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税理士変更での利用者識別番号|主な業務内容やよくあるトラブル、必要な手続き

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税理士変更での利用者登録番号について

e-Taxを利用して申告や納税を行う際には、16桁の利用者識別番号や利用者ID、暗証番号が必要です。税理士変更に伴い、これらの情報は旧税理士から新税理士に引き継がれますが、今回は税理士変更で利用者識別番号はどう扱われ手続きされるのか、引継ぎの際の注意点などについて解説します。

目次

税理士変更では利用者識別番号の取り扱いが重要

税理士変更での利用者登録番号について

税理士変更と聞くと煩雑な手続きを想像する方も多いですが、タイミングさえ間違えなければ、税理士変更は難しいものではありません。

変更手続きを行う際、現在の税理士に預けている事業に関する各種書類を回収します。この時、絶対に忘れてはならないのが「利用者識別番号・利用者ID・暗証番号・登録されたメールアドレス」の引き継ぎです。

利用者識別番号の取り扱いで起こる税理士変更のトラブル

旧税理士との解約手続きを行なった後、旧税理士は契約者の利用者識別番号などを使用した業務は一切禁じられており、通常なら利用者識別番号に関する引き継ぎはスムーズに行われるはずです。

しかし「コミュニケーションが不足していた」「業務において何度もトラブルが発生した」など、旧税理士とあまり良い関係が築けず、引き継ぎがスムーズに行われなかった場合には、次のようなトラブルが起こるケースがあります。

  • 旧税理士が故意に、あるいは誤って利用者識別番号等を利用して受信メッセージの内容を閲覧する(不正アクセス)
  • 旧税理士が利用者識別番号等を使用して勝手に修正申告などを行う
  • 旧税理士が新しい税理士に利用者識別番号に関する情報の引き継ぎをせず、新たに利用者識別番号を取得しなければならない事態となり、過去の申告内容が閲覧できなくなってしまう
  • 利用者識別番号の取得時に登録したメールアドレスがそのままになっており、旧税理士に還付や納税に関する通知するメールが送信されてしまう

このようなトラブルを防ぐためにも利用者識別番号等の取扱い、引き継ぎは確実に行う必要があります。税理士変更と同時に利用していた電子申告の利用停止手続きを行えば、それまで使用していた利用者識別番号や暗証番号は利用できなくなります

もし引き継ぎがスムーズに行われなかった場合には、電子申告の利用停止手続きは旧税理士とのトラブルを防止する意味では有効な手段といえるかもしれません。しかし、同時に電子申告システムにアクセスできなくなってしまい、税務に関する過去の情報を閲覧できなくなってしまう大きなデメリットがあります。

過去の情報を閲覧できなくなると、新しい税理士の業務に支障が出るほか、経営にも不利益を被る恐れがあるため、利用停止手続きは避けるのが望ましいです。

利用者識別番号とは?

利用者識別番号は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用するために必要となる、法人や個人事業主に割り当てられた16桁の数字を指します。

e-Taxは、インターネットを通じて税務申告や納税など、各種申告手続きが行えるシステムで、手続きにかかる時間や手数料も削減できるので年々利用者が増えています。このe-Taxを利用するにあたり、他社によるなりすましを防止する目的で導入されたのが利用者識別番号です。

2016年より、確定申告の際にはマイナンバーの記入が必要となり、e-Taxを利用する際には利用者識別番号とマイナンバーの両方が必要となるので注意しましょう。利用者識別番号は、一度取得すれば継続して同じ番号が利用でき、所在地が変更・移転したとしても同一の番号をそのまま利用できます。

法人・個人事業主として、一度番号を取得すれば長期にわたって利用することになるため、経営や税務において決して漏洩が許されない情報なのです。

利用者識別番号の取得方法

前項で、利用者識別番号は経営や税務において重要な情報であると解説しました。つづいては、電子申告システムをまだご利用されておらず、利用者識別番号を取得していない方向けに、利用者識別番号の取得方法を解説します。

Webで取得する

Webで利用者識別番号を取得する場合、主に以下の3つの方法から選択できます。

  • マイナンバーカードを利用してe-Taxから開始届出書を提出する
  • マイナンバーカードを利用せずe-Taxから開始届出書を提出する
  • マイナポータルの「もっとつながる」機能から手続きを行う

e-Taxから開始届出書を提出する場合、マイナンバーカードの有無で手続きの手順が若干異なります。マイナンバーカードをお持ちの場合、e-Taxの「受付システム ログイン」へアクセスし、「マイナンバーカードでログイン」をクリックします。

次に、「ICカードリーダーライタで読み取り」もしくは「スマートフォンで読み取り」を選択し、指示に従ってマイナンバーカードを読み取ります。


スマートフォンで読み取る場合、事前にスマートフォンへマイナポータルアプリのインストールが必要です。次の画面で、マイナンバーカードの受け取り時に設定した4桁のパスワードの入力を求められるので入力してください。

指示通りに手続きを進めると、最後に暗証番号の設定へと移ります。

「新しい暗証番号」の項目に8〜50桁で、英小文字・数字・記号を含めたパスワードを入力し、マイナンバーカードを利用したe-Taxでの手続きは完了となります。

一方、マイナンバーカードを持っていない場合でも、e-Taxから利用者識別番号の取得が可能です。

ただし上述でも解説したように、e-Taxを利用する際には利用者識別番号とマイナンバーの両方が必要となります。マイナンバーカードを持っていなければ、e-Taxは利用できないため、マイナンバーカードが無い場合のe-Taxでの確定申告は、ID・パスワード方式を利用して行います。ID・パスワード方式を利用するためには、利用者識別番号を取得した後に所轄の税務署に出向いて職員による本人確認が必要となるので注意してください。

マイナンバーカードを持っていない場合の利用者識別番号の取得は、e-Taxホームページにアクセスし、画面の緑のボタン「開始届出(個人の方用)新規」をクリックします。

次に、「マイナンバーカードをお持ちでない方はこちら」をクリックします。

次ページで各項目に必要事項を入力し、最後まで入力が完了したら利用者識別番号の取得手続きは完了となります。

また、e-Taxだけでなくマイナポータルからも利用者識別番号を取得できます。マイナポータルは、デジタル庁が管轄する子育てや介護など、行政手続に関するオンライン窓口で、オンライン申請以外にもご自身の個人情報の確認などのサービスを提供しています。マイナポータルの「もっとつながる」機能の中から「利用者情報の登録」の画面に従い入力することで、利用者識別番号の取得が可能です。

取得方法によって必要となる書類は異なりますので、事前に国税庁のホームページで確認しておきましょう。

画像出典:国税電子申告・納税システム(e-Tax) 開始届出(個人の方用)新規
画像出典:マイナポータル トップページ

税務署で取得する

所轄の税務署に直接出向き、税務署の職員に本人確認書類を提出することで、ID・パスワード方式の利用者識別番号を取得が可能です。所轄の税務署が近い人やインターネット手続きが不安な人には、最もおすすめできる方法です。

書面ダウンロードで取得する

国税庁のホームページから「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」をダウンロードし、必要事項を記入した上で所轄の税務署に送付、あるいは税務署に直接持ち込んでも利用者識別番号の取得が可能です。この場合、e-Taxを利用して確定申告を行うには、マイナンバーカードおよびICカードリーダーが必要となるので注意してください。

税理士に依頼する

税理士に依頼して、利用者識別番号を取得することも可能です。すでに税理士と顧問契約を交わしている事業主の場合、e-Taxの利用を検討されているのであれば、税理士に相談してみましょう。

また、税理士と契約を交わしていない事業主であっても、利用者識別番号の取得依頼のみを受け付けている税理士事務所もあるため、利用者識別番号の取得を希望される方はお近くの税理士事務所に相談するのがおすすめです。

税理士変更の際の利用者識別番号の扱いについて

税理士変更での利用者登録番号について

税務に大きく関わってくる利用者識別番号は、できる限りスムーズに引き継ぎを進めたい重要な情報ですが、実際にはどういった手順で引き継ぎが進んでいくのでしょうか?旧税理士・納税者(企業・個人事業主など依頼者)・新しい税理士と、三者の視点から時系列順に見ていきましょう。

税理士変更に伴い旧税理士が行う利用者識別番号の引き継ぎ手続き

顧問契約の解除が決定すれば、旧税理士はe-Taxから送信される通知メールの転送設定にかかる委任関係の登録解除を行います。e-Taxに利用登録すると、定期的に「税務署からのお知らせ」または「国税庁からのお知らせ」という通知メールが届きます。

この通知メールは、納税者だけでなく旧税理士も閲覧できるよう、転送設定を行うのが一般的ですが、転送設定を解除しなければ旧税理士に還付や納税に関する通知するメールが送信されてしまいます。旧税理士への誤送信を防ぐために転送設定の解除が必要です。

次に、納税者の利用者識別番号、利用者ID、暗証番号といった情報を納税者へ返却します。

これらの情報は税理士事務所の中で共有されている場合があり、担当税理士以外にも情報が周知されている可能性があります。利用者識別番号と利用者IDは変更ができませんが、暗証番号は後からでも変更が可能です。個人情報の漏洩を防ぐ意味でも、旧税理士に暗証番号を変更してもらい、旧暗証番号と新たな暗証番号を返却してもらうのがおすすめです。

利用者識別番号の引き継ぎ手続きについて、旧税理士が行う手続きは以上です。

税理士変更に伴い納税者が行う利用者識別番号の引き継ぎ手続き

納税者は、旧税理士から利用者識別番号、利用者ID、暗証番号といった情報を返却してもらった後に、旧税理士との契約を解除します。その後、新しい税理士と契約を交わし、「電子申告にかかる利用者識別番号等の利用同意書」に基づいて、利用者識別番号を新しい税理士へ通知する流れとなります。

「電子申告にかかる利用者識別番号等の利用同意書」とは、電子申告において税理士が納税者の代理として利用者識別番号等を利用して申告・申請を行うことを予め納税者が同意していることを明らかにするための書面です。

この時点で、新しい税理士も利用者識別番号を利用してe-Taxにログインできるようになるので、e-Taxからの通知メールを受け取るために、旧税理士のメールアドレスの消去、新税理士のメールアドレスの登録を行います。

前項でお伝えしたように、暗証番号は旧税理士側で変更してもらうのがおすすめですが、中には変更作業を行なってくれない税理士も存在します。暗証番号が変更されていない場合は、この段階で新しい税理士に暗証番号の変更を依頼してください。

税理士変更に伴い新税理士が行う利用者識別番号の引き継ぎ手続き

新税理士は納税者と顧問契約を交わした後、上述の通り「電子申告に係る利用者識別番号等の利用同意書」に基づいて利用者識別番号等を受け取ります。そして、旧税理士のメールアドレスの消去、自社メールアドレスの登録、e-Taxからの通知メールの転送設定、必要に応じて暗証番号の変更手続きを行います。

この際、納税者は新しい税理士が設定した新情報を開示してもらうのもよいでしょう。コロコロと税理士を変えるのはおすすめしませんが、もし次回同じようなトラブルがあった場合に混乱を避けるためです。

税理士変更で新税理士がe‐Tax・eLTAXで行う業務とは?

税理士変更での利用者登録番号について

税理士変更に伴い利用者識別番号等の引き継ぎが完了すると、新税理士がe‐Tax・eLTAXを利用して税務や申告業務を開始します。税務や申告業務を税理士に一任している場合、税理士側で適宜業務を進めてくれますが、税務や申告業務は企業の経営に大きく関わってきます。

納税者側でもある程度、どんな業務を行うのか知っておくべきです。税理士がe‐Tax・eLTAXで行う業務について解説します。

税理士がe‐Taxで行う業務

税理士がe‐Taxを利用して行う業務には以下の業務があげられます。

  • 税金の電子申告:税理士は、法人税、所得税、消費税などの各種税金の申告を行います。
  • 確定申告の支援:個人事業主や自営業者の確定申告を支援する際に、税理士はe-Taxを使用して所得や必要経費の計算、税額の確定、申告書の提出を行います。
  • 法廷調書の提出:法廷調書の提出にもe-Taxが使用されることがあります。税理士は法廷調書を作成し、e-Taxを通じて提出を行います。
  • 書類の電子提出:税務関連の各種書類、例えば資産課税に関する書類や税務調査に関連する書類なども、e-Taxを通じて提出することが可能です。
  • 税務相談と計画:税理士はe-Taxのデータを活用して、納税者への税務相談や税務計画の策定に役立てます。
  • 税務調査の対応:税務調査が行われる際、税理士はe-Taxを利用して必要な情報や文書を迅速に提出します。

e-Taxで対応する業務は、上記の通り多岐にわたります。

税理士がeLTAXで行う業務

e‐Taxは知っていても、eLTAXは聞いたことがないという方もいるかもしれません。eLTAX(エルタックス)とは、地方税の電子申告・納税システムで、法人や個人が地方税に関連する、さまざまな申告や手続きをオンラインで行うことができるサービスです。

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム

税理士がeLTAXを利用して行う業務には、以下の業務が挙げられます。

  • 固定資産税の申告:固定資産税に関する申告手続きをeLTAXを通じて行います。これには、不動産や事業用の資産に関する申告が含まれます。
  • 自動車税・軽自動車税の申告:eLTAXを利用して、自動車や軽自動車、二輪車に関する税金の申告を行います。
  • 住民税の申告:個人住民税や法人住民税の申告を含む、住民税の申告や調整を行います。
  • 納税証明書の発行依頼:ビジネスや各種手続きで必要な納税証明書の発行を依頼できます。
  • 情報の確認と管理:納税者の地方税に関する情報の確認と管理を行うことができます。

各種申告や手続きを気軽に進める方法として人気です。

税理士変更に伴う利用者識別番号関連のトラブル

税理士変更に伴い、利用者識別番号等の引継ぎは、ほとんどの場合でスムーズに進むはずです。しかし、中にはうまく引継ぎができず、トラブルに発展するケースもあります。利用者識別番号等の引継ぎがスムーズに進まなかった場合、どのようなトラブルが起こり得るのか見てみましょう。

旧税理士にメールが届き続ける

旧税理士のメールアドレスが、e-Taxの利用者情報に登録されたままになっていることがあります。あるいは、前項「税理士変更の際の利用者識別番号の扱いについて」で解説したように、e-Taxから送信される通知メールの転送設定が解除されていない場合に、旧税理士にメールが届き続けるトラブルが起こり得ます。

利用者識別番号・利用者ID・暗証番号の引継ぎができていれば、たしかに旧税理士がe-Taxにアクセスすることはできません。しかし、部外者に還付や納税に関するメールが届き続けるのは決して望ましい状況ではないでしょう。旧税理士への誤送信を防ぐためにも、登録メールアドレスの変更、転送設定の解除は、必ず行いましょう。

旧税理士が確定申告をしてしまう

特に、旧税理士と契約中にトラブルが発生して揉めていたり、関係が悪化している場合に、旧税理士が、勝手に確定申告を行うというトラブルが起こり得ます。納税者を困らせようと、ひどい場合には利用者情報を使用して故意に虚偽の確定申告を行う税理士もいるようです。虚偽の確定申告は、税務調査が入る要因となりますし、通常業務にも大きな支障をきたします。

旧税理士による虚偽の確定申告を防ぐには、暗証番号の変更を行なって旧税理士がe-Taxにアクセスできないようにするのが最も有効な対策です。

旧税理士が勝手に確定申告を行い、納税者と旧税理士との間で解決が困難であれば、税理士会へ相談するのがおすすめです。税理士会は、税理士によって設立された特別法人で、各税理士会ごとに相談窓口を設けています。地域によって相談窓口は異なるため、まずはお住まいの地域を管轄する税理士会の相談窓口に問い合わせてみましょう。

新しい税理士が過去の申告状況を確認できない

e-Taxの利用には、利用者識別番号・利用者ID・暗証番号といった情報が必要です。これらの情報が旧税理士から引継ぎされていなければ、新しい税理士が、e-Taxにアクセスできなくなります。その場合は、利用者識別番号を再取得することになりますが、その場合、過去の申告状況が閲覧できなくなるという大きなデメリットが発生します。

税理士は、e-Taxのデータを税務相談や税務計画の策定に活用するため、過去のデータが閲覧できなくなるのは、企業にとっては甚大な損害です。こういった事態を招かないためにも、旧税理士から利用者識別番号等の引継ぎは必ず行うようにしてください。

利用者識別番号の引き渡しが行われなかった場合の手続きについて

税理士が変更する場合、旧税理士から引き継いだ利用者識別番号等の情報を納税者が新しい税理士に伝える必要があります。しかし、旧税理士から利用者識別番号の引き渡しが行われなかった場合、あるいは納税者が利用者情報を紛失してしまった場合には、別途手続きが必要となります。e-TaxとeLTAXでは必要となる手続きが異なるため、それぞれ必要となる手続きについて詳しく解説します。

e-Taxで必要となる手続き

所轄の税務署に「暗証番号等の再発行」に関する変更等届出書を提出してください。変更等届出書はインターネットでのオンライン提出もできますが、書面での提出も可能です。後日、届出を受け付けた税務署から、通知書が郵送で届きます。

この場合、利用者識別番号は変更されませんが、暗証番号と事前登録した電子証明書が消去されますので、新たに税務署から通知された暗証番号でログインし、暗証番号の変更及び電子証明書の登録を行います。なお、秘密の質問と答えを登録済みの場合は、変更等届出書を提出する必要はなく、暗証番号の再設定はオンラインでできます。

eLTAXで必要となる手続き

利用者IDが分からない場合は「利用者ID再通知申請」、暗証番号が分からない場合は「暗証番号再設定申請」を提出します。どちらの手続きも、インターネットでのオンライン申請が可能です。ただし、登録したメールアドレスが不明または利用できない場合、「利用者ID再通知」「暗証番号再発行」ができないので、新規で利用届出を行う必要があります。

税理士変更に伴う利用者識別番号の扱いをトラブルなしで引継ぐために

税理士変更での利用者登録番号について

ここまで、税務において利用者識別番号等がいかに重要な情報なのかを解説してきました。最後に、税理士変更に伴う利用者識別番号の引継ぎを、トラブルなくスムーズに進めるための注意点をご紹介します。

旧税理士との契約解除は断り方に気をつける

旧税理士との契約において、定められた解約期限内であれば、基本的にはスムーズに解約手続きを進めることができるはずです。しかし、納税者と税理士という業務上での関係ではありますが、同時に人間同士の付き合いともいえます。断り方に注意しなければトラブルや揉め事に発展するケースもあります。

契約期間中は円満な関係であったにも関わらず「断り方がまずかったために、契約解除で揉めてしまい、利用者識別番号等の情報を引継ぎしてくれない」という事例は決して少なくありません。契約を解除したい旨は丁寧に伝え、円滑に話が進むよう心掛けましょう。

「どのようにして契約解約を申し出ようか…」と断り方に悩まれる方も多くいらっしゃいます。上手な断り方として、「知人が税理士事務所を立ち上げたのでそちらに〜」「主要な取引先から税理士事務所を紹介されて断れず〜」といった理由に、これまでの感謝を添えるのがおすすめです。ありがちな断り方ではありますが、税理士の顔が立ち、穏便に解約手続きを進めることができるでしょう。

また、現在の税理士との関係があまりよくない方は、揉める可能性を見越して、何らかの記録を残しておくのがおすすめです。契約解除を申し出る際は、対面・電話など口頭で伝えるだけでなく、メールなど文書でのやりとりを記録として残しておきましょう。

決算時期や税務調査の時期は税理士変更を避ける

毎年11月から翌年5月は税理士の繁忙期といわれています。具体的には、2月16日~3月15日までの個人所得税の申告、決算期末から2ヶ月以内の法人税の申告、1月末までの年末調整です。加えて、確定申告を行った後、場合によっては税務調査が入ることがありますが、この場合も税理士は対応に追われます。

上記の期間は、どの税理士事務所も顧客の納税・申告業務に追われているため、多忙を極めます。そのため、この期間中に契約解除を申し出ても税理士事務所側の対応が遅くなりがちで、引継ぎがスムーズに行われない恐れがあります。また、納税や申告に必要となる書類については現在契約している税理士が一番把握しているため、税務を正確かつ適正に進めるという観点からもこの時期の税理士変更はおすすめしません。

税理士の繁忙期を避け、円滑にやりとりができる期間に税理士変更を行い、利用者識別番号等の引継ぎ手続きを行いましょう。

利用者識別番号の暗証番号変更は慎重に間違いなく行う

利用者識別番号に係る暗証番号は、e-Taxのサイト内「暗証番号変更」、あるいは「利用者情報登録」の項目から変更できます。暗証番号の変更は、旧税理士が利用者識別番号と暗証番号を悪用し、納税者のe-Taxに不正アクセスするのを防ぐために必ず行っておきたい作業です。

また、暗証番号を忘れてしまった場合は、所轄の税務署に「暗証番号等の再発行」に関する変更等届出書を提出します。変更等届出書はインターネットを利用してオンラインで提出することも可能で、届出書を提出してから後日、所轄の税務署から暗証番号変更の通知書が届きます。

変更手続きの後は、新しく発行された暗証番号を利用してe-Taxにアクセスすることになりますが、パスワードは3回連続で間違えるとロックされてしまうので注意しましょう。ロックしてしまった場合は、各市区町村窓口にてパスワード初期化を申請するか、最寄りのセブンイレブンのマルチコピー機から解除が可能です。

いずれの場合も間違えた際には不要な手間がかかってしまうため、変更後の暗証番号、また再発行した暗証番号は、控えておくのが賢明です。正確な暗証番号を新税理士に引き継ぐため注意を払いましょう。

納税者が新税理士に利用者識別番号を正確に伝える

上述の変更後の暗証番号、あるいは再発行した暗証番号と併せて、利用者識別番号や利用者IDなどの情報は、納税者から新しい税理士へと正確に伝えるようにしましょう。伝達ミスが起こると、新しい税理士がe-Taxにアクセスすることができず「新たに利用者識別番号を再取得しないといけない」と勘違いしてしまい、後述のような利用者識別番号の二重取得といった事態を引き起こす恐れがあります。

加えて、e-Taxの「利用者情報」の中の旧税理士のメールアドレスが廃止されているかも確認しておきましょう。

うっかり利用者識別番号を2つ取得しない

誤って利用者識別番号を2つ取得すると、最後に取得した番号が有効となり、これまで古い番号で行ってきた、納税や申告に係るデータが閲覧できなくなります。過去の税務状況が閲覧できなくなるのは企業の経営にとって大きなデメリットです。

もし、過去に利用者識別番号を取得したにも関わらず、番号や暗証番号を忘れてしまった場合は、所轄の税務署に変更等届出書を提出することで、利用者識別番号の通知を再度受けられます。旧税理士が、どうしても利用者識別番号等を返却してくれない場合など、新たに利用者識別番号の取得もやむを得ないケースもありますが、基本的には再取得しなければならない事態を避けるのが一番です。

まずは、旧税理士から確実に利用者識別番号を返却してもらうこと、そして利用者識別番号等の情報を新しい税理士へ正確に伝えるようにしましょう。

税理士変更に伴う利用者識別番号の扱いは、納税者も一丸となって慎重に行おう

利用者識別番号は、企業の税務において非常に重要な情報です。税務や申告業務を税理士に一任している場合、普段は気にすることがあまりないですが、税理士変更では納税者も一丸となって、慎重に手続きを進めるべき個人情報です。

今回解説した中でも、特に「税理士変更に伴う利用者識別番号の扱いをトラブルなしで引継ぐために」でご紹介した項目に注意しつつ、旧税理士から新しい税理士へと正確に税理士変更で利用者識別番号を引継ぐようにしましょう。

税理士変更に伴う利用者識別番号の扱い・手続きに関するトラブルを避けたい方は、あらかじめ新しく契約予定の税理士に相談するのもおすすめです。ぜひ「小谷野税理士法人」にお問い合わせの上、お気軽に無料相談をご利用ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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