会社を設立するためには、複数の申請や手続きをしなければならず、その中には専門知識が必要なものもあります。また、本来の事業を行いながら起業準備を進めることもあるため、会社設立の申請や手続きが負担に感じられる場合もあるでしょう。起業を考えるのであれば、まずは然るべきところに相談を行い、アドバイスを受けることをおすすめします。ここでは、会社設立に関するおすすめの相談先を紹介します。
目次
会社設立における無料の相談先
会社設立を考えている際に、無料で利用できる相談先を紹介します。相談先によって、起業全般の相談をできるところと、一部の相談にのみ対応しているところがあるため、それもふまえて確認していきましょう。
商工会議所
商工会議所とは、各地域の事業者が集まった公益経済団体です。市や東京都の特別区の団体では商工会議所という総称が用いられ、町村部では商工会と呼ばれています。
相談内容としては会社設立に関する全般をカバーしており、起業についてのセミナーを開催しているところもあります。
また、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士などが所属しているため、専門的な分野の相談にも応じてもらえます。
ただし、利用は無料であるものの、相談には事前予約が必要なケースが多いです。商工会議所のホームページを確認したうえで、予約を済ませておきましょう。
参考:日本商工会議所とは
法務局
法務局は、会社を設立する際に法人登記を行う場所です。そのため、主に登記に関する相談を窓口や電話で受け付けています。
ただし、起業における融資や節税など、法人登記以外の相談には応じてもらえないため注意しましょう。
また、相談する際は、会社を設立する地域を所轄する法務局への事前予約が必要です。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は日本公庫とも略され、個人事業主や中小企業を対象に融資を実施している政府の金融機関です。
この日本政策金融公庫では、創業前支援を設置しており、全国各地から事業資金に関する電話相談を受け付けています。
窓口やオンラインでも起業や融資制度についての相談ができますが、その場合は事前の予約が必要です。
参考:日本政策金融公庫
会社設立における有料の相談先
会社設立における有料の相談先としては、税理士・行政書士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士・弁護士などの士業が存在します。自身の相談内容に合わせて、それぞれの専門家に相談することが可能です。有料である分、相談への対応力も高い傾向にあるため、専門的な相談をしたい方におすすめです。
税理士
税理士は税務・会計を扱う専門職です。会社設立における創業融資を始めとした、資金調達や補助金、助成金に関するアドバイスを受けられます。
また、会社設立時には決算月を選択しなくてはなりません。税理士は、決算月の決め方や、役員報酬の金額についても適切な助言・提案を行ってくれます。
関連記事:税理士に丸投げするとデメリットが多い?税理士に丸投げする際のポイントを解説
行政書士
行政書士は、国や地方自治体の役所に提出する書類の作成と、各許認可の申請手続きを代行しています。
起業する際には定款が必要なため、その作成業務を行政書士は請け負っています。
定款の作成を含めて会社設立の相談をしたい場合には、行政書士に依頼するとスムーズに運びます。
司法書士
司法書士は行政書士と混同されがちですが、中心的に行っている業務にはそれぞれ違いがあります。
司法書士は、登記の申請とその書類の作成・手続き代行が主な業務です。一方の行政書士は、行政への許認可申請の書類作成と、手続き代行を中心としています。
そのため、会社設立時に登記申請や手続きを依頼するなら、司法書士への相談がおすすめです。
社会保険労務士
社会保険労務士は社労士とも略され、社会保険と労務に関する業務を扱っています。
会社設立時には、厚生年金・健康保険・雇用保険・労災保険など、従業員を雇う場合に必要な社会保険の加入手続きについて、相談や代行が可能です。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、名称通り中小企業を対象に、経営課題の診断やアドバイスを行う専門職です。
会社設立に関する申請や手続きなどは行っていませんが、経営に関する相談に乗ってもらえます。
弁護士
弁護士は法律の専門家であり、裁判では弁護人を務め、会社・企業の依頼により法務サポートも行っています。
弁護士に会社設立の相談をした際には、社名の決め方や商品の広告作成など、さまざまな事柄に対し法律に従ったアドバイスを受けられます。
これにより、事前にトラブルを防ぎ、スムーズな起業を行えます。
会社設立の相談先は無料と有料のどちらを選ぶべき?
会社設立の相談先には無料のところと有料のところがありますが、結局のところどちらを選ぶべきなのでしょうか。本項からは、それぞれの相談先がおすすめのケースを紹介します。
無料相談がおすすめのケース
会社設立を考えてはいるものの、まず何から始めるべきか分からないという場合は、商工会議所・法務局・日本政策金融公庫などの無料相談を利用しましょう。
相談先によってはセミナーを行っていることもあります。どのような流れで起業が行われるか、どんな申請や手続きがあるのか、などを把握できれば、これから設立しようとする会社に何が必要かなのが分かってきます。
最初に無料相談を活用し、そのあとに有料のところに相談するという方法もあります。
有料相談がおすすめのケース
会社設立の概要や流れは把握しているものの、さらに専門的な部分で不安や疑問点を持っている場合は、その分野の士業に相談しましょう。
中には、無料相談を実施しているケースもありますが、時間制限が設けられていたり、初回のみ無料といった制限があったりすることがほとんどです。
そのため、「相談料」だけで判断するのではなく、経験や実績などもふまえたうえで相談先を決めましょう。
また、士業の場合、相談を利用したあと、要望次第で会社設立における申請や手続きなど、さまざまなサービスを受けられるのもメリットです。起業後にそのまま顧問契約を結び、経営に関するサポートを受けるのもアリでしょう。
会社設立における有料の相談先の選び方
有料の相談先は専門も異なるため、どこに相談すべきか迷うこともあるのではないでしょうか。相談先選びに迷った際には、次のような選び方を目安にしてみてください。
料金設定の分かりやすさ
相談先を選ぶ際には、気になる士業の事務所のホームページにアクセスし、料金を確認しましょう。相談のみの場合の料金や申請や手続きごとにかかる料金、そもそも価格の記載があるかどうかを確かめてください。
なるべく相談費用を抑えたいという場合には、複数の士業の料金を比較してみましょう。複数の相談先の費用を比べることで、おおよその相場も把握できます。
とはいえ、相談料金は安ければ良いというわけではもちろんありません。サービスの内容と鑑みて、相談先を決めましょう。
会社設立代行サービスの実績
会社設立業務に対し、その士業がどの程度の実績を持っているかも、相談先選びを見極めるポイントです。
目安の1つに、会社設立代行サービスがあります。会社設立代行サービスの実績が多いほど、申請や手続きもスムーズに対応してくれることが多いです。
ただし、その代行サービスがどこまでを範囲としているか、料金を含めて必ず確認することをおすすめします。
起業後のサポートの有無
相談先が会社設立の相談だけでなく、法人化に向けた申請や手続きの代行、起業後のサポートまで一貫して請け負っている場合、相談の段階でそのまま顧問契約を結びやすいでしょう。
設立時点からやり取りがあるため、相談先も社内の状況を最初から把握しています。事業についてきちんと理解したうえで、以降の経営について適切なアドバイスを受けられる可能性が高まります。
関連記事:節税・税務に関する相談はどこがベスト?無料の相談先や注意点も徹底解説
依頼内容別|経営や手続き等に関するおすすめの相談先
会社設立の相談から起業後まで、一貫してサポートしてもらえれば、安心して経営に乗り出しやすいでしょう。そこで、依頼したい業務ごとに、適した相談先について解説します。
税金や確定申告など税務・会計のことなら税理士
会社設立の相談後、税務や会計のサポートを依頼するなら、税理士との顧問契約がおすすめです。
税理士は、会計帳簿の作成を代行する経理や決算書の作成と申告、法人税や消費税などの計算など、税金面を中心にさまざまな業務に対応しています。
特に起業したばかりの段階では、会計や税務に不慣れな面が多いため、税理士に依頼することで安心してビジネスを進められます。
ちなみに、事業を始めるにあたって必要な手続きは、以下の国税庁のサイトでも詳しく解説しているため、参考にしてみてください。
社会保険と人事・労務のことなら社会保険労務士
会社と契約を結んだ社会保険労務士は、顧問社労士とも呼ばれます。社会保険と人事・労務を専門とする顧問社労士は、会社の保険手続きや労務管理を幅広く依頼できます。
定期的に行われる算定基礎届の作成や、従業員を新規雇用した際の社会保険資格取得届なども、顧問社労士が会社のデータをもとに手続き代行をします。
社会保険や労務に関する法改正が行われた際も、専門職である顧問社労士ならばいち早く情報を入手し、迅速に対応をしてくれます。
法律のことなら弁護士
事業を展開するにあたり、顧客との契約トラブルや従業員による事故・事件など、企業のさまざまな問題には、弁護士への依頼がおすすめです。顧問弁護士として契約していれば、日常的に相談に応じてもらえるほか、急なトラブルにもすぐに相談できます。
会社設立時から相談に乗ってもらっている弁護士であれば、会社の状況にも詳しく、素早い対応が期待できます。
また、顧問弁護士は法への知識を用いて、トラブルが起こるのを未然に防ぎます。リスクを回避して会社と従業員を守るためにも、弁護士のサポートは重要です。
会社設立の相談は起業後の税務や会計もできる税理士へ!
会社設立の相談先は複数ありますが、起業前後や起業間もない時期は、税理士への相談がおすすめです。
起業時には補助金や助成金の活用を、そして起業後には節税を始めとする経営へのアドバイスを受けられるためです。
近年の税収は法人税・消費税・所得税のいずれもが増加し続けており、今後も増える可能性があります。
会社設立時から税金対策はしっかりと行っておきましょう。
私たち小谷野税理士法人は、会社設立の相談を始め、起業サポートや税務・会計の代行など幅広く扱っています。
顧問税理士をお探しの際にもお役立てください。