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会社設立の基礎知識

決算期(月)は変更可能?メリット・デメリットや手続き方法まとめ

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決算期(月)は変更可能?メリット・デメリットや手続き方法まとめ

会社設立時に取り決めた決算月が自社に合っていないと感じたら、1度見直してみてはいかがでしょうか。決算月は変更が可能です。決算月を変えることで、節税や業務の負担軽減につなげられるなどのメリットを得られます。ただし、その一方でデメリットの確認も必要です。この記事では決算月の変更とその手続きについて、さらに詳しく説明します。

決算月の変更手続きは可能?

決算月の変更手続きのイメージ

会社設立の手続きの中で、欠かせないのが決算月の設定です。決算月について、まずは基本的なことを確認しましょう。

そもそも決算月とは

決算月は決算期や本決算とも呼ばれ、事業年度の最後の月を意味します。

会社は利益や資産など、経営・財務の内容をまとめて関係者へと明らかにする決算を行わなければなりません。そのための決算書を作成するにあたり、対象となる会計期間が事業年度です。

法人の場合、決算月及び事業年度の期間は法律で定められていないため、任意による設定が可能です。

一方、個人事業主の事業年度は1月から12月までの1年間とあらかじめ定められています。そのため、すべての個人事業主は決算月が12月です。

決算月は変更できる

会社や企業などの法人は、決算月を任意で決められるため、その変更にも特に制限はありません。回数も定められていないことから、何度でも変更可能です。

しかし決算月を変更すると、事業年度が1年以上経っていなくても決算を行い、確定申告や納税を行わなければなりません。

12ヵ月を超えて延ばすことはできない

決算月は原則的に12ヵ月を超えて設定することはできません。

会社法では決算月変更後の最初の事業年度に限り1年6ヵ月に設定できますが、法人税法では1年超の事業年度が認められていません。

そのため実質的に、決算月の変更する際にも事業年度は12ヵ月を超えて延ばせません。

決算月の変更手続きを行うメリット

決算月の変更手続きのイメージ

決算月を変更することで具体的にはどのような変化がもたらされるのでしょうか。変更により得られるメリットを説明します。

節税できる可能性がある

決算月を別の月にすることで、節税できる可能性があります。例えば、決算月に多額の利益が発生すると、その事業年度の納税額も増加します。

しかし、その前に決算月を変更すれば、多額の利益は翌年の事業年度へと繰り越しされるでしょう。

繁忙期を避けられる

決算月と繁忙期が同じ時期だと経理などに負担がかかります。従業員がほかの業務で忙しいと、そちらに気を取られるなどし、正確さが求められる決算にミスの起こる可能性が高まります。

また、経理だけでなく、税理士の繁忙期も考慮することで、余裕を持って決算月を迎えられます。

資金繰りを考えたスケジュールが組める

決算月は資金繰りにも影響を与えます。例えば、その事業年度の利益のピークが決算月に近いと、資金繰りの調整が難しくなります。

逆に、利益のピークを事業年度の早期に設定することで、キャッシュフローはより把握しやすく、資金調整もスムーズになると期待できます。

また、役員報酬の調整を行えるのも決算月の変更のメリットです。原則的に、役員報酬の増減については年に1度しか変更が認められておらず、そのタイミングは決算後の3ヵ月以内に限られています。

そのため、決算月を変更することで、経営や財務の状況に応じた役員報酬へと調整可能です。

決算月の変更手続きを行うデメリット

決算月の変更手続きのイメージ

決算月の変更はプラス面だけでなくマイナス面も把握した上で行いましょう。決算月を変えることで生じるデメリットを紹介します。

納税までの期間が短くなることがある

会社設立時に決算月を決定したり、変更したりする際には、事業年度を12ヵ月を超えて設定できません。そのため、決算月を変更したその事業年度は必ず1年より短くなってしまいます。

前年度より決算月を早く迎える分、決算処理や確定申告、納税までの期間も短くなることがあります。決算月は納税のタイミングも考慮した上で変更しましょう。

さまざまな税金の計算を調整する必要がある

決算月の変更は、前述した納税のタイミング以外にも、さまざまな税金の計算に影響を与えます。税金に関しては、特に次のような点に注意が必要です。

【消費税】

資本金1,000万円未満で会社を設立した場合、消費税は初年度と翌年の2期間免除されるでしょう。

法人における消費税の基準期間は前々事業年度であり、新たに設立された会社には基準期間が存在しないために消費税の納税義務もありません。

そして、会社設立後に決算月を変更すると、消費税の免税期間が短縮されます。最大で2年間短縮されることを覚えておきましょう。

【法人税】

法人税は、中小企業と大企業とで計算方法が異なります。大企業(普通法人)には23.2%の法人税率が課せられます。

対して、中小企業(中小法人)には15%の軽減税率が年間800万円までの所得に適用され、税制的に優遇されます。

しかし、決算月を変更した場合、税率が軽減される所得が減少します。事業年度の期間に合わせた調整を行う必要があります。

参考:法人税率の軽減 | 中小企業庁

【減価償却資産】

減価償却資産における償却限度額(減価償却費の上限額)は、事業年度を1年として設定されています。

そのため、決算月を変える場合、減価償却資産の償却限度額も法人税と同様に、事業年度の期間に合わせた計算を行わなくてはなりません。

前年度との比較が難しくなる

決算月変更により、その年の事業年度は1年よりも短いです。そのため、決算書も前年と経営や財務の内容を比較しにくい傾向があります。

特に、シーズンごとに仕入れや売上に差が見られる業種では、前年度との比較に注意が必要です。

変更手続きのために業務時間を割かれる

決算月を変更するためには、複数の手続きを踏まなくてはなりません。

納税までの期間が短縮されることや、税金の計算をし直さなくてはならないことを考慮すると、法的に可能であったとしても何度も決算月を変えるのは現実的ではありません

決算月の変更手続き方法

決算月の変更手続きのイメージ

決算月の設定は任意であり登記も不要なため、税理士などの専門家に手続きを依頼する以外には費用が発生しません。

ただし、手続きはいくつかの段階を経ることから、ここではその流れを説明します。

株主総会の決議により定款を変更

決算月及び事業年度は、一般的に会社設立時に作成した定款に記載されています。実際には定款への事業年度の記載は任意ですが、必要事項として記されるケースが多く見られます。

そのため、決算月を変更したい場合は、定款に記された事業年度も書き改めなくてはなりません。

定款とは、その会社の基本的な情報やルールを記載したもので、会社を設立した際に必ず作成して公証役場で定款認証を受けます。

ただし、定款の変更に関しては、決算月の書き替えを含め、公証役場での認証は不要です。

ただし、定款を変更するためには会社で株主総会を開き、特別決議を行う必要があります。

また、その株主総会の特別決議は、議決権が行使可能な株主の過半数が出席していることが成立の条件です。

さらには、その決議において、出席した株主の3分の2以上、もしくは定款に定められている割合以上の賛成により決算月の変更が認められます。

株主総会の議事録を作る

株主総会の特別決議を行ったあとは、その内容を記した議事録を作成します。

議事録には出席者や議長の氏名などの基本情報に加え、開催日時や場所、その経過と決議内容などの記載が必要です。

また、株主総会の議事録は本店では10年、支店では5年にわたって保管の義務があります。

異動事項に関する届出を税務署などに提出

株主総会とその議事録の作成を終えたら、次に会社の所在地を所轄する税務署・都道府県税事務所・市役所・区役所・町村役場などへ異動事項に関する届出を提出します。

異動事項に関する届出とは税務に関する書類で、事業年度の変更を行った際などに提出が求められています。

また、提出の際には異動事項の内容確認に定款の写しを確認されることもあるため、持参しましょう。ちなみに、決算月及び事業年度の変更は登記の必要がないことから、法務局への届出は不要です。

参考:C1-8 異動事項に関する届出|国税庁

税理士に依頼すれば決算月の変更手続きもスムーズ!

決算月の変更は節税や資金繰りなどのメリットがあります。しかし、税金の計算を調整したり、変更手続きに時間を取られたりと、会社とその従業員の負担が増えてしまう可能性があります。

会社自らが手続きを行うこともできますが、決算月の変更を適切に行うためにも、まずは税理士などの専門家に依頼してみてはいかがでしょうか。

また、そもそも新たな決算月を何月に設定すべきかなど、早い段階から相談することで専門家のアドバイスも受けられます。

私ども小谷野税理士法人では、会計・税務の相談はもちろん、代行サービスも請け負っています。

決算月の変更手続きについても、経験豊富なプロにお任せください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
税理士「今野 靖丈」

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