シニア起業において、助成金や補助金などを活用できる可能性があります。助成金などを活用するには、条件を満たしたうえで必要な手続きをするのがポイントです。今回はシニア起業で活用できる助成金や補助金、融資制度、シニア起業のメリット・デメリットなどを解説します。最後まで読めば、シニア起業で活用できる助成金などについての理解が深まるでしょう。
目次
シニア起業が注目を集める背景
近年では65歳以上の方が起業する「シニア起業」が注目を集めており、実際に割合が増え続ける傾向にあります。
中小企業庁が発表したデータによると、2012年までの30年で、男女ともシニア起業の割合が4倍以上に増加していると判明しました。
公的年金の開始年齢の引上げや健康寿命の向上、雇用に関する法律改定などを踏まえると、起業の割合が増加し続けているのも納得できます。
日本の経済発展を支えてきた現シニア世代の中には、「ひたすら我慢・努力」で現役時代を終えた方もいるでしょう。単に収入を目的とするのみでなく、自己実現など「生きがい」を求める方もいるのがシニア起業の特徴です。
年齢に関係なく、起業という新たなチャレンジをすることによって、自己肯定感や自己有用感などを高める効果が期待できます。シニア世代が積極的にチャレンジする姿勢を見せると、子どもや孫世代にもよい影響を与えられるでしょう。
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シニアが起業時に利用できる助成金・補助金・融資
シニア起業時に利用できる助成金や補助金は以下の通りです。
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 新規開業資金
- 小規模事業者持続化補助金
- 女性・若者・シニア創業サポート2.0(都内)
- 創業助成金(都内)
ここから詳細に見ていきましょう。
女性、若者/シニア起業家支援資金
シニア起業時に活用できる「女性、若者/シニア起業家支援資金」では、設備資金や長期運転資金を融資してもらえます。概要については、以下の表にまとめました。
対象者 |
※新規事業者か事業開始後、約7年以内の方 |
融資限度 |
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利率 |
※新規性のある事業で、売上見込のあるものに関する資金の場合は特別利率②、特別利率③
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返済期間 |
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担保・保証人 | 要相談 ※個人保証が必要なケースあり |
申込み方法 |
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新規開業資金
シニア起業で活用できる「新規開業資金」において、設備資金や運転資金を融資してもらえます。具体的な内容について、以下の表に示します。
対象者 |
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融資限度額 | 7,200万円 |
返済期間 |
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利率 |
※事業に新規性がある場合:特別利率A・B・C
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担保・保証人 | 要相談 |
制度を利用するに当たり、経営者保証免除特例制度などを併用できる可能性があります。
参考:「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」日本政策金融公庫
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小規模事業者持続化補助金
シニア起業では「小規模事業者持続化補助金」を活用でき、販路開拓や業務効率化の経費をサポートしてもらえます。本補助金の概要は以下の表の通りです。
申請類型 |
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対象者 | 以下に該当する法人、個人事業、特定非営利活動法人
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補助率 |
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上限 |
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インボイス特例 | 以下のいずれかの条件を満たすと、50万円上乗せされる
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対象経費 |
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申請方法 |
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事業承継補助金・引き継ぎ補助金とは?対象経費や対象者について解説
参考:「小規模事業者持続化補助金(一般型)」小規模事業者持続化補助金
女性・若者・シニア創業サポート2.0(都内)
「女性・若者・シニア創業サポート2.0」とは、都内で起業する方を対象に無担保・低金利融資と、経営サポートを受けられる制度のことです。概要について、以下の表にまとめました。
対象 |
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融資限度額 | 1,500万円以内(女性:2,000万円以内) ※運転資金のみ:750万円以内(女性:1,000万円以内) |
固定金利 | 1%以内 |
返済期間 | 10年以内(据置期間3年以内) |
保証人 |
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経営サポート |
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参考:「女性・若者・シニア創業サポート2.0」東京都産業労働局
【2024年】東京の個人事業主が申請できる補助金・助成金とは?
創業助成金(都内)
東京都内でシニア起業する場合、開業率の上昇を目的とする「創業助成金」をもらえる可能性があります。本助成金の概要は以下の表に示します。
対象期間 | 交付決定から6ヵ月以上2年まで |
条件 | 【創業前の個人事業主】
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金額 | 上限400万円、下限100万円 ※事業費・人件費:上限300万円、委託費:上限100万円 |
助成率 | 3分の2以内 |
対象経費 |
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申請方法 |
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シニアが起業時に助成金や補助金を選ぶポイント
前述の通り、シニア起業するときは積極的に助成金や補助金の申請をすると、スムーズに事業を展開させやすくなるでしょう。
一方で、助成金や補助金を申請するには条件を満たしたり、書類の提出などの手続きをしたりする必要があります。申請できる期間などが決まっているケースもあり、知識不足によって受給のチャンスを逃す可能性もあることには注意が必要です。
事業内容や地域などによって各制度は異なり、こまめに調べる姿勢を持ち続けるのがポイントです。
助成金や補助金の概要を調べる作業などを煩わしく思う場合、税理士などプロに相談すると最短で解決できます。起業時にやるべきものは多く、自分のみで解決しようとするのではなく、人に頼る姿勢を持てると理想的です。
補助金申請は税理士に相談したほうがいい?依頼のメリットやコストについて
シニア起業のメリット
シニア起業のメリットは以下の3つです。
- ノウハウや経験を活かせる
- 自由に働ける
- 人脈を活かせる
シニア起業においては、一般的に数十年働く中で培ったノウハウや、経験などを活かせるのがメリットです。20代や30代など比較的若い年齢で起業する場合と比べ、思わぬトラブルが発生したときでも適切な判断を下しやすいといえます。
起業経験はなくとも、豊富な人生経験は自分でビジネスをするうえで役に立つときがきます。
シニア起業に限りませんが、起業すると働く時間やクライアント、場所などを自由に決められるのもメリットです。雇われているときは、改善のアイディアを採用してもらえなかったり、嫌なクライアントでも付き合わざるを得なかったりしたかも知れません。
シニア起業すると失敗のリスクが伴う一方で、自分の願望を実現できます。
今までに培ってきた人脈を活用できるのもシニア起業のメリットの1つです。会社員時代に仕事関係の方から信頼を得ていた場合、さまざまな面でサポートしてもらえる可能性があります。
お金は人が運んでくるもので、豊かな人脈がある方ほど、シニア起業で成功しやすいといえます。
シニア起業のデメリット
シニア起業のデメリットとしてあげられるのは、以下の3つです。
- 体力面での制約がある
- プライドを捨てる必要がある
- 家族からの同意を得る必要がある
シニア起業のデメリットの1つは、20代や30代などの方と比べると体力的な無理をきかせにくいことです。起業初期で実績がないときほど、単価が安くなる可能性が高く、収入をあげるには多くの労働時間を割くケースがあるためです。
加齢による体力面での衰えは避けられないかも知れませんが、日頃の運動や食事などの生活習慣を整えるなどの工夫が求められます。
シニア起業するとき、自分よりも常に若い世代の方と取引をする可能性が高く、頭を下げるケースが増える可能性があります。特に管理職として働いていた方ほど、自分のプライドが傷つきやすいかも知れません。
年下の方にお願いしたり教えを請いたりするのに抵抗が少ない場合、シニア起業に向いているといえます。
シニア起業のデメリットとして、配偶者など家族からの同意を得る必要がある点も見逃せません。家族からの同意を得られないと、起業の話自体がなくなる可能性もあります。
シニア起業の助成金・補助金の相談は税理士へ
ここまでシニア起業で活用できる助成金や補助金の条件、金額、申請時のポイントなどを解説しました。
シニア起業は今後もさらに増えると予想されており、会社に依存しない自由な働き方を実現できるのがメリットの1つです。失敗のリスクはあるものの、人生で得た経験や知識などを最大限活かせば、成功する可能性はあるといえます。
シニア起業で活用できる助成金や補助金はあるものの、条件を調べたり手続きをしたりするのを苦手に感じている方もいるでしょう。最短で事業を発展させるうえでは、税理士などの専門家に頼ると必要な時間を捻出できます。
小谷野税理士法人は、助成金などのアドバイスを始め、税務全般のサポートによって喜ばれた実績が豊富にあります。まずはお気軽にご相談ください。