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不動産投資で経費にできるもの・できないもの

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不動産投資で経費にできるもの・できないもの

不動産投資にかかる税金を最小限に抑えるためには、経費にできる支出を漏れなく計上することが大切です。ただし、経費として認められない支出まで経費計上してしまうと、税務調査で指摘を受ける恐れがあります。そのため、不動産投資で経費にできるもの・できないものの区別が必要です。今回は不動産投資で経費計上できる項目や、不動産投資における確定申告のポイントについて詳しく解説します。

経費として計上可能な項目一覧

M&Aによって発生する税金

不動産投資の経費として計上できるのは、以下の2つを満たす支出です。

  • 不動産投資による収益を得るために必要な支出
  • 不動産投資との関連性を証明できる支出

上記の要件を満たし、不動産投資の経費として計上可能な項目の具体例を9つ紹介します。

1.ローンの利息負担

ローンの利息部分は経費計上が可能です。ただし、建物部分の利息と土地部分の利息では、経費計上できる条件が以下のように異なります。

建物部分

全額経費計上が可能

土地部分

経費計上は可能だが、不動産所得が赤字の場合は損益通算からは除外される

なお、経費計上できるのは利息負担のみです。ローン返済額のうち、元金部分は経費計上できません。

2.仲介手数料や広告宣伝費

仲介会社に支払う仲介手数料や広告宣伝費など、入居者を募集するためにかかった費用も経費計上が可能です。

仲介手数料は、オーナー自身で入居者を見つけた場合以外はほぼ必ず発生します。広告費は後述する管理費に含まれているケースも多いですが、追加で広告を出す場合やサポートを受ける場合は別途広告宣伝費が発生するのが一般的です。

なお、不動産購入時に支払う仲介手数料は、物件の購入価格と合算して仕訳をします。減価償却資産に含まれ、経費として別途計上することはできません。

3.物件管理および修繕費用

物件管理にかかる費用や、物件の修繕に際して発生する修繕費用も経費として計上できます。

物件管理にかかる費用としては、以下の例が挙げられます。

  • 管理会社に支払う管理委託料
  • 設備のメンテナンス費用
  • 消防点検費用

管理会社に委託せず自己管理をしている場合でも、管理業務にかかる費用は経費計上が可能です。

修繕費用に該当する費用についても紹介します。

  • 入居者の退去後に発生するクリーニング費用
  • 各種設備の交換費用
  • 共有部分の清掃費用

ただし、修繕工事費が「資本的支出」として扱われる場合は、減価償却の対象になります。資産計上の対象となる場合は、法定耐用年数に従って減価償却が必要です。

4.固定資産税や租税公課

固定資産税や不動産の管理・運営に際して発生する租税公課も経費計上が可能です。

経費として計上できる税金の種類としては、以下の例が挙げられます。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 印紙税(収入印紙代)
  • 登録免許税
  • 不動産取得税

また、不動産投資において自動車を使っている場合、自動車税や重量税のうち不動産投資にかかる部分も経費計上が可能です。

ただし、不動産投資に関連する税金でも、所得税や住民税は経費計上ができません。経費計上できない税金については後述します。

5.減価償却費

減価償却費も経費計上が可能です。

減価償却とは時間の経過や使用によって価値が減少する資産の取得価額を、耐用年数に応じて費用配分する会計処理を意味します。減価償却により計上する費用が減価償却費です。

不動産の取得価額のうち、建物部分は減価償却の対象です。土地は時間の経過等による価値の減少が起こらないため減価償却を行いません。

減価償却については以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:減価償却とは?会計や税務の基礎知識と節税のポイントを徹底解説!

6.通信費

通信費も不動産投資に関連する経費として計上可能です。経費計上できる通信費として以下の例が挙げられます。

  • インターネット料金
  • 電話代
  • 切手代や各種郵便料金
  • アプリの購入費用

ただし、経費計上できるのは不動産投資に関連する部分のみです。例えば、インターネット料金に私用分が含まれている場合、私用分と不動産投資分を明確に区別する必要があります。

このように、プライベートの分と事業の分が混同している支出について、それぞれを区別することを家事按分といいます。家事按分について詳しい内容は以下の記事をご覧ください。

関連記事:家事按分とは?経費にできる割合や目安、計算方法を解説

7.旅費交通費

不動産投資に関連する旅費交通費も経費計上が可能です。旅費交通費が発生する場面として、不動産購入前・購入時の現地訪問や、不動産会社への訪問、融資を受ける金融機関への訪問などが挙げられます。

旅費交通費に該当する費用例は以下のとおりです。

  • 電車やバスなどの運賃
  • 駐車場代
  • 高速道路料金
  • ガソリン代(不動産投資に関する部分のみ)
  • 宿泊費

8.自動車関連費用

自動車関連費用も経費計上が可能です。該当する費用として以下の例が挙げられます。

  • 自動車の購入費
  • 自動車税
  • 重量税
  • 保険料
  • メンテナンス費用

ただし、自家用車を使う場合も、プライベートの分と事業分を区別する家事按分が必要です。

9.税理士や司法書士への報酬

税理士や司法書士などの専門家に支払う報酬も経費として計上できます。不動産投資に関する税金や登記に関するルールは複雑なため、少しでも疑問や不安があれば専門家に相談するのが安心です。

不動産投資における税金や会計処理についてお悩みがあれば、小谷野税理士法人にご相談ください。

10.情報収集や勉強にかかった費用

不動産投資に関する情報収集や勉強にかかった費用も経費計上が可能です。該当する費用として以下の例が挙げられます。

  • 新聞や書籍の購入費
  • セミナー会費
  • コンサルティング料

ただし、不動産投資に関連する内容であっても資格取得費用は経費計上ができません

確定申告で経費として認められない費用とは

会社設立に縁起の悪い日のイメージ

確定申告で経費として認められない費用も存在します。このような費用を誤って経費として申告すると、税務調査による指摘を受け追徴課税の対象になる恐れがあります。以下より、経費として認められない費用の具体例を紹介します。

1.スーツ代やコンタクトレンズ代

スーツ代やコンタクトレンズ代は経費として認められません。プライベートでも使用できるものであり、ファッションアイテムという扱いになるためです。

不動産会社や金融機関の担当者など、取引先と会うときだけ着用する場合でも経費計上は認められないでしょう。

2.ジムなどの会費

ジムなどの会費も経費計上は認められません。仕事のストレス解消や健康管理のためにジムへ通っている場合でも、業務に直接関連する費用とは認められず、経費計上は難しいです。

ジムなどの会費に限らず、個人事業主は福利厚生費に該当する費用の経費計上が認められない点にご注意ください。

3.所得税・住民税などの税金

所得税や住民税などの税金も経費計上できません。これらは個人の所得に対して課されるものであり、不動産投資とは関係なく発生する税金のためです。

経費計上できる税金は明確に定められています。詳しくは「経費として計上可能な項目一覧-固定資産税や租税公課」をご確認ください。

4.反則金や罰金

反則金や罰金も経費として認められません。事業活動中に発生したものであっても、経費には該当しないため注意しましょう。

5.個人的な資格取得費用

個人的な資格取得費用も経費として認められない項目です。不動産関連の資格取得費用であっても、事業のための費用ではなく「個人的なスキルアップのための費用」として扱われます。

不動産投資で効果的な節税対策

不動産投資にかかる税額は、ちょっとした工夫によって大幅に抑えられる可能性があります。不動産投資で効果的な節税対策を紹介します。

不動産投資の節税対策については以下の記事もご覧ください。

関連記事:不動産投資は節税対策になる?ならない?節税効果や仕組みについて詳しく解説!

関連記事:家賃収入の税金はいくら?不動産投資の節税対策を解説

青色申告による確定申告を行う

不動産投資の税負担を抑えるため、青色申告による確定申告を行いましょう。青色申告が節税につながる主な理由として以下の5つが挙げられます。

  • 最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
  • 赤字の繰越ができる
  • 青色申告専従者給与を利用できる
  • 少額減価償却資産を経費計上できる
  • 貸倒引当金を経費計上できる

青色申告による確定申告を行う方法については以下の記事をご覧ください。

関連記事:個人事業主の青色申告とは?いくらから必要?メリット・デメリットや帳簿の書き方などについて解説!

節税に効果的な経費を最大化する

不動産投資に限らず、事業活動は経費を計上すればするほど課税所得が少なくなるため税額を抑えられます。しかし、すべての経費を最大化すれば良いわけではありません。節税に効果的な経費を最大化することが大切です。

不動産投資における節税に効果的な経費として、減価償却費が挙げられます。減価償却費は現金の流出を伴わない経費のため、経費を最大化しても資金繰りの悪化となる心配がないでしょう。

減価償却費を最大化するためには、不動産総額のうち建物部分の割合をなるべく増やせるのが理想です。土地と建物を同時に購入しても、建物部分の割合が大きければ大きいほど計上できる減価償却費も高額になります。不動産購入時に、建物部分の割合を大きくできないか売主に交渉するのが良いでしょう。

減価償却費以外の経費は基本的に、現金の支出を伴います。経費の額が増えれば増えるほど現金の流出額も増えるため、資金繰りの悪化を招く恐れがあります。

経費として認められる項目を漏れなく計上することは大切です。しかし、経費計上できる額を増やすために意図的に支出を増やす方法はおすすめできません

不動産所得に関する確定申告のポイント

経費を漏れなく計上し節税対策をしっかり行なったとしても、確定申告のやり方を誤ってしまえばペナルティを課される可能性があります。税負担を最小限に抑えるためには、正しい確定申告を行うことが大前提です。以下より不動産所得に関する確定申告のポイントを解説します。

記録方法と必要書類

不動産所得の確定申告を正しく行うためには、以下の2点をしっかり押さえることが大切です。

  • 家賃収入や経費の支出など会計取引の記録方法
  • 確定申告に必要な書類の把握および適切な保管

会計取引を帳簿につけて記録することを記帳といい、必要な記帳の方法は青色申告と白色申告で異なります。

確定申告の必要書類としては、以下の例が挙げられます。

  • 確定申告書
  • 青色申告決算書または白色申告の収支内訳書
  • 領収書、請求書、銀行口座の取引明細、売買契約書など記帳に必要な書類
  • その他各種添付書類

記帳方法や確定申告の必要書類については以下の記事をご覧ください。

関連記事:個人事業主の青色申告とは?いくらから必要?メリット・デメリットや帳簿の書き方などについて解説!

関連記事:白色申告の帳簿の付け方解説|手書きやエクセルは可?記載例も

直接経費と間接経費の違い

不動産投資で経費として計上する項目は、直接経費と間接経費の2種類に大別できます。

直接経費とは文字通り不動産収入を得るために直接必要な経費です。例として、物件の修繕費、減価償却費、管理費、固定資産税などが挙げられます。直接経費に該当する費用は収入を生み出すために当然必要な支出のため、経費として認められやすいです。

間接経費は事業に関連するものの、直接的には収入に結びつかない費用を指します。具体例として、交通費、セミナー会費、通信費などが挙げられます。間接経費も経費として計上可能ではあるものの、不動産投資との関連性の証明が必要です。

不動産投資に関するよくあるQ&A

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最後に、不動産投資に関するよくある質問5つにお答えします。

Q1.不動産投資は節税になる?

不動産投資そのものが節税につながるかはケースによって異なるため一概にはいえません

不動産投資が節税につながるのは、不動産所得が赤字であり、ほかの所得と損益通算ができる場合です。課税所得が少なくなることで所得税や住民税の節税ができるのです。

ただし、損益通算をするために不動産所得を赤字にするのは決しておすすめできません。不動産投資で手間や損失が発生する一方となり、ただの負担になってしまう恐れが大きいためです。

不動産所得が発生する場合は節税ができませんが、そもそも節税目的で不動産投資をするのはおすすめできません。自然な理由で赤字が発生した際は、損益通算により赤字を活用するべきですが、基本的には不動産投資による利益の獲得を目指すべきでしょう。

Q2.建物の耐用年数はどうやって算出するの?

建物を含め、減価償却資産の耐用年数は税法によって定められています

建物の場合、耐用年数は建物の種類や構造によって異なります。例えば鉄筋コンクリート造で住宅用の建物は47年、木造で住宅用の建物は22年とされています。

減価償却費を計上する際は、必ず税法に定められた耐用年数を確認しましょう。耐用年数は国税庁のホームページで確認可能です。

参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

Q3.不動産投資でローンを組む際、住宅ローンは使える?

住宅ローンは基本的に自宅としての物件を対象としたローンです。投資用物件を購入する際には利用できません。不動産投資でローンを組む際は不動産投資ローンを利用しましょう。

Q4.不動産投資に役立つ書籍は?

不動産投資に役立つ書籍の具体例として、以下の書籍が挙げられます。

  • 『金持ち父さん貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)
  • 『不動産投資の教科書』(川口守著)

これらの書籍は、不動産投資の基本から応用までを網羅しており、初心者から経験者まで幅広い読者に役立つ内容が詰まっています。

不動産投資を成功させるためには、不動産投資に関する知識の習得が必要不可欠です。不動産投資に関する書籍は、不動産投資について正確な知識をつけ、深い理解を得るのに役立ちます。

ただし「特定の書籍を読めばいい」「不動産投資を始めるタイミングで勉強すれば良い」というわけではありません。最新の市場動向や法改正に関する情報や書籍も定期的にチェックし、知識や情報のアップデートをする必要があります。

Q5.不動産投資における税務調査への対応はどうすれば良い?

不動産投資に限らず、税務調査への対応では以下のポイントを押さえることが大切です。

  • 必要書類を漏れなく用意する
  • 質問されたことのみに答える
  • 質問への回答は的確に行い、決して嘘や誤魔化しをしない

また、税務調査の実施が決定され次第、事前に税理士と打ち合わせを行いましょう。顧問税理士がいない場合は、スポット契約で税務調査の立会いを依頼するのがおすすめです。税務調査では細かな部分まで質問される可能性が高いため、専門家である税理士のサポートを受けるのが安心です。

不動産経営における税務調査についてのお悩みは「小谷野税理士法人」へご相談ください。

不動産投資に関するまとめ

不動産投資で経費として計上できるのは、不動産投資による収益を得るために必要であり、不動産投資との関連性を証明できる費用です。例として仲介手数料や管理費用、減価償却費などが挙げられます。

反対に、スーツ代やコンタクトレンズ代、個人的な資格取得費用などは経費計上ができません。誤って経費として申告してしまうと税務調査で指摘を受け、ペナルティを課されてしまうため注意しましょう。

不動産投資で節税をするためには、経費として計上できる項目や節税対策の方法、確定申告のポイントなどを押さえることが大切です。

とはいえ、考慮するべき事項が多く「結局のところ何をするべきかよくわからない」「上手く対応できる自信がない」とお悩みの人もいるでしょう。不動産投資の会計処理や税金について不安があれば、1人で対処しようとせず、専門家である税理士のサポートを受けるのが安心です。

不動産投資における税金や経費に関するお悩みは、ぜひ「小谷野税理士法人」へご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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