0120-469-383平日 9:00~18:00 税理士に相談(相談無料)
会社設立の基礎知識

本社移転に補助金を活用|全国の補助金や申請の注意点を解説!

公開日:

本社移転に補助金を活用|全国の補助金や申請の注意点を解説!

本社移転は、多くの企業にとって経済的な負担が大きいでしょう。しかし、国や地方自治体による補助金や助成金の制度を活用することで、その負担を軽減することが可能です。この記事では、本社機能の移転費やそれに伴う費用に活用できる補助金や助成金を紹介します。利用する際の注意点にも触れていますので、移転計画を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

本社移転に補助金や助成金を活用しよう

事業承継補助金とはのイメージ

本社移転には多額の費用がかかりますが、国や地方自治体が実施する補助金や助成金を活用することにより、企業の経済的な負担を軽減できます。制度ごとに要件や支給内容が異なるため、移転先や自社の業種に適したものを活用しましょう。

地域経済の活性化につながるため手厚い優遇制度が設けられている

企業の本社移転は、新天地でのビジネスチャンスの拡大だけでなく、地域経済の活性化にもつながります。新たなオフィスの設立は、地元の建設業者や関連業者に仕事を提供し、地域経済を刺激します。また、新たな雇用機会が生まれ、地域の雇用を増やす可能性も考えられるでしょう。

そのため、多くの自治体では企業が移転を決断する際の負担を軽減し、地域への定着を促すために、補助金や助成金といった優遇制度を設けています。移転の条件に合う優遇制度を活用することで、費用を抑えつつ、地域社会への貢献にもつながります。

地方自治体による独自の制度が全国にある

全国の地方自治体では、本社移転による地域経済の活性化や雇用創出を促進するため、地域の特性やニーズに応じて独自の補助金や助成金の制度を設けています。

例えば、東京都や大阪府などの大都市圏では、移転に伴うオフィス改装費用や人材採用費用を補助する制度があります。一方、地方の自治体では、移転先での新規雇用や地域経済への貢献度に応じた助成金が提供されることが多いです。

自治体ごとに条件や内容が異なるため、移転先として検討している自治体の公式ウェブサイトなどで最新の情報を確認し、自社の状況に最適な制度を選択しましょう。

地方への移転では「地方拠点強化税制」が適用できる

「地方拠点強化税制」は、企業が地方に移転・拡充することで税制の特例を受ける制度です。具体的には、特定業務施設(例えばオフィスや研究所など)を整備(移転・拡充)する場合、整備事業の計画について知事の認定を受けた事業者は、課税の特例を受けられます。

地方拠点強化税制の主な目的は、地方の活性化と雇用の創出です。地方に拠点を移すことで、地域の経済活動が活発化し、新たな雇用機会が生まれることが期待されています。

また、地方での生活環境や子育て環境の整備も重視されており、多様な人々が地方で働き、生活することを促進し、地方の魅力を高めることを目指しています。

令和6年度の改正では、女性や若者、子育て世代の雇用を促進することを目的とし、対象地域・部門・期間・条件などが拡充されました。具体的な対象地域や詳細な条件については、地方創生推進事務局のウェブサイトをご確認ください。

参考:地方拠点強化税制|地方創生推進事務局

本社移転に役立つ資金調達の種類と特徴

東京で会社設立する際の補助金のイメージ

本社移転に伴う資金を調達する方法は、大きく分けて補助金・助成金・給付金の3つがあります。ここでは、それぞれの特徴やポイントについて解説します。

補助金

補助金は、国や自治体が特定の目的を持って企業に対して提供する資金です。例えば、地域経済の活性化を目的とした補助金では、本社移転に伴う設備投資や雇用創出に対して支援が受けられる場合があります。

補助金には返済の必要はありませんが、受け取るためには申請条件の厳格な審査を通過する必要があります。また、補助金の採択後も、定められた使途に従って使用しなければならず、その進捗状況を報告する義務が伴います。事前に申請条件を確認し、計画的に活用しましょう。

助成金

助成金は、補助金と同様に返済の必要がない資金援助の一種ですが、主に雇用に関する政策に連動しています。例えば、新たな地域での雇用創出や雇用維持を目的とした助成金を利用することで、本社移転の際の人件費の一部をカバーできる可能性があります。本社移転を検討する際には、移転先の地域が提供する助成金の内容を把握し、自社に合った制度を活用しましょう。

ただし、助成金には受給資格や条件が設けられているため、移転計画を立てる段階で、条件を満たす必要があります。また、助成金の受給後も、雇用に関する規定を遵守する必要があるため、人事管理体制の整備も求められます。

給付金

給付金は、補助金や助成金とは異なり、特定の条件を満たした際に支給される資金です。本社移転においては、災害復旧や緊急経済対策といった、特定の事情に基づく給付金を利用できる場合があります。給付金は、補助金や助成金と比べて利用の範囲が限定されることが多いですが、それに見合った状況にある場合は活用することで、経済的な負担を軽減できます。

給付金を本社移転に活用する際は、まず該当する給付金が存在するかを確認し、その条件を満たしているかを確認することが大切です。給付金の申請と受給には、通常、一定の期間や手続きが必要であるため、移転の準備と並行して計画する必要があります。

関連記事:オフィス移転に補助金・助成金を活用しよう!種類や申請方法・注意点を解説

本社移転時に補助金・助成金が受けられる地方自治体の例

個人事業主のIT導入補助金のイメージ

本社機能を移転し、地域に定着させることを目的として、全国の地方自治体でさまざまな補助金や助成金が設けられています。ここでは、代表的な例として、以下の5つを紹介します。

北海道

北海道では、企業の本社機能を道内に移転する際に、さまざまな補助金や助成金が用意されています。

例えば「企業立地助成制度」は、北海道内に本社機能を移転する企業に対して、設備投資額の10%(最大1億円)を補助する制度です。また、賃借による移転の場合は、1年間の賃料の2分の1(最大1,000万円/年)を最大3年間補助します。

また、「北海道本社機能移転促進補助金」では、札幌市に本社機能を移転する企業を対象に、移転に伴う費用を​​最大2億円支援しています。さらに、新たに雇用を創出する場合には、「地域雇用開発助成金」を利用できます。

それぞれの制度には移転先の地域や、雇用人数などの条件が設けられているため、詳しくは自治体のホームページ等でご確認ください。

参考:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)特例支給の基本的な流れ|北海道

富山県

富山県では、企業が本社機能を県内に移転する際に「とやまホンシャ引っ越し応援特別枠」が活用できます。土地や建物だけでなく、設備・事業所移転費・従業員転居費・社員寮設置費などにかかる費用も対象で、投下固定資産額の10%が交付されます。

ただし、投下固定資産額や新規雇用者数の条件を満たす必要があるため、詳しくは自治体のホームページをご確認ください。

また「とやま未来創生」企業の地方移転・拠点強化促進計画を利用すると、オフィス減税や雇用促進税制、地方税(事業税、不動産取得税、固定資産税)の軽減措置が受けられます。

参考:「とやま未来創生」企業の地方移転・拠点強化促進計画について|富山県

福井県

福井県では「福井県企業誘致補助金」を設けており、投下固定資産額の要件なしに5人以上新規雇用する場合に、土地の取得費や建設経費、機械装置等取得経費の25%(最大3億円)を補助しています。

また、新規雇用人数に応じて1人あたり50万円、最大5,000万円を支給しており、本社機能の移転に対する優遇制度を充実させています。

さらに、県が定める区域内に本社機能を移転する場合、オフィス減税や雇用促進税制など法人税の優遇措置を受けられ、地方税の「事業税の不均一課税」及び「不動産取得税の不均一課税」が9割以上軽減されることも特徴です。

参考:地方拠点強化税制|福井県

長野県

長野県に本社機能を移転する場合、「本社等移転促進助成金」を利用することで、建物や設備にかかる費用の最大12%の助成金を受けられます。賃貸の場合は賃貸料の50%、新規雇用者に当たっては1人あたり80万円が支給されます。

「本社機能」の移転が認められれば、本社そのものだけでなく、研究所や研修所、サテライトオフィスなどを新設する場合も認められます。

また、「地方拠点強化税制」により、法人税や地方税の優遇制度も設けられており、新規雇用者及び東京23区からの移転者に対して、1人あたり3年間で最大170万円の税額控除が受けられます。

参考:本社等移転促進助成金|長野県

名古屋市

愛知県名古屋市では「本社機能等立地促進補助金」を実施しており、本社機能の移転に伴う費用を10〜50%を補助しています。正規常時雇用者の異動に対しては1人あたり最大100万円、本店登記の移転に対しては最大500万円を交付しています。

本社の移転ともなると、オフィス用品や機器の移動にも費用がかかりがちですが、名古屋市では「移転に係る運搬料等」も対象です。

また、愛知県が実施する制度では、法人税額等の20%の減税が受けられるなど、本社移転による税制優遇制度が整備されています。

参考:名古屋市本社機能等立地促進補助金のご案内|名古屋市

本社移転に伴う費用に利用できる制度

本社移転に際して、設備投資やITツールの導入などさまざまな費用がかかります。これらの費用には、国や日本商工会議所が実施する制度を利用できる場合があるため、自社が該当する制度について事前にチェックしておくとよいでしょう。ここでは、それぞれの制度が本社移転にどのように活用できるかについて解説します。

ものづくり補助金

「ものづくり補助金」は、製造業やその関連業界における新たな投資を支援するため、中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する、補助金制度です。本社移転に伴って、新しい生産設備の導入や、既存の設備の移転・更新が必要な場合に活用できます。

具体的には、生産性向上や新製品開発のための設備投資に対して、補助金が交付されます。ものづくり補助金を利用することで、移転による経済的負担を軽減しつつ、企業の競争力を高めることが期待できます。

参考:ものづくり補助金総合サイト

IT導入補助金

「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者が新たなITツールを導入する際の費用を支援する制度です。本社移転に伴う新たなITシステムの導入や既存システムの改善などに活用できます。

本社移転を機に業務効率化を図りたい企業は、この制度を活用して、最新の業務管理システムや通信環境の整備などに必要な費用を補填できます。移転後の業務再開までの時間短縮や、長期的なコスト削減につなげることが期待できるでしょう。

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者の経営基盤強化を目的とした支援制度です。

本社移転が経営の継続に影響を及ぼす可能性がある小規模事業者にとっては、移転に伴う広告宣伝費や、新たな事業展開に必要な設備投資の支援に充てることが可能です。結果として、移転を機に事業の再活性化を図ることが期待できます。

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、中小企業や小規模事業者が抱える構造的な課題の解決や、新たなビジネスモデルへの転換を支援するための制度です。ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の新分野展開や事業転換、事業再編といった事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援しています。

本社移転を事業の転換点と位置づけ、新規事業領域への挑戦や市場拡大を目指す企業にとって、補助金を活用することで、移転に必要な資金調達の負担を減らしながら、戦略的な再構築を進めることが期待できます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、従業員のスキルアップや雇用環境の改善を目的とした助成金です。本社移転に際しては、従業員の配置転換や新たな人材の採用が必要になることがあります。

キャリアアップ助成金を利用することで、移転に伴う人材育成コストや、より良い労働環境の整備にかかる費用を補填でき、企業としての人的資源の充実を図ることが可能です。

関連記事:事務所の移転で登録免許税が課せられる?移転に必要な書類や費用について

本社移転に補助金を利用する際の注意点

個人辞表主の労災保険のイメージ

本社機能の移転に補助金や助成金を利用する際、制度ごとの条件や補助内容、申請方法をよく確認することが大切です。また、支払われるタイミングや、支給された費用についての税務上の扱いについても、事前に確認しておきましょう。

条件や内容は自治体や制度ごとに異なる

本社移転の際に活用できる補助金や助成金は、その条件や内容が自治体や制度によって異なります。

例えば、中小企業向けの補助金では、業種や事業内容、企業の規模によって支援の範囲が変わることがあります。また、地方自治体によっては、地域活性化や雇用創出を目的とした独自の助成金を設けている場合もあります。

本社機能の移転に関する補助金や助成金を活用するためには、各制度について事前にしっかりとチェックし、適切な手続きを行う必要があります。適用外となるケースも多いため、移転先の自治体の情報をよく調べておきましょう。

工事着工や賃貸契約の前に申請が求められることが多い

補助金や助成金の申請には、工事着工や賃貸契約の前に行う必要があることが多い点に注意が必要です。移転に伴う工事を始めてしまったり、新しいオフィスの賃貸契約を締結してしまったりすると、補助金や助成金の対象外となる恐れがあります。

そのため、計画の初期段階で補助金や助成金の申請について調べ、必要な書類を用意し、申請期限内に手続きを進めることが肝心です。補助を受けられるかどうかで、移転後の資金繰りに影響が出るため、事前の確認を怠らないようにしましょう。

多くの場合で支払いのタイミングは移転後である

補助金や助成金は、多くの場合、本社移転が完了した後に支給されます。つまり、移転にかかる費用は一旦自己資金で賄う必要があり、後日、補助金や助成金が支給される形となるのです。

この点を見落としてしまうと、資金繰りに影響をきたすことも考えられるため、移転に必要な資金計画を立てる際には、支給タイミングをしっかりと把握しておくことが大切です。また、支給申請に必要な書類の準備も忘れずに行いましょう。

支給された金額は課税対象となる

補助金や助成金を受け取った場合、支給された金額は課税対象になることが一般的です。これは、補助金や助成金が企業の収益として計上されるため、所得税や法人税の対象となるからです。しかし、固定資産を圧縮することで税負担を軽減できる可能性があります。

そのため、補助金や助成金の申請を検討する際には、税務上の取り扱いについても理解しておくことが重要です。税金の申告や納付は、企業の責任において正確に行う必要があるため、税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。

関連記事:会社の変更登記は自分でできる?手続き方法や費用を解説

本社移転にかかる費用には補助金を活用しよう

本社移転には多額の費用がかかりますが、各自治体の補助金を活用することで負担を大幅に軽減できます。例えば、土地や建物の取得費用、設備投資、賃貸料、従業員の転居費用など、さまざまな費用が補助の対象です。

移転により、事業拡大や新たな市場への進出、人材確保の強化、地域経済への貢献など、多くのメリットが期待できます。また、地方拠点強化税制などの税制優遇措置も併せて活用することで、さらに経済的なメリットを得られるでしょう。

補助金の申請や税制優遇措置の活用には専門的な知識が必要ですので、ぜひ税理士にご相談ください。最適な補助金制度を選び、スムーズな移転を実現したい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

相談無料会社設立の相談をする 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談でもお受けします

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更の相談をする 24時間受付中
オンライン面談