請して余分なお金を受け取ったりする行為が該当します。会社が被害届を出さなくても、懲戒解雇される可能性が高いです。

私文書偽造罪・私文書変造罪

私文書偽造罪・私文書変造罪は、私名義で作成された書類を偽造または変造する行為に適用されます。会社名義で発行された領収書や請求書も、私文書に該当します。

例えば、日付を書き換えたり、但し書きを自分で書き込んだりすることは避けましょう。経費の不正計上は個人にも重大な影響を及ぼす可能性があるため、正確で誠実な経費処理が求められます。

税務調査でチェックされやすい費用

税務調査では、特定の費用が特にチェックされやすいものです。ここでは、特に指摘されやすい経費について詳しく見ていきましょう。

自動車にかかる費用

事業用に使用する自動車の購入費や維持費、ガソリン代は、事業用車両としての利用実態が証明できれば経費として計上可能です。しかし、プライベートで使用している自動車と区別がつかない場合や、利用記録が不十分な場合は、経費として認められないことがあります。

特に車両の購入やガソリン代が高額である場合などに注意が必要で、業務の範囲内で使用されているかが重要です。

取引先との会食にかかる飲食代

業務上必要な接待以外の支出は経費として認められますが、高額な接待費や私的な接待が経費として計上されていないかがチェックされます。

例えば、新規取引先を招待して開いた会食などの費用は計上しても問題ありませんが、取引先との個人的な付き合いでの食事費用は経費として認められません。具体的な証拠として、レシートや名簿の提出が求められることがあります。

プライベートな観光を兼ねる出張費

業務上の出張を兼ねて観光をした場合、事業に直接関わる費用は経費として計上できます。しかし、観光にかかった費用は認められません。出張の一部が事業活動であり、残りが観光である場合、それぞれの費用を明確に区分し、事業に関連する部分のみを経費として計上します。

具体的には、出張の日程を詳細に記録し、事業活動と観光の時間を区別する必要があります。また、交通費や宿泊費についても、事業活動に関連する部分と観光に関連する部分を分けて計上することが重要です。

プライベートでも使用できる消耗品費

スーツや仕事用のバッグ、腕時計、革靴などにかかる費用は「消耗品費」として計上することがあるでしょう。しかし、事業用として購入したものであっても私的な利用が可能であるため、経費として認められない場合があるのです。

プライベートと事業用の両方で使用する消耗品は、使用割合に応じて経費を按分しましょう。業務で必要な部分に限定することで、経費算入が認められやすくなります。

個人的な支出が含まれる福利厚生費

福利厚生費も税務調査でチェックされやすい経費の一つです。従業員全体の福利厚生を目的とした支出であることが重要で、個人的な支出が混入していないかが確認されます。

例えば、社員旅行や健康診断の費用は福利厚生費として認められます。しかし、特定の従業員だけが利用する施設の費用や家族旅行の費用は認められません。適切な範囲内での支出であることを証明するために、領収書や参加者リストなどの証拠を保管しておきましょう。

関連記事:広告宣伝費はいくらまで?相場や経費計上のポイント、注意点などを解説

否認されても「交渉」する余地が残されている

酒税のイメージ

経費として認められる範囲は明確に定められていないため、納税者と調査官の間で認識のズレが生じやすいものです。「この支出は経費として認められるだろう」と思って申告しても、否認されると過少申告加算税や延滞税が課されるリスクもあります。納税額が予想以上に高くなることもあり、経営者や個人事業主にとっては大きな不安材料となるでしょう。

否認される場合の流れ

税務調査において経費が認められなかったからといって、その判断が確定するわけではありません。否認を取り消したり、追加納税額を減らしたりするために交渉する余地が残されているのです。税務調査官に対してどれだけうまく交渉できるかが鍵となります。

税務調査官が申告内容を事業経費として認めない場合、その理由を説明してくれます。否認の立証責任は税務調査官側にあるため、まずはその理由を聞き、次の対策を立てることが必要です。

否認の理由が納得できるようならば、素直に追加の税金を支払いましょう。無理に争うと調査が長引くだけで、良い結果にはなりません。しかし、納得できない場合は、こちらの申告が正当であることを説明する機会があります。主張が認められれば、追加の税金を支払う必要はなくなるのです。

否認を交渉するポイント

経費として認められなかった項目が複数ある場合、「一方は引き下げるからもう一方は経費として認めてほしい」といった交渉が有効です。税務調査官も次の調査が控えていることが多いため、一つの調査にあまり長い時間をかけられません。この心理を逆手にとることで、有利に交渉を進められるでしょう。

また、経費の申請には関係書類の保存が必要ですが、紛失などで用意できない場合もあります。例えば、仕入れに関する書類がない場合でも、きちんとした根拠と常識的な数字を提示することで控除が受けられる場合があるのです。さらに、納税者の支払い能力を超えた追加税額が提示された場合、「これ以上の税金は支払えない」と交渉することで、税金が減額されることもあります。

関連記事:経費の節税におすすめ!計上できる項目や損金との違い、判断ポイント

経費を正しく計上して税務リスクを回避しよう

税務調査で経費が認められなかった場合、追加の税金やペナルティが発生し、経営に大きな影響を与える可能性があります。特に、グレーゾーンの経費やプライベートと事業用の区別が曖昧な支出には注意が必要です。

税務リスクを回避するためには、経費の正しく計上することが重要です。正確な記録を残し、経費の根拠を明確にすることで、税務調査に備えましょう。

経費の計上に不安がある方や、専門家のアドバイスのもと安心して事業を運営したい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
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