個人事業主にとって、税務調査が避けたい存在であるのは周知の事実です。とはいえ、どれだけ正確に申告を行っていても、税務調査の対象となるリスクをゼロにはできません。実際、税務調査の件数は年々増加しており、フリーランスや個人事業主も例外ではありません。本記事では、税務調査が来ない方の特徴とリスクを軽減するための具体的な方法を解説します。税務調査が不安な方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
税務調査とは?
税務調査とは、税務署が申告内容の正確性を確認するために実施する調査です。個人事業主の場合、所得税や消費税などの確定申告が必要ですが、自らが納税額を計算・申告するため、その内容が正確かどうかを税務署が確認し、必要に応じて修正を求められます。
税務署は、年度ごとに調査件数や税収目標を設定しているため、特に年度後半になると、設定された目標を達成するために実地調査を強化する(増加する)傾向があるでしょう。
令和4年度の税務調査では、所得税に関して約46,000件、消費税に関して約26,000件の実地調査が行われました。直近2年間の税務調査件数は、前年度比で150%以上の増加を見せており、個人事業主やフリーランスの方々に対しても調査が強化されている状況です。
参考:令和4事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について
税務調査が来ない個人事業主の特徴5つ
税務調査が来ない個人事業主にはどういった特徴があるのでしょう。以下の5つをご紹介します。
- 正確で一貫性のある申告を行っている
- 税務署から信頼される帳簿管理を実施している
- 常識的な範囲の経費計上をしている
- 税理士に依頼して正確な申告をしている
- 税務署に問い合わせをされていない
1. 正確で一貫性のある申告を行っている
税務調査が来ない個人事業主として、正確で一貫性のある申告を行っている方が挙げられます。
毎年の収支報告が不自然に変動していると、税務署の目に留まりやすくなるでしょう。急な売上の増減や、大幅な経費削減があった場合、理由の説明ができないと調査の対象となりやすいです。
また、申告内容が他の事業者と比較して異常に偏っている場合にも注意が必要でしょう。税務署は業種別の基準や平均値と照らし合わせて、調査対象を選定することがあるため、同業他社と大きく異なる数値はリスク要因となり得ます。
2. 税務署から信頼される帳簿管理を実施している
税務署からの信頼を得るためには、帳簿管理が重要です。取引や経費の詳細を正確に記録し、適切に管理することで、税務署が求める情報を速やかに提供できるからです。
具体的には、領収書や請求書などの証憑書類を整然と保管し、取引の正当性を裏付けられる状態にしておくのがポイントです。
クラウドベースの会計ソフト等の導入によって、取引内容をリアルタイムで確認・記録でき、税務署が要求するデータの提供も迅速に対応可能になるため、こうしたデジタル管理も信頼度を高める要素となるでしょう。
3. 常識的な範囲の経費計上をしている
経費を過大に計上すると、税務署の目に留まりやすくなるでしょう。事業規模に対して経費が異常に高い場合は、税務調査のリスクが高まります。
経費は適切な範囲内での計上が基本であり、事業用の支出とプライベートな支出を明確に分けて管理してください。交際費や交通費など、プライベートと事業の境目が曖昧になりやすい項目は特に注意しましょう。
4. 税理士に依頼して正確な申告をしている
税務申告に不安がある場合や、帳簿管理が複雑な場合は、税理士への依頼をおすすめします。税理士に依頼することで、申告ミスが防げるだけでなく、税務署からの信頼も得やすくなるでしょう。
税務のプロフェッショナルとしての視点から、事前に税務対策を取ることで、税務調査を未然に防げる可能性があります。
5. 税務署に問い合わせをされていない
税務署からの問い合わせや指摘があった場合、その内容に適切に対応しないと税務調査の対象になる可能性が高まります。
また問い合わせが頻繁にある個人事業主は、税務署から目をつけられるリスクが高い傾向にあるでしょう。日頃から問い合わせを受けないよう、申告内容の不備に注意しましょう。
税務調査が来ないためのポイント5つ
税務調査が来ないためにどういった対策をしておけば良いでしょう。以下5つのポイントをご紹介します。
- 収入や経費の金額を正確に記載する
- 経費のプライベート使用を分ける
- 取引先との契約内容を適切に管理する
- 適切な帳簿を維持する
- 確定申告期限を守る
1. 収入や経費の金額を正確に記載する
収入や経費の記載ミスは、税務署から疑念を持たれやすい点です。収入を漏らしてしまったり、経費を過大に計上してしまうと調査の対象となる可能性が高まります。
小さな収入の漏れや誤差でも、税務署にとっては不正の兆候と見なされる場合があるでしょう。また事業用経費の明細についても、用途が不明確な項目を避けるようにし、支出の根拠を示す資料を備えておきましょう。
取引や支出の詳細を正確に記帳し、証憑とともにしっかりと保管しておくことが大切です。
2. 経費のプライベート使用を分ける
プライベートの支出を経費として計上すると、不正申告と見なされ、税務調査のリスクが高まります。事業用の支出とプライベートの支出は、明確に分けて管理しましょう。
事業に関係のない個人的な買い物や娯楽費を経費に計上しないようご注意ください。また車両や通信費などの事業とプライベートで併用するものについては、明確な使用割合を定めておきましょう。
3. 取引先との契約内容を適切に管理する
取引先との契約書や請求書が適切に保管されていないと、税務署から疑問を持たれる可能性があります。経費や収入を裏付ける書類を整備し、必要に応じてすぐに提出できるように管理しておきましょう。
また、契約内容に変更があった場合には、必ずその都度記録し、契約書の修正や追記事項を適切に反映させる必要があります。こういった契約書や関連書類は、可能であれば電子データとしても保存し、簡単にアクセスできるようにしておきましょう。
4. 適切な帳簿を維持する
帳簿に不備があると、税務署から疑念を持たれるリスクが高まります。帳簿は、税務署が調査を行う際の基礎資料となるため、正確で信頼性のある管理が求められます。日々の収入や支出を適切に記帳し、申告内容と一致する帳簿を維持しましょう。
また帳簿はただ記載するだけでなく、適時に見直しを行う必要があります。特に年度末や申告時期の前には、取引内容と帳簿が一致しているか確認し、不明瞭な項目や不整合がないかチェックしましょう。
5. 確定申告期限を守る
確定申告を期限内に行わない場合、税務署から注目されやすくなります。特に延滞や遅延が繰り返されると、調査の可能性が高まるでしょう。
期限内に正確に申告を行うことで、税務調査の対象となる可能性を低減できるので、確定申告の準備は早期に行いましょう。
税務調査でお困りの個人事業主は専門家に相談
税務調査が来ないためには、調査のリスクを理解し、事前に対策を講じる必要があります。
正確な申告や帳簿管理の徹底により、リスクは軽減できますが、それでも税務調査が来ないとは言い切れません。そうした状況に対応するためにも、普段から税務の専門家に相談しておくことをおすすめします。
小谷野税理士法人は、税務調査の対応に豊富な経験があり、迅速かつ的確なサポートを提供しています。税務調査や税務対応でお困りの際は、小谷野税理士法人にぜひご相談ください。