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黒字倒産はなぜ起こる?7つの理由や起こりやすい業種、黒字倒産しないためのポイントをご紹介!

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黒字倒産はなぜ起こる?7つの理由や起こりやすい業種、黒字倒産しないためのポイントをご紹介!

黒字倒産とは、企業が利益を上げているにも関わらず、資金繰りの問題から倒産に至る現象です。この意外な状況は、特にキャッシュフローが悪化しやすい業種で見られます。売上の遅延や過剰な在庫、不十分な資金計画などが理由として挙げられ、対策としてキャッシュフローの管理を徹底することや、適切な資金調達が求められます。この記事では、黒字倒産が起こる理由や注意すべき業種を紹介し、リスクを回避するポイントを解説します。

黒字倒産とは

黒字倒産がなぜ起こるのかのイメージ

黒字倒産とは、会社が利益を上げているにも関わらず、資金繰りの問題などで経営が破綻し、倒産に至る現象です。

倒産は、赤字経営が続き、負債が資産を上回る状態で発生すると考えられがちですが、黒字倒産はこの一般的なイメージとは異なります。損益計算書上では黒字が確認できるものの、現金の流れが悪化している状態に陥るケースは少なくありません。現金の流れが悪化すると、支払い能力にも問題が生じてしまい、企業は黒字倒産に追い込まれるのです。

黒字倒産は、特にキャッシュフローの管理が不十分な中小企業において多く見られます。売上は上がっているものの、実際に現金として企業に入ってくる前に、支払いが必要になるケースで発生します。また、売掛金の回収が遅れることも、黒字倒産を引き起こす一因です。

通常の倒産と黒字倒産の最大の違いは、表面上の財務状態です。黒字倒産の場合、企業は利益を出しているように見えますが、実際には資金繰りが悪化しています。これに対し、通常の赤字倒産は財務上の赤字が明確で、資金繰りの問題が表面化しています。

黒字倒産は、帳簿上では見えない危機であり、突然倒産することも少なくありません。企業は損益計算だけでなく、キャッシュフローにも注目し、資金繰りの健全性を常にチェックすることが重要です。

近年の傾向としては、黒字倒産の件数は減少しているとされています。しかし、経済状況や市場の変動、さらには企業の資金管理の実践によって、黒字倒産の発生状況は変わってくるため、注意が必要です。

黒字倒産が起こる7つの理由

黒字倒産がなぜ起こるのかのイメージ

帳簿上では黒字にもかかわらず、倒産する企業が相次ぐのはなぜでしょうか。ここでは、黒字倒産が起こる理由として、以下の7つを解説します。

①売掛金の管理不足

企業が商品やサービスを提供した後、代金の支払いを後日に受ける取引を行う際、その代金が売掛金として計上されます。しかし、売掛金の回収が遅れたり、回収不能になったりすると、企業の現金の流れが悪化します。

その結果、売上は上がっているにも関わらず、実際に手元に入る現金が不足する状況が生まれるのです。結果として資金繰りに支障をきたし、黒字であっても倒産に至る可能性が高まります。企業の健全な資金繰りを維持する上で、売掛金の適切な管理と迅速な回収が重要です。

②在庫の過剰

在庫を多く抱えることは、保管費用の増加や資金の拘束を引き起こし、企業の財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、商品が予想よりも売れない場合、企業は在庫を長期間保持することになり、キャッシュフローが悪化します。

過剰な在庫は、資金の流動性を低下させ、支払い能力に直接影響を与えます。そのため、利益を上げている企業であっても、資金繰りの問題から倒産に至るリスクが高まるのです。在庫管理を徹底し、適切な在庫レベルの維持が求められます。

③無理な投資

企業が成長を目指し、過度な設備投資や新規事業への投資を行うことは、一見前向きな戦略のように思えます。しかし、無理な投資は黒字倒産の一因になりかねません。

特に、市場の需要を正確に予測できずに行われた投資は、期待された収益を生み出さず、逆に資金繰りを圧迫する結果になることもあります。資金の大部分を投資に充てることで、運転資金が不足し、日々の運営に必要な現金が確保できなくなるのです。

無理な投資は、利益を上げている企業であっても資金流出が収入を上回り、最終的には倒産に至るリスクを高めます。したがって、投資は慎重に行い、常に収支のバランスを考慮することが重要です。

④負債の増加

企業が多額の借入れを行うと、その返済負担が増大してしまいます。表面上は利益を上げている状態であっても、実際の資金繰りが悪化することがあります。

返済のための資金が常に必要となるため、利益の大部分が負債の返済に充てられ、運転資金が不足する状況に陥ります。資金の流れが悪くなり、黒字であるにも関わらず、資金繰りの問題から倒産に至るリスクが高まるのです。

借入れは企業の成長に必要な場合がありますが、その規模と返済計画は慎重に考慮する必要があります。

⑤収入と支出時期のミスマッチ

収入が確定している状況でも、支出が先行することも少なくありません。特に入金が遅れた場合、一時的な資金不足に陥ることがあります。

例えば、大きなプロジェクトの収益が確定していても、その収益が実際に企業の口座に入るまでには期間を要することがあります。その間に、従業員の給料や仕入れ代金などの支出が続くため、収支のタイミングのズレが生じ、資金繰りの問題を引き起こすのです。

収入と支出時期のミスマッチは、黒字であっても企業を倒産に追い込む可能性があるため、適切なキャッシュフロー管理を心がけましょう。

⑥市場環境の変化

市場環境の急激な変化は、企業の計画に大きな影響を与え、黒字倒産の原因となることがあります。技術革新や消費者の嗜好の変化など、予測できない要因によって市場が変動すると、企業が計画していた売上が得られなくなる可能性があるのです。

特に、新しい競合の出現や法規制の変更など、外部からの影響により、計画通りの売上が上がらない状況が生じることがあります。これにより、利益を上げているにも関わらず、資金繰りが悪化し、黒字倒産に至るケースが発生します。

市場の動向を常に注視し、柔軟に対応する戦略を立てることが、企業の安定した運営には大切です。

⑦経営判断の誤り

市場の需要を読み違えたり、不適切な価格設定を行ったりすることで、利益を上げているように見えても、実際には現金が不足する状況に陥ります。

例えば、過剰に低い価格を設定した場合、一時的な売上増にはつながるかもしれません。しかし、長期的には利益率の低下と資金流出を招き、資金繰りを圧迫します。

また、市場のトレンドを見誤り、時代遅れの商品に投資するなどの誤った判断は、資金の無駄遣いにつながります。結果的に、黒字ながら資金不足に苦しむことでしょう。

企業の持続可能な成長と安定した資金繰りには、正確な市場分析と適切な価格戦略が重要です。

黒字倒産する企業はどれくらい?

東京商工リサーチの調査結果によると、2021年に倒産した308社のうち、約39%が最終損益が黒字であったにも関わらず倒産に至った「黒字倒産」であったと報告されています。コロナ禍の影響で多くの企業が赤字に転落した中、黒字倒産の割合は減少傾向にありましたが、それでも全倒産企業の約4割が黒字の状態で倒産しています。

また、2022年には倒産した企業のうち62.9%が赤字でしたが、残りの37.1%は黒字にもかかわらず倒産しています。この背景には、支払い利息の増加が大きく関与しており、営業利益に対する支払い利息率は前々期の73.3%から前期の137.1%、最新期には165.5%へと急増しています。支払い利息率は、営業利益に対する支払い利息の割合を示しており、「営業利益支払い利息率 = 支払い利息割引料 / 営業利益」で計算されます。

コロナ禍による営業利益の減少と共に、借入金の増加による支払い利息の増大が黒字倒産の一因となっていることが明らかになりました。利益が出ているにも関わらず、資金繰りの悪化が倒産につながるケースが存在し、中小企業だけでなく、上場企業においても黒字倒産は起こり得るのです。

このような状況は、企業経営において利益だけでなくキャッシュフローの重要性を改めて浮き彫りにしています。倒産を避けるためには、利益確保と同時に資金繰りにも注意を払う必要があるでしょう。

参考:「赤字法人率」 過去最小の65.3% コロナ関連支援が利益押し上げに寄与|東京商工リサーチ

黒字倒産が起こりやすい業種・事業

黒字倒産がなぜ起こるのかのイメージ

黒字倒産は、特に建設業で起こりやすいと言われています。また、売掛金や在庫が多い業種、急成長・急拡大している事業においても、黒字倒産に注意すべきでしょう。

建設業

建設業は、プロジェクトの性質上、工事完了前に多額の経費が発生します。そのため、売上が確定するまでの間に、資金繰りが悪化するリスクがあります。とくに、工事代金の回収が遅れがちであり、売掛金の管理が不十分な業者に多いケースです。

また、市場の急激な変化や資材の高騰、人手不足による工期の延長など、外部環境の変動により予期せぬコストが発生することも、資金繰りを圧迫しかねません。

上記の要因により、建設業では帳簿上は黒字であっても、支払いが追い付かず、支払いが困難になることがあります。請負契約の特性上、工事完了まで報酬を受け取れないため、完成前の高額な支出が企業の財務を圧迫し、黒字倒産に至るケースが見られるのです。

売掛金が多い業種

売掛金が多いということは、それだけ多くの代金が未回収の状態であることを意味し、企業のキャッシュフローに大きな影響を与えます。

特に、製造業や卸売業など、大量の商品を取引する業種では、顧客からの支払いが遅れると、企業は資金繰りに苦しむことにつながります。売掛金の回収が遅れると、企業は生産活動や日々の運営に必要な現金を確保するために、借入れを余儀なくされることもあるでしょう。

多額の売掛金は、利益は出ているが現金が不足するという、典型的な黒字倒産の状況を生み出します。また、経済状況の変化により、売掛金の回収がさらに困難になることもあり、企業の財務状況を一層悪化させることにつながります。

売掛金が多い業種では、売掛金の適切な管理と迅速な回収が重要です。売掛金の状況を常に把握し、資金繰りの健全性を維持するための戦略を立てる必要があります。

在庫が多い業種

在庫が多いと、それに伴う保管費用や資金の拘束が発生し、キャッシュフローが悪化する可能性があります。また、売れ残った在庫を処分するためのセールや値引きが利益を圧迫し、結果として資金繰りに悪影響を及ぼします。さらに、在庫を抱えることで、新しいトレンドへの迅速な対応が難しくなり、市場の需要に合わせた商品の提供が遅れることもあるでしょう。

例えば、アパレル業界の場合、ファッションのトレンドが急速に変化するため、在庫として抱えている商品の需要が低下しやすく、売れ残るリスクも高いです。季節ごとに新しいコレクションを発表し、消費者の関心を引くことが有効ですが、在庫過多を招く原因ともなり得ます。

在庫が多い業種では、在庫管理と流動性の高い商品の選定が、黒字倒産を防ぐことにつながります。在庫レベルを最適化し、市場の変動に柔軟に対応できる体制を整えましょう。

急成長・急拡大している事業

急成長や急拡大している事業は、黒字倒産のリスクが高まる傾向にあります。事業が急速に成長する過程で大量の資金投入が必要となり、資金繰りに問題が生じるケースが多いからです。新しい市場への進出や大規模な設備投資、人材の大量採用など、事業拡大に伴う初期投資は短期間での回収が困難であり、キャッシュフローの悪化を招きます。

また、急成長する事業は、市場の需要を正確に予測することが難しく、計画外の支出が増えるリスクも伴います。売上は増加しているものの、それに伴うコストも同時に増大し、利益があっても現金が手元に残らない状況に陥ることがあります。特にキャッシュフローの管理が不十分な企業で見られます。急激な拡大期における資金繰りの難しさが、黒字倒産へとつながるのです。

黒字倒産を回避するためのポイント

黒字倒産がなぜ起こるのかのイメージ

帳簿上では黒字であるにもかかわらず倒産に至る状況を避けるためには、どのような点に注意すべきでしょうか。ここでは、黒字倒産を回避するための5つのポイントをご紹介します。

キャッシュフローに着目する

経営において最も重要なのは「何にどのくらいお金が使われ、どれだけの収入があるのか」を正確に把握することです。特に、黒字倒産を回避するためには、単に利益が出ているかどうかではなく、キャッシュフローに着目し、現金の流れを管理することが求められます。

企業が直面する支払い義務と、入金されるタイミングのバランスを取ることで、資金繰りの問題を未然に防ぎます。キャッシュフローの状況を常にモニタリングし、必要に応じて迅速な対策を講じましょう。

資金繰りの計画を適切に立てる

黒字倒産を回避するためには、資金繰り計画を立て、現金の流入と流出のバランスを常にチェックし、資金が不足しないようにすることが重要です。

売掛金の回収を早める工夫や、支払い条件の見直しを行うことで、資金の流れをスムーズにし、必要な時に必要な資金を確保できます。また、予期せぬ支出にも迅速に対応できるよう、資金にある程度の余裕を持つことも大切です。

評価指標をチェックする

黒字倒産を避けるためには、決算書類を細かくチェックし、会社の財政状態や経営状態を正確に把握しましょう。特に、貸借対照表・キャッシュフロー計算書・損益計算書は、企業の健全性を評価する上で重要な指標です。

資産と負債のバランス、現金の流入と流出、収益性などを詳細に分析することで、経営リスクの早期発見や対処につながります。

在庫の管理を徹底する

過剰在庫による資金の圧迫を避けるため、在庫を適正に管理し、コストを抑える必要があります。需要予測を行い、市場の動向に基づいて適切な在庫量を維持することが有効です。

在庫が多すぎると資金が固定され、流動性が低下します。とはいえ、在庫が少なすぎると顧客の要求に応えられなくなります。したがって、在庫レベルを最適化し、資金の健全な流れを確保することが、企業の安定した運営には大切です。

資金調達力を強化する

黒字倒産を防ぐためには、銀行からの借入れや投資家からの資金調達など、外部からの資金調達ルートを確保しておくことが大切です。これにより、予期せぬ資金需要にも迅速に対応しやすくなります。

また、資金調達力を強化することで、より良い条件での資金調達が可能となり、資金繰りの柔軟性が向上します。資金調達の選択肢を増やすことは、黒字倒産のリスクを減らし、企業の持続可能な発展につながります。

黒字倒産しない安定した経営を目指すなら税理士への依頼が有効

黒字倒産を防ぐためには、専門家である税理士に依頼することも一つの有効な手段です。税理士は、財務状態の詳細な分析や資金繰りの改善提案を行い、企業の健全な経営を支援します。また、税務面での適切なアドバイスにより、無駄な税金の支払いを避け、資金の有効活用を図ることが期待できます。

経営の専門家としての税理士の知見は、黒字倒産のリスクを減らし、企業の長期的な安定を促進するための価値あるものとなるでしょう。黒字倒産の不安がある方や、安定した経営を目指したい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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