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飲食店の開業時にもらえる助成金・補助金は?注意点も解説

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飲食店の開業時にもらえる助成金・補助金は?注意点も解説

飲食店の開業には、多くの資金が必要です。日本政策金融公庫の調査によると、2023年の開業費用の平均値は1,027万円と言われています。そこで活用したいのが、国や自治体からの助成金・補助金です。日本では中小企業や小規模事業者を支援するための様々な制度が用意されています。今回は、助成金・補助金についての知識と、飲食店の開業時や開業後に利用できる助成金・補助金について紹介します。

参考:「2023年度新規開業実態調査(PDF形式 528.2 KB)」

助成金は国から援助してもらえるお金

助成金とは、国や自治体が事業者の活動をサポートするために支給するお金です。返済の必要はなく、一定の条件を満たせばもらえます。

主に労働環境の改善や、就労支援を行っている事業に支給されています。従業員を雇用している事業主に対して支給されるため、個人経営・家族経営では対象外です。

助成金の種類は3,000種類以上といわれており、条件に合うものを自分で探す必要があります。申請期間も長期間・随時募集が多いため、比較的受給しやすいのが特徴です。

補助金・融資との違い

助成金の他に「補助金」「融資」など似ているものがありますが、それぞれ返済の有無や受給の難易度などに違いがあります。

 

助成金

補助金

融資

受給の目的

労働環境改善

就労支援など

地域経済の活性化

社会貢献など

開業前の

資金確保

支給元

国・自治体

国・自治体

金融機関

返済の有無

なし

なし

あり

支給のタイミング

申請から1年後

申請から1年後

審査通過後すぐ

審査の難易度

募集期間

長期間・随時

数週間

随時

助成金・補助金には返済の必要がないのに対し、融資には利息や支払いの義務があります。審査に通ればすぐに支給されるので、開業前にまとまったお金が欲しい場合は融資を利用しましょう。

助成金と補助金はどちらか片方のみというわけではなく、同時の利用が可能です。もらえる可能性があるものは全て申請しておきましょう。

飲食店の開業時にもらえる助成金・補助金

次に、具体的にどのような助成金・補助金が利用できるか紹介します。飲食店が開業時に利用できるものはたくさんあるため、スケジュールも確認しながら申請しましょう。

創業助成金(東京都限定)

創業助成金とは、都内で起業を予定している・または5年未満の企業に必要な経費の一部を補助する制度です。ただし、東京都限定の補助金のため地方の方などは利用できないので注意してください。

対象者

都内で創業を予定されている方、
または創業後5年未満の中小企業者等のうち、
一定の要件を満たす方

・TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者
・東京都制度融資(創業)利用者
・都内の公的創業支援施設入居者 など

補助対象経費

・賃借料
・広告費
・器具備品購入費
・産業財産権出願
・導入費
・専門家指導費
・従業員人件費
・委託費(市場調査・分析費)

補助上限

400万円

経費の一部を助成するだけでなく、助成対象期間終了後も継続的にサポートしてくれる制度のため、初めて東京で起業する方にはぜひ申請してほしい補助金です。

出典:創業助成金

飲食事業者向け経営基盤強化支援事業(東京都限定)

飲食事業者向け経営基盤強化支援事業とは、東京都の経営基盤の安定化や収益の確保に向けた取組に対し、経費の一部を助成する制度です。

ただし、東京都限定の補助金のため地方の方などは利用できません。

対象者

・直近決算期の売上高が「2019年の決算期以降のいずれかの決算期」と比較して減少している
・直近決算期において損失を計上している(個人事業主含む)

どちらかに該当する都内中小飲食事業者

補助対象経費

■専門家派遣実施コース
専門家の助言に基づく経営基盤の強化に必要な経費の一部

・厨房機器等購入費
・広告宣伝費
・マーケティング調査費
・システム導入費
・厨房等工事費 など

■厨房機器等改修コース
経営基盤の強化に必要な経費の一部
※厨房機器等購入費及び付随する工事費に限る

補助上限

■専門家派遣実施コース
200万円

■厨房機器等改修コース
50万円

 

新規で飲食店を開く場合はすぐ利用できる補助金ではありませんが、経営が難しくなったときに専門家の意見を直接聞くことができるのは大きなメリットです。覚えていて損はないでしょう。

出典:飲食事業者向け経営基盤強化支援事業 (飲食事業者向け経営基盤強化支援)

地方創生起業支援事業

地方創生起業支援事業とは、都道府県が地域の課題解決に資する社会的事業を新たに起業等する方を対象に、経費の一部を補助する制度です。

対象者

■新たに起業する場合

・東京圏以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと
・補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと
・起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること

■事業承継又は第二創業する場合

・東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域において社会的事業を実施すること
・補助事業期間完了日までに、事業承継又は第二創業を行うこと
・事業を行う都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること

補助対象経費

・人件費
・店舗等借料
・設備費
・原材料費
・マーケティング調査費
・広報費など

補助上限

200万円

地方で飲食店を開業すると、固定費やコストを削減しやすいことや競合が少ないことなどのメリットがあります。地元で開業したい・地域を盛り上げたい方におすすめの制度です。

出典:起業支援金

飲食店の開業後にもらえる助成金・補助金

飲食店の開業後に国や自治体からもらえる助成金・補助金もあります。それぞれの制度の対象や条件などを確認して、自分の希望に合った補助金を見つけましょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、作成した経営計画に基づいて売り方の工夫や、業務効率化の取り組みをサポートするため経費の一部を補助する制度です。

対象者

法人、個人事業、特定非営利活動法人

補助対象経費

・機械装置等費
・広報費
・ウェブサイト関連費
・展示会等出展費
・旅費
・開発費
・資料購入費
・雑役務費
・借料
・設備処分費
・委託・外注費

補助上限
※インボイス特例の要件を満たす場合は
補助上限額に50万円上乗せ

■通常枠
50万円

■卒業枠
200万円

■創業枠
200万円

■後継者支援枠
200万円

■賃金引上げ枠
200万円

例えば飲食店なら新メニューの開発費や、チラシ・ホームページなどの広報費を申請可能ですので、開業後は申請しておきましょう。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック

IT導入補助金

IT導入補助金とは、業務効率・労働生産性の向上を目的として、ITツールの導入費用を支援する制度です。

業務効率化・売上アップをサポートする通常枠以外にも、インボイス制度に対応した会計ソフトやPC・ハードウェア等を導入する企業を支援するインボイス枠などがあります。

対象者

中小企業・小規模事業者

補助対象経費

・供給・在庫・物流
・総務・人事・給与・労務
・顧客対応販売支援
・会計ソフト
・受発注ソフト
・決済ソフト
・PC/ハードウェア
・受発注システム など

補助上限

■通常枠
・1プロセス以上:50,000円〜150万円未満
・4プロセス以上:150万円〜450万円以下

■インボイス枠(インボイス対応類型)
・インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト
補助率3/4以内、4/5以内:50万円以下
補助率2/3以内:50万円超〜350万円以下
・PC・ハードウェア等
PC・タブレット等:10万円以下
レジ・券売機等:20万円以下

■インボイス枠(電子取引類型)
※インボイス制度に対応した受発注システムが対象
(下限なし)~350万円以下

■セキュリティ対策推進枠
50,000円〜100万円以下

■複数社連携IT導入枠
10万円〜3,000万円

飲食店に必要なレジ・券売機なども補助金で購入可能のため、開業後には申請しておきたい制度です。

出典:IT導入補助金2024

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、インボイス導入などの制度変更等に対応するため、サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する制度です。

飲食店の場合、料理(商品)の調理(開発)などを行う機械の導入費用などに活用できます。

対象者

中小企業者・小規模事業者・特定非営利活動法人など

補助対象経費

・機械装置・システム構築費
・運搬費
・技術導入費
・知的財産権等関連経費
・外注費
・専門家経費
・クラウドサービス利用費
・原材料費

※グローバル枠のうち海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ
・海外旅費
・通訳・翻訳費
・広告宣伝・販売促進費

補助上限

■省力化(オーダーメイド)枠
100万円~8,000万円

■製品・サービス高付加価値化枠
・通常類型:100万円~1,250万円
・成長分野進出類型(DX・GX)):100万円~2,500万円

グローバル枠
100万円~3,000万円

テイクアウトやデリバリーのサービス開発のために専用ホームページを開設するのも、ものづくり補助金の経費対象です。ぜひ有効活用してください。

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、短時間労働者や派遣労働者などの非正規雇用労働者の企業内でキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して支援する制度です。

対象者

非正規雇用労働者の待遇改善を考えている事業主

助成金支給額

■正社員化コース
・中小企業
有期雇用労働者から正社員化:80万円
無期雇用労働者から正社員化:40万円

・大企業
有期雇用労働者から正社員化:60万円
無期雇用労働者から正社員化:30万円

■賃金規定等改定コース
・中小企業
3%以上〜5%未満:5万円
5%以上:6万5,000円

・大企業
3%以上〜5%未満:33,000円
5%以上:43,000円

■賃金規定等共通化コース
・中小企業:60万円
・大企業:45万円

■賞与・退職金制度導入コース
・中小企業
賞与又は 退職金制度いずれかを導入:40万円
賞与及び退職金制度を同時に導入:56万8,000円

・大企業
賞与又は 退職金制度いずれかを導入:30万円
賞与及び退職金制度を同時に導入:42万6,000円

■社会保険適用時処遇改善コース
・中小企業
①1年目の取組:40万円
②2年目の取組:40万円
③3年目の取組:10万円

・大企業
①1年目の取組:30万円
②2年目の取組:30万円
③3年目の取組:7万5,000円

キャリアアップ助成金は一時期、不正受給が相次いだため審査が厳しくなっています。一度提出した書類は訂正を行えないため、不安な場合は税理士などの専門家に相談もおすすめです。

出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)(パンフレット)

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、新分野への展開や事業再編という思い切った事業再構築に取り組む中小企業等を支援する制度です。

対象者

中小企業・中堅企業

補助対象経費

・建物費(建物の建築・改修等)
・機械装置・システム構築費
・技術導入費(知的財産権導入に要する経費)
・外注費(加工、設計等)
・広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
・研修費(教育訓練費等)等

※補助対象企業の従業員の人件費・旅費、不動産、汎用品の購入費等は補助対象外

補助上限

■成長分野進出枠(通常類型)
3,000万円

■成長分野進出枠(GX進出類型)
中小:5,000万円
中堅:1億円

■コロナ回復加速化枠(通常類型)
2,000万円

■コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
1,500万円

■サプライチェーン強靱化枠
3億円

テイクアウト販売や宅配サービスの実施など、飲食店に適応されやすい補助金のため新しい事業を開始するときはぜひ活用しましょう。

出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)(パンフレット)

飲食店開業の助成金・補助金に関する注意点

飲食店開業で助成金・補助金を利用する場合には、いくつか注意点があります。いずれも助成金の申請をする前に知っておくべき情報のため、検討中の方はぜひ参考にしてください。

補助金の公募スケジュールを確認しておく

助成金の公募期間は比較的長く、随時募集が多いため受給しやすいですが、補助金の公募期間には1週間で締め切る短いものもあります。さらに定員に達した場合は締切を早める場合もあるため、公募スケジュールには注意が必要です。

助成金・補助金は給付まで1年以上かかる場合もある

助成金・補助金は申請から支給まで約1年以上かかる場合もあります。審査通過ですぐ支払われる融資とは違い、必要なときにすぐもらえるわけではありません。開業時の資金や当面の経営資金は事前に確保しておきましょう。

助成金・補助金にも税金がかかる

助成金・補助金には原則税金がかかります。経理の処理上では「収入」扱いになるため、課税の対象になるため注意が必要です。

助成金や補助金には圧縮記帳が可能な場合があります。圧縮記帳をすることで、税金の負担が減少できるため、税理士の専門家などへの相談をおすすめします。

飲食店に対象となる助成金・補助金を見つけよう

飲食店が申請できる助成金・補助金はたくさんあります。補助金を申請・利用している企業は全体の6割以上と言われており、4割は「補助金を知らない」「補助金の申請の仕方がわからない」と知らず知らずのうちに損している可能性もあります。

自分が補助対象になる制度を探してみましょう。申請の手続きが面倒だったり、申請書類に不安があったりする場合は、一度税理士などの専門家に相談してみるのもおすすめです。

開業時の助成金や補助金、融資についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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