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会社設立の基礎知識

社会保険の加入条件とは?2023年・2024年度の加入条件や手続き方法を解説

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社会保険の加入条件とは?2023年・2024年度の加入条件や手続き方法を解説

会社を設立後、行わなければならない手続きの1つが、社会保険の加入です。社会保険の加入には一定の条件があり、従業員の雇用状態に応じて、加入手続きを行わなければなりません。2022年の法改正で社会保険の適用範囲が拡大されましたが、2024年10月にはさらに適用範囲が拡大されます。本記事では、社会保険の加入条件や、法改正後の変更点、実際の加入手続きについて解説します。

社会保険とは

社会保険の種類のイメージ

社会保険とは、労働者のケガや疾病、高齢化などのリスクに備えるための公的な保険制度です。国や公的な団体が保険者として運営し、被保険者である労働者に万が一のことが起こった時に給付を行う仕組みです。

社会保険には5種類の保険が存在します。健康保険・厚生年金保険・介護保険の3種類を「狭義の社会保険」、雇用保険・労災保険は「労働保険」と分類します。それぞれの保険制度の内容についてみていきましょう。

健康保険(医療保険)

健康保険は、被保険者やその家族が病気やケガをした際に治療を受けられるようにするための保険制度です。

協会けんぽや健康保険組合が保険者となり、医療費を負担します。そのため、被保険者が医療機関の窓口で支払う医療費の負担が軽減されます。被保険者が負担する医療費は年齢によって異なりますが、原則3割です。

厚生年金保険(年金保険)

厚生年金保険は、被保険者の将来や傷害などに備えるための保険制度です。被保険者となって保険料を支払うことで、高齢になった際に受け取れる年金額を増やすことや、障害を負った際に厚生年金より年金を受給できます

20歳以上の日本国民は国民年金保険へ加入する義務がありますが、会社勤務や公務員は厚生年金保険料を支払います。そして、65歳になれば国民年金と併せ、高齢厚生年金として給付されることになります。

介護保険

介護保険は、被保険者に介護が必要になった場合に給付金や介護サービスを受けられる保険制度です。介護保険の利用には、要介護や要支援認定を受ける必要があります。介護保険への加入は、40歳以上の健康保険の加入者が該当します。健康保険料と併せて、毎月介護保険料の支払い義務が発生します。

雇用保険

雇用保険は、被保険者が失業した場合に給付金や雇用サポートを受けられる保険制度です。育児休業や介護休業の際の給付金も雇用保険から支払われます。

雇用保険は、法人や個人事業主に雇用されて働く従業員が加入する保険であり、一定の条件を満たす従業員は、必ず加入しなければなりません。雇用保険の加入条件については、後ほど詳しく解説します。

労災保険

労災保険は、労働者の健康と安全を守るための保険制度です。業務中や通勤中に起こったケガや疾病、障害、死亡に対し、被保険者や遺族へ給付を行います。

ケガや疾病に対する保険には健康保険もありますが、健康保険は業務外のケガや疾病が対象です。労災保険では健康保険とは異なり、補償対象と認められれば被保険者の療養費の自己負担はありません。

事業所の社会保険の加入条件

個人事業主

全ての法人の事業所は、基本的に国が定める保険へ加入する義務があります。

社会保険は事業所単位で適用され、社会保険の適用対象になる事業所を「適用事業所」と呼びます。適用事業所は、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類に分けられます。

強制適用事業所

強制適用事業所とは、法律によって加入が義務付けられている事業所を指します。事業所の規模や事業主・従業員の意思などに関係なく、必ず社会保険へ加入しなければなりません。

強制適用事業所に該当する条件は、以下の通りです。

  • 常時従業員を1人以上使用する国、地方公共団体、法人の事業所
  • 常時5人以上の従業員を使用する事業所(飲食店や理美容業、農林漁業などの場合を除く)

つまり、株式会社や合同会社などの法人は、従業員の人数に関係なく強制適用事業所として社会保険へ加入しなければならないということになります。そして、個人事業所の場合は、一定の業種を除いて従業員が5名以上かどうかで判断します。

任意適用事業所

任意適用事業所とは、強制適用事業所に該当しない事業所を指します。

強制適用事業所の条件である従業員5名以上を満たしていない個人事務所であり、非適用業種が任意適用事業所に該当します。非適用業種とは、農林漁業・サービス・自由業などが該当します。

任意適用事業所が社会保険へ加入する場合、被保険者となる従業員の半数以上が加入することに同意しなければなりません。そして、事業主が管轄の年金事務所や事務センターで申請を行い、厚生労働大臣の認可を受ければ適用事業所になることができます。

従業員の社会保険の加入条件

社会保険へ加入する適用事業所の場合、一定の条件を満たす従業員は社会保険への加入手続きを行わなければなりません。ここからは、従業員の社会保険の加入条件について解説します。

社会保険の加入条件については2024年10月の法改正によって加入条件の緩和が行われるため、変更点についても併せてご紹介します。

社会保険の加入条件

従業員の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件は、以下の通りです。健康保険は75歳未満、厚生年金保険は70歳未満、介護保険は40歳以上65歳未満が対象になります。

  • 常時雇用されている従業員
  • 週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上かつ、1ヵ月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上である者

常時雇用されている従業員とは、雇用期間に定めのない人を指します。法人の場合であれば、代表取締役などの役員や正社員は全て社会保険の加入対象です。

アルバイト・パートタイムの場合

社会保険の加入条件には「常時雇用されている従業員の週,および月の所定労働時間の4分の3以上である者」も加わっています。つまり、正社員だけではなく、アルバイトやパートタイムとして勤務している場合も上記条件を満たしていれば社会保険の加入対象になります。

ただし、4分の3以上という条件を満たしていない場合でも社会保険の対象になるケースがあります。以下の条件を満たしていれば、アルバイトやパートタイムでも社会保険の加入対象になります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2カ月を超える雇用の見込みがある
  • 月額賃金88,000円以上
  • 学生以外
  • 従業員規模が101人以上の事業に勤めている

上記は、2023年時点での条件です。2024年10月からは法改正により「従業員数51人以上の事業」に拡大される予定です。

派遣社員の場合

派遣社員も一定の条件を満たしていれば、社会保険の加入対象になります。一定の条件とは、以下の条件を満たす場合は、加入対象です。

  • 労働時間が常時雇用の従業員と同等
  • 週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上
  • 雇用契約が2カ月以上

また、アルバイト・パートタイムと同様に、上記条件を満たしていない派遣社員も下記の条件を満たしていれば、社会保険の加入対象になります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2カ月を超える雇用の見込みがある
  • 月額賃金88,000円以上
  • 学生以外
  • 従業員規模が101人以上の事業に勤めている

上記は、2023年時点での条件です。2024年10月からは法改正により、「従業員数51人以上の事業」に拡大される予定です。

関連記事:法人を設立したときにかかる社会保険料の負担と軽減する方法

社会保険の加入手続き方法:事業所の場合

決算月の変更手続きのイメージ

これから社会保険へ新規加入するには、事業所と従業員、それぞれが書類などを準備して提出しなければなりません。

まずは、事業所が適用事業所として社会保険へ加入する際の手続き方法や、必要書類について解説します。加入手続きの期限や提出書類は、強制適用事業所と任意適用事業所で異なるため注意が必要です。

提出期限と提出先

社会保険へ加入する書類の提出先は、強制適用事業所も、任意適用事業所も管轄の年金事務所や事務センターです。提出方法は直接窓口へ提出するだけではなく、郵送や電子申請があります。

社会保険へ加入するための書類提出の期限は、強制適用事業所と任意適用事業所で異なります。強制適用事業所の場合、会社設立から5日以内に必要書類を提出して申請しなければなりません。一方で、任意適用事業所は、従業員の半数以上の同意を得てから申請を行います。

提出に必要な書類

事業所が新たに社会保険へ加入するには、さまざまな書類を提出しなければなりません。強制適用事業所と任意適用事業所とでは、提出する書類が少し異なります。

それぞれの適用事業所で必要となる書類は、以下の通りです。

強制適用事業所

任意適用事業所

  • 健康保険・厚生年金保険 / 新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険 / 被保険者資格取得届
  • 健康保険 / 被扶養者(異動)届
  • 健康保険・厚生年金保険 / 保険料口座振替納付申請書
  • 各種添付書類
  • 健康保険・厚生年金保険 / 任意適用申請書・同意書
  • 健康保険・厚生年金保険 / 被保険者資格取得届
  • 健康保険 / 被扶養者(異動)届
  • 健康保険・厚生年金保険 / 保険料口座振替納付申請書
  • 各種添付書類

上記の表に記載されている各種添付書類は、法人事業所や個人事業所など事業所の形態によって異なります。

法人事業所

法人登記簿謄本 / 商業登記簿謄本
(書類提出日から遡って90日以内に交付された原本)

個人事業所

  • 事業主の世帯全員の住民票
    (書類提出日から遡って90日以内に交付された原本)
  • 代表者の公租公課の領収書
    (原則1年分)

社会保険の加入手続き方法:従業員の場合

次に、従業員の社会保険加入に必要な手続き方法や必要書類について解説します。従業員の社会保険加入の手続きは、雇用先である事業所が行います。従業員の社会保険加入の手続きは、通常の手続き方法や一括適用と呼ばれる申請方法などケース別で説明します。

社会保険へ加入する手続き

従業員の社会保険加入手続きは、事業者が管轄の年金事務所もしくは事務センターへ必要書類を提出します。必要書類は以下の通りです。

  • 健康保険・厚生年金保険 / 被保険資格取得届
  • 国民年金第3号被保険者関係届(被扶養者の追加や削除がある場合のみ)

届出には従業員の基礎年金番号またはマイナンバーが必要になるため、従業員に準備してもらう必要があります。これらの書類の提出方法は、事業所と同様に窓口へ持参・郵送・電子申請から選べます。

尚、社会保険の加入手続きの提出期限は、加入条件の発生から5日以内です。

一括適用の申請手続き

本社と支社がそれぞれ適用事業所として分かれているものの、本社が支社の労務管理を行っている場合には、一括適用の申請が可能です。一括適用とは、本社と複数の支社を1つの適用事業とみなす手続き方法になります。

一括適用として承認されれば、本社と支社間の人事異動があった場合、本来であればその都度必要な社会保険の加入・喪失届の提出が不要になります。

ただし、一括適用の承認には、以下の基準をみたす必要があります。

  • 特定の適用事業所によって複数の事業所の人事、労務、給与に関する業務が電子計算組織により集中的に管理されており、適用事業所の事業主が行うべき事務が所定の期間内に適正に行われること
  • 上記の管理が行われている事業所が、一括適用の承認申請を行う事業主の主たる事業所であること
  • 承認申請にかかる適用事業所について健康保険の保険者が同一であること
  • 協会けんぽ管掌の健康保険を適用する場合は、健康保険の一括適用の承認申請も合せて行うこと
  • 一括適用の承認によって厚生年金保険事業および健康保険事業の運営が著しく阻害されないこと

出典:「一括適用」日本年金機構

また、一つの事業所として認められるためには、申請書などの文書が必要です。

副業やダブルワークをしている場合の手続き

従業員が副業やダブルワークをしていれば、同時に複数の事業所へ雇用されていることになります。この場合には、社会保険に加入する事業所を選択する必要があります。

その際に、被保険者は「二以上事業所勤務届」という書類を、管轄の年金事務所、もしくは事務センターに提出します。この手続きは、被保険者(従業員)本人が行わなければなりません。

加入条件の発生から10日以内に提出しなければならないため、該当する従業員には速やかに手続きするように、事業者や労務担当者から伝えましょう。

関連記事:ダブルワークでの社会保険はどうなる?掛け持ちする際に知るべき加入条件や二重加入について

社会保険の加入に関する注意点

個人辞表主の労災保険のイメージ

社会保険は労働者を守るための制度であり、原則的に事業者には加入する義務があります。

社会保険の加入にはさまざまな条件がありますが、社会保険の加入に関する注意点についても知っておきましょう。

社会保険へ未加入だった場合は罰則がある

社会保険への加入義務があるのにも関わらず、社会保険へ加入しなかった場合にはペナルティとして罰則を受けることになります。

未加入の状態が続けば、まずは日本年金機構から加入状況に関する問合せが文書で届きます。その文書に応答せずにいれば、日本年金機構の担当者による立入検査や加入指導が行われます。

最終的には強制加入手続きが行われ、本来支払うべき従業員の社会保険料を過去2年間に遡って納付しなければなりません。すでに退職した従業員に関しては、会社が全額負担する義務があり、延滞金も発生します。

また、社会保険への未加入に悪質性があると判断されれば、事業主は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科せられる可能性があります。

定期的に改定があるので注意が必要

社会保険の加入条件は、定期的に改定が行われています。過去には、2022年10月に改定があり、今後は2024年10月に改定が行われる予定です。

パートタイムやアルバイトなどが、雇用形態に捉われることなく社会保険へ加入できるよう徐々に加入条件は緩和されてきています

事業者側は加入対象者を把握し、しっかり対応する義務があります。社会保険の適用範囲が拡大するということは、事業者側の支払う社会保険料が増加する可能性を示唆しています。そのため、改定ごとに社会保険の内容を正しく理解し、必要に応じて支援制度などの活用や節税対策も検討していくべきでしょう。

節税に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:保険は節税になる?ならない?賢い選択で節約しながらリスク管理をしよう

社会保険の手続きは税理士へ相談しましょう

社会保険の加入条件や手続き方法、注意点などについて解説してきました。

近年では働き方が多様化し、社会保険の加入条件も範囲が拡大されています。これから起業する方も、すでに会社を設立されている方も、社会保険の加入条件についてしっかり理解し、手続きを進めていかなければなりません。

しかし、起業に向けた手続きが多く、社会保険の加入手続きに手が回らないことや、従業員や事業所が急激に増えることで社会保険の管理が困難になってしまうようなケースもあります。こうした場合には、税理士へ相談することもひとつの手段です。

小谷野税理士法人では社会保険に関する相談や、会社設立から確定申告までの手続きなどについてワンステップで対応しています。豊富な知識と経験を持つ税理士が在籍しているため、さまざまな分野での対応が可能です。まずはお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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