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タックスヘイブン対策税制は個人にも適用される?

公開日:

グローバル企業 タックスヘイブン

タックスヘイブンとは、法人税や所得税などの税金が無課税か、あるいはとても低い国や地域のことです。法人の中には、自国よりも税金負担の小さいこのエリアに子会社を設立し、節税対策を行うケースがあります。しかし、それが租税回避とみなされた場合は、タックスヘイブン対策税制が適用されます。本記事では、タックスヘイブン対策税制が個人に対して適用されるケースについて解説します。

タックスヘイブンとは?

タックスヘイブン 地球儀と電卓

タックスヘイブン(TAX HAVEN)は、直訳すると「税金の避難所」という意味です。法人税や所得税、相続税といった各種の税金が、無課税かあるいは他国に比べて非常に軽い国や地域のことを指します。

タックスヘイブンは、現在世界中に約40前後あると言われています。主なエリアは下記の通りです。

【タックスヘイブンの国・地域】

  • ケイマン諸島
  • ヴァージン諸島
  • マーシャル諸島
  • デラウェア州
  • モナコ
  • ルクセンブルク
  • シンガポール
  • 香港

など

上記のように、タックスヘイブンは主に発展途上国や小さな国や地域がほとんどです。そのため、税制を優遇することによって、海外から企業や富裕層を呼び込む戦略をとっているのです。

タックスヘイブンでの節税

富裕層や多国籍企業の中には、タックスヘイブンを利用した節税対策を行っている人たちがいます。

まずは、自国よりも税金の負担が軽いタックスヘイブンに、外国子会社を設立します。その外国子会社へ資産を移転し、親会社のある自国に納めるよりも税金を低く抑えるのです。

タックスヘイブン対策税制とは?

近年、このタックスヘイブンを利用し、不当に租税回避を行おうとする行為が国際的な問題になっています。

租税回避にはさまざまな手口があります。主な手口の一つは、タックスヘイブンに事業実体のないペーパーカンパニーを設立し、そこへ資産を移転させることです。

この規制策として、日本にも「タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)」という制度が設けられています。タックスヘイブン対策税制が適用されると、親会社と外国子会社の所得をすべて合算した上で親会社の国の税金が課されます

例えば、親会社が日本にある場合は、タックスヘイブンに設立した外国子会社の所得を含めたすべての所得に対して、日本の税金が課されるのです。なお、タックスヘイブン対策税制は、タックスヘイブンに設立した外国子会社に事業実体がないと見なされた場合などに適用されます。タックスヘイブンでの事業を規制する制度ではないため、事業実体のあるプライベートカンパニーの場合は免除されます。

タックスヘイブン対策税制は、2017年(平成29年)の税制改正によって、適用範囲や基準などが変更されています。以前は問題なかったケースが、改正によって今後規制されることもあります。そのため、タックスヘイブンで事業を行う場合は、税理士とともに準備したうえで行うことをおすすめします。

参考:外国子会社合算税制の概要|財務省

関連記事:【税理士監修】タックスヘイブン対策税制とは?概要や仕組みなどを解説

個人にもタックスヘイブン対策税制は適用される?

外国税額控除額の算出イメージ

上述のように、タックスヘイブン対策税制とは、事業実体のない外国子会社を利用した租税回避を防止するための制度です。このタックスヘイブン対策税制は、法人だけではなく日本に居住する個人に対しても適用されます

個人で対象となるのは、下記の条件をどちらも満たす場合です。

  • 国内の居住者
  • 特定外国子会社などの発行済み株式の10%以上を保有している。

例えば、日本に居住する個人が株主となり、タックスヘイブンに外国子会社を設立したケースなどに適用されます。

個人に適用される場合は、外国子会社で生じた所得のうち、個人の株式所有割合に応じた金額を個人の所得と合算します。その上で日本の所得税が課されます。

個人の場合は、確定申告で「雑所得」として課税されます。累進課税が適用されるため、所得によって税率は5%から最大45%まで上がります。住民税10%を入れると最大55%になるケースもあり、法人に比べて非常に高い税率です。

このように法人・個人を問わず、タックスヘイブンに事業実体のない外国子会社を設立する租税回避は非常に危険性が高い行為です。

以前は外国子会社は税務当局に把握されにくかったため、一時的に逃れられるケースもありました。

しかし、現在はこれらの方法による租税回避の規制や課税を強化しているため、捕捉を逃れるのはさらに難しくなるでしょう。

参考:我が国タックス・ヘイブン税制と租税条約の関係|国税庁

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

二重課税に注意

日本の居住者が海外展開によって所得を得た場合、現地の国にも所得税を支払う必要があります。さらにその所得に対しては日本の所得税も課税されます。

海外で得た所得に対して、海外と日本の両方から課税されることを二重課税と言います。しかし、あまりに税負担が大きくなると、各国の海外展開を阻むことになってしまいます。そこで二重課税を防ぐために外国税額控除という制度が設けられています。

個人の場合、外国税額控除は主に外国株式の配当金を受け取る際や、外国債券の利子を投資信託が受け取る際などに適用できるケースがあります。ただし、外国税額控除は外国と日本との間で租税条約を締結している場合にしか適用されません。

租税条約ネットワーク

出典:租税条約に関する資料|財務省

租税条約とは、二重課税の排除や租税回避の防止などを目的とした条約のことです。二国間で締結されます。2024年(令和6年)7月1日現在、日本は155の国・地域と租税条約ネットワークを締結しています。それ以外の国で所得を得た場合は二重課税となるため注意が必要です。

また、外国税額控除を行う際には、確定申告や外国税額控除に関する明細書といった様々な書類が必要です。そのため、海外で事業を行う予定がある場合は、国際税務の実績が多い税理士に継続的に相談することをおすすめします。

参考:2 法人税の基本的な仕組み|国税庁

参考:No.1240 居住者に係る外国税額控除|国税庁

参考:外税 外国税額控除を受けられる方へ(居住者用)|国税庁

参考:租税条約に関する資料|財務省

参考:我が国の租税条約等の一覧|財務省

個人への2つの課税

個人にタックスヘイブン対策税制が適用される場合の注意点についてもう一度まとめます。個人の場合は、下記の2つが課税されるケースがあります。

  • 累進課税によって、最大45%の所得税が課される。
  • 外国と日本の二重課税

そうなると、法人よりも重い負担がかかるため注意が必要です。海外で所得を得たいと考えている個人は、外国税額控除や租税条約といった国際税務に精通した税理士とともに十分な対策を行いましょう。

ぜひ税理士への相談も

本記事では、タックスヘイブン対策税制の仕組みや、個人への適用例などについて解説しました。

税制はただでさえ複雑なうえに、税制改正によって変更になることがあります。これまで許可されていた条件が通用しなくなったり、ペナルティの適用範囲が広くなったりと、変更内容は様々です。

その結果、正規の手段を踏んでいるつもりでも、タックスヘイブン対策税制が適用されてしまう場合もあります。

専門家以外が完全に対策するのは難しいものがあるでしょう。そのため、海外で所得を得ている個人は、ぜひ一度税理士に確認してみることをおすすめします。正規の手段で節税できるアドバイスを聞ける場合もあります。

小谷野税理士法人でも、個人の方の節税対策を取り扱っております。ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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