税務調査の一環として行われる「反面調査」があります。反面調査は税務調査と違ってすべての企業で必ず実施されるものではなく、調査が入るパターンがあるのをご存知でしょうか。この記事では、反面調査が行われるパターンを解説し、その対処方法や注意点についても紹介します。
目次
反面調査が入るパターン
反面調査はすべての企業に対して必ず実施されるわけではありません。税務署が必要であると感じた場合のみ行われますが、実際どのような理由で調査が行われるのか、そのパターンについて解説します。
過去の書類やデータが不十分・もしくは紛失している
反面調査が行われるのは、相手先が過去の請求書や領収書といった書類やデータが不十分の場合が多いです。税務調査中に調査担当者が確認したい書類を提出できない場合や、書類に適切な記載がない場合などは、取引先が保管している資料でチェックせざるを得ません。
税務調査では、過去3~7年分まで調査や確認が行われます。自分では書類やデータを十分保管していたつもりでも、担当者が情報不足と判断した場合は事実確認が行われるため、過去の取引内容や書類の取り扱いには注意してください。
税務調査に協力的でない
税務調査中の態度が協力的ではない場合も、反面調査が行われるリスクがあるので注意してください。例えば調査中に担当者から求められた書類を提出しない、質問への答えが曖昧などの調査に協力的でない態度は、何かを隠していると疑われる可能性もあります。
税務調査に協力しないことは、反面調査のリスクが上がるだけでなく担当者からの印象も悪くなり、こちら側には何のメリットもありません。調査を早く終わらせてもらうためにも、税務調査には積極的に対応しましょう。
所得隠しや虚偽申告などが疑われる
反面調査が行われるパターンとして、売上を少なく計上する所得隠しや、脱税の疑いがある場合です。事前に他社から税務署に申告があれば、税務調査よりも先に取引先への調査が行われるケースもあります。
脱税や所得隠しが疑われている場合は、たとえ書類やデータが揃っていて、税務調査へ協力的に対応していたとしても、調査の対象となる可能性が高いです。 売上の計上は正確に、節税は適度に行いましょう。
反面調査の対処方法
反面調査が行われてしまうと、取引先にも迷惑がかかり信用を失うリスクがあります。その結果、取引が中止になる可能性もあるでしょう。そのため、反面調査が行われないように日頃から対策しておく必要があります。ここではその対処方法を解説します。
データや資料などは全て保存しておく
税務調査時に一番大切なのは、過去のすべての書類やデータを保存することです。領収書や請求書など取引に関する資料は、申告が終わった後も必ず保存しておきましょう。
もし資料の紛失や書類に不備が見つかった場合は所得隠しを疑われ、事実確認のための反面調査が行われるリスクが増します。実際に取引を行っていたとしても、事実を証明する証拠資料がなければ、担当者に信用してもらえません。
一般的な税務調査では、調査担当者から事前連絡があります。税務調査の日程が決まったら、最長7年分の書類はいつでも提出できるようにしておき、さらに日頃から書類やデータの整理を心掛けましょう。
業務で忙しく書類や領収書の整理ができない場合は、税理士に依頼すれば会計処理を担ってくれるため、一度税理士に相談するのもおすすめです。
税務調査に誠実に対応する
税務調査を受ける際は誠実な対応を心掛けましょう。税務調査は、基本的に申告内容に漏れや不備がないかを税務署側が確認する作業です。調査中の質問や確認事項へ誠実な対応をすれば、調査担当者の調査もスムーズに進み、結果的に反面調査を免れる可能性があります。
税務調査は基本的に1日~数日程度かけて実施されますが、担当者が納得するまで終了しない場合がほとんどです。調査中の質問への解答が曖昧だったり、担当者の求めている情報が確認できない場合は、調査だけでは不十分と判断されてしまいます。
反面調査の対象になるような、目をつけられる言動はおすすめしません。税務調査が始まる前には、調査中に受けるであろう質問や確認事項についてはある程度準備しておき、可能な限り調査に協力しましょう。
中には調査担当者が高圧的な態度を取る場合や、受けた質問が間違っている場合があります。その場合は必ず否定し、一つ一つ落ち着いて冷静に対応しましょう。
正確な確定申告をする
反面調査を避けるためには、日頃から正確な確定申告が大切です。売上の計上漏れや曖昧な確定申告を繰り返していると、いざ税務調査が実施された際に整合性が取れない事態になりかねません。
あまりにも書類の記載漏れや不備があった場合、調査が行われる可能性が高くなります。取引先からの信用を失う前に、普段から丁寧に帳簿を作成し、正確に確定申告をしましょう。会計処理が面倒と感じる場合は、税理士に依頼するのもおすすめです。
反面調査の注意点
基本的に反面調査を受けるのは喜ばしいことではありません。ですが、どんな企業でも調査を受ける可能性があります。ここでは、自分の会社が調査の対象になった場合に知っておきたい注意点を解説します。
反面調査は事前通知なしが基本
反面調査は基本的に予告なしで行われます。調査対象の企業だけでなく、反面調査先の企業にも事前通知がない場合が多いです。企業同士での口裏合わせや隠蔽などを避けるためと言われていますが、場合によっては事前通知があるケースもあります。
反面調査の目的は、調査対象者の申告内容や資料に間違いがないかを確認することです。そのため、調査は無防備な状態で突然実施されると覚えておきましょう。いざという時のために、日頃から準備しておくことが大切です。
反面調査は拒否できない
反面調査は拒否できない場合が多いです。調査は基本的に事前通知なく不意打ちで行われるため、適任者が不在の時や事業が忙しく時間の確保が難しい時など、調査官がやむを得ないと認める事情がある場合にのみ、調査日の延期が可能です。
もし調査日を延期する場合は、証拠の隠蔽や調査の妨害を避けるため、延期しなければならない理由を税務署に説明する必要があります。ただし、延期であって拒否ではありません。
正当な理由なく調査を拒否すると、国税通則法第127条の罰則に値します。1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があるため注意しましょう。
反面調査の対策は税理士に相談がおすすめ
反面調査では直接取引先に調査が入ります。そのため、調査中は取引先の業務を中断せざるを得ないため、相手側に迷惑をかけてしまいます。それだけでなく、信用を失い取引を打ち切られる可能性も十分あり得るでしょう。
税務調査中は誠実な対応を心掛け、日頃から請求書など取引に関する資料やデータは、申告が終わった後も保存しておかなければなりません。そもそも、反面調査の対象にならないための対策が大切です。疑われるような売上の計上や、過度な節税などもおすすめしません。
税理士に相談すれば会計処理のサポートや、いざ税務調査があった場合にも安心して対応してもらえます。不安な方は一度相談してみましょう。