経費削減は、利益を追求する企業にとって見逃せない課題です。巷にあふれるさまざまな経費削減策の中でも、本当に即効性のあるアイデアを知りたいのではないでしょうか。本記事では、主要な経費項目について、効果のある削減策を厳選して提案します。具体的な成功事例も交え、すぐに実行できる方法を詳しく見ていきましょう。
目次
企業が取り組むべき経費削減の種類
企業がコスト削減を行う際には「エネルギー」「オフィス」「オペレーション」という3つの観点があります。まずはそれぞれの面でどのような取り組みが可能なのか、詳しく見ていきましょう。
エネルギーコスト面
インフラ面の見直しや新たな設備投資により、無駄なエネルギー消費を削減すれば経費を削減可能です。
- 電力料金の見直し
- エネルギー効率が良い設備への投資
- 省エネルギーモードの活用や自動化システムの導入
オフィスコスト面
オフィスで使う資材やオフィスそのものについて見直し、事務所の運営コストを削減できる場合があります。
- 事務用品のコスト低減
- 事務所賃料の見直しやシェアオフィスの活用
- 事務機能のデジタル化や電子ファイリング
オペレーションコスト面
普段、当たり前のように行なっている業務オペレーションについて、無駄がないかを徹底的に見直せば経費を節約できる可能性があります。
- 業務プロセスの自動化
- アウトソーシングによる効率化
- 無駄な会議やデータ入力の排除
主なエネルギーコスト削減のアイデア
企業活動に欠かせないエネルギーコストは、取り組み次第で大幅な削減が可能です。削減効果が目に見えやすく、即効性もあるので、着手しやすい分野と言えるでしょう。
ここでは具体的な取り組みとして、電力・ガスの自由化や積極的な節電・節水、さらには社用車の見直しについて詳しく紹介します。
電力・ガスの自由化を利用する
電力は2016年から、ガスは2017年から自由化が始まり、利用者は複数の電力・ガス会社から選べるようになりました。自社のニーズに合った電力・ガス会社や料金プランを選ぶことで、コスト削減が実現します。具体的な方法は以下の通りです。
- 複数の供給会社を比較検討する
- 契約料金プランの見直しを行う
- 再生可能エネルギーの選択肢を検討する
コスト削減だけでなく、環境への配慮も実現でき、「環境にやさしい企業」として対外的なイメージアップにもつながるでしょう。
積極的な節電・節水を行う
個人が家庭で行うのと同様、節電や節水の実施は企業のコスト削減にも有効です。具体的には以下のような手段があります。
- 省エネルギー機器の導入
- 無駄な電力や水の使用を防ぐためのモニタリングシステムの導入
- 従業員への協力要請
小さな努力も、積み重なれば大きなコスト削減をもたらします。また、電力・ガスと同様、環境配慮との両立が可能です。
社用車の見直し
企業活動に欠かせない社用車の見直しも、エネルギーコスト削減に大いに役立ちます。以下の方向性で検討してみましょう。
- エコカーやハイブリッド車の導入
- 適切な車両台数の維持
- カーシェアリングの導入
これらの取り組みにより、ガソリン代や車両維持費の削減が実現し、総コストが最適化されます。
主なオフィスコスト削減のアイデア
オフィスにはインフラから備品まで、コスト面を見直すべきさまざまなポイントが潜んでいます。省ける無駄はどんどん省き、効率的なオフィス運営を目指しましょう。
消耗品や通信料金、オフィスの移転や統廃合、さらには補助金申請など、オフィスコスト削減に関するアイデアを具体的に紹介します。
消耗品のコストを見直す
事務用品などの消耗品は、一つひとつの額は小さいながらも使用量が多く、企業コストに大きな影響を与えます。運用について改めて見直すと、驚くほどの経費削減が実現できるでしょう。具体的な方法としては以下が挙げられます。
- 必要な時に必要な数量だけを注文する
- 複数の業者から見積もりを取る
- 再利用可能な資料やツールを活用する
単価が安いからといって軽視せず、最適な運用を目指しましょう。
通信料金を最適化させる
多くの企業で見落とされがちですが、通信コストも取り組み次第で大きく削減ができる項目のひとつです。具体的な方法は以下の通りです。
- 複数のプロバイダーを比較検討する
- 使用していないオプションやプランを解約する
- 統合型通信サービスへの切り替えを検討する
手間を惜しまず、自社にとって最適なプランを検討し、コスト削減につなげましょう。
オフィスの移転や統廃合を検討する
事務所の移転や統廃合は、経費を大きく削減する一大チャンスと言えます。以下のアイデアを検討してみましょう。
- 事務所の賃料が安いエリアに移転する
- 在宅勤務の導入でスペースを削減する
- Web会議システムを活用し、物理的なスペースの必要性を減少させる
大幅かつ長期的なコスト削減ができる、非常に効果的な取り組みと言えるでしょう。インパクトのあるコスト削減効果を求める企業は、ぜひ検討してみてください。
補助金を申請する
補助金の有効活用も、コスト削減のために有効な手段のひとつです。具体的には以下のような方法があります。
- 在宅勤務導入のための補助金を申請する
- オフィス移転費用を補助金で賄う
- Web会議システムの導入に対する助成金を探す
助成金の活用により、企業活動を最適化するツールの導入コストを大幅に軽減できます。特にコロナ禍以降、さまざまな助成金事業が誕生しています。助成金事情に詳しい専門家に助言を求めるのもいいでしょう。
主なオペレーションコスト削減のアイデア
人件費の高騰が進む中、オペレーションコストの削減は、企業の効率化と利益向上に直結します。
さらに、オペレーションの見直しは、コストの削減だけでなく業務の質向上ももたらします。具体的な方法として、アウトソーシングの活用、業務のマニュアル化とシステム化、法人カードの導入などがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
アウトソーシングを活用する
アウトソーシングとは、専門の業者に業務の一部を委託すること。具体的なメリットとしては以下が挙げられます。
- コア業務に集中できる
- 専門業者による業務効率化
- 固定コストの変動費化
まずは業務の見直しを図り、自社で取り組むべきことと、外部に任せるべきことの切り分けから始めましょう。
業務のマニュアル化とシステム化を行う
業務のマニュアル化とシステム化は、作業の標準化と効率化に役立ちます。具体的なステップは次の通りです。
- 簡単に理解できるマニュアル作成
- 業務プロセスをシステムで自動化
- ペーパーレス化によるコスト削減
マニュアルやシステムの有効活用は、人的ミスを減らすだけでなく作業効率の向上を実現します。
法人カードを導入する
企業や個人事業主を対象とした「法人カード」の導入は、経理手続きの簡素化や経費削減に大きく寄与します。具体的なメリットは次の通りです。
- 経費の一元管理
- キャッシュフローの改善
- ペーパーレス化による事務作業削減
経費の管理業務が簡素化されますし、透明性も向上します。
【業界別】経費削減のアイデアを紹介
ここからは、業界ごとに異なる経費削減のニーズをキャッチし、それぞれにおすすめの方法を紹介します。製造業、小売業、介護・福祉業界、IT・メディア業界、さらにはコンサルティングや人材サービス業界における具体的なアイデアを詳しく見ていきましょう。
製造業界
製造業では、工場の運営費が大きなコスト要因です。工場内に無駄がないか、設備や業務、オペレーションを見直すことがコスト削減につながります。具体的な方法は次の通りです。
- エネルギー効率の高い機器の導入
- 原材料の無駄を減らすための在庫管理システム
- 工場レイアウトの最適化
導入にはコストがかかるものも多いので、予算や効果に見合った方法を慎重に選びましょう。
小売業界
小売業の主な課題は、店舗運営にかかるコストです。設備やオペレーションを見直し、店舗内の無駄を徹底的に省くことがコスト削減を実現します。効率化を促すシステム類の導入を検討するのもいいでしょう。
- 在庫管理の自動化と最適化
- エネルギー消費の少ない照明システムの導入
- 効率的なスタッフ配置とシフト管理
まずは現在の運営状況を客観的に把握し、できる部分から効率化を図っていきましょう。
介護・福祉業界
介護・福祉業界では、人件費や設備費が主要なコスト要素と言えます。サービスの質を維持しつつ、効率化できる点を見出していきましょう。
- 効率的なシフト管理システムの導入
- エネルギー効率の高い医療機器の選定
- 行政からの補助金や助成金の活用
介護・福祉は「人」の存在が特にものを言う業界です。効率的な人材配置ができるよう、システムや機器類の導入を進めていきましょう。
IT・メディア業界
IT・メディア業界では、技術に関する費用と人件費がコスト面でのネックと言えます。固定費を抑えられるよう、次のような施策を検討してみましょう。
- クラウドサービスの利用でサーバーコストを削減
- リモートワークの推進とそれに伴うオフィスコストの削減
- 適切なソフトウェアライセンスの管理
最新のテクノロジーを使いこなせるのは、技術に長けた業界ならではと言えます。便利なツールは積極的に活用していきましょう。
コンサル・人材サービス業界
コンサルティングや人材サービス業界では、営業活動にかかる費用と人件費が主要なコストとして挙げられます。運営効率を上げるための、次のような方法がおすすめです。
- 営業活動のデジタル化とオンラインミーティングの活用
- 適切な人材管理システムの導入
- 業務プロセスの標準化とアウトソーシングの活用
先に挙げた介護・福祉業界同様、コンサル・人材サービスも「人」の比重が大きな業界です。便利なツールを活用して効率化を図り、最適な人員配置を目指しましょう。
具体的な経費削減の成功事例
ここからは、実際に経費削減に成功した大手企業の実例を2つ紹介します。具体的な成功事例から、自社に応用できそうなアイデアを学びましょう。業種や企業規模が違っても、取り入れられるエッセンスが必ずあるはずです。
事例1:大手製造業による経費削減
ある大手製造業の企業が実施した経費削減の成功事例です。この企業は以下の方法で大幅なコスト削減を達成しました。
- 工場のラインに自動化システムを導入し、人件費を削減
- 工場内にエネルギー効率の高い機器を導入し、エネルギーコストを削減
- 原材料の仕入れ先を見直し、さらに交渉の末、仕入れコストを削減
これらの施策により、年間で数億円のコスト削減に成功しました。
事例2:大手小売業による経費削減
ある大手小売業の企業も、独自の努力で経費削減を成功させました。具体的に行なった施策は次の通りです。
- ハイレベルな在庫管理システムを導入し、無駄な在庫を削減
- 省エネルギー型の照明を全面的に導入し、エネルギーコストを削減
- 店舗の配置を見直し、スタッフ配置の効率化により人件費を削減
記事冒頭で説明したエネルギーコスト、オフィスコスト、オペレーションコストのすべてを見直し、総運営コストの数十パーセントの削減に成功しました。
経費削減の際に注意すべき点
経費削減を進める際には、社員の反発などを招かぬよう、慎重な配慮が必要です。効果的かつ持続可能な経費削減を実現するために、以下に紹介するポイントを押さえましょう。特に、人員削減や目標の頻繁な見直しには注意が必要です。
安易にリストラを選択しない
経費削減の第一歩としてリストラを選ぶ企業も多いですが、これは短期的な解決策に過ぎません。以下の注意点を踏まえた上で、本当に実施すべきかどうか、熟慮を重ねる必要があります。
- リストラは従業員の士気とモラルを低下させる
- 長期的な視点で見ると、専門知識や経験の喪失につながる
- 業務効率化やプロセス改善など、他に優先すべき経費削減方法はないか
リストラを持続可能なコスト削減策にできるかどうかは、経営者の手腕次第と言えます。実施する際には、慎重に進めましょう。
経費削減目標の見直しを短期間で行わない
経費削減の目標を具体的に示すことは、社員の士気を高めるのに役立ちます。しかし、その目標を短期間で頻繁に見直すのはやめましょう。理由は以下の通りです。
- 社員の混乱を招く
- 改善プロセスが定着する前に新たな目標が設定されると、モチベーションが下がる
- 長期的な視点が不足する
目標を見直す際は適度な期間を保ちましょう。一貫性のある目標は、持続可能な成果につながります。
まとめ
この記事では、企業が経費削減に取り組むための具体的なアイデアを紹介しました。エネルギーコストやオフィスコスト、オペレーションコストなど、多角的な視座で削減策を実施し、財務状況を改善していきましょう。