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投資でのマイナス分は確定申告で節税できる?申告義務ややり方を解説

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投資でマイナスが出たときの確定申告

投資はときにリスクを伴う場合があります。必ず利益が出るとは限らず、損失を生むこともあるでしょう。しかし、損失が出た場合は、そのマイナスを利用し、損益通算や繰越控除などの特例を受けることで税金を減らせます。そのためには確定申告が必要です。投資でマイナスが出た場合はどのような税金対策をすべきか、確定申告を中心に考えてみましょう。

投資でマイナスが出たときにおける確定申告の必要性

投資でマイナスが出たときの確定申告

投資の利益を確定申告してきた中で、いざマイナスが出た場合には、どう扱っていいものか迷うこともあるかと思います。

また、1年間の所得にかかる納税額を計算する確定申告において、そもそも利益がマイナスであるのに行う必要はあるのか考えることもあるでしょう。投資でマイナスが出た際の確定申告をどのようにすべきか説明します。

投資でマイナスが出た場合は確定申告の義務がない

投資でマイナスが出た場合、原則的には確定申告を行う必要はありません。

株取引では一般口座だけでなく特定口座もありますが、いずれの口座でもマイナスであれば、申告義務は生じません

特定口座は、株式の譲渡や売却にかかる所得税・住民税の納税手続きを簡易に行える制度で用いられています。

特定口座は源泉徴収なしの場合と、源泉徴収ありの場合に分かれ、「源泉徴収あり」の際には利益が出た場合にも確定申告は不要です。

投資でマイナスが出ても確定申告することで節税できる

投資によってマイナスが出た際は原則的に申告義務はないものの、あえて確定申告をすることで節税効果が期待できます。

これは確定申告によって使える特例が適用可能なためです。

投資のマイナスは確定申告で損益通算し節税

投資でマイナスが出たときの確定申告

投資でマイナスを出した際、確定申告によって税金対策となり得る特例の1つが損益通算です。ただし、損益通算は適用される所得の区分が限定されています。損益通算とはどのような特例で、どの所得に対し適用できるかを説明します。

損益通算とは

簡単に言えば損益通算とは、税金を計算する際に利益から損失を差し引ける制度です。例えば、その年の利益が20万円で損失が3万円だった場合、20万円から3万円を差し引いた残りの17万円が課税対象です。

この損益通算を利用することで、投資でマイナスが出た場合にも、利子や配当所得にかかる税金を低くできる可能性があります。仮に、投資によって20万円の利子や配当所得があったとしましょう。

通常この20万円は課税対象であり源泉徴収が行われます。しかし、その年に100万円の損失があった場合は、利子や配当所得による20万円の所得を差し引いても残り80万円のマイナスです。

損益通算を利用することで利益の20万円にかかっていた源泉徴収が還付され、結果的に節税を行えます。また、証券会社ごとに異なる複数の口座を利用していたとしても、口座間での損益通算が可能です。

損益通算の対象となる所得

損益通算の対象となる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の4つです。個人で株式取引を行っていた場合は、原則的に譲渡所得に該当します。

しかし、その株式取引が事業規模に該当する場合には、事業所得として認められる可能性があります。

投資のマイナスは確定申告で繰越控除し節税

投資でマイナスが出たときの確定申告

損益通算と共に、確定申告を行うことで適用可能となるのが繰越控除です。繰越控除は損益通算と組み合わせることで、投資でマイナスが出た場合にも、さらなる節税を行える可能性があります。繰越控除の仕組みと確定申告との関係性を説明します。

繰越控除とは

繰越控除とは、損益通算を使っても控除しきれずに損失額が残った場合、それを翌年以降に繰り越し、利子や配当所得、譲渡所得と通算できる制度です。そして、その繰り越しは最長3年間にわたって可能です。

繰越控除を用いると、投資にマイナスが出た翌年以降も所得金額を低く抑え、節税できる可能性がありますただし、繰越控除は確定申告を行っていないと適用はされません。

そのため投資でマイナスが出た際には、その年に確定申告を行い、翌年から繰越控除を適用できるよう準備しておく必要があります。

繰越控除で節税できない場合もある

繰越控除を用いる際には繰り越しを行った年と翌年から3年間、確定申告を毎年行わなければなりません。もしも、その期間に投資をしなかったとしても確定申告が必要です。

繰越控除の適用要件は長期間にわたるため、翌年になって控除したことを忘れたり、確定申告を怠らないようにしましょう。

投資でマイナスが出たときの確定申告書の書き方と必要な書類

投資でマイナスが出たときの確定申告

投資でマイナスが出た際でも、確定申告をする際には所得金額を記入しなくてはなりません。そのため、株取引などで利益や損失のあった金額の記載された書類が必要です。ここからは、投資でマイナスが出たときの確定申告で必要な書類や、書き方について開設します。

参考:No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁

特定口座年間取引報告書を用意

株式投資を行っており、特定口座で取引している場合は、確定申告の際に各証券会社から発行される特定口座年間取引報告書を用意する必要があります。特定口座年間取引報告書には、その口座の年間の譲渡損益額・配当などが記載されています。

2019年分の確定申告からはこの特定口座年間取引報告書の添付が不要となったため、確定申告の際には金額を確認するだけで済みます。確認方法は、電子交付や郵送など証券会社ごとに異なります。

特定口座年間取引報告書に記載された金額を確認したあとは、それを「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」に記入し、確定申告書とともに提出します。

給与所得がある場合は源泉徴収票を用意

投資を行いながら、会社員として給与所得もある場合には、給与所得も確定申告書に記入する必要があります。

職場から交付された源泉徴収票を用意し、記載されている金額を確定申告書の給与の欄に記入しましょう。

給与所得の源泉徴収票も、2019年分からは添付不要で確定申告が実施されています。

投資のマイナスを確定申告するときの注意点

投資でマイナスが出た際には、確定申告を行うことで節税可能です。しかし、ほかの控除が対象外になったり、国民健康保険料などが上がったりする場合があります。

投資について節税を目的とした確定申告を行う際は、次のような事柄に注意しましょう。

配偶者控除・扶養控除が適用されない場合もある

確定申告をすると、投資による利益がプラスされた分、所得が増える可能性があります。その際、所得額によっては配偶者控除や扶養控除がはずれ、税金が高くなる恐れがあります。

配偶者控除は配偶者のいる納税者に、扶養控除は子どもや親など扶養家族のいる納税者に対し、それぞれ所得控除が認められる制度です。しかし、所得に関する適用要件があり、はずれた場合には控除の対象外と見なされます。

適用要件では、配偶者控除と扶養控除ともに、配偶者及び扶養家族の年間所得額が48万円以下、給与のみであれば103万円以下の場合を対象としています。また、配偶者のいる納税者においても、適用要件は所得1,000万円以下であると定められています。

一方、扶養控除については納税者の所得額は問われません。扶養している人の所得が増えても、扶養控除に影響はありませんが、扶養されている人の所得が増える場合は注意しましょう。

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

国民健康保険料・介護保険料が上がる場合もある

損益通算や繰越控除を行うために確定申告をしたとしても、国民健康保険料や介護保険料が上がって節税効果を得られない場合もあります。国民健康保険料や介護保険料は納税者の所得によって確定します。

確定申告をすると投資による利益分が所得に加算されるため、所得金額が増加し、国民健康保険料や介護保険料が高くなります。節税される税金以上に、国民健康保険料が増える恐れがあるため注意しましょう。

確定申告すると投資のマイナスを会社に知られる?

確定申告を行ったからと言って、勤務先に投資のマイナス分などは通知されません。

ただし、多くの場合、住民税の金額は会社へと通知されるため、そこから所得の増減を推測される可能性はあります。

住民税の金額を会社に知られたくない場合には、確定申告書の第二表にある「給与、公的年金以外の所得に係る住民税の徴収方法」を「自分で納付」とすることで防げます。

投資でマイナスが出たら確定申告の前に税理士へ相談を

確定申告をする際は、さまざまな控除を適切に活用することで節税が可能です。投資でマイナスが出た際にも、損益通算や繰越控除の適用を受けて税金を抑えられます。

しかし、控除にはそれぞれ対象と適用要件が定められており、ときには税制が変更される場合もあります。

また、確定申告書には正確さが求められるため、自分で作成するより税理士に代行を依頼したほうが確実な提出を行えます。

小谷野税理士法人では個人向けの確定申告業務を提供しています。

投資家の皆さんの確定申告にも精通しておりますので、気軽にご利用ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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今野 靖丈

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