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会社設立の基礎知識

会社設立時にする社会保険の加入手続き|費用は?いつから支払う?

公開日:

社会保険は全部で5つあり、加入手続きの中には、会社を設立してから5日以内に行わなければならないものもあります。この記事では、すべての社会保険の加入手続きについて解説します。加入を怠ると罰金などの対象になるのでご注意ください。また、会社が負担する社会保険料の費用シミュレーションや、いつから保険料を支払うべきかも解説します。

会社を設立したら基本的に社会保険へ加入するのが義務

社会保険とは、以下5つの保険の総称です。会社を設立すると、これらへ加入するのが義務となっています。

保険の種類

義務の対象

加入手続き期限

健康保険

(介護保険)

すべての法人

(介護保険は40〜64歳の健康保険加入者)

会社の設立登記完了日から5日以内

厚生年金保険

すべての法人

労災保険

事業主以外の従業員が1人以上(アルバイト・パート含む)

会社の設立登記完了日から10日以内

雇用保険

・事業主以外の従業員が1人以上

(労働時間が週20時間以上かつ31日以上雇用する見込み)

参考:事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき|日本年金機構

参考:労災補償|厚生労働省

参考:雇用保険について|厚生労働省

ただし例外もあります。それは、社会保険料を下回る報酬額の会社員しか居ない場合です。報酬が1万円程度以下の場合、社会保険料が天引きできず、社会保険に入れません。なお、社会保険料が天引きできる最低報酬額は都道府県によって異なります。

社会保険に入れない場合は、国民健康保険と国民年金に加入します。

参考:健康保険・厚生年金保険 新規加入に必要な書類一覧|日本年金機構

健康保険・厚生年金保険の加入手続きは年金事務所へ

健康保険と厚生年金保険は、年金事務所へまとめて加入手続きをします。40歳を超えると、自動的に介護保険制度にも加入します。

健康保険とは、病気やケガの治療費をカバーする保険です。会社設立時の手続きでは自動的に全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入します。

厚生年金保険とは、老後の生活を支えるための年金制度です。

年金事務所への届出は電子申請が便利

健康保険と厚生年金保険の加入手続きには、インターネットで届出できる電子申請が使えます。電子申請は使用料無料で、24時間どこからでも利用できます。

提出期限

会社の設立登記が完了した日から5日以内

提出方法と提出先

下記3点のいずれかの方法

【電子申請】

24時間どこからでも申請可能

参考:電子申請・電子媒体申請|日本年金機構

【窓口持参】

事業所の所在地を管轄する年金事務所へ

参考:年金事務所管轄区域

【郵送】

事業所の所在地を管轄する事務センターか年金事務所へ

参考:全国の事務センター一覧|日本年金機構

参考:新規適用の手続き|日本年金機構

上記の方法で、下記の書類を事業主が提出します。

 

書類名

必要なケース

概要

新規適用届

全員

・会社が健康保険と厚生年金に初めて加入する際に提出する届出

・書類のダウンロードは下記

参考:新規適用届|日本年金機構

被保険者 資格取得届

全員

・従業員が健康保険・厚生年金の被保険者となるための届出(役員・従業員全員分の提出が必要)

・書類のダウンロードは下記

参考:被保険者 資格取得届|日本年金機構

被扶養者(異動)届

役員・従業員に扶養家族がいる場合

・扶養家族の確認のため、戸籍謄本などの添付が必要(詳しくは⑥⑦を参照)

・書類のダウンロードは下記

参考:家族を被扶養者にするとき|日本年金機構

会社・法人の登記事項証明書

全員

・会社の設立を証明する書類

・法務局で取得(手続き時には、発行から90日以内の原本が必要)

参考:登記事項証明書(会社・法人)を取得したい方|法務局

法人番号指定通知書(コピー)

①に法人番号を記載する場合

国税庁の法人番号公表サイトで検索し、法人番号・名称・所在地が書かれたものを印刷して提示

参考:法人番号指定通知書の提出を求められていますが、どうすればよいですか|国税庁

続柄の確認書類

役員・従業員に扶養家族がいる場合

次のいずれか

・被扶養者の戸籍謄本または戸籍抄本(被保険者との続柄が確認できるもの)

・住民票の写し(コピー不可・個人番号の記載なし)

※不要になるケースもあり

参考:健康保険被扶養者(異動)届の手続き概要|日本年金機構

収入要件の確認書類

役員・従業員に扶養家族がいる場合

扶養家族の状況によって必要書類が変わる(詳しくは下記HPを参照)

参考:健康保険被扶養者(異動)届の手続き概要|日本年金機構

参考:新規加入に必要な書類一覧|日本年金機構

金融機関に提出する書類もあるので注意

保険料の納付方法は、「口座振替」「金融機関の窓口で納付」「電子納付」の3つから選べます。そのうち口座振替をしたい場合は、金融機関への書類提出が必要です。

書類名

必要なケース

概要

保険料口座振替納付申出書

保険料を口座振替で納付したい場合

利用したい金融機関へ提出

・書類のダウンロードは下記

口座振替によって納付したいとき|日本年金機構

参考:厚生年金保険料等の納付|日本年金機構

健康保険・厚生年金保険の加入手続き後の流れ

書類を提出した後は審査が行われ、数週間〜1ヵ月程度で健康保険証などが届きます。保険料の支払いは、加入した月の翌月からスタートします。

国民健康保険に加入していた場合は、切り替え手続きをします。国民健康保険の被保険者証と、新しく届いた社会保険の健康保険証の両方と印鑑を持って、市役所などで手続きしてください。切り替え手続きをしないと、保険料を二重に請求されます。

なお、国民年金から厚生年金への切り替え手続きは不要です。

労働保険の加入手続きは郵送か窓口で

労働保険とは、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称です。事業主1人だけの法人の場合、加入の手続きは必要ありません。事業主以外の従業員が1人以上居る場合に加入が必要です。

労災保険の加入手続きは労働基準監督署へ

労災保険とは、仕事や通勤が原因で従業員が負傷もしくは病気になった場合などに、従業員やその家族を保護する保険です。

ここでは一般的な事業(=一元適用事業)が行う手続きを紹介します。農林漁業や建設業などの「二元適用事業」の場合は必要書類や提出先が異なりますので、以下のサイトで確認してください。

参考:労働保険の成立手続|厚生労働省

提出する書類は以下の通りですが、手続きの順番が重要です。まず⑧の手続きを行い、その後もしくは同時に⑨の手続きを行ってください。また、雇用保険の加入手続きは⑧の提出後に行いましょう。雇用保険については次の章で解説します。

 

書類名

提出期限

提出先

概要

保険関係成立届

初めて従業員を雇った日の翌日から10日以内

所轄の労働基準監督署

参考:全国労働基準監督署の所在案内 |厚生労働省

・会社が労災保険の適用事業所となる届出

・ダウンロード不可。労働基準監督署の窓口で貰うか、郵送で取り寄せる

概算保険料申告書

初めて従業員を雇った日の翌日から50日以内

次のいずれか

・所轄の労働基準監督署

・所轄の労働局

・日本銀行(代理店や郵便局でも可)

参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

・その年度の労働保険料の概算額を申告する書類

・従業員の賃金総額を基に計算した保険料を記入

・保険料は前払いで納付し、翌年度に精算

・ダウンロード不可。労働基準監督署で貰う

⑧と⑨の他に必要な添付書類は提出先によって異なるので、所轄の労働基準監督署に確認してください。

参考:適用事業所についての諸手続き|厚生労働省

労災保険の加入手続き後の流れ

書類に不備がなければ、窓口ならその場で「労働保険番号」が付与されます。労働保険番号は労災事故が発生した際の申請で必要です。

また、⑧保険関係成立届の控えは、雇用保険の加入手続きで使います。

雇用保険の加入手続きは公共職業安定所(ハローワーク)へ

雇用保険とは、従業員が失業し・休業した場合などに給付される保険です。

提出する書類は以下の通りです。下表⑫以降の添付書類は提出先によって異なるので、所轄のハローワークに確認してください。ここでは参考として、東京都内の会社が提出する書類を紹介します。

 

書類名

提出期限

提出先

概要

適用事業所設置届

初めて従業員を雇った日の翌日から10日以内

所轄の公共職業安定所(ハローワーク)

(電子申請も可)

参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

・会社が雇用保険の適用事業所として認定を受ける届出

・書類のダウンロードは下記

参考:雇用保険適用事業所設置届

被保険者資格取得届

入社日の翌月10日まで

・従業員が雇用保険の被保険者となる届出

・従業員の人数分必要

・書類のダウンロードは下記

参考:雇用保険被保険者資格取得届

⑧の控え

⑩や⑪と同時に提出

「労働保険保険関係成立届」の事業主控(労働基準監督署の受理済みのもの)

事業所の実態や他の社

会保険の加入状況が分かる書類

次のいずれか

・登記事項証明書

・事業許可所

・工事契約書

・不動産契約書

・源泉徴収簿

・他の社会保険の適用関係書類

雇用実態・賃金の支払い状況が分かる書類

次のすべて

・労働者名簿(法令様式第19号)

・賃金台帳(雇入れから現在まで)

・出勤簿かタイムカード(雇入れから現在まで)

・雇用契約書(有期契約労働者の場合)

参考:様式集 | 東京労働局

参考:雇用保険適用事業所を設置する場合の手続きについて|東京ハローワーク

雇用保険の加入手続き後の流れ

不備がなければ、適用事業所設置届の控えや、被保険者証などが即日交付されます。そのうち、以下の書類は必ず従業員本人に渡してください。

  • ​​雇用保険 被保険者資格取得等の確認通知書(被保険者通知用)
  • 雇用保険 被保険者証

また、「雇用保険 被保険者資格取得等の確認通知書(事業主通知用)」は、事業主が保管してください。事業主は従業員の関連書類を、その従業員の資格喪失から4年間保管する義務があります。

参考:雇用保険の手続きはきちんとなされていますか?|厚生労働省

社会保険で会社が負担する費用はいくら?目安を解説

ここでは、会社が負担する社会保険料の金額をシミュレーションします。

保険料の負担割合は、保険や業種によって異なる

保険料の多くは、会社と従業員がそれぞれ負担します。ここでは、「令和6年に東京都に住む40歳以上の場合」の保険料と負担割合を紹介します。

保険

保険料

負担割合

健康保険

(40歳以上は介護保険含む)

報酬×約11.58%

(都道府県で異なる)

会社と従業員で折半

厚生年金

報酬×約18.3%

会社と従業員で折半

労災保険

報酬×0.25〜8.8%

(業種で異なる)

会社が全額

雇用保険

報酬×1.55〜1.85%

(業種で異なる)

会社:

0.95〜1.15%

従業員:

0.6〜0.7%

健康保険と厚生年金の保険料は下記サイトの「保険料額表」で示される等級によって決まるため、多少前後します。

参考:令和6年3月分~適用 ・厚生年金保険料額表|全国健康保険協会

参考:労災保険料率|厚生労働省

参考:令和6年度の雇用保険料率について|厚生労働省

詳しい負担割合や計算方法は、以下の記事も参照してください。

社会保険とは?種類や加入条件、負担割合などを解説

保険料率や負担割合が分かった所で、次は具体的な負担額をシミュレーションします。

負担する費用の目安:事業主1人分の場合(東京都・40歳以上)

まずは、事業主1人の場合です。労災保険と雇用保険は加入しません。

 

報酬月額50万円

報酬月額70万円

健康保険料と介護保険料

(報酬×約11.58%)

57,900円

(30等級)

82,218円

(37等級)

厚生年金料

(報酬×約18.3%)

91,500円

(27等級)

118,950円

(32等級)

1ヵ月の合計費用

149,400円

(会社負担:74,700円)

201,168円

 (会社負担:100,584円)

40歳未満だと介護保険料分1.6%が安くなります。なお、上記の額に子ども・子育て拠出金が加わります。

負担する費用の目安:従業員1人分の場合(東京都・40歳以上)

次に、従業員1人の場合です。労災保険の料率は業種平均の0.44%、雇用保険の料率「一般事業」の1.55%(会社負担0.95%)で計算しています。

 

報酬月額20万円

報酬月額30万円

健康保険料と介護保険料

(報酬×約11.58%)

23,160円

(17等級)

34,740円

(22等級)

厚生年金料

(報酬×約18.3%)

36,600円

(14等級)

54,900円

(19等級)

労災保険料

(報酬×0.44%)

(会社が全額負担)

880円

1,320円

雇用保険料

(報酬×1.55%)

(会社が0.95%負担)

3,100円

4,650円

1ヵ月の合計費用

63,740円

(会社負担:32,660円)

95,610円

(会社負担:48,990円)

40歳未満だと介護保険料分1.6%が安くなります。

社会保険料を少しでも安くしたい方は、以下の記事を参照してください。

法人を設立したときにかかる社会保険料の負担と軽減する方法

なお、保険料率は年度ごと、地域ごとに変わります。上記のシミュレーションは目安とし、必ず税理士などの専門家と最新の保険料率を確認してから正しい費用を算出してください。

会社設立後の社会保険料の支払いはいつから?

健康保険・厚生年金の保険料の支払いは、翌月末です。例えば5月1日に会社を設立したら、6月末に支払います。毎月20日前後に保険料が書かれた通知書が届きますが、月末までの日数が少ないため注意しましょう。

参考:厚生年金保険料等の納付|日本年金機構

労働保険の保険料は、初めて従業員を雇った日の翌日から50日以内に前払いします。加入時から次の3月31日までの賃金の概算額に対して労働保険料を支払います。

参考:適用事業所についての諸手続き|厚生労働省

社会保険に未加入だと、罰金や懲役の対象になる

健康保険や厚生年金に未加入の場合、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象です(健康保険法第208条)。

参考:健康保険法 | e-Gov法令検索

雇用保険に未加入の場合も、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象です(雇用保険法第83条)。

参考:雇用保険法 | e-Gov法令検索

労災保険に未加入の場合、最大2年間遡った労働保険料に加えて10%の追徴金を支払わなければなりません。また、未加入期間に労働災害があった場合、労災保険給付額の最大100%が事業主に請求されます。

参考:成立手続を怠っていた場合は|厚生労働省

複雑な社会保険の手続きは専門家に相談しよう

この記事では、会社設立時に行う社会保険の加入手続きについて解説しました。この通り、社会保険の手続きは複雑な上、提出期限もタイトです。

手続きに不安がある場合は、会社設立時の手続きを専門家に依頼することも検討しましょう。小谷野税理士法人では、会社設立時のサポートを行なっています。

会社設立時の社会保険に関するお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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