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償却資産申告書とは?書き方や対象資産などをわかりやすく徹底解説!

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償却資産申告書とは?書き方や対象資産などをわかりやすく徹底解説!

償却資産申告書とは、事業用の資産を所有していることを地方自治体に申告するための書類です。突然送られてきて驚く事業者の方もいるかもしれません。新しく事業を始めた等の理由で、償却資産を所有していると思われる方に、自治体が申告書を送付することがあります。所有者自らが提出した内容をもとに、地方自治体が固定資産税の計算に使用するのです。書類の提出を怠ると、遅延金や過料が課される可能性があるため、期限内に正確な申告を行う必要があります。

償却資産申告書とは

償却資産申告書とはのイメージ

償却資産申告書は、ビジネスに関する固定資産に対する税金計算を行うための申請書類です。法人や個人事業主が所有する資産を自治体が把握するために必要で、事業者による申告をもとに税額が計算されます。

償却資産を所有する事業者が提出必須の申告書

償却資産申告書とは、事業に使用する機械や備品などを取得した際、またはその価値に変動があった場合に自治体に提出するものです。固定資産税の税額を決める際に、提出した内容が参照されます。

地方税法第383条には、以下のように定められています。

(固定資産の申告)

第三百八十三条 固定資産税の納税義務がある償却資産の所有者(第三百八十九条第一項の規定によつて道府県知事若しくは総務大臣が評価すべき償却資産又は第七百四十二条第一項若しくは第三項の規定によつて道府県知事が指定した償却資産の所有者を除く。)は、総務省令の定めるところによつて、毎年一月一日現在における当該償却資産について、その所在、種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数、見積価額その他償却資産課税台帳の登録及び当該償却資産の価格の決定に必要な事項を一月三十一日までに当該償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならない。

引用:地方税法 第三百八十三条|e-Gov法令検索

主な目的は、自治体がきちんと税金を計算して、正しく課税できるようにするためです。土地や建物は登記されているので所有状況がはっきりしていますが、償却資産には登記制度がありません。そのため、自治体が所有者からの申告に頼って資産状況を把握します。

申告書には資産の種類・取得日・取得価額・耐用年数などを記載し、その情報に基づいて償税金が計算されます。

提出期限を守らないと、過少申告によるペナルティが課されることもあるため注意が必要です。事業者は資産の管理を徹底し、提出を怠らないよう心がけることが適正な税務処理を行う上での基本と言えるでしょう。

「償却資産」とは土地や家屋以外の資産のこと

償却資産は、事業の運営に使用される土地や家屋以外の資産を指します。機械装置、車両、備品などが含まれ、使用することで価値が低減していく資産です。

具体的には、以下の資産が該当します。

  • 構築物(舗装路面、庭園、門・塀など)
  • 建物附属設備(受変電設備、予備電源設備など)
  • 機械及び装置(製造設備、クレーンなど)
  • 船舶(ボート、漁船など)
  • 航空機(飛行機、ヘリコプターなど)
  • 車両及び運搬具(大型特殊自動車など)
  • 工具、器具及び備品(パソコン、医療機器など)

償却資産税は、これらの資産に課せられる税金です。会計上、これらの資産は償却という手続きを通じて帳簿価額を減少させ、その価値の低減を示します。

「償却資産税」とは償却資産に課される地方税

償却資産税は、事業で使用される償却資産に対して課される地方税です。資産の価値が減少することを反映して、資産の所有者に支払いが義務付けられています。

具体的には、以下の計算式に基づいて算出されます。

償却資産税 = 課税標準額 × 税率

課税標準額は、評価額から特定の控除額を差し引いた金額です。税率は、その自治体が定める率で、1.4%程度が一般的です。

申告書を提出した後、市町村から通知される税額を期日までに納付します。資産の評価額が合計で150万円未満であれば課税されませんが、申告は必要です。また、新しく購入したり、改良したりした場合は、その年の分が課税されます。

申告の対象・対象外となる償却資産

償却資産申告書とはのイメージ

自治体への申告が必要な資産には、どのようなものが該当するのでしょうか。ここでは、該当する資産の種類や見落としがちなケースについてご紹介します。

申告が必要な資産の種類

申告対象となるのは、ビジネスで使用される物理的な固定資産です。機械装置・車両・オフィス用具・コンピューター機器などが該当します。経済的な価値が時間と共に減少するため、一定期間にわたって費用として計上されるのです。

該当する資産の基準は、その使用期間が1年超であり、かつ事業での使用が主であることが挙げられます。例えば、製造業で使用される製造機械や、配達業務に使われる一定規模のトラック、オフィスで使用されるコンピューターなどがその一例です。

正確な申告を行うためには、購入価格・耐用年数・残存価値を把握し、償却の計算を行う必要があります。

また、申告にあたり、見落としがちな対象資産があります。とくに見落としやすいのが、リース終了後に取得したオフィス家具や中古の業務用機械などです。購入した中古品の申告忘れは多いため注意が必要です。

なお、改良費用が発生した場合、たとえ小規模な修繕でも、その価値が資産の価値を高めるものであれば申告しなければなりません。事業で使用する目的で購入または改良が行われたすべての資産が対象です。物品の価格だけでなく、利用目的にも注意を払い、適切な申告を行いましょう。

申告の対象外となる資産

申告の対象外となる資産には、主に以下のものが該当します。

  • 10万円未満の少額資産:一時に損金算入または必要経費算入をした資産
  • 20万円未満の一括償却資産:3年間の均等償却をすることとした資産
  • 無形固定資産:ソフトウェアやのれん、特許権、商標権、意匠権、実用新案権、借地権など

「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」により、消耗品費などで一時的に損金算入したものは、対象となるため注意が必要です。

参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

償却資産申告書(一般方式)の書き方

償却資産申告書には「一般方式」と「電算処理方式」の2種類の申告方法がありますが、初めて提出する方や慣れていない方は「一般方式」がおすすめです。ここでは、一般方式における申告書の具体的な書き方について、東京都の例を参考に解説します。

「種類別明細書(増加資産・全資産用)」の書き方

償却資産の申告を初めてする場合、「種類別明細書(増加資産・全資産用)」を提出しなければなりません。書き方は、以下の表の通りです。

項目名

記載内容

所有者の氏名又は名称

法人の場合は法人名、個人事業主の場合は事業主名を記入します。

_枚のうち_枚目

明細書が2枚に渡った場合は「2枚のうち1枚目」などと記入します。

所有者コード

自治体から届いていない場合は、空欄のままで問題ありません。来年以降は、自治体から郵送された書類に所有者コードが記載されています。

資産の種類

以下6つの資産区分の中から該当するものを記入します。

1:構築物

2:機械及び装置

3:船舶

4:航空機

5:車両及び運搬具

6:工具、器具及び備品

資産の名称等

資産の正確な名称と規格や型番などを記入します。同じ資産でも、名称が異なる場合はそれぞれ別々に記入する必要があります。

数量

資産の数量を記入します。

取得年月

資産を取得した年と月を記入します。年号は、明治・大正・昭和・平成・令和に対応する数字(例: 平成=4、令和=5)を用います。

取得金額

通常支出すべき金額(引取運賃・荷役費・運送保険料・手数料・関税等を含む)を記入します。税込経理の場合は税込み金額、税抜経理の場合は税抜き金額で記載しましょう。

耐用年数

減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に定められる資産の耐用年数を記入します。多くの自治体では、ホームページで耐用年数表を掲載しています(東京都の場合はこちら)。

増加事由

該当する番号を◯で囲みます。「4:その他」を選択した場合は、摘要欄に詳細を記載しましょう。

(※記載不要の項目は省略)

例えば、看板と応接セットであれば、以下のように記載します。

資産の種類

名称等

数量

取得年月

取得価額

耐用年数

増加事由

1

看板

2

5

6

2

200,000

10

①・2

3・4

6

応接セット

3

5

6

3

240,000

5

①・2

3・4

資産の増加があった場合は、上記の内容を「種類別明細書(増加資産・全資産用)」に記載し、提出しましょう。初めて申告する場合は、該当するすべての資産を記入します。

自治体によって書式が異なる場合がありますので、詳細については各市区町村が公開している記入例を参考にすると良いでしょう。

参考:(2)種類別明細書(増加資産・全資産用)の記入方法|東京都主税局

新規の場合「種類別明細書(減少資産用)」の提出は不要

資産の減少があった場合は「種類別明細書(減少資産用)」に記載する必要がありますが、初めて申告する場合は、提出の必要はありません。

前年度までの所有状況が印字されているもので、修正がある場合に提出するものです。基本的に、修正する箇所には打ち消し線を引き、下段に正しい内容を記入します。

「償却資産申告書(償却資産課税台帳)」の書き方

償却資産申告書は、該当する資産の全体的な概要を記載する文書です。上記の手順で作成した種類別明細書を参照し、全資産の現状を記載します。書き方は以下の通りです。

項目名

記載内容

所在者

会社・個人の住所(登記・住民票登録地)を記載します。資産を共有している場合は「代表者外◯名」とし、備考欄に共有者の住所と氏名を人数分記入します。

個人番号又は法人番号

法人の場合は13桁の法人番号を、個人の方は12桁の個人番号を右詰めで記入します。

事業種目

主な事業の内容を記入します(例:「印刷業」)。法人の場合、資本金又は出資金の額も記入も必要です。

事業開始年月

法人の場合は設立年月、個人の方は開業した年月を記入します。

この申告に応答する者の係及び氏名

経理担当など、税務署からの問い合わせ先となる部署・氏名・電話番号を記入します。税理士を問い合わせ先としても構いません。

税理士等の氏名

顧問税理士がいる場合は、ここに記入します。

短縮耐用年数の承認等

該当するものを◯で囲みます。

取得価額

新規の場合は「前年中に取得したもの(ハ)」に種類別明細書の取得価額合計を資産の種類ごとに記載します。

資産の所在地

事業所が所有者住所と別にある場合は記載します。

借用資産

リースやレンタルなどの借用資産がある場合、有を◯で囲み、貸主の名称等を記入します。

事業所用家屋の所有区分

事業所用家屋がある場合は、該当する方を◯で囲みます。

特に注意が必要なのは、資産の種類ごとに取得価額を分ける点です。前年度に申告している場合は「過去に取得したもの」「前年度に減少したもの」に修正内容を記載し、新規で提出する場合は「前年度に新たに取得したもの」のみ記載します。

価額をそれぞれ集計し、最終的に1月1日時点での資産総額を算出するために、それぞれを正確に記載しましょう。

参考:(1)償却資産申告書の記入方法|東京都主税局

「償却資産申告書」に関するよくある質問

償却資産申告書とはのイメージ

ここからは「償却資産申告書」に関するよくある質問とその回答をご紹介します。特に初めての方は、ぜひ参考にしてください。

償却資産を所有していない場合は提出しなくて良い?

償却資産がない場合でも申告書の提出が必要です。初めて提出する方で、該当する資産を持っていない方は「該当資産なし」と明記し、提出しましょう。

また、法人成り・事業の廃止・合併などの事業に関する重要な変更があった場合には、その内容と変更があった年月日を備考欄に記入する必要があります。税務上の正確な処理を行うために不可欠ですので、しっかりと記載しましょう。

1月31日の提出期限を過ぎたらどうなる?

多くの自治体では、期限から約1ヶ月以内であれば遅れても受理してくれることが一般的です。しかし、提出が大幅に遅れたり、申告漏れがあった場合には注意が必要です。過去5年度分までさかのぼって税金が徴収される可能性があります。

特に不正行為があった場合は、7年度分の税金が課されることもありますので、期限内の提出を心がけましょう。遅れてしまった場合には、速やかに自治体への相談をおすすめします。

税理士に代わりに書いてもらうことはできる?

書類の作成は、原則としてご自身で行う必要があります。ただし、ご自身で作成することが難しい場合は、税理士などの代理人に依頼することが可能です。

役場では書類作成や申告を代行するサービスは提供しておらず、支援が必要な場合は、税務課にて書類作成に役立つ手引きを受け取りましょう。代理人を通じても、正確な申告が行われるようご注意ください。

償却資産の申告なら税理士にご相談を

償却資産申告書は、企業や個人事業主が使用する資産の減価償却を計算し、税務上の適切な申告を行うために不可欠な書類です。この記事では、該当する資産の範囲から具体的な記入方法に至るまで、その重要性と手続きの流れを詳細に解説してきました。

しかし、正確かつ最新の知識を持って申告書を作成することは、多忙なビジネスオーナーや事業主にとっては大きな負担となることもあるでしょう。また、記載する情報に誤りがあると、税務調査の対象となるリスクもあります。

専門的なサポートが必要な場合は、税理士への相談がおすすめです。申告において不安がある場合や、申告書の記入について不明点がある方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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