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【2026年 酒税法改正】税率変更による事業主への影響は?

公開日:

酒税改正

2026年10月に、平成29年度税制改正で決定された酒税法の改正が行われます。2026年10月の改正の主なポイントとして、ビール系飲料の酒税率が1本化されます。またチューハイ等の税率は、今回の改正で初めて引き上げられる予定です。本記事では、酒税法改正について詳しくまとめるとともに、改正に伴う社会への影響について解説します。

酒税法改正で2026年10月に変わる税率

酒類の販売数量等の報告書

酒税法改正の締めくくりである2026年10月に行われるのは、大きく分けて2つの税率への統一です。

ビール系飲料の税率の1本化

2026年の酒税法改正での主なポイントの一つが、ビール系飲料の税率の1本化です。今回の改正では、ビール系飲料の酒税率は350ml換算で一律54.25円になります。

ちなみにビール系飲料のうち「ビール」とは、日本の酒税法においては以下のように定義されています。

  • 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの(麦芽の使用割合100%)
  • 麦芽、ホップ、水及び麦、米や果実、コリアンダーなどの香味料等の特定の副原料を使用して発酵させたもの
  • 上記2つのうち、麦芽の使用割合が50%以上のもの

参考:ビール・発泡酒に関するもの|東京国税局

更にビール系飲料は、麦芽比率や原材料の違いで、以下の表のように分類されます。

種別

定義

ビール

  • 麦芽の使用割合が50%以上のもの

発泡酒

  • 麦芽の使用割合が50%未満のもの
  • ビールの製造に認められない副原料を使用したもの

新ジャンル(第3のビール)

  • 大豆やエンドウ豆、トウモロコシなどを麦芽の代替として使ったもの
  • 発泡酒に大麦などを発酵させた蒸留酒を加えたもの

各酒類メーカーがさまざまなビール系飲料を開発しており、近年は発泡酒や新ジャンルもビールに近い味わいに近しい傾向にあります。今回の改正によって税率も統一され、その結果それぞれの価格差も埋まっていくと予想されます。

2026年の酒税法改正で何が変わる?

2026年10月の酒税法改正で税率が変わるのは、主に以下の3点です。

  1. ビール系飲料
    2026年10月に1kl(1,000リットル)当たり15万5,000円(350ml換算54.25円)に一本化
  2. その他の発泡性酒類(チューハイ等)
     2023年10月に1kl当たり10万円(350ml換算35円)に引き上げ
  3. 低アルコール分の蒸留酒類及びリキュール
    2026年10月に1kl当たり10万円(350ml換算35円)に引き上げ

このように、2026年10月の改正ではビール系飲料とチューハイやリキュール系で税率が二分化されます。

酒税法の歴史

酒税法の改正の背景には、発泡酒や第3のビールなどのビール系飲料の発展が関係しています。

そもそも酒税とはなにか、どのような流れで2026年の酒税法改正へ至るのか、本項で詳しく解説します。

酒税とは

酒税とは、酒類に課される税のことです。酒類とは酒税法において、アルコール度1度以上の飲料(薄める又は溶解してアルコール1度以上の飲料)と定めています。また酒類は、大きくは以下の4種類に分類されています。

  • 発泡性酒類
  • 醸造酒類
  • 蒸留酒類
  • 混成酒類

もともと酒税の納税義務者は酒の製造者や販売者ですが、酒税は酒類の販売金額に含まれているため、実質的な税負担者は消費者だと言えます。

参考:酒税法 | e-Gov法令検索

酒税法改正の目的

政府は平成29年度の税制改正において、酒類間での税率を公平にするという目的のもと、酒税改正の法案を議決しました。

もともとは酒税の高かったビールの税負担を避けるため、各酒類メーカーが発泡酒や第3のビールなどのビール系飲料を販売したのが始まりです。しかし、ビール系飲料が普及され税率の分類が複雑になってしまったという過去から、今回の改正でビール系飲料の酒税を統一するという運びになりました。

なお、酒税改正の目的について、財務省では以下のように述べられています。

「類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、税収中立の下、酒税改正を実施します。」

出典:酒税に関する資料 : 財務省

また国税庁でも、以下のように述べられています。

「「酒税の保全及び酒類の取引の円滑な運行」及び「酒類の適正な販売管理の確保」を図ることを目的に、酒税法等の一部が改正されました。」

出典:酒類の公正な取引・販売管理に関するルールの改正について|国税庁

酒税法改正の2026年までの流れ

平成29年度(2019年)税制改正で改正が決定された酒税法は、2020年10月・2023年10月・2026年10月の3段階で実行されます。

2019年から2026年までの具体的な税額の改正の流れは以下のとおりです。

酒税額

(350mlあたり)

改正前

2020年10月

2023年10月

2026年10月

ビール

77円

70円

63.35円

54.25円

発泡酒

46.99円

46.99円

46.99円

54.25円

新ジャンル

28円

37.8円

46.99円

54.25円

日本酒

42円

38.5円

35円

35円

ワイン

28円

31.5円

35円

35円

チューハイ等

低アルコール蒸留酒類等

28円

28円

28円

35円

参考:酒税に関する資料 : 財務省

改正前は複雑に分類されていた酒税が、段階的に調整されながら徐々にまとまっていくのが分かりますね。

特に2026年の改正では、ビールの税率が下がり発泡酒と新ジャンルの税率が上がることで、ビール系飲料の税率が1本化されることが主なポイントです。

また、チューハイ等低アルコール蒸留酒類等の税率が上がることで、ビール系飲料以外の酒類の税率も一本化されます。

酒税の税率変更による影響

様々なアルコール飲料

2026年に酒税の税率が変更されることで、酒類における消費差の選択肢に変化が起こると考えられます。また消費者だけでなく、酒類を取り扱う事業者への影響もあるため、仕入れのタイミングや確定申告時の計算にも注意が必要です。

酒類の選択肢の自由度が増す

税率が統一されたことで、ビール系飲料の価格差が縮まり、酒類の選択肢の自由度が増えると予想できます。今後はビールの需要も見込まれるため、新商品ビールが多く開発される可能性もあります。

ビール系飲料以外の酒類への影響

ビール系飲料以外の酒類への影響としては、チューハイ等低アルコール蒸留酒類等への影響が主なポイントです。これまで税率の上下が唯一無かったチューハイ等ですが、2026年10月に今回の改正で初めて税率が引き上げられます。

ただし、ビール系飲料の税率よりもチューハイの税率が低いため、今後はビール系飲料の代替え品としてチューハイ類を求める消費者も増えると予想されます。

酒類を取り扱う事業者への影響

2026年の酒税法改正において、酒類を取り扱う一部の事業者は、手持品課税(戻税)に注意する必要があります。

酒類の酒税率が改正される際、令和6年10月1日の午前0時時点で流通段階にある課税済みの酒類に対して、新旧税率の差額を調整する措置が行われる予定です。1,800リットル以上の酒類を保有する事業者が対象です。

手持品課税(戻税)の課税は、酒税率が引き上げられる酒類に対して行われます。一方で戻り税は、酒税率が引き下げられる酒類について行われます。各事業者において、課税額と戻税額を差し引きし、課税額が多い場合には酒税を納付し、戻り税が多い場合には還付申告を行いましょう。

参考:酒類の手持品課税(戻税)について|国税庁

申告までの期間も短いと予想されるため、手持品課税(戻税)に関しては専門に任せる判断も選択肢の一つにしてみましょう。

酒税の手持品課税(戻税)についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

酒類価格の動向に注目を

酒税法改正で2026年10月に税率がどのように変わり、社会にどのような影響をもたらすかを解説しました。

ビールがこれまでよりも手の届きやすい価格になると期待できる一方、チューハイ等の値上げも気になるところです。

今後2026年10月の税率改正による酒税の一本化に向けて、各酒類メーカーでどのように価格が変動していくのか、動向に注目していきましょう。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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